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如才
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じょさい
ふりがな文庫
“
如才
(
じょさい
)” の例文
この戦争の結果、
尚寧
(
しょうねい
)
王以下百余名は捕虜となって上国し、
如才
(
じょさい
)
なき薩摩の政治家は思う存分にその主なき琉球を経営致しました。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
それから
十市
(
とうち
)
の作さんという楊梅売りのとぼけたようで
如才
(
じょさい
)
のない人物が昔のわが家の台所を背景として追憶の舞台に活躍するのである。
郷土的味覚
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「すっかり判りました。ようがす。わたしが出来るだけ調べてあげましょう。
如才
(
じょさい
)
はあるめえが、当分は誰にも内証にして……」
半七捕物帳:03 勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そんな折の氏の家庭こそ平常とは打って
変
(
かわ
)
って実に陽気で
愉快
(
ゆかい
)
です。その間などにあって、氏に
一味
(
ひとあじ
)
の「
如才
(
じょさい
)
なさ」が
添
(
そ
)
います。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
がんりきの野郎が
如才
(
じょさい
)
なく、携えて来たお角の
朱羅宇
(
しゅらう
)
の
長煙管
(
ながぎせる
)
を取って、一服つけて、それを
勿体
(
もったい
)
らしく白雲の前へ
薦
(
すす
)
めてみたものです。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
とん、とん、とん……とその
襟元
(
えりもと
)
へ二階から女の足音がすぐ降りて来た。
如才
(
じょさい
)
なく彼のそばへ
手拭
(
てふ
)
きやら
嗽
(
うが
)
い
碗
(
わん
)
など取り揃えて
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一、二
年
(
ねん
)
の
後
(
のち
)
には、
天才
(
てんさい
)
の
芽
(
め
)
は、まったく
踏
(
ふ
)
みにじられて、あとかたもなく、
如才
(
じょさい
)
のない、きざな一
個
(
こ
)
の
商人
(
しょうにん
)
ができあがるでありましょう。
しいたげられた天才
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
よく肥った三十五六の男で、愛嬌のある顔、要領の悪い口調、一応はボーッとしたように見えて、思いのほか
如才
(
じょさい
)
がないところがあります。
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いや、あゝいう人情味のない人ですよ。そこへ行くと、立花さんあたりは
如才
(
じょさい
)
ありません。人間は誰しもあゝあって貰いたいと思いました」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
豌豆
(
えんどう
)
や
隠元
(
いんげん
)
は畑に
数珠
(
じゅず
)
生
(
な
)
りでも、もいで
煮
(
に
)
て食う
暇
(
ひま
)
は無い。
如才
(
じょさい
)
ない東京場末の
煮豆屋
(
にまめや
)
が
鈴
(
りん
)
を鳴らして来る。飯の代りに
黍
(
きび
)
の餅で済ます日もある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
深川の
櫓下
(
やぐらした
)
に居たって、
名前
(
なめえ
)
はおしずさんと云って
如才
(
じょさい
)
ねえ
女子
(
あまっこ
)
よ、年は二十二だと云うが、口の利き様は
旨
(
うめ
)
えもんだ、旦那様が連れて来たゞが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すると年老いた師匠が、鶯でないところが面白いんですよ、と言ったのは、必ずしも遊芸の師匠の
如才
(
じょさい
)
ないところから、そう云ったのでもあるまい。
鰯
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
「……佐原屋のことだから、
如才
(
じょさい
)
なく船宿へでも駈けこんだこッたろうが、それにしても、この降りじゃ……」
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そこで俊助も
已
(
や
)
むを得ず、
曖昧
(
あいまい
)
な微笑を浮べながら、角帽を脱いで黙礼した。が、藤沢は、俊助の世慣れない態度とは打って変った、いかにも
如才
(
じょさい
)
ない調子で
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこは例の附け届けを十分にたっぷり薬を
利
(
き
)
かしてあるので断りもならず精々
如才
(
じょさい
)
なく
扱
(
あつか
)
っていた。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「なる程、おっしゃる意味はよく分りますがね」署長は中途で引取って、「その今朝の男の靴跡も
如才
(
じょさい
)
なく
検
(
しら
)
べてあるんです。併し、これとはまるで違っていましたよ」
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
見かけによらず
如才
(
じょさい
)
ない老爺は紅葉を娘の前へだし、これごろうじろ、この紅葉の美しさ、お客さまがぜひお嬢さんへのおみやげにって、
大
(
おお
)
首おって折ったのぞなどいう。
河口湖
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
いかにも義姉に取り入ろうとするような声で、それが俺にありありと感じられるのはいやだったが、同時に、波子の奴、なかなか
如才
(
じょさい
)
がないと、そこに一種の
安堵
(
あんど
)
もあった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
ことに女の利害を代表する岡本の方は、藤井よりも余計この必要を認めなければならない地位に立っていた。その上岡本の叔父には普通の成功者に附随する一種の
如才
(
じょさい
)
なさがあった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今一人は年廿五六小作りにして
如才
(
じょさい
)
なき顔附なり白き棒縞の単物
金巾
(
かなきん
)
のヘコ帯
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
なかなか美男子で、
如才
(
じょさい
)
なく頭のはたらく男なのだが、しかし、ほんの十六
歳
(
さい
)
の少年にすぎないわたしでさえ、この男には何かしら油断のならぬ、うさん
臭
(
くさ
)
いところがあるような気がした。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
如才
(
じょさい
)
なく、お袋に
土産物
(
みやげもの
)
を渡すが否や、いっぱしの
馴染
(
なじみ
)
でもあるかのように、早くも三畳の
間
(
ま
)
へ上り込んでしまったが、それでもさすがに気が差したのであろう、ふところから手拭を取出して
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「そうか。そいつあ済まねえのう。なにも御難と諦めてくんな。じゃ、借りるぜ——おうっ、勘、彦、用が済んだら佐平次どん方へ——待ってるぜ。彦、
如才
(
じょさい
)
あるめえが八百駒あやんわりな。」
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
如才
(
じょさい
)
なく立ちまわれよ、と編輯長に言われて、ふだんから生真面目の人、しかもそのころは未だ二十代、山の奥、竹の柱の草庵に文豪とたった二人、
囲炉裏
(
いろり
)
を挟んで徹宵お話うけたまわれるのだと
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
世馴
(
よな
)
れた人の
如才
(
じょさい
)
ない
挨拶
(
あいさつ
)
としか長吉には聞取れなかった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「その点
如才
(
じょさい
)
はございません」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
道を
訊
(
き
)
くような風をして
如才
(
じょさい
)
なく話しかけて、となりの家ではどこの
魚屋
(
さかなや
)
から魚を買っているかということを半七は聞き出した。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
如才
(
じょさい
)
ない秀吉は、それでも折々、むかし友達には気をつかい、
甥
(
おい
)
の秀次に、勝入のむすめを
娶
(
めと
)
り、会えば、ことばの端にも
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
店で働いているだけに、
如才
(
じょさい
)
のないことはお縫と反対で、敷居際に手を突いて、支配人と平次の顔を等分に見上げました。
銭形平次捕物控:020 朱塗の筐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかしながら、がんりきはさすがに
如才
(
じょさい
)
ないところがあるから、金助のように見てくれだけで頭ごなしに米友を侮辱するようなことはありません。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
はじめは多少容態を
繕
(
つくろ
)
っていた近所のおかみさんたちや気取ってた娘たちも、
如才
(
じょさい
)
のない母の面倒の見方や、愛想のよい褒め言葉にいつの間にか
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「だんなさま、このとおり
雲
(
くも
)
ひとつない
上天気
(
じょうてんき
)
でございます。このぶんですと
天気
(
てんき
)
がつづくだろうと
思
(
おも
)
います。」と、
如才
(
じょさい
)
ない
植木屋
(
うえきや
)
は、
答
(
こた
)
えました。
大根とダイヤモンドの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と牧野さんは年配丈けに
如才
(
じょさい
)
ない。表装をしないでやったら手拭き紙にした奴があったとは仰有らなかった。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
井生森又作は
如才
(
じょさい
)
ない
狡猾
(
こうかつ
)
な男でございますから、是だけの宿屋に番頭も何もいないで、貧乏だと悟られて、三千円の金を持って帰られてはいけないと思って
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それからと云うもの、時平は宮中で国経と顔を合わすと、急に
如才
(
じょさい
)
なく
挨拶
(
あいさつ
)
するようになった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人柄は女性的で
如才
(
じょさい
)
のない社交家であるのに反して、熊浦氏はただジアナリスティックな虚名を持っている外には、地位もなく資産もなく、妻子さえない全くの孤独者で
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
吉見さんには時々逢うこともありますが、色のあさ黒い、人柄のいい、なかなか
如才
(
じょさい
)
ない人です。そのかわり随分道楽もするそうですが……
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、彼は同時に、世間の
如才
(
じょさい
)
ない、刀鍛冶のように、金次第のいわゆる
御差刀料
(
おさしりょう
)
などは作れなくなってしまった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さすがに、
如才
(
じょさい
)
のない
植木屋
(
うえきや
)
も、ちょっとした
話
(
はなし
)
がこんなことになるとは
思
(
おも
)
いませんでした。こういわれても、
返事
(
へんじ
)
することができなかったのであります。
大根とダイヤモンドの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これは三十五六の柄の大きい、ぼーっとした感じの男ですが、調子にはなかなか
如才
(
じょさい
)
ないところがあります。
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
単に
如才
(
じょさい
)
ないだけではなく、この提案が成功すれば、二重の役得があるという見込みが十分でしたから、御意によっては、鹿島へ行く舟のへさきを即座に変えて
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もし春琴が今少し
如才
(
じょさい
)
なく人に
謙
(
へりくだ
)
ることを知っていたなら大いにその名が
顕
(
あら
)
われたであろうに
富貴
(
ふうき
)
に育って生計の苦難を解せず
気随気儘
(
きずいきまま
)
に
振舞
(
ふるま
)
ったために世間から敬遠され
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこへお客さんが来たものだから、親方は
如才
(
じょさい
)
なく応対を始めた。しかしその間もチョキ/\/\と鋏は休ませない。口八丁手八丁だ。お客さんを職人に
委
(
まか
)
せて置いて、又話し出す。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お
國
(
くに
)
と申す女中がございまして、器量人並に
勝
(
すぐ
)
れ、
殊
(
こと
)
に
起居周旋
(
たちいとりまわし
)
に
如才
(
じょさい
)
なければ、殿様にも
独寝
(
ひとりね
)
の
閨
(
ねや
)
淋しいところから
早晩
(
いつか
)
此のお國にお手がつき、お國は
到頭
(
とうとう
)
お
妾
(
めかけ
)
となり済しましたが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし息子は、父親の神の遥々の訪れをそれと知るや、直ちに翁を家の中へ導き入れ、
紹介
(
ひきあわ
)
せたその妻もろとも下へも置かない歓待に取りかかった。そうしながら祭の儀も
如才
(
じょさい
)
なく勤めた。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私がモジモジしているのを見ると、河野は
如才
(
じょさい
)
なく声をかけました。私は普通なら遠慮すべき所を、どうやら事件に関する話しらしいので、好奇心を圧え難く、いわれるままに部屋の中へ入りました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
聞いたかどうだか突き留めて来てくれ。
如才
(
じょさい
)
もあるめえが、本当になぐられたのか、出たらめの事を云うのか、よく念を押して訊きただしてくれ
半七捕物帳:48 ズウフラ怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「そなたも、藤吉郎と同じように
如才
(
じょさい
)
がないの。もう洲股へ引き移るものと、いつの間にやら決めていやる」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう少し
如才
(
じょさい
)
なく
詫
(
わ
)
びをしたら、或いはそれで負けてもらえたかも知れぬ、またこの店の亭主が、もう少し情けを知った人ならば、それで
我慢
(
がまん
)
したかも知れぬ、しかしながら
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
如才
(
じょさい
)
のない平中はかねてからそれに眼をつけ、巧く此の児に取入っていて、或る日此の児が本院の館へ来、母が住んでいる寝殿の、西の
対屋
(
たいのや
)
で遊んでいるところへ行き通わして
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“如才”の意味
《名詞》
如 才 (じょさい)
手落ち。手抜かり。
(出典:Wiktionary)
如
常用漢字
中学
部首:⼥
6画
才
常用漢字
小2
部首:⼿
3画
“如”で始まる語句
如何
如
如何様
如来
如此
如意
如露
如法
如月
如是