大声おおごえ)” の例文
旧字:大聲
Kと言うのは僕等よりも一年の哲学科にいた、はしにも棒にもかからぬ男だった。僕は横になったまま、かなり大声おおごえに返事をした。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そして悪口が見つかったので、やはり顔を地面じべたうずめたまま、わらいこけながら大声おおごえでそれをいってやった。けれどなんの返事もなかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
とそこで、蛾次郎が大声おおごえばわったので、竹童はぎょッとして、かれの悲鳴ひめいをふせぐべく、思わず、おどしにつかんでいた火独楽ひごま
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、ふたりのにいさんは、またまた もんくをいいだしました。おうさまのみみが きこえなくなるくらいの大声おおごえで、わめきたてるのです。
大声おおごえくるってけるかぜまでが、このいいこときとれたとみえて、しばらくそのさけごえしずめたのであります。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
何よりも、りきかえること、大声おおごえを立てることがきらいです。どんなことでも、静かに話せばわかり、また、静かにはなわなければ面白おもしろくないという主義しゅぎなのです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
和服の青年が、大声おおごえにそんなことを言って、カフェの中からけ出して来た。伸子はその向こう側の光景に驚かされて、電柱のかげへ逃げ込むようにして廻った。
秘密の風景画 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
飯「黙れ孝助、主人の前もはゞからず大声おおごえを発してしからぬ奴、覚えがなければうして胴巻が貴様の文庫のうちに有ったか、それを申せ、何うして胴巻があった」
いたって元気げんきな、壮健そうけんな、立派りっぱしろ頬鬚ほおひげの、快活かいかつ大声おおごえの、しかもい、感情かんじょうふか人間にんげんである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と、一番いちばんちいさい突然とつぜん大声おおごえしました。そして
大声おおごえをあげて、入口いりぐち酒場さかばきゃくがはいってきた。
大声おおごえでどなったり、ひどくおどしたりしたが
大声おおごえげてわめきました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
『人の若衆わかしゅを盗むよりしては首を取らりょと覚悟した』と、大声おおごえに歌をうたいながら、織田殿おだどのの身内におにと聞えた柴田しばたの軍勢をなびけました。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「きっと、このうえにだいじゃがすんでいて、ってしまったのだよ。」と、一人ひとりがいうと、みんな、大声おおごえにわめいて、そのしたから退しりぞいて、うえあおぎました。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
車室しゃしつうちはさのみ不潔ふけつ人間にんげんばかりではなかったが、ミハイル、アウエリヤヌイチはすぐ人々ひとびと懇意こんいになってたれにでもはなし仕掛しかけ、腰掛こしかけから腰掛こしかけまわあるいて、大声おおごえ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此の者どもが御場所柄をもわきまえず大声おおごえに罪を争います為態ていたらく、見るに忍びず、かく申す文治までがお奉行職の御面前にて高声こうせいを発したる段重々恐れ入ります、お此の上一言いちごん申し聞けとう存じます故
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
過去かこのことをおもすものは、両眼りょうがんくじってしまいましょう。リュバフキン!』と、かれ大声おおごえたれかをぶ。郵便局ゆうびんきょく役員やくいんも、来合きあわしていた人々ひとびとも、一せい吃驚びっくりする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかし、よるくらかったから、だれも、気味悪きみわるがってのぼっていくようなひともありませんでした。ただ、したから大声おおごえして、ぶばかりでした。しかし、やはり、なんの返答へんとうもなかった。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たつ一は、のどもやぶれよとばかりに、大声おおごえげて、万歳ばんざいたびとなえたのでした。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、自分じぶん部屋へやへもどると、大声おおごえさけんだのです。そして、かんがえたのでした。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あ、おかあさん、なめますよ。ぼく、もうきたなくしちゃったからいやだ。」といって、無理むりにそのごほんをひったくりました。すると、今度こんどあかちゃんは、大声おおごえげてしてしまいました。
僕は兄さんだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あめってきた!」と、子供こどもが、大声おおごえげました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)