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在所
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ありか
ふりがな文庫
“
在所
(
ありか
)” の例文
胸に燃ゆる
憤怨
(
ふんえん
)
の情を抱きながら、藁しべにでもすがりつきたい頼りない弱い心で、私たちはそれから、二人の
在所
(
ありか
)
を探して歩いた。
父
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
ここしばらくは、奥様に、
在所
(
ありか
)
が知れぬといふておく。確かに己れが預つて、滅多な事はささぬから、思案を仕替えて見るがよい。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
「いや、無電を出すことを許せば、わが飛行島大戦隊の
在所
(
ありか
)
を、敵に知らせるようなものじゃ。そいつは絶対に許すことができぬ」
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
殿を狙うておるとのこと——これら二人の者どもはマドリド司僧の遺児であれば、髑髏盃の由緒と
在所
(
ありか
)
とを心得ておるに相違ない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
網元
(
あみもと
)
らしい。釣れなければそこで貰って行く法もあると教えた。お昼にお弁当を食べにお
出
(
いで
)
なさいと言って、家の
在所
(
ありか
)
を詳しく説明した。
田園情調あり
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
その音信不通の旦那の
在所
(
ありか
)
が何年か後に遠いところから知れて来て、
僅
(
わず
)
かに手紙の往復があるようになったのも、丁度その頃だ。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
土藏を破つて千兩箱を二つ盜み出し、その時は
在所
(
ありか
)
の判らなかつた妹の身を案じて、今晩は、それを救ひ出しに入つたのでした。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
家臣は、晴賢の首を紫の袖に包み、谷の奥に隠しておいたが、晴賢の草履取り乙若というのがつかまった為、其
在所
(
ありか
)
が分った。
厳島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「その傷を
発
(
あば
)
いたら口があくはずじゃ、それがいやならば、ただ
一言
(
ひとこと
)
、太兵衛女房の
在所
(
ありか
)
を知らせてくれ、それだけでよい」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
金田君は幸い横顔を向けて客と相対しているから例の平坦な部分は半分かくれて見えぬが、その代り鼻の
在所
(
ありか
)
が判然しない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
刀の
在所
(
ありか
)
、
仇敵
(
かたき
)
の
匿家
(
かくれが
)
まで教えて呉れた其の功に
愛
(
め
)
でゝ、永く苦痛をさするも
不便
(
ふびん
)
ゆえ、この小三郎が介錯して取らせるぞ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
支倉の家はその子の代に一旦亡びたので、墓の
在所
(
ありか
)
も久しく不分明であったが、明治二十七年に至って再び発見された。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「雞」の行方に関してはその後私は知らなかったが、地主の一党は私に依ってそれの緒口をつかもうとして私の
在所
(
ありか
)
を
隈
(
くま
)
なく諸方に
索
(
もと
)
めているそうだ。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
「いづれ殺す、
活
(
い
)
けては置かぬが、男の
居所
(
いどころ
)
を謂ふまでは、
活
(
いか
)
さぬ、殺さぬ。やあ、手ぬるい、打て。
笞
(
しもと
)
の音が長く続いて
在所
(
ありか
)
を語る声になるまで。」
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
きまりきった宿の部屋であったから、闇の中でも、床の間の
在所
(
ありか
)
、そこを枕としている調所の
臥床
(
ふしど
)
は、想像できた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
使用人には鍵の
在所
(
ありか
)
が判らないから、では、今日のうちに鍵を持って、後からもう一度出直して来るというのだ。
アリゾナの女虎
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
少くとも世を楽しむメエテルリンクの
悲愁
(
かなしみ
)
と
神秘
(
ミスチツク
)
な蒼い陰影の靄の中に寂しい心の
在所
(
ありか
)
を探す物馴れぬ Stranger の心持、その心を私は慕ふ。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「のうフローラ、姉の才量で、今日から城内に、グレプニツキーを入れることにした。そして、黄金郷の
在所
(
ありか
)
を、じわじわ吐かせることに決めたのじゃ」
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
相良寛十郎のその後や
在所
(
ありか
)
を知っていて申し出るかまたはその手がかりとなるべきことをしらせた者には礼をする意味の貼り紙をさせたのは忠相だった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
細い手で受け取った鏡を、京子は朝日にかざしてきらりと光らせ、傍の者を
眩
(
まぶ
)
しがらせてから、も一度、朝陽の
在所
(
ありか
)
を見極める。鏡と朝陽の照り合いを
検
(
しら
)
べる。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
包が邪魔になるとそれを座敷の眞中に置き放しにして來て、
在所
(
ありか
)
を忘れて又
彼方此方
(
あちらこちら
)
を探したりした。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
かくてゴーゴンの
在所
(
ありか
)
を三人の処女から教はつたパーシユーズは、四つの品を携へてゴーゴンの
棲処
(
すみか
)
に向つた。
愈
(
いよ/\
)
目的地に来て見ると三つのゴーゴンは熟睡して居る。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
翌
(
あく
)
る朝鴈治郎は、弟子に買つて来させた世界地図を拡げて、
頻
(
しき
)
りと英吉利の
在所
(
ありか
)
を捜してゐた。英吉利は持つて生れた小柄を恥ぢるやうに海の中に小さくなつてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
都に
風聞
(
ふうぶん
)
の立ったとき、その
在所
(
ありか
)
をしらべよとはおいいつけになりましたが、
罪人
(
ざいにん
)
あつかいにして、桑名に
護送
(
ごそう
)
することなどは、まッたく、秀吉公のごぞんじないこと。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
声の
在所
(
ありか
)
を
覓
(
もと
)
むる如く、キヨロ/\と落着かぬ様に目を働かせて、径もなき
木蔭地
(
こさぢ
)
の湿りを、智恵子は樹々の間を
其方
(
そなた
)
に抜け
此方
(
こなた
)
に潜る。夢見る人の
足調
(
あしどり
)
とは是であらう。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
指
(
さゝ
)
れしにぞ左仲はグツと
再度
(
ふたゝび
)
閉口
(
へいこう
)
の樣子ゆゑ
良
(
やゝ
)
あつて内記殿何は
兎
(
と
)
もあれ藤五郎兄弟の者の
行方
(
ゆくへ
)
又家來兩人の
在所
(
ありか
)
とも早々尋ぬべし此義
考
(
かんが
)
ふるに
渠等
(
かれら
)
兩人の者主人の
子息
(
しそく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
どちらへ
曲
(
ま
)
がったらいいかわからなかったので、しばらくたたずんで、きかかった
人
(
ひと
)
に、
教会堂
(
きょうかいどう
)
の
在所
(
ありか
)
をたずねますと、すぐわかって、そこから三、四
丁
(
ちょう
)
のところでありました。
青い星の国へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
所が兇漢は偶然宝石の
在所
(
ありか
)
を知りました。それは今回の事件で岩見がある家に忍び込んだと云う事から、宝石はたしかにその家のどこかに隠されていると云う事を知ったのです。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「あれは
魔法使
(
コルドゥーン
)
めが、自分の穢らはしい巣窟の
在所
(
ありか
)
を知られまいとして、人を脅しをるのだよ。こんなことでビクビクするのは
女
(
あま
)
つこばかりだ! さあ、坊やをこちらへおよこし!」
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
言ふまでもなく、そんな筈ではなかつたのだが、計算をはみでた時間の思ひがけない帰結であるから、今更事の重苦しさに当惑を深めるほかには改めて心の
在所
(
ありか
)
といふものもなかつた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
なにとぞ手前の辛苦をあわれと思召され、一日も早く源次郎さまの
在所
(
ありか
)
をば……
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
何うして斯様のような不思議の事あるか、拇印ならば誰が捺したのか一向証拠にならん、兵隊に手の形を受書の下に捺させても、どうして是が当人逃げたる際
在所
(
ありか
)
を探ねる助けになるか
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
矢庭
(
やには
)
に
引捕
(
ひつとら
)
へて
官
(
くわん
)
に
訴
(
うつた
)
へると二の
句
(
く
)
もなく
伏罪
(
ふくざい
)
したので、石の
在所
(
ありか
)
も
判明
(
はんめい
)
した。
官吏
(
やくにん
)
は
直
(
す
)
ぐ石を
取寄
(
とりよ
)
せて一見すると、これ亦た
忽
(
たちま
)
ち
慾心
(
よくしん
)
を
起
(
おこ
)
し、これは
官
(
くわん
)
に
没收
(
ぼつしう
)
するぞと
嚴
(
おごそ
)
かに
言
(
い
)
ひ
渡
(
わた
)
した。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
トランクの
在所
(
ありか
)
はすぐわかった。が、鍵がかかっているらしくあかなかった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
X光線によって照し出された鯛の骨の
在所
(
ありか
)
を、正面と、横からと、二枚の図に写してもらった松浦先生は、又も遠藤博士の処に引返して来たが、博士はたった今急患を往診に出かけたというので
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そうして一人一人に授けられた缶を背負って出掛けた上で、自分の受持方面の井戸の
在所
(
ありか
)
を捜して歩かなければならない。井戸を見付けて、それから人の見ない機会をねらって、いよいよ投下する。
流言蜚語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
いつまでも女のいるところが知れなくって懊悩に懊悩を重ねていた時分には、もう思案に余って愚かになり、女の
在所
(
ありか
)
を探し出すことが出来なければ、せめて彼女の話でも、誰かを対手にしていたい
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「あのね、羽衣の
在所
(
ありか
)
が分つたよ。」
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
太陽の
在所
(
ありか
)
を。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
一郎は教授に耳うちして、室内の電灯のスイッチの
在所
(
ありか
)
を
訊
(
き
)
いた。それは室を入ったすぐの壁にとりつけてあるということだった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
胸に燃ゆる
憤怨
(
ふんえん
)
の情を抱きながら、
藁
(
わら
)
すべにでも
縋
(
すが
)
りつきたい頼りない弱い心で、私達はそれから、二人の
在所
(
ありか
)
を探して歩いた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「明朝までに御墨附が返らなければ、生きてお前に逢ふのもこれ限りだ、——その娘とやらを
拷問
(
がうもん
)
にかけても、御墨附の
在所
(
ありか
)
を訊してくれ」
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
(しめた、お吉は九十郎の妾、あいつの後を
尾行
(
つ
)
けて行ったなら、九十郎の
在所
(
ありか
)
知れるかもしれぬ。……つきとめてお浦を取り返してやろう)
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
蛙の肉に附けて置いた紙の
片
(
きれ
)
で、それを
咬
(
くは
)
へて飛んで行く蜂の行方を眺めると、巣の
在所
(
ありか
)
が知れました。小鳥の種類の豐富なことも故郷の山林の特色です。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
見つけ出して、そっと磯五とそういう話し合いになるように、日本一太郎のほうから磯五へ、それとなく
在所
(
ありか
)
を
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
内実
(
ないじつ
)
は暫く不問に置かれる、但し、右の古金、新金の
在所
(
ありか
)
はこの場で
訊
(
ただ
)
して帰らねば、身共役目が立ち申さぬ
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
例へば虫の
在所
(
ありか
)
でも単に驚きの叫びを挙げてそれを指摘するばかりで、誰も自ら捕へたためしもなかつた。
真夏の朝のひとゝき
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
さりながら凡ての因襲から逃れて常に新らしい官能の薄明りにわれとわが霊の
在所
(
ありか
)
をたづねゆくわかい旅人の心にも思ひ棄てがたきは日本の笛のあはれである。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
余計な御苦労かけるのが
御不便
(
ごふびん
)
さ。決して私は明さんに、
在所
(
ありか
)
を知らせず隠れていたのに、つい
膝許
(
ひざもと
)
の
稚
(
おさな
)
いものが、粗相で
手毬
(
てまり
)
を流したのが悪縁となりました。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(もし、第三番手の刺客が派遣されたとして、自分等より早く、牧の
在所
(
ありか
)
を突き留めて討ったとしたなら、自分らの面目は——目的は——立場は——一切が崩壊だ)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
“在所”の意味
《名詞》
人が住んでいるところ。物のありか。
在郷。いなか。
ふるさと
施設などに入所していること。また業務として詰めていること。
(出典:Wiktionary)
在
常用漢字
小5
部首:⼟
6画
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
“在所”で始まる語句
在所者
在所表