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唯
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たつ
ふりがな文庫
“
唯
(
たつ
)” の例文
人間界
(
にんげんかい
)
ではないものを……と、
唯
(
たつ
)
た
今
(
いま
)
、
亭主
(
ていしゆ
)
に
死
(
し
)
なれたやうな
聲
(
こゑ
)
をして、
優
(
やさ
)
しい
女房
(
にようばう
)
は
涙
(
なみだ
)
ぐむ。
思
(
おも
)
ひがけない、
可懷
(
なつか
)
しさに
胸
(
むね
)
も
迫
(
せま
)
つたらう。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何処
(
どこ
)
か近くの家で
百萬遍
(
ひやくまんべん
)
の
念仏
(
ねんぶつ
)
を
称
(
とな
)
へ始める声が、ふと
物哀
(
ものあは
)
れに耳についた。
蘿月
(
らげつ
)
は
唯
(
たつ
)
た一人で
所在
(
しよざい
)
がない。
退屈
(
たいくつ
)
でもある。
薄淋
(
うすさび
)
しい
心持
(
こゝろもち
)
もする。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
『
汝
(
なんぢ
)
、
覺悟
(
かくご
)
をせよ』
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
唐突
(
いきなり
)
聲
(
こゑ
)
を
怒
(
いか
)
らし、
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ひながら
地韛踏
(
ぢだんだふ
)
んで、『
頭
(
あたま
)
を
刎
(
は
)
ねるが、宜いか、
唯
(
たつ
)
タ
今
(
いま
)
!さァ!』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
唯
(
たつ
)
た一人彫刻家の藤井
浩祐
(
かうすけ
)
氏のみには適当な役が無かつたが、
幸
(
さいはひ
)
藤井氏は物言ひをつける事が巧かつたし、物言ひをつけなければ勝目のない
競技
(
ゲーム
)
も多からうといふので
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其
(
それ
)
も
其筈
(
そのはづ
)
、
実家
(
さと
)
は
生計向
(
くらしむき
)
も
豊
(
ゆた
)
かに、
家柄
(
いへがら
)
も
相当
(
さうたう
)
に
高
(
たか
)
く、
今年
(
ことし
)
五十
幾許
(
いくつ
)
かの
父
(
ちゝ
)
は
去年
(
きよねん
)
まで
農商務省
(
のうしやうむしやう
)
の
官吏
(
くわんり
)
を
勤
(
つと
)
め、
嫡子
(
ちやくし
)
は
海軍
(
かいぐん
)
の
大尉
(
たいゐ
)
で、
今
(
いま
)
朝日艦
(
あさひかん
)
に
乗組
(
のりく
)
んで
居
(
を
)
り、
光子
(
みつこ
)
は
唯
(
たつ
)
た
一人
(
ひとり
)
の
其妹
(
そのいまうと
)
として
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
阿関は
頭
(
つむり
)
の先より
爪先
(
つまさき
)
まで眺めていゑいゑ私だとて往来で
行逢
(
いきあ
)
ふた位ではよもや
貴君
(
あなた
)
と気は付きますまい、
唯
(
たつ
)
た今の先までも知らぬ他人の
車夫
(
くるまや
)
さんとのみ思ふてゐましたに御存じないは
当然
(
あたりまへ
)
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
空は鏡のやうに
明
(
あかる
)
いのでそれを
遮
(
さへぎ
)
る
堤
(
つゝみ
)
と
木立
(
こだち
)
はます/\黒く、星は
宵
(
よひ
)
の
明星
(
みやうじやう
)
の
唯
(
たつ
)
た一つ見えるばかりで
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
は
尽
(
こと/″\
)
く余りに
明
(
あかる
)
い空の光に
掻
(
か
)
き消され
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
『
何
(
なん
)
にしても、
私
(
わたし
)
は
出
(
で
)
て
參
(
まゐ
)
りません、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
』と
云
(
い
)
つて愛ちやんは、『のみならず、それは
正
(
たゞ
)
しい
規則
(
きそく
)
ではありません、
唯
(
たつ
)
た
今
(
いま
)
考案
(
かうあん
)
されたのですもの』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
先
(
ま
)
づ……
最
(
も
)
う
一
(
ひと
)
ツ
念
(
ねん
)
のために
申
(
まを
)
さうに……われらが
居
(
を
)
ります
此
(
これ
)
なる
瓦斯燈
(
がすとう
)
、
唯
(
たつ
)
た
今
(
いま
)
、お
前樣
(
まへさま
)
を
呼留
(
よびと
)
めましたなり、
一歩
(
ひとあし
)
とて
後
(
あと
)
へも
前
(
まへ
)
へも
動
(
うご
)
きませぬ……
此
(
これ
)
は
坂下
(
さかした
)
からはじめまして
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
阿關
(
おせき
)
は
頭
(
つむり
)
の
先
(
さき
)
より
爪先
(
つまさき
)
まで
眺
(
なが
)
めていゑ/\
私
(
わたし
)
だとて
徃來
(
わうらい
)
で
行逢
(
ゆきあ
)
ふた
位
(
くらゐ
)
ではよもや
貴君
(
あなた
)
と
氣
(
き
)
は
付
(
つ
)
きますまい、
唯
(
たつ
)
た
今
(
いま
)
の
先
(
さき
)
までも
知
(
し
)
らぬ
他人
(
たにん
)
の
車夫
(
くるまや
)
さんとのみ
思
(
おも
)
ふて
居
(
ゐ
)
ましたに
御存
(
ごぞん
)
じないは
當然
(
あたりまへ
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
………人は
幾度
(
いくたび
)
も戀する事が出來るだらうか。
唯
(
たつ
)
た一度しか出來ないと、女性は必ず云ひ張るに違ひない。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
と……
何
(
なに
)
しろ
酷
(
ひど
)
い
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
つて
遁
(
に
)
げたんです。
唯
(
たつ
)
た
今
(
いま
)
の
事
(
こと
)
なんです。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
唯
(
たつ
)
タ
一
(
ひと
)
つの
邪魔者
(
じやまもの
)
が
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「
唯
(
たつ
)
た
二
(
ふた
)
つ……」
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
唯
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
“唯”を含む語句
唯一
唯々
唯一人
唯今
唯物
唯唯
唯々諾々
唯事
唯我独尊
唯者
唯識
唯中
唯〻
唯一不二
唯物論者
唯一言
真唯中
唯有
唯識論
唯独
...