“呼出(よびだ)” の例文
索搜(たづね)密々(こつそり)呼出(よびだ)し千太郎に小夜衣よりの言傳(ことづて)を委(くは)しく語りおいらんは明ても暮(くれ)ても若旦那の事のみ云れて此頃は泣(ない)てばつかり居らるゝを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夫(それ)から井上が何か吟味に逢うて、福澤諭吉に証人になって出て来いと云(いっ)て、私を態々(わざわざ)裁判所に呼出(よびだ)して、タワイもない事を散々尋(たずね)て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
お隣にいる中村新八郎に、たった一と目別れを惜しみたい——と、思い乍らも、此時刻になっては、呼出(よびだ)す手段(てだて)もありません。
彼女を呼出(よびだ)した電話の主は誰であろうか? この怪人は何のために彼女を誘拐したのであろうか? ……今この日東劇場には「笑う妖魔」という
劇団「笑う妖魔」 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「ちょっと。」「何さ。」手招(てまね)ぎをして、「来て見なよ。」家内を呼出(よびだ)して、両方から、そっと、顔を差寄(さしよ)せると、じっとしたのが、微(かすか)に黄色な嘴(くちばし)を傾けた。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ヂュリ あの光明(ひかり)は朝(あさ)ぢゃない、いえ/\、朝日(あさひ)ではないわいの。ありゃ太陽(たいやう)がお前(まへ)の爲(ため)に、今宵(こよひ)マンチュアへの道案内(みちしるべ)に炬火持(たいまつもち)の役(やく)さしょとて、急(きふ)に呼出(よびだ)した光(ひか)り物(もの)ぢゃ。
構(かま)ふ事(こと)はない呼出(よびだ)してお遣(や)り、私(わた)しのなぞといつたら野郎(やらう)が根(ね)から心替(こゝろがは)りがして顏(かほ)を見(み)てさへ逃(に)げ出(だ)すのだから仕方(しかた)がない、どうで諦(あきら)め物(もの)で別口(べつくち)へかゝるのだがお前(まへ)のは夫(そ)れとは違(ちが)ふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小田原の飯盛に嫌がらせをしたのは幾人もありますが、箱根の山の中へ呼出(よびだ)されるほどの深間は一人も無かったのです。
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
右(みぎ)の文體(ぶんてい)也ければ直(たゞ)ちに麹町三丁目町醫師村井長庵呼出(よびだ)しの差紙(さしがみ)を札の辻の町役人へ渡されければ非番(ひばん)の家主即時(そくじ)に麹町の名主の玄關へ持參なし順序(じゆんじよ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
呼出(よびだ)しを掛(か)ける氣(き)の、勝手(かつて)は知(し)つた裏口(うらぐち)へ𢌞(まは)つて、垣根(かきね)から覗(のぞ)くと、長閑(のどか)な日(ひ)の障子(しやうじ)を開(あ)けて、背戸(せど)にひら/\と蝶々(てふ/\)の飛(と)ぶのを見(み)ながら、壁(かべ)は黒(くろ)い陰氣(いんき)な納戸(なんど)に
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「君こそ今まで何処(どこ)にいたか分らないのに。僕たちを呼出(よびだ)した手紙も或(あるい)は君の仕業じゃないのか!」
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
スルト一行中の或(あ)る役人が三井の手代を横浜の旅宿に呼出(よびだ)し、色々弗(ドル)の相場を聞糺(ききただ)して扨(さて)云(い)うよう
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
五兵衞吉兵衞の兩人へ引渡しに成たりける元より久八が縊(くび)り殺(ころ)したる趣(おもむ)き自訴(じそ)せしかば翌日甲州屋吉兵衞伊勢屋五兵衞久八の伯父(をぢ)六右衞門一同等御呼出(よびだ)しにて調べとこそは成りにけれ。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
鳥(とり)か獣(けもの)か、こゝにバサリと名(な)づくるものが住(す)んで、案山子(かゝし)に呼出(よびだ)されたのであらう、と思(おも)つたが、やがて其(それ)が二(ふた)つが並(なら)んで、真直(まつすぐ)にひよいと立(た)つ、と左右(さいう)へ倒(たふ)れざまに、又(また)ばさりと言つた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
自分で結ったか何(ど)うか、群衆の前で試される女、——天鵞絨(ビロウド)の鼻緒を切取(きりと)られて、竹の皮ですげ替えさせられた上、親を呼出(よびだ)して手錠をはめられる小娘、——中には贅沢(ぜいたく)な紙入を発見されて
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
母が毎度の事で天気の好(い)い日などには、おチエ此方(こっち)に這入(はいっ)て来いと云て、表の庭に呼込(よびこ)んで土間(どま)の草の上に坐らせて、自分は襷掛(たすきが)けに身構えをして乞食の虱狩(しらみがり)を始めて、私は加勢に呼出(よびだ)される。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
会社の掲示板に貼出(はりだ)されたり、仙太郎自身社長に呼出(よびだ)されて口汚く面罵されたり、同僚の丹波丹六にコキ使われたり、冷かされたり、そして遂に、丹波丹六がいよいよ社長の聟養子となって
何(なに)もいざこざはない、話(はなし)は歸(かへ)つて來(き)てゆつくりするが、此(これ)から直(す)ぐに筑波山(つくばさん)へ參詣(さんけい)だ。友達(ともだち)の附合(つきあひ)でな、退引(のつぴき)ならないで出掛(でか)けるんだが、お秋(あき)さん、お前(まへ)を呼出(よびだ)したのは他(ほか)の事(こと)ぢやない、路用(ろよう)の處(ところ)だ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)