まは)” の例文
私の眼はおほはれ閉ぢられてあつた。渦卷く闇が私のまはりを流れるやうに思はれ、反省が黒い混亂した流れのやうに這入り込んで來た。
みなさん!』とつてあいちやんは、つゞけやうとして氣遣きづかはしげにまはりを見廻みまはし、『さア、これで解散かいさんしやうぢやありませんか!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それでだいぶよくわかつてましたが、つまりはかまへとか、はかまはりの要所々々ようしよ/\おもはれるところに、人間にんげんうまとりなどのぞうならべたものに相違そういありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そればかりか、かたせなも、こしまはりも、心安こゝろやすいて、如何いかにもらく調子てうしれてゐることいた。かれはたゞ仰向あふむいて天井てんじやうからさがつてゐる瓦斯ガスくわんながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「もう少しまはりの広々としたとこはないのかしら……。あの辺にいくらだつてあるみたいだけど……」
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
場内を半分だけまはつたら、さすが興味を湧かした女たちも疲れて來た。そこで中庭へ出て、精養軒の出店で紅茶を飮んだ。それから今度は、澄子さんの發議で餘興館に入つた。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
娘時代を、こんな男の自由になつてゐた事がかなしくさへあつた。自分のまはりの男は、どうして、こんなに落ちぶれて卑しくなつてしまつてゐるのかと、不思議な気持ちだつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
さういふ時の対手は屹度福富である。肩のすべり、腰のまはりなどのふつくらした肉付を思ひ浮べ乍ら、幻の中の福富に対して限りなき侮辱を与へる。然しそれは其時だけの事である。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
かれまはりを掃除さうぢするニキタは、其度そのたびれい鐵拳てつけんふるつては、ちからかぎかれつのであるが、にぶ動物どうぶつは、をもてず、うごきをもせず、いろにもなんかんじをもあらはさぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
度々の太政官符だいじやうぐわんふで、其を家のまはりに造ることが禁ぜられて来た。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
はじめの眠の間中私は何處か知らない曲り曲つた路を歩いてゐました。私のまはりはすつかり薄暗くて、雨が私に降りかゝるのです。
『して此等これら何者なにものか?』女王樣ぢよわうさま薔薇ばらまはりに平伏ひれふしてゐた三にん園丁えんていどもをゆびさしてまをされました、何故なぜふに、彼等かれら俯伏うつぶせにてゐるし
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
またさけみづ五六升ごろくしようもはひるような大瓶おほかめがあり、めづらしい恰好かつこうのものには、たけたかすかりのつぼをのせるだいだとか、つぼだいとくっついてゐるものだとか、くちまはりに人間にんげんうまちひさいかたちをつけた
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
私といふものゝ存在をあなたのまはりにまとはせ、きよらかな、力に滿ちた焔の中に輝きながら、あなたと私を一つにとろかしてしまふのだ。
左樣さやう無論むろん彼娘あのこが』とあいちやんをゆびさしながらドードてうつたので、そのたいのこらず一あいちやんのまはりを取圍とりかこみました。『褒美はうび褒美はうび!』とガヤ/\さけびながら。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
いまおはなししたような石棺せきかんつかをさめるときには、ぢかにつちなかうづめたものもありますが、たいていは石棺せきかんまはりにあた場所ばしよに、まづ石圍いしかこひをして、そのなか石棺せきかんれ、うへふたをしたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)