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厄介
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やっかい
ふりがな文庫
“
厄介
(
やっかい
)” の例文
何様のご家来かわからないが、学術優等品行方正だけは
安斉
(
あんざい
)
さんの注文にはまっている。しかしどこまでも
厄介
(
やっかい
)
なのは堀口生だった。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「自分の家に属してある属領から上って来る物があるからそれで沢山だ。
別段
(
べつだん
)
に法王に御
厄介
(
やっかい
)
をかけてそんなに沢山貰うにも及ばぬ」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
かりそめの出来心からとんだ
厄介
(
やっかい
)
ものをしょい込んだような気がした。お婆さんは犬の額に掌をのせて、無言のまま、やさしく撫でた。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
自分が
厄介
(
やっかい
)
になってる無信仰者の老人をからかって意地悪い楽しみを覚えるだけに、その熱心はなおさら不謹慎なものとなるのだった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ほんとうに、
厄介
(
やっかい
)
なこッたなあ——おらは全く厭だ。お初なんて女の子とかかり合うのはやり切れねえ——が、あいつは気違いだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
父は死ぬ二三日前僕を枕元に呼んで、「市蔵、おれが死ぬと御母さんの
厄介
(
やっかい
)
にならなくっちゃならないぞ。知ってるか」と云った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
またここへ舞い戻って来てしばらく
厄介
(
やっかい
)
をかけることのさぞ迷惑であろうということを繰り返して
詫
(
わ
)
びて、女には、私には少しも構わず
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
この時はもう
祖母
(
ばば
)
も母も死んでしまい、私は叔母の家の
厄介
(
やっかい
)
になりながら、村の小学校に出してもらって月五円の給料を受けていました。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
わけても
甥
(
おい
)
のカールの
厄介
(
やっかい
)
な問題が片づいた後は心の声を五線紙に表現するために、弦楽四重奏曲の形式をかりることに余念もなかった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
大叔父の家に
厄介
(
やっかい
)
になっている間に、私は一つの自活の
途
(
みち
)
を探しあてた。それは東京に出て来てから約一ヶ月後のことであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
全く、
厄介
(
やっかい
)
なことになったものである。「火星兵団」をいいだした博士が、奇怪な謎をのこしたまま姿を消すなんて、めいわくな話である。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
栃は
厄介
(
やっかい
)
なものになってしまい、場ふさげで、値もなくなったから、切り倒して
焚
(
た
)
いてしまって、後へ杉苗とか桐苗を植えるような始末で
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
単性視神経萎縮
(
アトロフィア・ネルヴィ・オプチジ
)
という
厄介
(
やっかい
)
な眼病で、
手榴弾
(
しゅりゅうだん
)
の破片で頭蓋底を骨折したために、起こったもので、日本では
治癒
(
ちゆ
)
できませんが
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「あなたが、こういう
酔狂
(
すいきょう
)
なものを作るものだから、こんな面倒が起るのです。退屈したお金持程
厄介
(
やっかい
)
なものはありませんよ」
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
第一、琴二郎なんかという青二才が生きているから、自分が、こんな
厄介
(
やっかい
)
な用事を言いつかったりする。殺してしまえば、それきりなのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「どうも、えらい
厄介
(
やっかい
)
になりましたな。が、ご安心してください。もうこの頭では、生れ変って大人しくなるしかありません」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子供などを多勢かかえた
嫂
(
あによめ
)
から
厄介
(
やっかい
)
ものあつかいにされるのを憤って、お柳はそれまでにも、二度も三度も、兄と大喧嘩を始めたのであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
突然のことで十一人もの大勢が御
厄介
(
やっかい
)
になっているのですから種田さんのお家の御迷惑はどんなでしょうかお察し下さい。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
次ぎには平生世話になる
耶蘇教
(
やそきょう
)
信者
(
しんじゃ
)
の家族を招待した。次ぎには畑仕事で始終
厄介
(
やっかい
)
になる
隣字
(
となりあざ
)
の若者等を案内した。今夜は村の婦人連を
招
(
まね
)
いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
されば今日
丈
(
だけ
)
の
厄介
(
やっかい
)
になりましょうと
尻
(
しり
)
を
炬燵
(
こたつ
)
に
居
(
すえ
)
て、退屈を輪に吹く
煙草
(
たばこ
)
のけぶり、ぼんやりとして
其辺
(
そこら
)
見回せば端なく
眼
(
め
)
につく
柘植
(
つげ
)
のさし
櫛
(
ぐし
)
。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
幸いオークランドに小農地を持ってとにかく暮らしを立てている
甥
(
おい
)
を尋ねて
厄介
(
やっかい
)
になる事になったので、礼かたがた
暇乞
(
いとまご
)
いに来たというのだった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
午飯
(
ひるめし
)
を食ったら、更に気が重くなった。こう云う時に誰か来ればいいと思うが、
生憎
(
あいにく
)
誰も来ない。そうかと云ってこっちから出向くのも
厄介
(
やっかい
)
である。
田端日記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お仙ちゃんが片づけば、どうしたってあの阿母さんは引き取るか貢ぐかしなけりゃならないのだが、まあ大抵の男は、そんな
厄介
(
やっかい
)
附きは厭がるからね
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
張
(
は
)
ったばかりの
天井
(
てんじょう
)
にふんの
砂子
(
すなご
)
を
散
(
ち
)
らしたり、馬の
眼瞼
(
がんけん
)
をなめただらして
盲目
(
もうもく
)
にする
厄介
(
やっかい
)
ものとも見られていた。
蛆の効用
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それに、ごった返している人込みのあいだを押し分けてゆく
厄介
(
やっかい
)
さも、気持をいらだたせるのにかなり油を注いだ。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
初めのうちは自分が
厄介
(
やっかい
)
になる上に犬までつれてと気兼ねをしていましたけれど、これほどの
大家
(
たいけ
)
で犬一匹が問題にもならず、心安く思っているうちに
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし娘さんの
中
(
うち
)
には両親の揃っていない人もありましょう。
親戚
(
しんせき
)
の
厄介
(
やっかい
)
になっている人もありましょう。あるいは全く独立している人もありましょう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
が、家を尋ねると、
藤堂
(
とうどう
)
伯爵の小さな長屋に親の
厄介
(
やっかい
)
となってる
部屋住
(
へやずみ
)
で、自分の書斎らしい室さえもなかった。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
男は、今宮へ行けば市営の無料宿泊所もあるが、しかし、人間そんな所の
厄介
(
やっかい
)
になるようではもうしまいだと言いながら、その小屋に
泊
(
と
)
めてくれました。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それは封蝋の中に電気が浸み込んで、それが測定の時にまた少し出て来るので、電位計へ行く導線をこのようにすると、ちょっと測定の操作が
厄介
(
やっかい
)
になる。
実験室の記憶
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
空ということ 次に「空」ということばでありますが、これがまた実に
厄介
(
やっかい
)
な
語
(
ことば
)
で、わかったようでわからぬ、わからぬようでわかっている語であります。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
亥「そうか、本所の人か、
己
(
おら
)
ア又豊島町の
若
(
わけ
)
い
衆
(
しゅ
)
かと思った、見ず知らずの人に
厄介
(
やっかい
)
になっちゃア済まねえ」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
独立の企業主体となることを得るのであるが、そのために他の一面には、改めて非常に
厄介
(
やっかい
)
なる農業労働供給方法の問題を、引き起こすことになるのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「いや姉さんふたりきりならえいがね、六人も七人もときては、楽しみも楽しみだが、
厄介
(
やっかい
)
も厄介ですぜ」
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この
憐
(
あわれ
)
むべき
盲人
(
めしい
)
は肩身狭げに下等室に
這込
(
はいこ
)
みて、
厄介
(
やっかい
)
ならざらんように片隅に
踞
(
うずくま
)
りつ。人ありてその
齢
(
よわい
)
を問いしに、
渠
(
かれ
)
は
皺嗄
(
しわが
)
れたる声して、七十八歳と答えき。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
全く変な讃辞を封筒へ収めて書き送っているから全くむしは
厄介
(
やっかい
)
だ、たべものなどもむしが
大
(
おおい
)
に関係するし、美術家の
喧嘩
(
けんか
)
などは大抵この虫から起るようである。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
元来墓地には制限を置かねばならぬというのが我輩の持論だが、今日のように人口が繁殖して来る際に墓地の如き不生産的地所が
殖
(
ふ
)
えるというのは
厄介
(
やっかい
)
極まる話だ。
墓
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
目下のところ、このお屋敷内にご
厄介
(
やっかい
)
になっておりますので……お目にとまりましたかどうですか、とにかく毎日ご一緒に食事をさせて頂いている者でございます。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
おかしな小僧じゃ、邸に
厄介
(
やっかい
)
になって居ながら、わしと会っても挨拶一つせぬ奴じゃ、無礼
極
(
き
)
わまる。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
雨の日や夜分は、便所の通いもいささか
厄介
(
やっかい
)
である。母屋を離れて細い崖の上を二十間もゆくので、それもあまり綺麗ではない。時としては下駄のないこともある。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
一種の
厄介
(
やっかい
)
ばらいをしたような、肩の荷をおろしたような気持もしたからである。とにかく、明日になったら川筋や
堀
(
ほり
)
を捜してみよう、そう思って私は家へ帰った。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
つまり、銃剣を振りまわしたり、拳銃を放ったりする者を置いていては、あぶなくて
厄介
(
やっかい
)
だからだ。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
下駄の時のように下足係の
厄介
(
やっかい
)
にならずにすむから、私も実は一度はいてみた事があるのであるが、どうも、足の裏が草履の表の
茣蓙
(
ござ
)
の上で、つるつる滑っていけない。
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それは第一回のときにこの地方に旅行に来て、清水青年団の
肝
(
きも
)
いりで
一泊
(
いっぱく
)
して以来、たびたび
厄介
(
やっかい
)
をかけ、住職の伊藤老師ともすっかり仲よしになっていたからである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
今じゃもう警察のご
厄介
(
やっかい
)
になって、おまけに
呆
(
ぼ
)
けちまって、誰も見向きもしないけれども、ほんとにひどい奴で、先生の亡くなられたのも、つまりあの
業突張
(
ごうつくば
)
りの為だわ。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
もし子二人あるかまた外に
厄介
(
やっかい
)
あれば、終歳の工料を尽して以て供給に足らず、何の有余を得て酒色に耽楽する事を得んと。これ工匠の労と産とを
勘
(
かんが
)
え知るべき大略なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「いや、それは
厄介
(
やっかい
)
千万。さりとて
打遣
(
うっちゃ
)
っても置かれまい。ひとつ白山まで参るとしましょう」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
弱い母親とふたりで伯父さんの
厄介
(
やっかい
)
になっているんでは、いいたいことがあってもいえない
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
一二回会ったくらいで顔もうろ覚えになっている
檜垣
(
ひがき
)
をたよってきたんだが、そして着くなりそのまま檜垣の家に
厄介
(
やっかい
)
になっていたが、檜垣の家は伊豆七島
屈指
(
くっし
)
の海産物問屋で
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
おれは島原で持場が悪うて、知行ももらわずにいるから、これからはおぬしが
厄介
(
やっかい
)
になるじゃろう。じゃが何事があっても、おぬしが手にたしかな
槍
(
やり
)
一本はあるというものじゃ。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
厄
常用漢字
中学
部首:⼚
4画
介
常用漢字
中学
部首:⼈
4画
“厄介”で始まる語句
厄介者
厄介物
厄介払
厄介事
厄介人
厄介女
厄介神
厄介視
厄介船
厄介千万