判断はんだん)” の例文
旧字:判斷
「昨夜海へびらがここで過ごしたことは、明らかである、この状態じょうたい判断はんだんすると、二三時間まえにかれらは、ここを去ったものであろう」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
たつた一人ひとりきりでくらしていたというのだからそういう特徴とくちょうから判断はんだんしてみて、捜査そうさ手懸てがかりは、かえつてつけやすいほどのものであつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
ゆびのさきは、さむさと、つめたさのためにいたんで、いしころであるか、つちであるか、それとも、銅貨どうかであるかさえ判断はんだんがつかなかったのでした。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
早苗はぽろっとなみだをこぼし、くいしばった口もとをこまかくふるわせていた。二つのうちどちらをとってよいか判断はんだんがつかなかったのだ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
これはたんなる偶然ぐうぜんか、それとも幽冥ゆうめい世界せかいからのとりなしか、かみならぬには容易ようい判断はんだんかぎりではありません。
細君は主人の小言をのある小言か根のない小言かを、よく直覚的ちょっかくてき判断はんだんして、根のない小言と思ったときは、なんといわれたってけっして主人にさからうようなことはせぬ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その頭の上でゆれているきぬのようなうす毛を、じっと見つめているうちに私は涙がこみあげてきた。人間の判断はんだんでは及びもつかないような意志いしが、この奇蹟をつくりあげたのである。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
西瓜の切売をした事もある、とゞの結局つまりが縁日商人となつて九星きうせいひとり判断はんだん、英語独稽古から初めて此頃では瞞着まやかしの化粧品と小間物を売つてマゴ/\しておるが君、金を儲けるのは商人だよ。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
内乱の性質せいしつ如何いかんは以て干渉の有無うむ判断はんだんするの標準ひょうじゅんとするにらざるなり。
あなたにうかがったら、なんとか判断はんだんしていただけるかと思うのです
小文治もやりにすがりながら、蛾次郎という小童しょうどうについてよく考えてみると、すえおそろしいといっていいか、末たのもしくないといおうか、まったく判断はんだんに苦しむような性格的畸形児せいかくてききけいじであると思った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分じぶんげた幸福こうふくが、このひとたちだけゆきわたらないはずがないのに、これはいったいどうしたことだろうと判断はんだんくるしんだのであります。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
これで一ととおおんな事情じじょうわかったのでございますが、おとこほうしらべなければなんとも判断はんだんしかねますので、わたくしはすぐ其場そのばで一そうふか精神統一状態せいしんとういつじょうたいはいり、仔細しさいにそのこころなかまでさぐってました。
賢明けんめいなる観客諸君かんきゃくしょくんのご判断はんだんをあおぎたてまつります
しかし、だれも、このあおいボタンが、いしつくられたものか、かいつくられたものか、判断はんだんくるしんだのでありました。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どれ、わたしが、どちらがいいこえだか、判断はんだんしてやろう。」といって、ごろりとくさうえへねころびました。
春の真昼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしたちは、このあたりをひとまわりんできますから、どうか、そのあいだに、みみずのうたがいいか、かえるのごえがいいか、よくいて、判断はんだんしてくださいまし。」
春の真昼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんは、このかぎを、みやこってて、ある学者がくしゃせて判断はんだんをしてもらうことにしたのであります。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのちょうちんには、手相てそううえ判断はんだんいてありました。かのじょは、それをると、おなみち往来おうらいして、いくたびかためらったが、ついに、そのほうへとちかづきました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
図画ずが先生せんせいは、をぱちぱちさして、どちらにも理屈りくつがあるので、判断はんだんくるしむといったようすでしたが、まどぎわへきて、あんじていているおやすずめのごえみみはいると
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かんなかには、そこにのこっている白骨はっこつと、不完全ふかんぜん土器どきと、七つのかがみなどがあって、人々ひとびとをひいたのでした。その死者ししゃは、学者がくしゃが、骨格こっかくから判断はんだんして、まだわかおんなであったとわかりました。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょしろおとこて、汽車きしゃ脱線だっせんさしたばかりでなく、自分じぶん負傷ふしょうした運転手うんてんしゅは、神経衰弱しんけいすいじゃくから、むだえたのだと判断はんだんされたものの、とにかく汽車きしゃ脱線だっせんさした責任せきにんから退職たいしょくさせられて
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
のつばめは、ねこに、判断はんだんたのみました。
春の真昼 (新字新仮名) / 小川未明(著)