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僧形
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そうぎょう
ふりがな文庫
“
僧形
(
そうぎょう
)” の例文
その出会いがしらに、思いもかけぬ経蔵の裏の闇から、
僧形
(
そうぎょう
)
の人の姿が現われて、妙に
鷹揚
(
おうよう
)
な
太刀
(
たち
)
づかいで先登の者を
斬
(
き
)
って
棄
(
す
)
てました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
武士に
櫓
(
ろ
)
をあやつらせ、その舟の中には、
僧形
(
そうぎょう
)
の者がひとり乗っていた。これなん安国寺
恵瓊
(
えけい
)
であったことはいうまでもない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんなふうにてきぱき言う人が
僧形
(
そうぎょう
)
の
厳
(
いか
)
めしい人であるだけ、若い源氏には恥ずかしくて、望んでいることをなお続けて言うことができなかった。
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
道庵と昔話の相手をしたその
僧形
(
そうぎょう
)
の
人体
(
にんてい
)
にも似ているようなのが、力を合わせて、必死と米友を取押えにかかります。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
相手は
諦
(
あきら
)
めてしまったのか、もう追いかけても来ないようです。が、あの男は何ものでしょう?
咄嗟
(
とっさ
)
の
間
(
あいだ
)
に見た所では、確かに
僧形
(
そうぎょう
)
をしていました。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
騎馬の将軍というより、毛皮の外套の紳士というより、遠く消息の断えた人には、その
僧形
(
そうぎょう
)
が
尚
(
な
)
お
可懐
(
なつかし
)
い。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この時代の若い世代の人々は、
僧形
(
そうぎょう
)
になるとならぬにかかわらず、つきつめた者の心情はすべて隠者的である。でない者は目先をはたらかす
機会主義者
(
オッポチュニスト
)
になった。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
此処につい最近、新しく来た
僧形
(
そうぎょう
)
五人の中の一人を、どうも見たような人だと思っていたのが、誰あろう、三位中将維盛殿だったのじゃ、わしも驚いたものじゃよ。
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
あい、とばかりに泣き濡れて、いと珍しい
僧形
(
そうぎょう
)
の花嫁花聟が、恥じらわしげに寄り添いながら、横取りの三公の手引で渡し場目がけつつ闇の道をおりようとしたとき。
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
薄暗い底の台の上に
結跏趺坐
(
けっかふざ
)
したまま睡っている
僧形
(
そうぎょう
)
がぼんやり目前に浮かび上がってきた。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
黒の法衣に白の頭巾をかぶってい、片手に白い
山茶花
(
さざんか
)
を入れた
閼伽桶
(
あかおけ
)
を持っていた。
僧形
(
そうぎょう
)
の彼女とじかに会うのは初めてであるが、岡野さえだということはすぐにわかった。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その上に馬が乗せている人物は
僧形
(
そうぎょう
)
である。鶴見はここでちょっと意外な思いをする。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
多分
僧形
(
そうぎょう
)
をしているのであろうが、襟に大きな数珠を懸けていることは分るけれども、その身に
纏
(
まと
)
っているものは
法衣
(
ころも
)
とも何とも正体が見定め難いほど、袖口や
裾
(
すそ
)
が
擦
(
す
)
り切れていて
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大なる
僧形
(
そうぎょう
)
の者赤き
衣
(
ころも
)
を
羽
(
はね
)
のように羽ばたきして、その木の梢に
蔽
(
おお
)
いかかりたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
見ると人力車をたてかけてその上に袈裟衣をつけた
僧形
(
そうぎょう
)
の人が一生懸命に何か云っている。彼はふと足をとめてその話をきいた。何か宗教の話ではないかと思ったのだ。所が突然その坊さんは
夢の殺人
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
その階段の下に、顔が
水牛
(
すいぎゅう
)
になっている身体の大きな
僧形
(
そうぎょう
)
の像が、片足をあげ、長い
青竜刀
(
せいりゅうとう
)
を今横に払ったばかりだという恰好をして、正面を切っているのであった。人形はそれ一つであった。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
都に上った厨子王は、
僧形
(
そうぎょう
)
になっているので、東山の
清水寺
(
きよみずでら
)
に泊った。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は
僧形
(
そうぎょう
)
の
白衣
(
びゃくえ
)
の裾を
飜
(
ひるがえ
)
して急
勾配
(
こうばい
)
の屋根をはった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その出会ひがしらに、思ひもかけぬ経蔵の裏の闇から、
僧形
(
そうぎょう
)
の人の姿が現はれて、妙に
鷹揚
(
おうよう
)
な
太刀
(
たち
)
づかひで先登の者を
斬
(
き
)
つて
棄
(
す
)
てました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
中にはさんでいく一
挺
(
ちょう
)
の
鎖駕籠
(
くさりかご
)
は——まさしく、
桑名
(
くわな
)
の
羽柴秀吉
(
はしばひでよし
)
へおくらんとする
貴人
(
きじん
)
の
僧形
(
そうぎょう
)
、
武田勝頼
(
たけだかつより
)
が
幽囚
(
ゆうしゅう
)
されているものと見られる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兵馬が委細を承って、やはり例の
僧形
(
そうぎょう
)
で、恵林寺から向岳寺へ向って行ったのは、その日の宵の口であります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
僧形
(
そうぎょう
)
の私が姫君のそばにいることは遠慮すべきだとこれまでも思いながら、片時だってお顔を見ねばいられなかった私は、これから先どうするつもりだろう」
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
燈
(
ひ
)
を消すと、あたりが
却
(
かえ
)
つて
朦朧
(
もうろう
)
と、薄く
鼠色
(
ねずみいろ
)
に
仄
(
ほの
)
めく向うに、石の
反橋
(
そりばし
)
の
欄干
(
らんかん
)
に、
僧形
(
そうぎょう
)
の
墨
(
すみ
)
の
法衣
(
ころも
)
、灰色に成つて、
蹲
(
うずくま
)
るか、と
視
(
み
)
れば欄干に
胡坐
(
あぐら
)
掻
(
か
)
いて
唄
(
うた
)
ふ。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、その石塔が建った時、二人の
僧形
(
そうぎょう
)
が
紅梅
(
こうばい
)
の枝を
提
(
さ
)
げて、朝早く祥光院の門をくぐった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは頭をまるめ法衣を着た、
僧形
(
そうぎょう
)
の除村久良馬であった。
初夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「や、これはかたじけないが、じぶんは見らるるとおり
僧形
(
そうぎょう
)
の身、
幼少
(
ようしょう
)
から酒の
味
(
あじ
)
を知ったことがない、
兄貴
(
あにき
)
、かわってくれ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
万が一にも
雑兵
(
ぞうひょう
)
乱入の
砌
(
みぎり
)
などには
却
(
かえ
)
って
僧形
(
そうぎょう
)
の方が御一統がたの介抱を申上げるにも好都合かと思い返し、慣れぬ手に
薙刀
(
なぎなた
)
をとるだけのことに致しました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
燈
(
ひ
)
を消すと、あたりがかえって
朦朧
(
もうろう
)
と、薄く鼠色に
仄
(
ほの
)
めく向うに、石の
反橋
(
そりばし
)
の欄干に、
僧形
(
そうぎょう
)
の墨の
法衣
(
ころも
)
、灰色になって、
蹲
(
うずくま
)
るか、と視れば欄干に
胡坐
(
あぐら
)
掻
(
か
)
いて唄う。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兵馬は例の
表
(
うわべ
)
だけの
僧形
(
そうぎょう
)
で、神尾の屋敷の前まで来かかると、門前に
人集
(
ひとだか
)
りがあります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たちまち、
欄
(
らん
)
の方に分れていた武士の組、
僧形
(
そうぎょう
)
たちの組、ほかすべても、日野蔵人俊基をめぐって、その左右に、大きな輪となって居流れた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
万が一にも
雑兵
(
ぞうひょう
)
乱入の
砌
(
みぎり
)
などには
却
(
かえ
)
つて
僧形
(
そうぎょう
)
の方が御一統がたの介抱を申上げるにも好都合かと思ひ返し、慣れぬ手に
薙刀
(
なぎなた
)
をとるだけのことに致しました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
まさかとは思う……ことにその言った通り人恋しい折からなり、
対手
(
あいて
)
の
僧形
(
そうぎょう
)
にも
何分
(
なにぶん
)
か気が許されて
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それが自分と同じことに
僧形
(
そうぎょう
)
をしている人物であると見て、なお不思議に思いながら近づいて見ると意外、それは頭と顔の円いので
見紛
(
みまご
)
うべくもあらぬ師家の慢心和尚であろうとは。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
とも知らず——晴季は、
障子
(
しょうじ
)
を
閉
(
し
)
めてほッとしたもののように、また小声で、目のまえにいる
僧形
(
そうぎょう
)
の
貴人
(
きじん
)
へ話しかけていたことばをつづける。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見ればその前に人だかりがしてゐる。通りすがりに横目でうかがふと、円頂
僧形
(
そうぎょう
)
の赤ら顔の男が、上人腰掛石の上につつ立ち、何ごとか熱弁をふるふ様子である。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
その軒の土間に、
背後
(
うしろ
)
むきに
蹲
(
しゃが
)
んだ
僧形
(
そうぎょう
)
のものがある。坊主であろう。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道庵が、つまらないところで
痩
(
や
)
せ我慢をいうと、
僧形
(
そうぎょう
)
の同職も笑って
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は、
僧形
(
そうぎょう
)
でこそあれ、毛利輝元の政略にも
参与
(
さんよ
)
しておる人物です。……蘭丸どの、どうじゃ、それがしの方が、はるかに
人相観
(
にんそうみ
)
の
上手
(
じょうず
)
であろうが、はははは
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弁士と同じく
僧形
(
そうぎょう
)
で、頭には
柿
(
かき
)
色の
網代笠
(
あじろがさ
)
をいただき、太い長杖をついてゐる。後姿なので人相も年の頃も分らないが、声から察するところ、まづ五十がらみの年配でもあらうか。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
其の
軒
(
のき
)
の
土間
(
どま
)
に、
背後
(
うしろ
)
むきに
蹲
(
しゃが
)
んだ
僧形
(
そうぎょう
)
のものがある。
坊主
(
ぼうず
)
であらう。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
かくて、臨川寺の方丈の上で、道庵先生と、
僧形
(
そうぎょう
)
の御同職(仮りに)とは相対して、酒をくみかわしながら、寝覚の床をつるべ落しにながめて閑談をはじめました。僧形の同職が
先以
(
まずもっ
)
て言いけらく
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
明智勢の方でも寺僧を
殺戮
(
さつりく
)
する意志はないので、
僧形
(
そうぎょう
)
の者と見れば、むしろ積極的に脱出を
援
(
たす
)
けたのである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
橋を越して
尚
(
なお
)
もさ迷って参りますうち、地獄谷への坂道にやがて掛ろうというあたりで、のそりのそりと前を歩んで参る
僧形
(
そうぎょう
)
の肩つきが、なんと松王様に生き写しではございませんか。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
イヤに改まったものですから、
僧形
(
そうぎょう
)
の同職も高らかに笑い
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
信長を奔命につからせてしまおうと
謀
(
はか
)
ったり——すべては霊山の大堂に住む
僧形
(
そうぎょう
)
の策や指命であった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
橋を越して
尚
(
なお
)
もさ迷つて参りますうち、地獄谷への坂道にやがて掛らうといふあたりで、のそりのそりと前を歩んで参る
僧形
(
そうぎょう
)
の肩つきが、なんと松王様に生き写しではございませんか。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そして
彼方
(
あなた
)
の原を、十二、三名の
僧形
(
そうぎょう
)
の人影が、おのおの、真っ赤な
焔
(
ほのお
)
をかざして——それはもちろん
松明
(
たいまつ
)
であるが——粛々と無言を守って通って行くのが眼に映った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ今、御家中の渡辺天蔵と仰せられる
僧形
(
そうぎょう
)
の者が、甲州の旅より立ち帰って来たばかりとかで、すぐお眼にかかりたいと、丘の下に待っておりまする。——何か、火急を
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僧形
(
そうぎょう
)
の雲水、
結綿
(
ゆいわた
)
の娘、
﨟
(
ろう
)
たけたる貴女、魔に似たる兇漢、遊女、
博徒
(
ばくと
)
、不具者、覆面の武士、腕のない浪人、
刺青
(
ほりもの
)
のある百姓、虚無僧、
乞食
(
ものごい
)
、
鮓箱
(
すしばこ
)
をかついだ男、等、等
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰なのか、愉快そうに、こう大きな声で言った者があると思うと、
蹌踉
(
そうろう
)
として、
草履
(
ぞうり
)
ばきの
僧形
(
そうぎょう
)
の男が、あぶない足つきで、一人の町人に、背中を支えられながら歩いてきた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僧
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
形
常用漢字
小2
部首:⼺
7画
“僧”で始まる語句
僧侶
僧
僧都
僧正
僧衣
僧院
僧伽
僧綱
僧官
僧伽梨