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何故
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なにゆえ
ふりがな文庫
“
何故
(
なにゆえ
)” の例文
何故
(
なにゆえ
)
とは知らず、
悉
(
ことごと
)
く身は
痿
(
な
)
えて、手に持つ燭を取り落せるかと驚ろきて我に帰る。乙女はわが前に立てる人の心を読む由もあらず。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何故
(
なにゆえ
)
に泣いたか、何故に打ったか、それは二人のみが知ったことで、同会の衆僧も知らず、後の我等も知らぬとして宜いことだろう。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何人も、
何故
(
なにゆえ
)
にある植物は一年生であり、あるものは二年生であり、またあるものは多年生であるかを、説明することは出来ない。
人口論:03 第三篇 人口原理より生ずる害悪を除去する目的をもってかつて社会に提案または実施された種々の制度または方策について
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
◯人は
何故
(
なにゆえ
)
に
艱難
(
かんなん
)
に会するか、
殊
(
こと
)
に義者が何故艱難に会するか、これヨブ記の提出する問題である。これ実に人生最大問題の一である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
僕は
何故
(
なにゆえ
)
にお稲荷さんが、特に女中をしていたお梅さんを
抜擢
(
ばってき
)
したかということまで、神慮に立ち入って究めることは
敢
(
あえ
)
てしない。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
何故
(
なにゆえ
)
かと申しますと、自分以外の人間の二重人格を現す能力も、時には持っているものがある事は、やはり疑い難い事実でございます。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何故
(
なにゆえ
)
に、かれスコール艇長は、そのようなひどいことをするのか。またかれのいまかぶっている
仮面
(
マスク
)
の下には、どんな素顔があるのか。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何人
(
なんぴと
)
も否定し得ない科学界の大疑問となっているのであるが、しかも、そうした不可思議現象が、
何故
(
なにゆえ
)
に今日まで解決されていないか。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
目「うむ…權六其の方は百日遠慮を仰付けられていると、只今四郎治の申す所である、
何故
(
なにゆえ
)
に其の方は遠慮中妄りにお庭内へ出た」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何故
(
なにゆえ
)
にこれを排斥するかの
理由
(
わけ
)
もわからず、ただ
何
(
なん
)
かなしに「筋の違ったもの」として、これから遠ざかろうとしているのです。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
烈しい勢でボートルレの手から奪っていったのは
何故
(
なにゆえ
)
であろうか? ボートルレの頭の中にはもうあの暗号はすっかり覚え込まれている。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「自分のすべて予見しうる全世界の出来事が、
何故
(
なにゆえ
)
に(経過的ないかにしてではなく、根本的な何故に)そのごとく起こらねばならぬか」
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
何故
(
なにゆえ
)
かというに翁はわたくしなどより、ずっと早くからかのラビラントの事情に通暁し、好んで之を人に語っていたからである。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
また
医員
(
いいん
)
のハバトフも
時々
(
ときどき
)
来
(
き
)
ては、
何故
(
なにゆえ
)
かアルコール
分子
(
ぶんし
)
の
入
(
はい
)
っている
飲物
(
のみもの
)
を
止
(
よ
)
せ。ブローミウム
加里
(
かり
)
を
服
(
の
)
めと
勧
(
すす
)
めて
行
(
ゆ
)
くので。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
唐突に
宛
(
あて
)
もない事を云ッてみたが、先生少しも驚かず、
何故
(
なにゆえ
)
かふむと鼻を鳴らして、只「
羨
(
うらや
)
ましいな。もう一度そんな身になってみたい」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
子供さえ助かっているのに、
何故
(
なにゆえ
)
妙子丈けが、あの火事の為に焼死んだかということは、彼には考えても考えても解き難い一つの謎だった。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一、
或
(
ある
)
人問ふて
曰
(
いわ
)
く、時間を人為的に限りてこれに命名し以て題目となす事は既に説を聞けり。空間は
何故
(
なにゆえ
)
に制限してこれに命名せざるか。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
何故
(
なにゆえ
)
に一個人はその土地を売らんと欲するのであるか? それは彼が、その資金がより生産的となるべき他の用途を考えているからである。
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
時鳥はお化粧をしていて、母の臨終に間に合わず、
何故
(
なにゆえ
)
に遅く来たかと雀が小言をいうと、「もう本尊たてたか、建ててなければ急ぐにや」
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
また、風のように現われた為十郎が、真実その侏儒だということになると、その間の消息を、小六は
何故
(
なにゆえ
)
に知り尽くしているのであろうか。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
はじめにいた一度結婚したことのある婢は、
何故
(
なにゆえ
)
かすぐ逃げだしてしまったと云うことも思いだした。彼の考えは
頻
(
しきり
)
に
放縦
(
ほうじゅう
)
な女の話へ往った。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
如何なる方法で、
何故
(
なにゆえ
)
に?
之
(
これ
)
らが実はまだ確定出来ていない。今日は之から君を取調べた上で、君には一晩もう一度本庁であかしてもらう。
殺人迷路:08 (連作探偵小説第八回)
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
(令嬢笑う。画家黙りて相手の顔を、
何故
(
なにゆえ
)
笑うかと問いたげに見る。令嬢いよいよ笑う。)何がそんなに
可笑
(
おか
)
しいのですか。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
勿論その時はチューインガムという名前も知らず、この税関吏が
何故
(
なにゆえ
)
に、何のために、何物をニチャニチャ噛んでいるかも少しも分らなかった。
チューインガム
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
何故
(
なにゆえ
)
彼は「新生」を書いたか。
新
(
あた
)
らしい生の発見探求のためであるには余りにも距離がひどすぎる。彼はそれを意識していなかったかも知れぬ。
デカダン文学論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
何故に青年が意久地がないかというと、これは青年を教えた学校が悪くないかということを予は疑うのである。
何故
(
なにゆえ
)
国民を善く教育しなかったか。
政治趣味の涵養
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
あの中にイーストで製したパンは
何故
(
なにゆえ
)
に消化良きやという問題もありましたが西洋ではパン一つ焼くのでも学理上から委しく調べてあるのですね。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
腹立たしきよりは先ず
呆
(
あき
)
れられて、更に
何故
(
なにゆえ
)
とも
解
(
と
)
きかねたる折から、
他
(
た
)
の看守来りて妾に向かい、「
景山
(
かげやま
)
さん今夜からさぞ
淋
(
さび
)
しかろう」と
冷笑
(
あざわら
)
う。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
何故
(
なにゆえ
)
彼が墜落せしか、また彼の墜落後機関車がいかになりしかについては全然推測の限りにあらざる次第なり云々。
臨時急行列車の紛失
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
これは一つには、運が悪いだけではなく、
何故
(
なにゆえ
)
か相手の人が故意に平中に
遇
(
あ
)
うことを避けているらしいからなので、そのために平中は一層
懊
(
じ
)
れていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
可笑
(
おか
)
しいじゃないか。仮に、隕石だとすると、どういうわけで、そうキチンと頭の真中にばかり隕ちて来るんだ。
何故
(
なにゆえ
)
に、肩や尻にも隕ちないんだ」
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
余は
何故
(
なにゆえ
)
是が大変の手掛りなるやと怪みて打問うに彼れ今も
猶
(
な
)
お押入其他の封印に忙わしき彼の警察長を尻目に見
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
何故
(
なにゆえ
)
に我々は、いつまでも
此処
(
ここ
)
に留まり、国境を越えて行くことができないのか。太陽は照り、氷山は流れている。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
火焔
(
ほのほ
)
の様な雄弁でお
演
(
の
)
べなすつた時には、
何故
(
なにゆえ
)
とも知らず
聴衆
(
きゝて
)
の多くは涙に暮れて、二時間
許
(
ばかり
)
の説教が終つた時には、満場
只
(
た
)
だ酔へる如き有様でした
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
縦縞は文化文政の「いき」な趣味を表わしている。しからば
何故
(
なにゆえ
)
、横縞よりも縦縞の方が「いき」であるのか。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
しかしこの中で面白いのは「飛躍」や「夢のもつれ」や「
何故
(
なにゆえ
)
」などで、一曲入ったのでは、旧盤時代のパデレフスキーの「飛躍」や「何故」を思い出す。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
しかし
何故
(
なにゆえ
)
に『
蝮蛇
(
まむし
)
』の二大
文字
(
もんじ
)
を額の上に貼りつけて、ひたすら乞食を引張り出して打殺そうとするのか
頭髪の故事
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
私の父が、いろいろな憎悪の中から、勝負事だけを、
何故
(
なにゆえ
)
こんなに取り分けて戒めたかということは、私が十三、四になってから、やっと分かったことなのです。
勝負事
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
現代の根本精神の一つである「自由討究」を重んずる私どもの心には「
何故
(
なにゆえ
)
に」と叫ばざるを得ません。
女子の独立自営
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
さてこの二つの場合において、子供の方にてはいずれも自身の誤りなれば
頓
(
とん
)
と区別はなきことなれども、一には叱られ一には慰めらるるとはそもそも
何故
(
なにゆえ
)
なるか。
家庭習慣の教えを論ず
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
見ていると、旅人はさながら疲れた鳥がねぐらを求めるように、てくてくと歩いて町へはいって行った。
何故
(
なにゆえ
)
ともなく
他郷
(
たきょう
)
という感が激しく胸をついて起こった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
或人
(
あるひと
)
は
又
(
また
)
いつた、
汝
(
なんぢ
)
の
所論
(
しよろん
)
は一
理窟
(
りくつ
)
あるが
實際的
(
じつさいてき
)
でない。
汝
(
なんぢ
)
は
歐文
(
おうぶん
)
に
年紀
(
ねんき
)
を
記
(
しる
)
すとき
西暦
(
せいれき
)
を
用
(
もち
)
ゐて
神武紀元
(
しんむきげん
)
を
用
(
もち
)
ゐないのは
何故
(
なにゆえ
)
か、いはゆる
自家撞着
(
じかどうちやく
)
ではないかと。
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
それらのいずれの場合にも、
何故
(
なにゆえ
)
に労働には価値があり、また
何故
(
なにゆえ
)
に労働は交換せられるのであるか。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
論文の題は「誰が
何故
(
なにゆえ
)
彼を殺したか」というのである。以上の記述は単につけ足しに過ぎないのだ。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
もとより
何故
(
なにゆえ
)
という
理
(
わけ
)
はないので、墓石の倒れたのを
引摺寄
(
ひきずりよ
)
せて、二ツばかり重ねて台にした。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとえば成人の頭骨の側面には
耳殻
(
じかく
)
を動かすべき筋肉がいくつもあるが、
何故
(
なにゆえ
)
かかる不用の筋肉がここにあるかということはその筋肉のみを調べたのではとうていわからぬ。
生物学的の見方
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
何故
(
なにゆえ
)
なら註文を受けた作家たちは七枚、あるいは二十枚、あるいは百五十枚と、
恰度
(
ちょうど
)
洋服屋が客の註文に応ずるように、ジャアナリズムの註文通りの寸法に書かねばならない。
童話における物語性の喪失
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
かくまでに膨脹したるものを、
何故
(
なにゆえ
)
に鎖国令の下に
圧窄
(
あっさく
)
したるぞ。当時の大勢
止
(
や
)
むべからざるものあればなり。
蓋
(
けだ
)
し当時の宗教なるものは、不幸にして
純乎
(
じゅんこ
)
たる宗教にあらず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「彼らは
何故
(
なにゆえ
)
ならぬという。素性が卑しいと申すのか」と、忠通は唇を咬みながら訊いた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いったい
何故
(
なにゆえ
)
あって、あんな
辱
(
はずかし
)
めをうけながら、誰にも出来ぬご堪忍をなされたのですか——それとも飽くまで彼に油断をさせて、後日、頼朝の首をあげて、一度に、ご
鬱憤
(
うっぷん
)
を
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
故
常用漢字
小5
部首:⽁
9画
“何故”で始まる語句
何故々々
何故何故