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企
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たくら
ふりがな文庫
“
企
(
たくら
)” の例文
年齡よりは
老
(
ふ
)
けて見える物腰、よく
禿
(
は
)
げた前額、柔和な眼——すべて典型的な番頭でこの男だけは惡いことを
企
(
たくら
)
みさうもありません。
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それらの電報がことごとく嬢の耳へ筒抜けになるとの計算の下に、偽電を至る所へ打って嬢を惑乱させようと
企
(
たくら
)
んでいるのであった。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
今ノ
母屋
(
おもや
)
デモ家族全部ヲ収容スルノニ狭過ギルト云ウコトハナイガ、予ガイロ/\ト
企
(
たくら
)
ンデイル悪事ヲ実行スルノニハ少シ不便デアル。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
なにしろ、正勝くんは大変なことを
企
(
たくら
)
んでるのだからなあ。実はそれで、きみたち三人に相談してみようと思ったわけなんだがね。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
この様な大悪事を(彼自身
如何様
(
いかよう
)
に弁護しようとも)
企
(
たくら
)
む程の彼ですから、生れつき
所謂
(
いわゆる
)
奸智
(
かんち
)
に
長
(
た
)
けていたのでもありましょう。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
いや、大石殿ばかりではない、旧浅野家の浪人どもおいおい江戸に参着して、何やら
不穏
(
ふおん
)
なことを
企
(
たくら
)
んでいるという風説もある。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
和漢とも
本
(
もと
)
邪視を避くるため猴を厩に置き、馬を
睨
(
にら
)
むものの眼毒を種々走り廻る猿の方へ転じて力抜けせしめる
企
(
たくら
)
みだったのだ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「ね、考えてみれば初めから
企
(
たくら
)
んだ仕事なのです、あの煙草の件にしたって」とながい物語を終わった氏がいったのである。
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
「明白な
企
(
たくら
)
み事です。——が、
粛兄
(
しゅくけい
)
。孔明がそういったということは、周都督へは、必ず黙っていて下さいよ。問われても」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分は駄目だが、周囲の奴は、しっかりさせよう、そんな
肚
(
はら
)
でやってるんじゃない。たとえばネ、ここに悪事を
企
(
たくら
)
んでいる奴がいるとしまさア。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
そして私だつてあなたが私を
意地惡
(
いぢわる
)
く憎んでることは知つてゝよ。あなたがエドヰン・ヴィア卿のことで先づ私に
企
(
たくら
)
んだたくらみがいゝ
證
(
しるし
)
だわ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
總
(
そう
)
じて
江戸
(
えど
)
は
人間
(
にんげん
)
の
調子
(
てうし
)
が
輕
(
かる
)
うて、
言葉
(
ことば
)
も
下
(
した
)
にござります。
下品
(
げひん
)
な
言葉
(
ことば
)
の
上
(
うへ
)
へ、
無暗
(
むやみ
)
に「お」の
字
(
じ
)
を
附
(
つ
)
けまして、
上品
(
じやうひん
)
に
見
(
み
)
せようと
企
(
たくら
)
んで
居
(
を
)
ります。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
相手を袋の鼠の、しかも子供と
侮
(
あなど
)
ってか、シムソンは彼の
企
(
たくら
)
みを、さも自慢らしく述べ立てました。何という
狡獪
(
こうかい
)
さ。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
然し間もなく、知らず識らず胸に
企
(
たくら
)
んでいたことが、はっきり頭に上ってきた。彼は竹内を殴りつけるつもりだった。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「それは、判らん。此の二三日、敵情の動きがない。大規模の作戦を
企
(
たくら
)
んでいる証拠だ。覚悟は出来ているだろうな」
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
このやつらは、いいがかりを考えて来たな、自分たちで
企
(
たくら
)
んだことを、こちらへ向けて先手にやって来たな。よしその分ならばと思ったのでしょう。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
謀反の
嫌疑
(
うたがい
)
がかかっております! 妹思いの優しい兄様がよもやだいそれたそんな事を
企
(
たくら
)
んでいようとは思われず
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こんな悪い手段を弄するのは、単なる
悪戯
(
いたずら
)
のためでないことは申すまでもありますまい。こうすれば幾分高価に売れるという
企
(
たくら
)
みからだろうと思います。
迷彩
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
人々は軍事的や政治的・経済的の工作によって国を救おうと
企
(
たくら
)
みます。しかしそんなことで神の国が来るものか。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
それは彼の
悪癖
(
あくへき
)
だと気にかけまいとするが、時には何か深い
企
(
たくら
)
みでもあるのではないかと思うことさえあった。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
にやにやしている男の顔を、お増は時々じっと
瞶
(
みつ
)
めていた。
悪戯
(
いたずら
)
な
企
(
たくら
)
みが、そこに浮いてみえるようであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
いっそ黙って何処へか売り飛ばして自分のふところを温めれば、一挙両得だという悪法を
企
(
たくら
)
んで、お直には
猿轡
(
さるぐつわ
)
をはませて戸棚のなかへ押し込んで置いたんです。
半七捕物帳:35 半七先生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此の長老が偶々、家の印として豹の爪を
有
(
も
)
つ・最も有力な家柄の者だつたので、この老人の説は全長老の支持する所となつた。彼等は祕かにシャクの排斥を
企
(
たくら
)
んだ。
狐憑
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
いったい一馬は何を考え、何を
企
(
たくら
)
んでいるのだろうか。私は彼の手紙からは主としてナンセンスを感じただけだが、今や私もひどく不安になってきた。何かが起る。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
掛引
(
かけひき
)
の
妙
(
みょう
)
を得たるものなれども、政府にてはかかる
企
(
たくら
)
みと知るや知らずや、財政
窮迫
(
きゅうはく
)
の
折柄
(
おりから
)
、この
申出
(
もうしいで
)
に逢うて
恰
(
あたか
)
も
渡
(
わた
)
りに
舟
(
ふね
)
の
思
(
おもい
)
をなし、
直
(
ただち
)
にこれを
承諾
(
しょうだく
)
したるに
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
天皇がお小さいのにつけ入ってどんな悪い事をお
企
(
たくら
)
みになるかわからないとお気づかいになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
或はどこかに製作費を出すような
莫迦
(
ばか
)
息子はいないものかと、首をひねり合うちょび髭を生やした映画不良やら、何かこそこそと隅っこで
企
(
たくら
)
み合う金山ブローカー達
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
「どういうことだ」と彼は雪のなかをあるきながら呟いた、「あれはゆうべ相当に酔っていた、宿の名を間違えたのだろうか、それともなにか
企
(
たくら
)
んでいるのだろうか」
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
離れて彼女を援護して行く逸作の方が、先に青年の
企
(
たくら
)
みある行動を気取って、おかしいなと思った。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
つまり前から
企
(
たくら
)
んで故意にルージンを侮辱したと言って、ラスコーリニコフをまっこうから非難したのである。そして、今度はあまり病気を弁解の口実にしなかった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
なにごとをしようと
企
(
たくら
)
んでいるのか知らないが、しかしながら主水の手にあうようには思えない。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その結果は葉子が何か恐ろしく深い
企
(
たくら
)
みと
手練
(
てくだ
)
を示したかのように人に取られていた事も思った。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
みずから
企
(
たくら
)
んで他人を傷つけるような悪人はそういるものではない。しかし地上の約束を知らない無知を悪魔に乗ぜられるのである。そして自他の運命を傷つけるのである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
どんな秘密でも、どんな恐ろしい
企
(
たくら
)
みでも、世の中に知れる気づかひはございますまい。
職業(教訓劇)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
誰かは知らずおみつに情夫のあることを感づいて眼が
眩
(
くら
)
み、一挙にして男二人を葬っておみつを我物にしようと、長らく
企
(
たくら
)
み抜いた末が、昨夜のあの孫右衛門殺しとなったのだった。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もっとも欲張りな者らは、自分の悲惨な生活の太々しい
復讐
(
ふくしゅう
)
を、ひそかに望み
企
(
たくら
)
んでいた。しかし彼らを運んでいる流れは彼らよりもさらに賢くて、どこへ行くべきかを心得ていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私はぢつと坪庭の闇を透かしながら、そこに如何なる罪悪が
企
(
たくら
)
まれつつあるか、如何なる草木昆虫の感覚が又かういふ深夜の心に冷笑し、惑溺し、干渉し、声もなく歔欷し流涕するかに耳を傾けた。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その魔術の
企
(
たくら
)
みを仕おおせるだけの技巧と敏慧さとをもっている。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私は或事を
企
(
たくら
)
んで
窃
(
ひそか
)
に夜の更けるのを待つてをりました。
反古
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
企
(
たくら
)
むか知れねえって奴だ
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
萬七はひどく輕くあしらつてをりますが、事件には底の底がありさうで、
企
(
たくら
)
みの深さに、平次は壓迫的な豫感さへ持つてゐたのです。
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
貴方を恐喝したホセという人物は、決して虚偽のことなぞ持ち出して貴方を恐喝しようと
企
(
たくら
)
んだのではないことがわかりました。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
いま、その兄弟をよんで、われらの
企
(
たくら
)
みを話してやれば、おそらく、彼らは、勇躍して、父の仇を報ぜんというであろう。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その計画はズット前から
企
(
たくら
)
まれていて、両室共に牢の格子が鋭利なる
鋸
(
のこぎり
)
の類で
挽
(
ひ
)
き切られていたのを、飯粒で塗りつぶして隠しておいたということ。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
又彼はそもそも
如何
(
いか
)
なる悪業を
企
(
たくら
)
んだのか。そして、明智小五郎はよくこの大敵に打勝つことが出来たか
否
(
いな
)
か。名探偵と魔術師の争闘こそ見ものである。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
焼け
糞
(
くそ
)
半分になってなさって、事に
依
(
よ
)
ったら夫と私だんだん薬で衰弱さして殺してしまお、……と、心の底ではそんな
企
(
たくら
)
み持ってなさったのんやないか。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「それは調べて判った。その女を殺すべく
企
(
たくら
)
んだのは、その亭主である。つまりお前の親友という男だ。その部屋もなにもかも、お前の友人が作ったのだ」
不思議なる空間断層
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あらかじめ
企
(
たくら
)
んだものと見え、道場の前へ差しかかりますと、ご門弟衆バラバラと立ち出で、無理
無態
(
むたい
)
に私を連れ込み、是非にと試合を望みましたれば……」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こうなると、お節は勿論だが、その親父の浪人者や、替玉の女や、品川から来たという奴や、大勢の奴らが徒党を組んで、鍋久の
家
(
うち
)
を荒らそうと
企
(
たくら
)
んだに相違ねえ。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何とかしてイエスを亡ぼそうと
企
(
たくら
)
んだのですが、群衆はイエスを慕うてその
御許
(
みもと
)
に集まったのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
企
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“企”を含む語句
企図
企画
企謀
企圖
企畫
悪企
目企
比企
企望
計企
企劃
惡企
発企者
調伊企儺
発企
比企判官
発企人
比企掃部介
比企藤四郎能員
比企郡
...