“二枚(にまい)” の例文
通(とほ)りかゝつた見知越(みしりごし)の、みうらと言(い)ふ書店(しよてん)の厚意(こうい)で、茣蓙(ござ)を二枚(にまい)と、番傘(ばんがさ)を借(か)りて、砂(すな)の吹(ふ)きまはす中(なか)を這々(はふ/\)の體(てい)で歸(かへ)つて來(き)た。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
帯(おび)のなかに金(きん)・銀(ぎん)または銭(ぜに)を持(も)つな。旅(たび)の嚢(ふくろ)も、二枚(にまい)の下衣(したぎ)も、鞋(くつ)も、杖(つえ)も持(も)つな。視(み)よ、我(われ)なんじらを遣(つかわ)すは、羊(ひつじ)を豺狼(おおかみ)のなかに入(い)るるが如(ごと)し。この故(ゆえ)に蛇(へび)のごとく慧(さと)く、鴿(はと)のごとく素直(すなお)なれ。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
と町内第一(ちやうないだいいち)の古老(こらう)で、紺(こん)と白(しろ)の浴衣(ゆかた)を二枚(にまい)重(かさ)ねた禪門(ぜんもん)。豫(かね)て禪機(ぜんき)を得(え)た居士(こじ)だと言(い)ふが、悟(さとり)を開(ひら)いても迷(まよ)つても、南(みなみ)が吹(ふ)いて近火(きんくわ)では堪(たま)らない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
給金(きふきん)をのこらず夜具(やぐ)にかける、敷(し)くのが二枚(にまい)、上(うへ)へかけるのが三枚(さんまい)といふ贅澤(ぜいたく)で、下階(した)の六疊(ろくでふ)一杯(いつぱい)に成(な)つて、はゞかりへ行(ゆ)きかへり足(あし)の踏所(ふみど)がない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
而(そ)して誰(たれ)も居(ゐ)ない八畳(はちでふ)の真中(まんなか)に、其(そ)の双六巌(すごろくいは)に似(に)たと言(い)ふ紫縞(むらさきじま)の座蒲団(ざぶとん)が二枚(にまい)、対坐(さしむかひ)に据(す)えて有(あ)つたのを一目(ひとめ)見(み)ると、天窓(あたま)から水(みづ)を浴(あ)びたやうに慄然(ぞつ)とした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
二人分(ににんぶん)、二枚(にまい)の戸(と)を、一齊(いつしよ)にスツと開(ひら)くと、岩膚(いははだ)の雨(あめ)は玉清水(たましみづ)の滴(したゝ)る如(ごと)く、溪河(たにがは)の響(ひゞ)きに煙(けむり)を洗(あら)つて、酒(さけ)の薫(かをり)が芬(ぷん)と立(た)つた。手(て)づから之(これ)をおくられた小山内夫人(をさないふじん)の袖(そで)の香(か)も添(そ)ふ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
後(あと)で見(み)ると、櫓(やぐら)の兩脚(りやうあし)からこたつの縁(へり)、すき間(ま)をふさいだ小布團(こぶとん)を二枚(にまい)黒焦(くろこげ)に、下(した)がけの裾(すそ)を燒(や)いて、上(うへ)へ拔(ぬ)けて、上(うは)がけの三布布團(みのぶとん)の綿(わた)を火(ひ)にして、表(おもて)が一面(いちめん)に黄色(きいろ)にいぶつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
洋杖(ステツキ)と紙入(かみいれ)と、蟇口(がまぐち)と煙草入(たばこいれ)を、外套(ぐわいたう)の下(した)に一所(いつしよ)に確乎(しつか)と壓(おさ)へながら、恭(うや/\)しく切符(きつぷ)と急行劵(きふかうけん)を二枚(にまい)持(も)つて、餘(あま)りの人混雜(ひとごみ)、あとじさりに成(な)つたる形(かたち)は、我(われ)ながら、扨(さ)て箔(はく)のついたおのぼりさん。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)