世帶しよたい)” の例文
新字:世帯
その時分じぶん夫婦ふうふ活計くらしくるしいつらつきばかりつゞいてゐた。宗助そうすけ流産りうざんした御米およねあをかほながめて、これ必竟つまり世帶しよたい苦勞くらうからおこるんだとはんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
淺田屋の世帶しよたいが決して樂でなかつたことと、外からは決して怨みを受ける筈のないことなどを確めただけで、四人目に手代の幸吉のところへ行つて見ました。
それでもそれだけ收入しうにふほか食料しよくれうげんずることが貧乏びんばふ世帶しよたいには非常ひじやう影響えいきやうなのである。それがいね穗首ほくびれるころからおしな思案しあんくびかしげるやうになつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さとしわれながらあきれるばかり、天晴あつぱ未來みらい文學者ぶんがくしや此樣このやうのことにて如何どうなるものぞと、しかりつけるあとよりこヽろふらふらとるに、是非ぜひもなし是上このうへはと下宿げしゆく世帶しよたい一切いつさいたヽみて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なにしろなんだ、そんな世帶しよたいみたことふなアよしてくれ。いただけでもくさくさするよ」
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ひとづてにいたばかりですけれども、に、やまに、あめとなり、つゆとなり、ゆきや、こほりで、もとのみづかへつたはては、妓夫上ぎふあがりと世帶しよたいつて、土手どてで、おでんをしてゐたのが
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
して何になりとも有付ありつかせんと思へども新藤夫婦とも此程病氣つき永々なが/\わづらひしが六十日程立て漸々やう/\快氣こゝろよくなりしかば新藤に向ひ偖御前樣方は何迄いつまで只々たゞ/\安閑あんかんとしてはられまじ殊に此程の御病氣にてあづかりの金も多分御遣ひ成れしかばまづ何道どのみちなりと世帶しよたい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あたらしく世帶しよたいつて、あたらしい仕事しごとはじめるひとに、ありちな急忙せはしなさと、自分達じぶんたちつゝ大都たいと空氣くうきの、日夜にちやはげしく震盪しんたうする刺戟しげきとにられて、何事なにごとをもじつかんがへるひまもなく
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
世帶しよたいを持つほどの工面がつきませんよ、——それに、一方ではハチ切れるほど學のある先生が、大金を出して若い妾を買つた上、長年連れ添ふ女房と、同じ屋根の下にのさ張らせて置くといふのを
うちかれよめをとつてちひさな世帶しよたいつてかせぐことになつた。よめもなく懷姙くわいにんしたが胎兒たいじんでさうして腐敗ふはいしてた。自分じぶん他人ひとかさだといつた。二三にんうまれたがどれも發育はついくしなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
工面くめんわることは、女房にようばうひと世帶しよたいでおたがひである。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)