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いったい
ふりがな文庫
“
一体
(
いったい
)” の例文
旧字:
一體
八時
今市
(
いまいち
)
発の汽車に乗らぬと、今晩中に日光へ
行
(
ゆ
)
くことは出来ぬ。
一体
(
いったい
)
、塩原から日光へひと跳びというのが
已
(
すで
)
に人間
業
(
わざ
)
ではない。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
一体
(
いったい
)
この人の
平素
(
ふだん
)
住んでいるのは有名なブッシュというところで、
此処
(
ここ
)
には美術学校もあるし、この土地はこの人に
依
(
よ
)
って現われたので
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
という調子です。氏のこの言葉は氏のその時の心理の一部を語るものでしょうが、
一体
(
いったい
)
は氏は怖くて
賊
(
ぞく
)
が追えなかったのです。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼
(
かれ
)
には
一体
(
いったい
)
どうしていいのか
分
(
わか
)
らなかったのです。ただ、こう
幸福
(
こうふく
)
な
気持
(
きもち
)
でいっぱいで、けれども、
高慢
(
こうまん
)
な
心
(
こころ
)
などは
塵
(
ちり
)
ほども
起
(
おこ
)
しませんでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
一体
(
いったい
)
怪物
(
ばけもの
)
と云えば不思議なもので世間にあまり類と真似の無いもののようだが、よく考えてみるとこの世の中にありとあらゆるものは皆
怪物
(
ばけもの
)
になる
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
▼ もっと見る
果たして尊者は実際的に問を起していいますには「あなたがいろいろの困難を取ってわざわざラサへ行かれるというのは
一体
(
いったい
)
何のためでありますか」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「いや、ここにいます。どうか僕にはお
構
(
かま
)
いなく、大きな音を出して闘っていただきたい。
一体
(
いったい
)
、敵は何者ですか」
沈没男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かれはそのとき
一体
(
いったい
)
何をきいたのであろうか、あの女の声でないとすれば、かれは誰から呼び立てられたのであろうかと考えながら、ぶらぶら歩いていた。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
一体
(
いったい
)
、
保元
(
ほうげん
)
の
御謀叛
(
ごむほん
)
は、天照大神の御神勅の趣旨に
違
(
たが
)
うまいと思って、お思いたちになられたのですか。それとも御自身の私欲から御計画なされたのですか。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
この
上
(
かみ
)
は
一体
(
いったい
)
どうなっているだろうか。自分は此処まで来て、ブレーゲがブリガッハに合し、そうしてドナウの源流を形づくるところを見て、僕の本望は遂げた。
ドナウ源流行
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
……去年の大地震で、海の底が
一体
(
いったい
)
に三尺がとこ上りましての、家々の
土地面
(
つちじめん
)
が三尺たたら踏んで
落込
(
おちこ
)
みましたもの、の。いま、さいて来た汐も、あれ、御覧じゃい。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おかしな奴だと思って
不図
(
ふと
)
見ると、
交番所
(
こうばんしょ
)
の前に立っていた巡査だ、巡査は笑いながら「
一体
(
いったい
)
今何をしていたのか」と訊くから、何しろこんな、
出水
(
しゅっすい
)
で
到底
(
とうてい
)
渡れないから
今戸狐
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
一体
(
いったい
)
夏菊という花は、そう
中々
(
なかなか
)
萎
(
しお
)
れるものでない、それが、ものの二時間も
経
(
へ
)
ぬ
間
(
あいだ
)
にかかる
有様
(
ありさま
)
となったので、私も何だか一種いやな
心持
(
こころもち
)
がして、その日はそれなり
何処
(
どこ
)
へも出ず
過
(
すご
)
した
鬼無菊
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
お
爺
(
じい
)
さんからそう
注意
(
ちゅうい
)
されるまでもなく、
私
(
わたくし
)
はもう
先刻
(
さっき
)
から
一心不乱
(
いっしんふらん
)
に
深
(
ふか
)
い
統一
(
とういつ
)
に
入
(
はい
)
って、
黒雲
(
くろくも
)
の
中
(
なか
)
を
睨
(
にら
)
みつめて
居
(
い
)
たのですが、たちまち
一体
(
いったい
)
の
竜神
(
りゅうじん
)
の
雄姿
(
ゆうし
)
がそこに
鮮
(
あざや
)
かに
見出
(
みいだ
)
されました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
都会が田舎の意志と感情を無視して
吾儘
(
わがまま
)
を通すなら、其れこそ本当の無理である。無理は分離である。分離は死である。都会と田舎は
一体
(
いったい
)
である。農が
濫
(
みだり
)
に土を離るゝの日は農の死である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「お前さんは奇妙な
服装
(
なり
)
をしているが、
一体
(
いったい
)
何をする人かね」
手品師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そこで
一体
(
いったい
)
あの家をどうしたらいいでしょうか
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
一体
(
いったい
)
蝸牛
(
かたつむり
)
は形そのものが
余
(
あま
)
りいい感じのものではない。
而
(
しか
)
もその肉は非常にこわくて弾力性に富んでいる。これを食べるには
余程
(
よほど
)
の勇気がいる。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一体
(
いったい
)
の
出来
(
でき
)
が面白い都会で、
巴里
(
パリー
)
に遊んでその
古
(
いにし
)
えを
忍
(
しの
)
ぶとき、今も
猶
(
な
)
お
悵恨
(
ちょうこん
)
の
腸
(
はらわた
)
を傷めずにはいられぬものあるが
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
「おや!
一番
(
いちばん
)
大
(
おお
)
きいのがまだ
割
(
わ
)
れないでるよ。まあ
一体
(
いったい
)
いつまで
待
(
ま
)
たせるんだろうねえ、
飽
(
あ
)
き
飽
(
あ
)
きしちまった。」
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しかし
一体
(
いったい
)
なんであろうか。この完全文明理想境を
脅
(
おびや
)
かすところの、暗い問題とは。暗い問題があるということすら、僕には
不審
(
ふしん
)
でならないのだが……。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「お柳、」と思わず
抱占
(
だきし
)
めた時は、
浅黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
と、雪なす頸が、鮮やかに、
狭霧
(
さぎり
)
の中に
描
(
えが
)
かれたが、見る見る、色があせて、薄くなって、ぼんやりして、
一体
(
いったい
)
に
墨
(
すみ
)
のようになって、やがて
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まだ帰らない、——とすると、
一体
(
いったい
)
どこにいるのだろう。」
三階の家
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
答『
一体
(
いったい
)
が
普通
(
ふつう
)
じゃ、
双生児
(
ふたご
)
などはめったにない……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
一体
(
いったい
)
お由は、
今戸町
(
いまどまち
)
に店を持っている相当手広い牛肉店
加藤吉蔵
(
かとうきちぞう
)
の
妾
(
めかけ
)
兼
(
けん
)
女房なのであった。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一体
(
いったい
)
あちらの人は、夜寝床に
就
(
つ
)
く前になると、一般に
蝋燭
(
ろうそく
)
を
燭
(
とも
)
す
習
(
なら
)
わしであるのだが、
当時
(
そのとき
)
恰度
(
ちょうど
)
その部屋の中に、或る血だらけの顔の人が、煙の如く影の如く
何
(
ど
)
うしても見えるというのだ。
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
西洋人は
一体
(
いったい
)
に女性尊重と
見做
(
みな
)
されているが、
一概
(
いちがい
)
にそうも言い切れない。
女性崇拝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一体
(
いったい
)
小児
(
こども
)
の時から、三十年近くの
間
(
あいだ
)
——ふと思い寄らず、二人の
婦
(
おんな
)
の姿が、私の身の周囲へ
顕
(
あら
)
われて、目に遮る時と云うと、
善
(
いい
)
にしろ、悪いにしろ、それが境遇なり、生活なりの一転機となるのが
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
問『
生
(
うま
)
れるのは
矢張
(
やは
)
り
一体
(
いったい
)
づつでございますか?』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「
一体
(
いったい
)
君
(
きみ
)
はどういう
種類
(
しゅるい
)
の
鴨
(
かも
)
なのかね。」
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
エトワールの表と裏とには、制服の警官が張りこんでいるのだったけれど、この地底の小さい
怪音
(
かいおん
)
は、彼等の耳に達するには余りに
微
(
かす
)
かであった。
一体
(
いったい
)
誰がその
怪
(
あや
)
しい音をたてたのだろう。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
巴里
(
パリ
)
のレストラントは
一体
(
いったい
)
何千軒あるか
判
(
わか
)
らない。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
死んでもようござんすとは
御挨拶
(
ごあいさつ
)
だ。おお、僕は
一体
(
いったい
)
これからどうなるか。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
一体
(
いったい
)
誰ですか、その重大人物博士とやらいうのは……」
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“一体”の意味
《名詞》
一つのからだ。同体。
ひとつにまとまること。一丸。
(「一体(に)」の形で副詞的に)全体に。総じて。
《形容動詞》
一体 (いったい)
疑問の意を強調したり、とがめる意味を表す。一体全体。はたして。まったく。
そもそも。元来。大体。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“一体”で始まる語句
一体幾歳
一体誰だ