“すみか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
住家32.8%
棲家29.3%
棲処7.6%
住処7.1%
栖家4.5%
4.5%
棲所3.5%
住所2.0%
2.0%
栖所1.0%
住宅1.0%
栖処1.0%
棲居0.5%
棲巣0.5%
住居地0.5%
住換0.5%
住處0.5%
巣窟0.5%
棲處0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
きっかり八時に、わたしはフロックコートを一着におよび、頭のかみを小高くり上げて、公爵夫人こうしゃくふじん住家すみかなる傍屋はなれへ入って行った。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
社の報酬はいうに足らぬほどなれど、棲家すみかをもうつし、午餐ひるげく食べものみせをもかえたらんには、かすかなる暮らしは立つべし。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
所謂牛蒡種の本場なる上宝村双六谷が、もともと護法なる天狗の棲処すみかであったということは、果していかなる意味であろうか。
……昨夜ゆうべのおでんはうまかったナ……と思ったら、もういけません。……しみ/″\、かなしくなったわ、あたし、心の住処すみかのないことが……
三の酉 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
我は尚席上にて、マリウチア、ドメニカ等に教へられし歌をうたひ、又曠野の中なる古墳の栖家すみか、眼の光おそろしき水牛の事など人々に語り聞せつ。
水鶏くいなだって、わが家の戸を叩いたかと思うくらい近くを啼いてゆく。——それにしても、何んとまあ物思い自身の巣くっているようなすみかなのだろうかしら。
かげろうの日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
彼らは、そこを「蓮中の宝芯マニ・バードメ」と呼んで登攀とうはんをあせるけれど、まだ誰一人として行き着いたものはない。そのうえ、古くは山海経せんがいきょうでいう一臂人いっぴじん棲所すみか
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「ああ、かたじけのうござります。何たる、神様か、仏様か、おかげで清く死なれまする。はいはい、わたくし風情にここと申す住所すみかもござりませぬ。もう御暇おいとまを下されまし。」と揉手もみでをしつつ後退あとじさり
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
初編しよへんにもしるしたるごとく、我国のけもの冬にいたれば山をこえて雪あさき国へさる、これ雪ふかくしてしよくにとぼしきゆゑなり。春にいたればもとのすみかへかへる。
我は幽欝ゆうゝつなる汝の栖所すみか圧込おしこめられ
失楽 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
そりゃそうだけれども少なくとも月にはそんな生存したものは一ぴきだっていないという定説なんだから、そんな事はあるまい。もう程なく帰って来るだろうから、それよりは飯でもすんだなら吾々の住宅すみか
月世界跋渉記 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
初めは湖畔こはんに出て侵略者しんりゃくしゃむかった彼等も名だたる北方草原の騎馬兵きばへいに当りかねて、湖上の栖処すみかに退いた。湖岸との間の橋桁はしげたてっして、家々の窓を銃眼じゅうがんに、投石器や弓矢で応戦した。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
黒衣こくえ棲居すみかを立出でしが、かれが言葉を虚誕いつわりなりとは、月にきらめく路傍みちのべの、露ほども暁得さとらねば、ただ嬉しさに堪えがたく
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
かくて時刻も移りしかば、はや退まからんと聴水は、他の獣わかれを告げ、金眸が洞を立出でて、倰僜よろめく足を踏〆ふみしめ踏〆め、わが棲居すみかへと辿たどりゆくに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
うかゞひ見る程に元は相應さうおうの旅籠屋と見えて家の作りやう由緒ゆゐしよありげに見えけれども彼の小娘の外一人もなきは山樵やまかつ盜賊たうぞく棲巣すみかならんとしきりに怪しくなり逃道にげみち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こめたりける此所は名におふ周智郡すちごほり大日山のつゞき秋葉山の絶頂ぜつちやうなれば大樹だいじゆ高木かうぼく生茂おひしげり晝さへくら木下闇このしたやみ夜は猶さらに月くら森々しん/\として更行ふけゆく樣に如何にも天魔てんま邪神じやしん棲巣すみかとも云べきみねには猿猴ましらの木傳ふ聲谷には流水滔々たう/\して木魂こだまひゞき遠寺ゑんじかねいとすごく遙に聞ば野路のぢおほかみほえて青嵐颯々さつ/\こずゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
湖水と原始林とで美しく飾られた神仙境——すなわち人猿の住居地すみかには、有尾人以外に老人が——紛れもない欧羅巴ヨーロッパの人間があたかも人猿の王かのように彼らの群に奉仕されて
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
長吉は一年ばかり以前同じ地方のNという町から中村家に住換すみかえて来たもので、以前のことは兎も角、中村家へ来てからの彼女には何の変った所もなく、浮いた稼業の女にしては
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それは私の住處すみかでない
艸千里 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
「いやこれはありそうなことだ。泥棒の巣窟すみかへ泥棒が忍び込む気遣いはないからな、それで用心しないのだろう」彼は中へはいって行った。玄関の間は六畳らしく燈火ともしびがないので暗かった。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
リード氏の魂が、自分の妹の子の受けてゐる不法な待遇に惱まされて、教會の納棺所なふくわんじよ、または何處か知らない、死者の世界にある棲處すみかを去つて、この部屋の私の前に現はれるかも知れないと思つた。