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じうたく
やがて人通りの餘りない、片側に工場の黒
板塀が
續き、片側は畑を間にさしはさんで
住宅が數
軒ならんでゐる、町で一番長い坂道の上に出た。
土耳古公
使館、
佛蘭士大
使館武官
館以下西
洋人の
住宅が
非常に多い外になかなか
特色のある
住人を持つてゐる。
平岡の
家は、此十数年来の物価騰
貴に
伴れて、中流社会が次第々々に
切り
詰められて
行く有様を、
住宅の
上に
善く代表してゐる、尤も粗悪な
見苦しき
構へである。とくに代助には
左様見えた。