棲居すみか)” の例文
黒衣こくえ棲居すみかを立出でしが、かれが言葉を虚誕いつわりなりとは、月にきらめく路傍みちのべの、露ほども暁得さとらねば、ただ嬉しさに堪えがたく
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
かくて時刻も移りしかば、はや退まからんと聴水は、他の獣わかれを告げ、金眸が洞を立出でて、倰僜よろめく足を踏〆ふみしめ踏〆め、わが棲居すみかへと辿たどりゆくに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「こは意外長坐しぬ、ゆるしたまへ」ト会釈しつつ、わが棲居すみかをさして帰り行く、途すがら例の森陰まで来たりしに、昨日の如く木の上より、矢を射かくるものありしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)