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鼻面
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はなづら
ふりがな文庫
“
鼻面
(
はなづら
)” の例文
それでムクの
鼻面
(
はなづら
)
に飛んで来た石をパッと受け返す途端にまた一つ、米友の
面
(
かお
)
を望んで飛んで来た石をすかさずパッと受け留めて
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして多くの労働者は、それを作り出すために、
各
(
おのおの
)
、危険と
鼻面
(
はなづら
)
を突き合わせて、凍え、飢え、さまよいながら、労働すべきであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
迷っている男の
鼻面
(
はなづら
)
を
掠
(
かす
)
めて、黒い影が
颯
(
さっ
)
と横切って過ぎた。男はあっと思う
間
(
ま
)
に
先
(
せん
)
を越されてしまう。仕方がないから
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女はもう
犢
(
こうし
)
の面倒もみない。そして、犢が乳を飲もうとして、ぎごちない脚で
起
(
た
)
ち上がると、その
鼻面
(
はなづら
)
で押され、そのたんびにひょろひょろする。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
と
言
(
い
)
いながら、いきなりやかんに
手
(
て
)
をかけますと、
灰
(
はい
)
の中にかくれていた
栗
(
くり
)
がぽんとはね
出
(
だ
)
して、とび
上
(
あ
)
がって、
猿
(
さる
)
の
鼻面
(
はなづら
)
を
力
(
ちから
)
まかせにけつけました。
猿かに合戦
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
▼ もっと見る
「いちいちおれの
鼻面
(
はなづら
)
をこするような物云いばかりするやつだ。於虎、貴様は同郷の後輩だから親切に教えてやろうと、俺は好意を示しているのだぞ」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……牧草でも、レッドトップならば匂いぐらいは
嚊
(
か
)
ぎまするが、チモーシとなれば、はやもう、
鼻面
(
はなづら
)
も寄せん。
燕麦
(
えんばく
)
に大豆。それから、
麬
(
ふすま
)
に唐もろこし。
キャラコさん:10 馬と老人
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そのうちにライオンとも虎ともつかぬ動物がやって来て自分に近寄り、そうして自分の顔のすぐ前に
鼻面
(
はなづら
)
を接近させる。振返って見ると西洋人はもういない。
夢判断
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
何んだろうと
窺
(
のぞ
)
いて見るとお勝さんが、疑いを掛けたその裏長屋の泥棒猫を
捉
(
つか
)
まえて、コン畜生、々々といって力任せに
鼻面
(
はなづら
)
を板の
間
(
ま
)
へ
擵
(
こす
)
り附けております。
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
弾薬庫は開かれ、砲塔の内部には、水兵の背丈ほどある巨弾が、あとからあとへと、ギッシリ
鼻面
(
はなづら
)
を並べた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
カシタンカはとびのいて、ぺたんと腹ばいになり、ねこのほうに
鼻面
(
はなづら
)
をつきだして、わんわんほえ始めた。
カシタンカ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と
復
(
ま
)
た亭主が馬の
鼻面
(
はなづら
)
を押しやった。それからこの
可憐
(
かれん
)
な動物は桶の中へ首を差込むことを許された。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私にはイルシューという赤毛の一番
温和
(
おとな
)
しそうな馬を、スパセニアは例の白馬を、そしてジーナは栗毛のプルーストの
鼻面
(
はなづら
)
を並べて……話といって何にもありません。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
将
(
まさ
)
に大公爵の
鼻面
(
はなづら
)
に
拳固
(
げんこ
)
を
食
(
くら
)
わせようとした。しかし種々の矛盾した感情の混乱に圧倒されていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
馬は
背
(
せな
)
、腹の皮を
弛
(
ゆる
)
めて汗もしとどに流れんばかり、
突張
(
つッぱ
)
った脚もなよなよとして
身震
(
みぶるい
)
をしたが、
鼻面
(
はなづら
)
を地につけて
一掴
(
ひとつかみ
)
の
白泡
(
しろあわ
)
を
吹出
(
ふきだ
)
したと思うと前足を折ろうとする。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
虎の
鼻面
(
はなづら
)
がすぐ眼の前に迫っても、声も立てなければ、身動きさえもしなかった。その
白蝋
(
はくろう
)
のように美しい肌の上に、一条の
血汐
(
ちしお
)
が、赤い
蛇
(
へび
)
となってからみついていた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は自分の顏を、おきみの
鼻面
(
はなづら
)
へぶつけるやうに持つて來た。その顏の眉間には、ヂヤガ芋ほどの
瘤
(
こぶ
)
があつた。その瘤の下へ暗い影を寄せて、彼はぐいとおきみを睨みつけた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
それから、梯子の頂上でサッと撞球棒を投げ、見事落ちてくる玉を
鼻面
(
はなづら
)
で受けとめる。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
八五郎と平次は、二頭の若駒のように、
鼻面
(
はなづら
)
を並べて明神下から宮永町へ飛びました。
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
良人
(
おっと
)
はしきりに
馬
(
うま
)
の
鼻面
(
はなづら
)
を
撫
(
な
)
でてやりながら『
汝
(
おまえ
)
もとうとう
出世
(
しゅっせ
)
して
鈴懸
(
すずかけ
)
になったか。イヤ
結構
(
けっこう
)
結構
(
けっこう
)
!
俺
(
わし
)
はもう
呼名
(
よびな
)
について
反対
(
はんたい
)
はせんぞ……。』そう
言
(
い
)
って、
私
(
わたくし
)
の
方
(
ほう
)
を
顧
(
かえり
)
みて
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
上の窓からはちきれそうな顔をして、乳房をぎゅっとつつんだ百姓女が覗いておれば、下の窓からは、仔牛が顔をのぞけたり、豚が
盲
(
めく
)
ら
滅法
(
めっぽう
)
に
鼻面
(
はなづら
)
だけ突きだしている。要するに陳腐な光景である。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
やせ馬は
鼻面
(
はなづら
)
をさし伸べ、苦しげに息をついて、死んでしまった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
弓「
此奴
(
こいつ
)
おれの
鼻面
(
はなづら
)
へ下駄を打着けよつた、ああ、
痛
(
いた
)
」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
空腹
(
くうふく
)
で敏感になつたあいつの
鼻面
(
はなづら
)
が
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
窯の格子に、
鼻面
(
はなづら
)
くつつけ
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
退
(
の
)
かぬものはことごとく
敷
(
し
)
き
殺
(
ころ
)
すぞと云わぬばかりに人込の中を全速力で
駆
(
か
)
り立てながら、高い
蹄
(
ひづめ
)
の音と共に、馬の
鼻面
(
はなづら
)
を坂の方へ
一捻
(
ひとひねり
)
に
向直
(
むけなお
)
した。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
米友は竿の先を
手許
(
てもと
)
に
繰
(
く
)
って、五色の網をキリキリと手丈夫に締め直すと、ヒューとまた
鼻面
(
はなづら
)
に飛んで来たのを、鏡でも見るようにしてハッタと受けて
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
烈しい秋の光は源の頬を
掠
(
かす
)
めて馬の
鼻面
(
はなづら
)
に
触
(
あた
)
りましたから、馬の鼻面は燃えるように見えました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
馬
(
うま
)
は
背
(
せな
)
、
腹
(
はら
)
の
皮
(
かは
)
を
弛
(
ゆる
)
めて
汗
(
あせ
)
もしとゞに
流
(
なが
)
れんばかり、
突張
(
つツぱ
)
つた
脚
(
あし
)
もなよ/\として
身震
(
みぶるひ
)
をしたが、
鼻面
(
はなづら
)
を
地
(
ち
)
につけて、一
掴
(
つかみ
)
の
白泡
(
しろあは
)
を
吹出
(
ふきだ
)
したと
思
(
おも
)
ふと
前足
(
まへあし
)
を
折
(
を
)
らうとする。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
男は、石を投げたり、
鼻面
(
はなづら
)
を蹴とばしたりしていた。よほどその男に
馴
(
な
)
ついているに違いない。いくら
邪慳
(
じゃけん
)
にされても帰ろうとはしないのである。——西山荘に飼われている、四、五頭の鹿だった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
猿
(
さる
)
はさけんであわてて
鼻面
(
はなづら
)
をおさえて、
台所
(
だいどころ
)
へかけ
出
(
だ
)
しました。
猿かに合戦
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
黒き馬の
鼻面
(
はなづら
)
が下に見ゆるとき、身を半ば投げだして、行く人のために白き絹の尺ばかりなるを振る。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
屠手の一人は赤い牡牛の
傍
(
そば
)
へ寄り、
鼻面
(
はなづら
)
を押えながら「ドウ、ドウ」と言って制する。その側には雑種の牡牛が首を左右に振り、繋がれたまま柱を一廻りして、しきりに
逃
(
のが
)
れよう逃れようとしている。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と、剣を抜いて、車上の者の
鼻面
(
はなづら
)
へつきつけた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薄くなった
揚句
(
あげく
)
は、しだいしだいに、深い奥へ引き込んで、今までは影のように映ってたものが、影さえ見せなくなる。そうかと思うと、雲の方で山の
鼻面
(
はなづら
)
を通り越して動いて行く。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
軒下に寝ている犬の
鼻面
(
はなづら
)
へ手を延ばして見たりした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鼻
常用漢字
小3
部首:⿐
14画
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
“鼻”で始まる語句
鼻
鼻緒
鼻汁
鼻頭
鼻唄
鼻梁
鼻息
鼻孔
鼻腔
鼻先