鳴動めいどう)” の例文
刻々激しさを加えていく鳴動めいどうの中に、僕は奈落へふり落とされていくような感じを受けたが、それっきり知覚ちかくをうしなってしまった。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
東西三十間、南北二十余間の塀にかこまれている吉良家の邸は、一瞬の間に、地殻ちかくも裂けるような鳴動めいどうと旋風の中に置かれていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たちまちくろけむりのなかからばしらががり、万山ばんざん鳴動めいどうしました。これよりはやく、秀作しゅうさくさんの部隊ぶたいは、敵陣地てきじんちがけて突進とっしんしていたのです。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たちま山岳さんがく鳴動めいどうし、黒烟こくゑん朦朧もうろう立昇たちのぼる、その黒烟こくゑん絶間たえまながめると、猛狒ゴリラ三頭さんとうとも微塵みじんになつてくだんだ、獅子しゝ大半たいはん打斃うちたをれた、途端とたん水兵すいへい
伊豆南方いづなんぽう洋底ようてい航海中こうかいちゆう船舶せんぱく水柱みづばしら望見ぼうけんし、あるひ鳴動めいどうともなつて黒煙くろけむりのあがるのをることもあり、附近ふきん海面かいめん輕石かるいしうかんでゐるのに出會であふこともある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「起きて来たのはいいが、泰山たいざん鳴動めいどうしてねずみ一匹じゃあねえかな……よく降りゃあがる」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
次郎は、その沈黙と孤独の奥に、自分の恋と自分をとりまく時代とがへびのようにもつれあい、すさまじく鳴動めいどうして、自分の運命を刻々にゆさぶっているのを、まざまざと感じるのであった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
止まるや否や、クーリー団は、おこったはちの巣のように、急に鳴動めいどうし始めた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この時らいのとどろくごとく山の鳴動めいどう聞こゆ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
と、オルガ姫が叫ぶのと、艇が今にもばらばらに壊れるのではないかと思うほど、はげしく鳴動めいどうを起すのと、同時であった。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
火山かざん噴火ふんか鳴動めいどう神業かみわざかんがへたのは日本につぽんばかりではないが、とく日本につぽんにおいてはそれがなり徹底てつていしてゐる。まづ第一だいゝちに、噴火口ふんかこうかみたまへる靈場れいじよう心得こゝろえたことである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
洞中どうちう秘密造船所ひみつざうせんじよなかでは、海底戰鬪艇かいていせんとうていほうでも、わたくしほうでも、鎔鐵爐ようてつろ冶金爐等やきんろとうから㷔々えん/\熱火ねつくわひかり魔神まじん紅舌したのごとく、たがひうちおろす大鐵槌だいてつついひゞきは、寂寞じやくばくたる洞窟どうくつ鳴動めいどうして
零落した馬車は容赦なく鳴動めいどうしてその上を通るのだから、凸凹でこぼこの多い川床かわどこを渡るよりも危険である。二百三高地にひゃくさんこうちへ行く途中などでは、とうとうこの火打石に降参して、馬車から下りてしまった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鳴動めいどう
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鳴動めいどうはだんだんはげしくなっていく。沼の水面にふしぎな波紋がおこった。が、そんなことには二人とも気がつかないで、しっかりだきあっている。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さら日本につぽんでは、火山かざんぬし靈場れいじよう俗界ぞつかいけがされることをいとはせたまふがため、其處そこきよめる目的もくてきもつ時々とき/″\爆發ばくはつおこし、あるひ鳴動めいどうによつて神怒しんどのほどをらしめたまふとしたものである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
家が、大地震のように鳴動めいどうした。迫撃砲弾はくげきほうだんが、この建物に命中したらしい。もう猶予ゆうよはならない。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一方いつぽうでは下敷したじきしたからたすけをふてわめき、他方たほうでは消防しようぼうきゆうぐるさけび、これにしてなき餘震よしん鳴動めいどう大地だいち動搖どうようとは、さいはひもつのがれたものにはくだしようもなかつたであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
外の爆発の閃光せんこうが、カーテンを通すのであった。建物は、今にもけとびそうに、鳴動めいどうする。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は、灼鉄と硝煙しょうえんと閃光と鳴動めいどうとの中に包まれたまま、爆発するような歓喜かんきを感じた。その瞬間に、彼から、仏天青フォー・テンチンなる中国人の霊魂れいこんと性格とが、白煙はくえんのように飛び去った。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大地は、地震のように鳴動めいどうした。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)