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顛末
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てんまつ
ふりがな文庫
“
顛末
(
てんまつ
)” の例文
と——まことに奇怪、検挙事実は歴然として人々の口に伝わっているのに、公儀お調べ書にはその
顛末
(
てんまつ
)
が記録されてなかったのです。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
この合戦はエウゲニウス四世法王時代に、有名な法律学者ニコラス・ピストリエンシスの面前でたたかわれ、彼は会戦の全体の
顛末
(
てんまつ
)
を
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
薬売りは
顫
(
ふる
)
えあがったそうで、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
主人にあって、その
顛末
(
てんまつ
)
を語りますと、主人のいわれるには、思い当ることがあるというのです。
糸繰沼
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
直談判
(
じきだんぱん
)
をして失敗した
顛末
(
てんまつ
)
を、川添のご新造にざっと言っておいて、ギヤマンのコップに注いで出された白酒を飲んで、
暇乞
(
いとまご
)
いをした。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その
訥々
(
とつとつ
)
とした口調で、どうにか呑み込ませたのは、今日の昼頃から起った、笛の春日藤左衛門一家に起った出来事の
顛末
(
てんまつ
)
です。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
昨夜の捕物の
顛末
(
てんまつ
)
を聞きただし、さぐりを入れて歩いてみると、岩切というところで、一つの異聞をしっかりと聞きとめました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
が、それでも行きがかり上、田口と会見を
遂
(
と
)
げ得なかった
顛末
(
てんまつ
)
だけは、一応この母の耳へでも構わないから入れておく必要があるだろう。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この書は英清鴉片戦争の
顛末
(
てんまつ
)
を通俗平易に書きつづり挿画を入れて、軍記の如き体裁となし、英人侵略の
懼
(
おそ
)
るべきことを説いたのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ありのままな
顛末
(
てんまつ
)
を聞いて、劉表も哀れを催したか、その後、家臣をやって、禰衡の
屍
(
かばね
)
を移し、
鸚鵡州
(
おうむしゅう
)
の河畔にあつく葬らせた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
神々が鏡や玉を作ったりしてあらゆる方策を講じるという
顛末
(
てんまつ
)
を叙した記事は、ともかくも、相当な長い時間の経過を暗示するからである。
神話と地球物理学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ミミイ嬢には気の毒だが、もう長々と
交際
(
つきあ
)
っているわけにはゆかない。そこでこれから
顛末
(
てんまつ
)
は筋だけを追って話すことにする。
ノンシャラン道中記:08 燕尾服の自殺 ――ブルゴオニュの葡萄祭り――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
妙子の遭難の
顛末
(
てんまつ
)
については、その夜当人と貞之助とが
交〻
(
こもごも
)
幸子に語ったことであったが、今そのあらましを記すと次のような訳であった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「わたしの辛労なぞは、取るに足らぬこと。あなたこそ、いろいろお骨折りだったろう。おかけなさい、では詳しく、
顛末
(
てんまつ
)
をお聞きしたい」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
例の御用部屋に行って老中に面謁し一切の
顛末
(
てんまつ
)
を述べようとすると、そこにはまた思いがけないことがこの駿河を待っていた。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この附記を記した一半の理由は、材料入手の
顛末
(
てんまつ
)
を明かにして、所在不明のN某君に、私に他意なき次第を告げ、謝意を表したい為であった。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして彼は自分の今日一日の冒険に、ひどく可笑しさを感じていたのか、底の底から笑いながら、一切の
顛末
(
てんまつ
)
を語り出した。
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
そこで、恒藤主任は北川から、野田の二千円着服のことを訊き出し、それから野田を訊問した
顛末
(
てんまつ
)
を逐一物語って、最後に
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それが福の神で、たちまち爺の家を富貴にしたというまでは、他にも類例の多い話だが、その
顛末
(
てんまつ
)
は三つの話とも、それぞれにちがっている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「たいして聞きたくもないけれど、その外套も一度は俺の物だったんだからな。一応
顛末
(
てんまつ
)
を聞いとく義務があるようだな」
蜆
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
河野は照道寿真から修真の法を授かった
顛末
(
てんまつ
)
を書いて、それに「
真話
(
しんわ
)
」と云う題を附け、それを宮地翁の
許
(
もと
)
へ送って来た。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
さらばそれに先立て、一旦滑川の旅店まで
遁
(
のが
)
れ出でたる下枝の、何とて再び家に帰りて
屠
(
ほふ
)
り殺さるる次第となりけむ、その
顛末
(
てんまつ
)
を記し置くべし。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今でも、思い出すたび笑わずにいられないのは、夫と、子供と、自分自身の善行に身をささげ尽くしている一人の夫人を誘惑した時の
顛末
(
てんまつ
)
です。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
去年の選挙のとき、マンがお京と逢った
顛末
(
てんまつ
)
は、なにも聞いていない。金五郎の方から、聞くのもすこし気味が悪かった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
この
顛末
(
てんまつ
)
は「木喰仏発見の縁起」に記してある。私は先人の研究が何もないため、この大仕事に丸三年の歳月を費した。
四十年の回想:『民藝四十年』を読んで
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
三月初旬多数の被害民が請願のために上京した
顛末
(
てんまつ
)
は、都下の各紙が数日にわたって報道したから、世人の視聴もいくぶんはこの問題に注がれた。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
私はひどく取り乱して警視庁へ電話で事の
顛末
(
てんまつ
)
を
訊
(
き
)
き合せたが、内務省へ出頭したらいゝとやらで、要領を得なかつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
われは部長殿と談話の
顛末
(
てんまつ
)
及び帰国を決心したる旨同行者に語れり。いずれも一兵卒の語を聞きて憤慨せざる者なし。
従軍紀事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
あの大地震の時に私が妻を
殺害
(
せつがい
)
した
顛末
(
てんまつ
)
は元より、これまでの私の苦しい心中も一切打ち明けなければなりますまい。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そしてそれをはっきりと目で見た山木が、仲間の少年たちの集っている食堂へとびこんできて、その
顛末
(
てんまつ
)
を語った。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
藤原は、ボーイ長の寝箱のそばに腰をおろして、
今日
(
きょう
)
の
顛末
(
てんまつ
)
を話した。種々とその成り行きを述べて、こういった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
些
(
いさゝか
)
の繕ふことなく有の儘に、我とアヌンチヤタとの中を語り、我が一たび絶望の境に陷りて後、今又慰藉を自然と藝術とに求むるに至れる
顛末
(
てんまつ
)
を敍して
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
善兵衛の説明によると、事件の
顛末
(
てんまつ
)
はこうであった。鷹匠の光井金之助が、二人の同役と連れ立って、きのうの
午
(
ひる
)
すぎから目黒の方角へお鷹馴らしに出た。
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
来る人ごとに同じように
顛末
(
てんまつ
)
を問われる。妻は人のたずねに答えないのも苦しく、答えるのはなおさら苦しい。
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と、いきなり鏡を取り出して顔を見ながら寝台の上の母にその
顛末
(
てんまつ
)
を訴えたのだった。すると吉田の母親は
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「逃げたのか、取られたのか、いなくなってしまった」と、見えなくなった
顛末
(
てんまつ
)
を語って
吻
(
ほっ
)
と
嘆息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「でも、これを売りに来た女は、贋物だったんだぜ。」と私は、
瞞
(
だま
)
された
顛末
(
てんまつ
)
を早速、物語って聞かせた。
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
食事の間中私はフェアファックス夫人の話す火事の
顛末
(
てんまつ
)
が、殆んど耳に入らなかつた。それ程私はグレイス・プウルの
謎
(
なぞ
)
めいた性質について頭を惱ましてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
わたくしが
臆
(
おく
)
しながら、先夜の女中の箱屋がかの女に
惨
(
むご
)
たらしくした
顛末
(
てんまつ
)
に
就
(
つい
)
て
遠廻
(
とおまわ
)
しに
訊
(
たず
)
ねかけると
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
すでに数年前のことなるが、横浜市内にて
人魂
(
ひとだま
)
の出ずるというについて大騒ぎをしたことがある。その
顛末
(
てんまつ
)
は、『時事新報』の記事を抜抄して掲げることにしよう。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
確か女の子であったと思う。その日、電車通りにある古本屋の飯田さんでその
顛末
(
てんまつ
)
を聞いたが、無情な感じがした。不幸なんてどこに待ち伏せしているかわからない。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「君の方の教会員かい? 夫婦喧嘩は一々
顛末
(
てんまつ
)
を牧師さんのところへ届け出る規則なんだね?」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今季
(
こんき
)
の会報には寄宿舎生徒松本なにがしがみずから棄てて自殺した
顛末
(
てんまつ
)
が書いてあった。深夜、ピストルの音がして人々が驚いてはせ寄ったことがくわしく記してあった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
最初に降矢木家の給仕長
川那部易介
(
かわなべえきすけ
)
の死を発見した、その前後の
顛末
(
てんまつ
)
を概述しておこうと思う。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
特
(
こと
)
に
朝日島
(
あさひじま
)
紀念塔
(
きねんたふ
)
設立
(
せつりつ
)
の
顛末
(
てんまつ
)
——あの
異樣
(
ゐやう
)
なる
自動冐險車
(
じどうぼうけんしや
)
が、
縱横無盡
(
じうわうむじん
)
に、
深山
(
しんざん
)
大澤
(
たいたく
)
の
間
(
あひだ
)
を
猛進
(
まうしん
)
したる
其時
(
そのとき
)
の
活劇
(
くわつげき
)
。
猛獸
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
との
大奮鬪
(
だいふんとう
)
。
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
の
片足
(
かたあし
)
の
危
(
あぶ
)
なかつた
事
(
こと
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
春日は渡邊に
顛末
(
てんまつ
)
をすべて速記させ、尚手紙も詳細に調べたがそれは、預って
懐中
(
ポケット
)
へ収めた。
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
武運
拙
(
つたな
)
く戦場に
斃
(
たお
)
れた
顛末
(
てんまつ
)
から、死後、
虚空
(
こくう
)
の大霊に
頸筋
(
くびすじ
)
を
掴
(
つか
)
まれ無限の
闇黒
(
あんこく
)
の
彼方
(
かなた
)
へ投げやられる次第を
哀
(
かな
)
しげに語るのは、
明
(
あき
)
らかに弟デックその人と、
誰
(
だれ
)
もが
合点
(
がてん
)
した。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼から聴いた
顛末
(
てんまつ
)
を通告しようかと思ったが、彼になんらの相談もしないで仲介の
位地
(
いち
)
に立つことは、なんだか彼を裏切るような感じが強かったので、私は最後に決心して
世界怪談名作集:06 信号手
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
手早く紙入れを胴巻の底へ押し込んでから、伝二郎はながながと事件の
顛末
(
てんまつ
)
を話し出した。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こう前置をして、小平太は指先で畳の上に図を描いてみせながら、はいって行った時から出てくるまでの
顛末
(
てんまつ
)
を仔細に述べはじめた。勘平はそばから
硯
(
すずり
)
に料紙を取って渡した。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
抑
(
そもそ
)
も王政維新が政治の始まりであるから、話が少し前に戻って長くなりますけれども、一通り私が少年のときからの話をして、政治に関係しない
顛末
(
てんまつ
)
を
明
(
あきらか
)
にしなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
“顛末”の意味
《名詞》
顛末(てんまつ。旧字体:顚末)
物事の、始めから終わりまで。
(出典:Wiktionary)
顛
漢検準1級
部首:⾴
19画
末
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
“顛”で始まる語句
顛倒
顛覆
顛落
顛
顛動
顛沛
顛木
顛然
顛当
顛堕