ざつ)” の例文
新字:
しみ/″\ぞんじてりますのは、まだ七歳なゝつ八歳やつ御親父樣ごしんぷさまも、御存命ごぞんめい時分じぶんでござりますから、彼是かれこれざつと二十ねん
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
半分はんぶんたあとが、にしてざつ一斤入いつきんいれちやくわんほどのかさがあつたのに、何處どこさがしても、一片ひときれもないどころか、はて踏臺ふみだいつてて、押入おしいれすみのぞ
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ざつわし住居すまひおもへばいの。ぢやが、もんしまつてつては、一向いつかう出入ではひりもるまいが。第一だいいちわしゆるさいではおぬし此處こゝへはとほれぬとつた理合りあひぢや。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……同伴つれのなじみのはかも、まゐつてれば、ざつとこのていであらうとおもふと、生々なま/\しろ三角さんかくひたひにつけて、鼠色ねずみいろくもかげに、もうろうとつてゐさうでならぬ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
折要歩せつえうほは、そつ拔足ぬきあしするがごとく、歩行あゆむわざなやむをふ、ざつ癪持しやくもち姿すがたなり。齲齒笑うしせうおもはせぶりにて、微笑ほゝゑときつね齲齒むしばいたみに弱々よわ/\打顰うちひそいろまじへたるをふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ざつ十日とをかばかりおくれてますです。ゆきですからな。かぜによつては今夜こんやにも眞白まつしろりますものな。……もつと出盛でさかりのしゆんだとつても、つきころほどにはないのでしてな。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ざつしたばかりで、すゝもほこりものまゝで、まだ雨戸あまどけないでくくらゐだから、下階した出窓下でまどした、すゝけたすだれごしにそなへよう。お月樣つきさま、おさびしうございませうがと、かざる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あつさはざつへいうへから二階家にかいや大屋根おほやねそらて、はゞひろさはのくらゐまでみなぎつてるか、ほとん見當けんたうかない、とふうちにも、幾干いくせんともなく、いそぎもせず、おくれもせず、さへぎるものをけながら
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)