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釣竿
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つりざお
ふりがな文庫
“
釣竿
(
つりざお
)” の例文
そして壁に沿った長い卓の半分は、
釣竿
(
つりざお
)
だの、釣道具だので一杯である。残りの半分は、鉄砲と火薬類の缶とがずらりと並んでいる。
アラスカ通信
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
あれをかたづけたり、これをとりちらかしたりした挙句、夕方になると清二はふいと気をかえて、
釣竿
(
つりざお
)
を持って、すぐ前の川原に出た。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
左手へ退場。そこに水浴び場がある気持。やがて、彼女が家に歩いて行くのが見える。そのあとにトリゴーリンが、
釣竿
(
つりざお
)
と
手桶
(
ておけ
)
を
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
富岡老人
釣竿
(
つりざお
)
を
投出
(
なげだ
)
してぬッくと
起上
(
たちあ
)
がった。
屹度
(
きっと
)
三人の方を
白眼
(
にらん
)
で「大馬鹿者!」と大声に
一喝
(
いっかつ
)
した。この
物凄
(
ものすご
)
い声が
川面
(
かわづら
)
に鳴り響いた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
旅行に
釣竿
(
つりざお
)
をかついで出掛けるということは、それは釣の名人というよりは、旅行の名人といった方が、適切なのではなかろうかと考えて居る。
『井伏鱒二選集』後記
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
草履
(
ぞうり
)
の
足痕
(
あしあと
)
がつく程、縁の先の大地には、青白い柿の花がいっぱいにこぼれていた。一学は
釣竿
(
つりざお
)
を納屋の横へ置いて来て
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日用品で特に見るべきものはありませんが、指導さえ
宜
(
よろ
)
しきを得たら、随分色々なものを生み得るでありましょう。同じ川口では
釣竿
(
つりざお
)
を作ります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私は青べかを二つ
𣱿
(
いり
)
へ漕ぎ入れ、細い水路を二百メートルほどいった、川柳の茂みのところに
繋
(
つな
)
いで、
釣竿
(
つりざお
)
をおろした。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お
止
(
よし
)
よ。今じゃあ痛くもなんともないが、打たれた時にあ痛かったよ。だって
布袋竹
(
ほていちく
)
の
釣竿
(
つりざお
)
のよく
撓
(
しな
)
う
奴
(
やつ
)
でもってピューッと一ツやられたのだもの。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ゆえにその
茎
(
くき
)
は向こうに突き
出
(
い
)
で、あたかも
釣竿
(
つりざお
)
を差し出したようになっており、その先に花が下向いて咲いている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
その橋の右の
袂
(
たもと
)
にも
釣竿
(
つりざお
)
を持った男が立っていた。それは鼻の下に靴ばけのような
髯
(
ひげ
)
を生やした頬骨の出た男で、黒のモスの
兵児帯
(
へこおび
)
を
尻高
(
しりだか
)
に締めていた。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私はその辺の枝を折って、なんなく
釣竿
(
つりざお
)
をこしらえる。
外套
(
がいとう
)
にピンが一本さしてある。それを曲げて釣針にする。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
船頭は
一人
(
ひとり
)
で、
船
(
ふね
)
は細長い東京辺では見た事もない
恰好
(
かっこう
)
である。さっきから船中
見渡
(
みわた
)
すが
釣竿
(
つりざお
)
が一本も見えない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その男はなんでも
麦藁帽
(
むぎわらぼう
)
をかぶり、風立った柳や
芦
(
あし
)
を後ろに長い
釣竿
(
つりざお
)
を手にしていた。僕は不思議にその男の顔がネルソンに近かったような気がしている。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昔時
(
むかし
)
、直樹の父親が、
釣竿
(
つりざお
)
を手にしては二町ばかりある家の方からやって来て、その辺の柳並木の陰で、
僅
(
わず
)
かの
閑
(
ひま
)
を自分のものとして楽んだものであった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
座敷の縁側の軒下に
投網
(
とあみ
)
がつり下げてあって、
長押
(
なげし
)
のようなものに
釣竿
(
つりざお
)
がたくさん掛けてある。
花物語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
父は死ぬ間際は、書斎の窓の外に掘った池へ、書斎の中から
釣竿
(
つりざお
)
を差し出して、
憂鬱
(
ゆううつ
)
な顔をして鮒や
鮠
(
はえ
)
を一日じゅう釣っていましたよ。関節炎で動けなくなっていました。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
詳
(
くわ
)
しく説明すると、その人影の
幹
(
みき
)
とも謂うべき丸太ン棒のような部分が魚心堂先生、それにクッ着いている小枝のようなところは、先生が
担
(
かつ
)
いでいらっしゃる
釣竿
(
つりざお
)
である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こうして二本の鞭のようなものが
生
(
は
)
えていて、
釣竿
(
つりざお
)
のように、だらんと下っているが、昆虫の
触角
(
しょっかく
)
と似ていて、月の世界で、われわれ同志が話をするのには、なくてはならない仕掛けだ
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と、引立てるように、片手で杖を上げて、
釣竿
(
つりざお
)
を
撓
(
た
)
めるがごとく松の
梢
(
こずえ
)
をさした。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして部屋の隅々には、猟銃や、
釣竿
(
つりざお
)
や、そのほかの猟の道具がおいてあった。
クリスマス・イーヴ
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
店は
息子
(
むすこ
)
に
譲
(
ゆず
)
って、自分は
家作
(
かさく
)
を五軒ほど持って、老妻と二人で暮らしているというのんきな身分、
釣
(
つり
)
と植木が大好きで、朝早く大きな
麦稈帽子
(
むぎわらぼうし
)
をかぶって、
笭箵
(
びく
)
を下げて、
釣竿
(
つりざお
)
を持って
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
二本のマストは
釣竿
(
つりざお
)
のようにたわんで、ビュウビュウ泣き出した。波は丸太棒の上でも一またぎする位の無雑作で、船の片側から他の側へ暴力団のようにあばれ込んできて、流れ出て行った。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
そこで、歓迎会がすむまで、おまえたち、本村の八幡さまや観音さんで遊ぶといい。お
弁当
(
べんとう
)
は、
波止場
(
はとば
)
ででも食べなさいよ。そうだ、
釣竿
(
つりざお
)
もってって波止場で釣りしたっておもしろいよ。どう?
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
これは両国の
袂
(
たもと
)
の
釣竿
(
つりざお
)
屋の金という人が
拵
(
こし
)
らえて売る凧で、龍という字が二重になっているのだが、これは
喧嘩凧
(
けんかだこ
)
として有名なもので、
随
(
したが
)
って尾などは絶対につけずに揚げるいわゆる
坊主凧
(
ぼうずだこ
)
であった。
凧の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
「
釣竿
(
つりざお
)
で捕物は始めてですね」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
三の
少年
(
こども
)
が
釣竿
(
つりざお
)
を持って、小陰から出て来て豊吉には気が付かぬらしく、こなたを見向きもしないで軍歌らしいものを小声で
唱
(
うた
)
いながらむこうへ行く
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
小砂利の鳴る音を聞いたからであるが、振返ってみると
帯刀
(
たてわき
)
であった。
萱笠
(
すげがさ
)
をかぶり
短袴
(
たんこ
)
に草履ばきで、
釣竿
(
つりざお
)
と
魚籠
(
びく
)
を持ち、
餌箱
(
えばこ
)
を
紐
(
ひも
)
で肩に掛けていた。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
釣竿
(
つりざお
)
みたいな物の先に、
稗米
(
ひえまい
)
の
握飯
(
むすび
)
に
梅干
(
うめぼし
)
の入ったのを一つ、竹の皮にくるんで誰か窓から吊り下げてくれた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかにお爺さんでも釣りの道具は、むずかしかろう、と二人の子供がそう思って見て
居
(
い
)
ました。この兄弟の
家
(
うち
)
の
周囲
(
まわり
)
には
釣竿
(
つりざお
)
一本売る店がありませんでしたから。
二人の兄弟
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
けれども、その、むだなポオズにも、すぐ疲れて来る様子で、立ち上って散歩に出かける。宿から
釣竿
(
つりざお
)
を借りて、渓流の
山女
(
やまめ
)
釣りを試みる時もある。一匹も釣れた事は無い。
令嬢アユ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
兄が高圧的に
釣竿
(
つりざお
)
を担がしたり、
魚籃
(
びく
)
を提げさせたりして、釣堀へ随行を命ずるものだから、まあ目を
瞑
(
つむ
)
ってくっついて行って、気味の悪い
鮒
(
ふな
)
などを釣っていやいや帰ってくるのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は
濡
(
ぬ
)
れた岩の上に腰をおろし、
韃靼
(
だったん
)
人の
槍
(
やり
)
ほどもある長くて重い
釣竿
(
つりざお
)
をもって、日がな一日釣をして、ぶつりとも言わず、たとえ魚がいっぺんも食いつかなくても、まったく平気なのだ。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ただ細い
釣竿
(
つりざお
)
にずっと黄色をなするのは
存外
(
ぞんがい
)
彼にはむずかしかった。
蓑亀
(
みのがめ
)
も毛だけを緑に塗るのは
中々
(
なかなか
)
なまやさしい仕事ではない。最後に海は代赭色である。バケツの
錆
(
さび
)
に似た代赭色である。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ヤーコフ (テーブルの上を片づけながら)
釣竿
(
つりざお
)
もやはり入れますんで?
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
私がじっと
釣竿
(
つりざお
)
を出していると、一羽の
翡翠
(
かわせみ
)
が来てその上に止った。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
私は起き直って本を閉じ、
釣竿
(
つりざお
)
をあげて帰り支度にかかったが、ふと、その話し声にひきつけられて手を止めた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
伊奈
(
いな
)
半十郎の配下が、舟番所から見張っている。五本の
釣竿
(
つりざお
)
で、わいわいと騒いでいるからすぐ見つかる。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「来たよ、おじさん……。
釣竿
(
つりざお
)
の用意、しといてくれた?」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
甲斐は釣ることを忘れたように、流木に腰をかけ、手に
釣竿
(
つりざお
)
を持ったまま、いつまでもじっと動かなかった。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
盛綱は、
釣竿
(
つりざお
)
を上げながら振向いた。ピラッと、鮠は彼の手の中へ躍ってきた。
鈎
(
はり
)
から魚をはずしながら
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お宅に、
釣竿
(
つりざお
)
があったら貸しておくれぬか。——今なら、そこの河端に、上げ
汐
(
しお
)
に乗って、うんとこさと魚が来て跳ねているので、いくらでも釣れるでな、釣ったら晩のお菜を
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どのくらい
経
(
た
)
ってからだろう、
眼
(
め
)
をさますと、すぐ近くで人の話す声が聞えた。私は起き直って本を閉じ、
釣竿
(
つりざお
)
をあげて帰り支度にかかったが、ふと、その話し声にひきつけられて手を止めた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それからまた
釣竿
(
つりざお
)
の先へ眼を戻した。畠中は話があって来たのだ。城下から一里半ちかくもあるこんな山の中へ、用もなしにやって来るわけがない。そして、その話の内容も益村には察しがついた。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「いや、ほんとですよ。
釣竿
(
つりざお
)
をおかしなさい」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
釣
常用漢字
中学
部首:⾦
11画
竿
漢検準1級
部首:⽵
9画
“釣”で始まる語句
釣
釣瓶
釣合
釣魚
釣鐘
釣殿
釣棹
釣銭
釣針
釣台