トップ
>
讃美
>
さんび
ふりがな文庫
“
讃美
(
さんび
)” の例文
新しい妻を
讃美
(
さんび
)
しながら、日本中で、一番得意な人間として、後から後からと続いて来る客に、
平素
(
いつも
)
に似ない
愛嬌
(
あいきょう
)
を振り
蒔
(
ま
)
いていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ひろい正義愛、
執拗
(
しつよう
)
な真実の探求、純粋な生活の
讃美
(
さんび
)
、ことにきびしいストイシスム、
高邁
(
こうまい
)
な孤独な魂の悲痛な表情がそこにある。
博物誌あとがき
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
歌も詩も源氏の君を
讃美
(
さんび
)
したものが多かった。源氏自身もよい気持ちになって、「文王の子武王の弟」と史記の周公伝の一節を口にした。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
誰か智的生活の所産なる知識と道徳とを
讃美
(
さんび
)
しないものがあろう。それは真理に対する人類の
倦
(
う
)
むことなき精進の一路を示唆する現象だ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そうして美は実用から遊離したものなる故に
讃美
(
さんび
)
された。だが果して今日のかかる美学は美を真実に見つめたものであろうか。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
中国の書物には、
秋海棠
(
しゅうかいどう
)
を一に八月春と名づけ、
秋色中
(
しゅうしょくちゅう
)
の第一であるといい、花は
嬌冶柔媚
(
きょうやじゅうび
)
で真に美人が
粧
(
よそお
)
いに
倦
(
う
)
むに同じと
讃美
(
さんび
)
している。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
平次には別に褒め言葉もありませんが、平次に取つて、その優しい眼が、雄辯に手柄を
讃美
(
さんび
)
して居るので充分だつたでせう。
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
強き者への
讃美
(
さんび
)
が、実に純粋で強烈なのだ。初め李陵のところへ来て
騎射
(
きしゃ
)
を教えてくれという。騎射といっても騎のほうは陵に劣らぬほど
巧
(
うま
)
い。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そこで日本には昔からこの自然の景色を
諷詠
(
ふうえい
)
し、自然と共にある人間を
讃美
(
さんび
)
した文学がたくさんあるように思います。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
無尽蔵
(
むじんぞう
)
ともいうべき詩句に、彼女への
讃美
(
さんび
)
の情を
託
(
たく
)
しては、それを、どこかしら不自然でもあれば
真剣
(
しんけん
)
でもある
感激
(
かんげき
)
をもって、彼女に朗読して聞かせる。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
友
(
とも
)
だちは、らんについて、
無関心
(
むかんしん
)
のもののごとくただ
故郷
(
こきょう
)
の
山
(
やま
)
の
美
(
うつく
)
しさを
讃美
(
さんび
)
して、きかせたのであります。
らんの花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし、サア・オツコツク以前の西洋人が、日本の女を
讃美
(
さんび
)
したのは、客観的に日本の女の社会的地位や何かを観察した上讃美したのかどうか、疑問である。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何よりも
先
(
ま
)
ず情緒を重んじ、恋愛を
讃美
(
さんび
)
し、そして形式上には、古典詩学の窮屈な拍節本位に反対して、より自由でメロディアスな、内容本位のスイートな音律を創見した。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
此の時に当たり往々にして知識階級の
囁
(
ささや
)
くを聞く、此の〔暴〕力の前にいかに吾々の無力なることよと、だが此の無力感の中には、暗に暴力
讃美
(
さんび
)
の危険なる心理が潜んでいる
二・二六事件に就て
(新字新仮名)
/
河合栄治郎
(著)
現存秩序での特権階級やそれに満足している者は革命を
排撃
(
はいげき
)
するし、不満な者や被抑圧階級はそれを
讃美
(
さんび
)
するのが常である。革命は人間の社会に必然不可避だという説もある。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
だれもが心から
讃美
(
さんび
)
しているんだよ。あれには貧乏なんか我慢できっこないんだ。
贅沢
(
ぜいたく
)
をつくして育ったんだよ。ひとから相手にもされないでいるなんて、とてもたまらないだろう。
妻
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
其
(
その
)
調
(
しら
)
べがすむと、
忽
(
たちま
)
ち
崩
(
くづ
)
るゝ
如
(
ごと
)
き
拍手
(
はくしゆ
)
のひゞき、一
團
(
だん
)
の
貴女
(
きぢよ
)
神士
(
しんし
)
ははやピアノ
臺
(
だい
)
の
側
(
そば
)
に
走
(
はし
)
り
寄
(
よ
)
つて、
今
(
いま
)
や
靜
(
しづ
)
かに
其處
(
そこ
)
を
降
(
くだ
)
らんとする
春枝夫人
(
はるえふじん
)
を
取卷
(
とりま
)
いて、あらゆる
讃美
(
さんび
)
の
言
(
ことば
)
をもつて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
或る一人の男などはたまたま廊下で私に
逢
(
あ
)
い私を呼び留めて「僕あ身分をかくして居るんですが。」などと思わせぶりな前提で麻川氏を誇張的に
讃美
(
さんび
)
し自分も麻川氏の客であるからには
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かういふふうに、
天皇
(
てんのう
)
を
讃美
(
さんび
)
してゐます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
講師が宮の御
遁世
(
とんせい
)
を
讃美
(
さんび
)
して、この世におけるすぐれた栄華をなお盛りの日にお捨てになり、永久の縁を仏にお結びになったということを
源氏物語:38 鈴虫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
が、先刻は夫人に対する
讃美
(
さんび
)
と
憧
(
あこが
)
れの心で、胸を躍らしながら、が、今は夫人に対する反感と
憤怒
(
ふんぬ
)
とで、心を狂わせながら。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
もし
聡
(
さか
)
しい者が美を産み得るなら、無学な者はなお産み得るのだと。誰か無学たるそのことを
讃美
(
さんび
)
することができよう。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ホイットマンが「アダムの子等」に於て、性慾を歌い、大自然の雄々しい裸かな姿を髣髴させるような瞬間を
讃美
(
さんび
)
したことに何んの不思議があろう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
夜の
情緒
(
じょうちょ
)
、夜の空気、夜の感傷、そして夢のような夜の
讃美
(
さんび
)
をショパンはこの名において二十曲も書いている。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
僕はかう考へた時に
私
(
ひそ
)
かに僕自身の幸運を
讃美
(
さんび
)
しない
訣
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かなかつた。日本の文壇広しと
雖
(
いへど
)
も、僕ほど
艶福
(
えんぷく
)
に富んだ作家は或は
一人
(
ひとり
)
もゐないかも知れない。
変遷その他
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
故意に神聖
冒涜
(
ぼうとく
)
の思想を書き、基督教が異端視する官能の快楽を追い、悪魔視される肉体の
讃美
(
さんび
)
をして、すべての基督教道徳に反抗した為、彼等の標語「芸術のための芸術」は
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
その
翌日
(
よくじつ
)
から、
彼
(
かれ
)
はまた
山
(
やま
)
へてつだいに
出
(
で
)
かけました。そして
谷川
(
たにがわ
)
の
流
(
なが
)
れへくれば、いつに
変
(
か
)
わらずよかったし、
林
(
はやし
)
でなく
小鳥
(
ことり
)
の
声
(
こえ
)
を
聞
(
き
)
けば、
無条件
(
むじょうけん
)
で
自然
(
しぜん
)
が
讃美
(
さんび
)
されるのでした。
しいたげられた天才
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今日は、どうやら、わしは、あの青年に向って、文字の霊の
威力
(
いりょく
)
を
讃美
(
さんび
)
しはせなんだか? いまいましいことだ、と彼は舌打をした。わしまでが文字の霊にたぶらかされておるわ。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
春枝夫人
(
はるえふじん
)
の
笑顏
(
えがほ
)
は
天女
(
てんによ
)
の
美
(
うる
)
はしきよりも
美
(
うる
)
はしく、
仰
(
あほ
)
ぐ
御空
(
みそら
)
には
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
も
歩
(
あゆみ
)
をとゞめ、
浪
(
なみ
)
に
鳴
(
な
)
く
鳥
(
とり
)
も
吾等
(
われら
)
を
讃美
(
さんび
)
するかと
疑
(
うたが
)
はるゝ。
此
(
この
)
快絶
(
くわいぜつ
)
の
時
(
とき
)
、
忽
(
たちま
)
ち
舷門
(
げんもん
)
のほとりに
尋常
(
たゞ
)
ならぬ
警戒
(
けいかい
)
の
聲
(
こゑ
)
が
聽
(
きこ
)
えた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
わたしはこの平和な場所にあらゆる
讃美
(
さんび
)
の言葉をおしまない。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
そう
云
(
い
)
いかけて、青年は口を
噤
(
つぐ
)
んでしまった。が、口の中では、美奈子の
慎
(
つつ
)
ましさや美しさに対する
讃美
(
さんび
)
の言葉を、
噛
(
か
)
み
潰
(
つぶ
)
したのに違いなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そうしてその運命に備えられる巨大な意義を
讃美
(
さんび
)
しようとするのである。天才を讃える者がしばしば見失った一つの真理を呼び覚まそうとするのである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
僕たちは寄ってたかっておまえを
讃美
(
さんび
)
して夜を
更
(
ふ
)
かすんだよ。もっともこのごろは、あまり夜更かしをすると、なおのこと腹がすくんで、少し控え気味にはしているがね。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
こうした大貴族の家に生まれて、栄華に戯れてもいるはずの人が
蛍雪
(
けいせつ
)
の苦を積んで学問を志すということをいろいろの
譬
(
たと
)
えを借りて
讃美
(
さんび
)
した作は句ごとにおもしろかった。
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ある伝記者はリストの豊かなる愛情を
讃美
(
さんび
)
して、それは全く比類のないものであったと言っている。彼は接する者誰にでも、
満腔
(
まんこう
)
の親しさと愛とを注ぎかけずにはおかなかった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
爾来
(
じらい
)
二十年を
閲
(
けみ
)
した今日、このリヴィングストンの崇拝者は或
基督
(
キリスト
)
教会の機関雑誌に
不相変
(
あいかわらず
)
リヴィングストンを
讃美
(
さんび
)
している。のみならず彼の文章はこう言う一行に始まっている。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
主筆 すると恋愛の
讃美
(
さんび
)
ですね。それはいよいよ結構です。
厨川
(
くりやがわ
)
博士
(
はかせ
)
の「近代恋愛論」以来、一般に青年男女の心は恋愛至上主義に傾いていますから。……勿論近代的恋愛でしょうね?
或恋愛小説
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
春秋の優劣を論じる人は昔から秋をよいとするほうの数が多いのであったが、六条院の春の庭のながめに説を変えた人々はまたこのごろでは秋の
讃美
(
さんび
)
者になっていた、世の中というもののように。
源氏物語:28 野分
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
おまけに結末は女主人公の幸福を
讃美
(
さんび
)
しているのです。
或恋愛小説
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“讃美”の意味
《名詞》
讃 美(さんび)
賛美の「同音の漢字による書きかえ」。
(出典:Wiktionary)
讃
漢検準1級
部首:⾔
22画
美
常用漢字
小3
部首:⽺
9画
“讃美”で始まる語句
讃美歌
讃美者
讃美詞
讃美点