西班牙スペイン)” の例文
しかるに今よりおよそ三百七十年前、初めて葡萄牙ポルトガル及び西班牙スペインと交通するに至って、欧州文明が多少輸入されることとなったのである。
要するにうちのペトラに恋人あり、その名をモラガスと言って西班牙スペイン名題歌舞伎リカルド・カルヴォ一座の、まあ言わば馬の脚だった。
我我は盗賊、殺戮、姦淫等に於ても、決して「黄金の島」を探しに来た西班牙スペイン人、葡萄牙ポルトガル人、和蘭オランダ人、英吉利イギリス人等に劣らなかつた。
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
支那しな帝使を西班牙スペイン帝使のしもに座せしめ、わがたり友たる西帝せいていの使を、賊たり無頼の徒たる支那帝の使の下にせしむるなかれといしと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
奇怪極まるこの評判が西班牙スペイン中に拡がった頃一人の勝れた心霊学者がマドリッド市長の依頼に依ってマドリッド市へ研究に来た。
物凄き人喰い花の怪 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そんないらぬ心配よりも早く金を呉れというのである。彼が教会と言ったのは、コロールに在る独逸ドイツ教会か西班牙スペイン教会かのいずれかである。
南島譚:03 雞 (新字新仮名) / 中島敦(著)
T—の頭には、小笠原島で見た漁夫や、漂流の西班牙スペイン人や、多勢の雑種あいのこについて、小説にして見たいと思うようなものがたくさんあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ラロの『西班牙スペイン交響曲』と、ベートーヴェンの『クロイツェル・ソナタ』と、バッハの『協奏曲第二番』を代表作として掲げようと思う。
たとへば和蘭オランダのレンブラント仏蘭西のコロオ西班牙スペインのゴヤとまた仏国の諷刺ふうし画家ドオミエーとを一時に混同したるが如き大家なりとなせり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
西班牙スペイン人の父と、猶太ユダヤ人の母との間に生れた混血児だと申しますが、一見したところでは純然たるヤンキーとしか思われませぬ。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
自分はナシヨナル博物館で伊太利イタリイ西班牙スペインの昔の諸大家の絵を、テエト博物館で英国近代の名家の絵を観た事に幸ひを感じた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「筑前、筑前。そんな所をいくら見ていても日本はないぞ。その辺りは、羅馬ローマ西班牙スペイン、また、埃及エジプトなどという国々のいておる内海うちうみ——」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところで西洋の文学上で近代的な女というのはどんなだい。それ何とかいう西班牙スペインの無政府主義者の女ね。あれなんかどうだい。
新時代女性問答 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
転げた西班牙スペインナイフの青い彫刻の周囲で血がまだ静かな活動を続けていた。甲谷は死体をまたいで外へ出ると、参木にいった。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
あたしたちが案内されたのは、西班牙スペイン風の建物の下の一室で、建物の入口には、ヴイラ・セリユバンといふ札が出てゐる。
ふと見ると庭に沿った長い側廊アイルを、ブロンド編髪をやさしく胸に垂れ、レエスの胸衣ジレに鯨骨入りのスカートをつけて大きな西班牙スペインの扇を持った少女が
ハムレット (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
“The Four Horseman of Apocalypse.”を書いて俄に注目の焦点と成った西班牙スペインのブラスコ・イバンツを始め
この小話は、墺太利オウストリーのカアル皇帝が、西班牙スペイン領の離れ小島で崩じた時と、同じような感銘を僕に与えたとおもうから、ここに書きしるしておこう。
紙幣鶴 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
それで学院の隣に別な小さな門があって、そこに平屋建ての、西班牙スペイン風な瀟洒しょうしゃな住宅があったが、学院の校舎とは庭つづきで行け行けになっていた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
西班牙スペイン宗教審問所に設けられたのが最初。ウファ映画「会議が踊る」の中で、メテルニッヒがウエリントンの会話などを盗み聴くあれがそうである。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
三十七年の十月の或る夜、暴風雨が来て、バギオとは西班牙スペイン語で暴風のことだと想いだした途端に、小屋が吹き飛ばされ、道路は崩れて、橋も流された。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
これは有名なある画家のいた名高い絵であって、伯爵が叔父にあたる西班牙スペインの貴族ボバドイラ侯爵から伝えられたものである。判事がまず口を開いて
博士 これは、仏国の大帝奈翁ナポレオンが、西暦千八百八年、西班牙スペイン遠征の途に上りました時、かねて世界有数の読書家。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
妹の母は西班牙スペイン人でした。もう亡くなりましたが。——複雑した家庭に産れたものですから、彼女あれも幼い時からいろいろ苦労しましてね、可哀想な女です。
黒猫十三 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
西班牙スペイン人の男性か女性か知らないが、第一回に嚔をしたものゝ上に百千ももちの呪いあれ! 嚔はその処置を市当局で斯くの如く制定するほどの重大事件になった。
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
十五世紀の頃にはアレキサンダー法王が世界を二分して西は西班牙スペインに与え、東は葡萄牙ポルチュガルに分けた。しかしてその時の起算点はアゾーレス群島の近傍であった。
東西相触れて (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
……たとえば、首相のシュレイゲル様、外務大臣のハイベルグ様もそうですし、近くは西班牙スペイン大使のエスピネル様も、手に取って御覧になったことがあります
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
元来西班牙スペインの広大な領土は宣教師ばてれんを手先に使つて侵略したものだとまことしやかに述べ立てる西班牙人があり
丁度セルヴァンテスの三百年祭も来ていて、あの「ドン・キホオテ」を書いた西班牙スペインの名高い作者を記念するための新刊の著述なぞが本屋の店頭みせさきを飾っていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかれども王家あにこれをもって教をたつるものならんや。百露の王すでに西班牙スペインのために滅さる今にいたりて、天孫の国、万国と角立かくりつするもの、ひとり皇国あるのみ。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
そのほか欧洲各国の王室費では西班牙スペインのが一・八五〇・〇〇〇弗、白耳義ベルジユームのが八七五・〇〇〇弗、丁抹デンマークのが三四五・〇〇〇弗、和蘭オランダのが五二五・〇〇〇弗といふ事だ。
今や海濤かいとうを踏んで隣家の如く互いに往来したる、西南群島もしくは葡萄牙ポルトガル西班牙スペイン英吉利イギリス等は、星界よりも遠く、日に相交渉するは、その咫尺しせき相接する隣藩のみ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ベースボールはもと亜米利加アメリカ合衆国の国技とも称すべきものにしてその遊技の国民一般に賞翫しょうがんせらるるはあたかも我邦わがくに相撲すもう西班牙スペイン闘牛とうぎゅうなどにも類せりとか聞きぬ。
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
名をゼロニモ・ルジエラと云いて、西班牙スペインの産なるが、今や此世にのぞみを絶ちて自らくびれなんとす。
女の決闘 (新字新仮名) / 太宰治(著)
西班牙スペインの探検者たちが、加州にシエラ・ネヴァダ山脈を見つけたよりも、三世紀も遅れている。
火と氷のシャスタ山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
安中は西班牙スペインの Piaster や葡萄牙ポルトガルの Tostao を宇都宮に見せて問うてゐる。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
諸君は南欧の小部落バスクを認識せらるるであらうか? 仏蘭西フランス西班牙スペイン両国の国境をなすピレネエ山脈を、やや仏蘭西に降る時、諸君は小部落バスクに逢着するのである。
風博士 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
近時東京や大阪等の郊外に建てられる洋館に、好んで西班牙スペイン風の赤の丸瓦を用いることが流行して来ました。黒瓦にき平瓦に厭きた人たちのがたい求めだと思われます。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ヨーロッパの西班牙スペインという国で、最初にこのアメリカを見つけてから、コルテツとか、ピザロとかいう豪傑が押しかけて行ったのですが、これが土地を拓くつもりではなく
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
己は此国の古の神々の如くにならうと思つた。——いや己は今もならうと思つてゐる。己は若い時に己が西班牙スペインの修道院で発見した希伯来ヘブライの文書を読んで、かう云ふ事を知つた。
この国が西班牙スペインから独立したのは今より約百年の昔であるが、それ以来今日まで大統領の地位は常に血を以て争われ、歴代の大統領中無事に天命を全うし得た者は極めて少ない。
もつて西班牙スペイン政府の捕ふるところとなり、同十月十三日獄中にて銃殺せらる。——訳者
少数と多数 (新字旧仮名) / エマ・ゴールドマン(著)
サバチニはよく西班牙スペインあたりを舞台にして探偵小説を書くが、イギリス、フランス
歴史的探偵小説の興味 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
また西班牙スペインの或る物をさえ思わせるような一帯の風物を一目見るや、此処こここそ自分の求めている場所と信じて、その町の一つのシェルに暫く滞在し、附近を捜しまわったがそれもむなしく
雉子日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
広い帯を締めた西班牙スペイン種の玉葱があって、西班牙の坊さんのように勢いよく肥え太ってぴかつきながら、娘っ子が通りかかる度に、淫奔で狡猾そうな眼附きで棚の上からそっと目配せしたり
一五七五年即ち天正三年アルカラ(西班牙スペイン)の出版である。
西班牙スペイン葡萄牙ポルトガル等が独りこれを行ったばかりでなく、英も仏も皆当時はそのひそみならって同様な非人道的なことを行っていたものであった。
永久平和の先決問題 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
同じ東洋人なる支那の貴公子よ、わらわを固く信じ給え、西班牙スペインの愚人の守りおる彼の水晶球を奪い取り妾の住居へ来たりたまえ。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
まことは満船の客英人ならぬは敷島のやまとの国を故郷ふるさととして帰る七人と、独逸ドイツ一人ひとり西班牙スペイン一人ひとり仏蘭西フランス人一組の夫婦あるのみにさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そして、この西班牙スペイン的な群集・西班牙的な乗物・西班牙的な騒音!——それがどうだ! 今やひしと町の一方をさして渦まいて往く。闘牛場へ!