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目的
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あて
ふりがな文庫
“
目的
(
あて
)” の例文
兄さんは
目的
(
あて
)
もなくまたとめどもなくそこいらを歩いたあげく、しまいに疲れたなりで疲れた場所に蹲踞んでしまったのだそうです。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かれは起きるが早いか、
丁字風呂
(
ちょうじぶろ
)
を出て、今日はハッキリとした
目的
(
あて
)
のあるものの如く、音羽を経て、目白の台へスタスタと上ってゆく。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで今井の叔父さんの持ち場も鹿の逃げ路に当たっているので、鹿の来るのを待っているのも決して
目的
(
あて
)
のないのではない。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
何時
(
いつ
)
しか暗い
陰影
(
かげ
)
が
頭腦
(
あたま
)
に
擴
(
はびこ
)
つて來る。私は、
恁
(
か
)
うして何處へといふ確かな
目的
(
あて
)
もなく、外套を
引被
(
ひつか
)
けて外へ飛び出して了ふ。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
けれどもそうして書箱に、そんな
種々
(
いろん
)
な書籍があって、それを時々出して見ていれば、其処に生き
効
(
がい
)
もあれば、また
目的
(
あて
)
もあるように思えた。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
虎杖
(
いたどり
)
の花の白く咲いた、荷車の砂塵のはげしい多摩川道を静かにどこという
目的
(
あて
)
もなく物思いながらたどるのである。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
狡辛
(
こすから
)
く世を送つてゐるものだから、嵌め込む
目的
(
あて
)
が無い時は質に入れたり、色気の見える客が出た時は急に質受けしたり、十余年の間といふものは
骨董
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
誠に我れは此處をはなれてはいづくへ行かん
目的
(
あて
)
もなく、道にて病まば誰れかは助けん其まゝの行仆れと、我身の弱きに心さへ折れて、恥かしけれど直次郎
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
又
頽然
(
ぐたり
)
となると、足の運びも自然と
遅
(
おそ
)
くなり、そろりそろりと草履を
引摺
(
ひきずり
)
ながら、
目的
(
あて
)
もなく
小迷
(
さまよ
)
って行く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
現にぎっしり詰った
鬱金
(
うこん
)
木綿の財布の紐を首から下げて死んでいるのでも
目的
(
あて
)
が
鳥目
(
ちょうもく
)
でないことは知れる。
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ところが、十五歩ばかり離れた並木通のはずれに、一人の紳士が立ち止まって、いかにも何か
目的
(
あて
)
があるらしく、しきりに娘の方へ近づこうとしている様子だった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
見渡
(
みわた
)
す
限
(
かぎ
)
り
雲煙
(
うんゑん
)
渺茫
(
べうぼう
)
たる
大空
(
おほぞら
)
に
漂蕩
(
へうたう
)
して、
西
(
にし
)
も、
東
(
ひがし
)
も
定
(
さだ
)
めなき
今
(
いま
)
、
何時
(
いつ
)
大陸
(
たいりく
)
に
達
(
たつ
)
して、
何時
(
いつ
)
橄欖島
(
かんらんたう
)
に
赴
(
おもむ
)
き
得
(
う
)
べしといふ
目的
(
あて
)
もなければ、
其内
(
そのうち
)
に
豫定
(
よてい
)
の廿五
日
(
にち
)
も
※
(
す
)
ぎ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
誰に見せて喜んで貰おうという
目的
(
あて
)
も必要もないこの土地で、なにもそんな時間を掛けて流行の髪に結うことはないじゃないか。雑誌までが、彼には嘘に見えてくる。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
三「有るにア有るけれども、昔と違って
突然
(
だしぬけ
)
に
目的
(
あて
)
が外れたりして極りが無いから困りますのさ」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そんなものを買おうというのだ? いったい何の
目的
(
あて
)
があって、どこへおっつけるために
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「今夜は何処って
目的
(
あて
)
もない。唯誘い出してやれば停留場で別れても宜いんだ」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それで、急にまた
出京
(
でてく
)
るという
目的
(
あて
)
もないから、お前さんにも無理な相談をしたようなわけなんだ。
先日来
(
こないだから
)
のようにお前さんが泣いてばかりいちゃア、
談話
(
はなし
)
は出来ないし、実に困りきッていたんだ。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
栞は木々を縫って
目的
(
あて
)
なく
彷徨
(
さまよ
)
って行った。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
目的
(
あて
)
もなくやっつけたのです」
無駄骨
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
ゆき子は
目的
(
あて
)
もなかつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
彼はこの
宵
(
よい
)
の自分を顧りみて、ほとんど
夢中歩行者
(
ソムナンビュリスト
)
のような気がした。彼の行為は、
目的
(
あて
)
もなく
家中
(
うちじゅう
)
彷徨
(
うろつ
)
き廻ったと一般であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何時しか暗い
陰影
(
かげ
)
が
頭脳
(
あたま
)
に
拡
(
はびこ
)
つて来る。私は、
恁
(
か
)
うして何処へといふ確かな
目的
(
あて
)
もなく、外套を
引被
(
ひつか
)
けて外へ飛び出して了ふ。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
どこへどういう
目的
(
あて
)
などは元よりないのである。
藪
(
やぶ
)
や畑や雑草の中を、ただ怖ろしさに駆けられるだけ駆けたのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
狡辛
(
こすから
)
く世を送っているものだから、
嵌
(
は
)
め込む
目的
(
あて
)
がない時は
質
(
しち
)
に入れたり、色気の見える客が出た時は急に質受けしたり、十余年の間というものは
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
けれども唯お前と差向ってばかりいたのでは何を
目的
(
あて
)
に生きているのか、というような気がして、心が寂しい。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
坂本町に住む伯母の
知己
(
しりあい
)
の世話で私が目黒の駅に務めることになったのは、去年の夏の暮であった。私はもう食を得ることよりほかにさしあたりの
目的
(
あて
)
はない。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
かといって、どこと定まる
目的
(
あて
)
もないらしく、今夜のように足にまかせてほうつきまわるのだが、公儀を向こうへまわす身にとっては寸刻の油断もあってはならぬ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼はフラフラと
目的
(
あて
)
もなく
市
(
まち
)
じゅうを歩きまわりながら、これは一体、自分の頭が狂っているのか、それとも役人どもの気がふれているのか、これは夢の中の出来ごとなのか
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
今
(
いま
)
吾等
(
われら
)
は、
重大
(
ぢゆうだい
)
の
使命
(
しめい
)
を
帶
(
お
)
びながら、
何時
(
いつ
)
大陸
(
たいりく
)
へ
着
(
つ
)
くといふ
目的
(
あて
)
も
無
(
な
)
く、
此儘
(
このまゝ
)
に
空中
(
くうちう
)
に
漂蕩
(
へうたう
)
して
居
(
を
)
つて、
其間
(
そのあひだ
)
に
空
(
むな
)
しく
豫定
(
よてい
)
の
期日
(
きじつ
)
を
經※
(
けいくわ
)
してしまつた
事
(
こと
)
ならば、
後悔
(
こうくわい
)
臍
(
ほぞ
)
を
噛
(
か
)
むとも
及
(
およ
)
ぶまい。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
又そんな不実な人ではありませぬ、じゃア
宜
(
よ
)
うがすが、何処か
行
(
ゆ
)
く所がありますかと云うと、何処も
目的
(
あて
)
がねえ、こう云うから
私
(
わっち
)
も困って、兎も角粂さんに逢ってからの事に仕ましょうといって
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
斯ういう風に先祖代々観光客のお賽銭の
零
(
こぼ
)
れを
目的
(
あて
)
にして生計を立てゝいますから、奈良の人はそれは/\消極的ですわ。多少企業心のあるのは遷都の折、皆京へついて行ってしまったのですもの。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
十
(
とお
)
のものには十五の返しをなさる御姉さんの気性を知ってるもんだから、皆なその御礼を
目的
(
あて
)
に何か呉れるんだそうですよ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「七内様は、何も話してくれないので。——人間、
目的
(
あて
)
の分らないことをやっている程、苦しいことはございません」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
渠は
恁麽
(
こんな
)
事を
止度
(
とめど
)
もなく滅茶苦茶に考へ乍ら、
目的
(
あて
)
もなく唯町中を
彷徨
(
うろつ
)
き𢌞つて居た。何處から
怎
(
どう
)
歩いたか自身にも解らぬ。洲崎町の角の煙草屋の前には二度出た。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それからそれへと、
種々
(
いろん
)
なことが思われて、相変らず心の遣りばに迷いながら、気抜けがしたようになって、またしても、以前のように何処という
目的
(
あて
)
もなく方々歩き廻った。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ここで彼は、別に何の
目的
(
あて
)
もなしに、ほんのちょっと嘘を吐いたのだが、それが思わぬ効果を表わした。御用達という言葉が、強くナスターシャ・ペトローヴナの心を動かした。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
せめて腕の半分も
吾夫
(
うちのひと
)
の気心が働いて呉れたならば斯も貧乏は為まいに、
技倆
(
わざ
)
はあつても宝の持ち腐れの
俗諺
(
たとへ
)
の通り、
何日
(
いつ
)
其
手腕
(
うで
)
の顕れて万人の眼に止まると云ふことの
目的
(
あて
)
もない
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
これからどこへ行くという
目的
(
あて
)
のない私は、ただ先生の歩く方へ歩いて行った。先生はいつもより口数を
利
(
き
)
かなかった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、
掻
(
か
)
いつまんだ
理由
(
わけ
)
を話しながら、二つの笠の間に挟まれて、何処へ落ち着く
目的
(
あて
)
もなく歩きだした。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
渠は
恁麽
(
こんな
)
事を止度もなく滅茶苦茶に考へ乍ら、
目的
(
あて
)
もなく唯町中を
彷徨
(
うろつ
)
き廻つて居た。何処から
怎
(
どう
)
歩いたか自身にも解らぬ。洲崎町の角の煙草屋の前には二度出た。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
せめて腕の半分も吾夫の気心が働いてくれたならばこうも貧乏はしまいに、
技倆
(
わざ
)
はあっても宝の持ち腐れの
俗諺
(
たとえ
)
の通り、いつその
手腕
(
うで
)
の
顕
(
あら
)
われて万人の眼に止まるということの
目的
(
あて
)
もない
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「今までは
金鵄勲章
(
きんしくんしょう
)
の年金だけはちゃんちゃんとこっちへ来たんですがね。それが急になくなると、まるで
目的
(
あて
)
が外れるような始末で、
私
(
わたし
)
も困るんです」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして又、
目的
(
あて
)
もなく軒下の日陰に立つて、時々藤野さんの姿の見えるのを待つてゐたものだ。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「おい、戸狩へ帰んねえ。おらあ、これから
目的
(
あて
)
なしに高飛びだ。お父っさんによろしくな」
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目的
(
あて
)
なしにただ来るはずがないという感じが細君には強くあった。健三も丁度同じ感じに多少支配されていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「今、話を聞いていたところだが、唖への計略は、すっかり
目的
(
あて
)
が
外
(
はず
)
れたそうだな」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目的
(
あて
)
が外れたといふ樣に、富江は急に眞面目な顏をして、『
眞箇
(
ほんとう
)
ですよ。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私にはただ卒業したという自覚があるだけで、これから何をしようという
目的
(
あて
)
もなかった。返事にためらっている私を見た時、奥さんは「教師?」と聞いた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
目的
(
あて
)
が
脱
(
はづ
)
れたといふ様に、富江は急に真面目な顔をして
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「まるで
目的
(
あて
)
が
外
(
はず
)
れました」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“目的”の解説
目的(もくてき、el: τέλος, テロス、en: goal)とは、成し遂げようとすることがら。行為の目指すところ。
(出典:Wikipedia)
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
的
常用漢字
小4
部首:⽩
8画
“目的”で始まる語句
目的地
目的物
目的点
目的成就
目的のない犯罪