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案外
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あんがい
ふりがな文庫
“
案外
(
あんがい
)” の例文
とかく我々が思わぬことを聞いたり見たりすると、一時
案外
(
あんがい
)
の驚きに打たれて、その人が
故意
(
こい
)
に我を
欺
(
あざむ
)
けりと判断することがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
訊問
(
じんもん
)
すると、
案外
(
あんがい
)
にも
老人
(
ろうじん
)
のことを、
借金
(
しゃっきん
)
の
取立
(
とりた
)
てがきびしくへんくつだが、
面白
(
おもしろ
)
いところのある
人物
(
じんぶつ
)
だといつたし、また
借金
(
しゃっきん
)
のことで
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
敦子
(
あつこ
)
さまはそう
言
(
い
)
って、
私
(
わたくし
)
に
膝
(
ひざ
)
をすり
寄
(
よ
)
せました。
私
(
わたくし
)
は
何事
(
なにごと
)
かしらと、
襟
(
えり
)
を
正
(
ただ
)
しましたが、
案外
(
あんがい
)
それはつまらないことでございました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
人の力でどうにもならないのは、
皮肉
(
ひにく
)
な
運命
(
うんめい
)
で、その運命をえて
案外
(
あんがい
)
にくるわすものは、これまた人力の自由にならぬ時間というものである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この新しい生活はなかなかわたしには苦しかったが、しかしこれまでの
浮浪人
(
ふろうにん
)
の生活と
似
(
に
)
ても似つかない
労働
(
ろうどう
)
の生活が
案外
(
あんがい
)
早くからだに
慣
(
な
)
れた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
みんなは、
老人
(
ろうじん
)
を
海岸
(
かいがん
)
へひきずってきました。そして、みんなをあざむいたことをなじりました。すると、
老人
(
ろうじん
)
は、
案外
(
あんがい
)
平気
(
へいき
)
な
顔
(
かお
)
をしていいました。
明るき世界へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あてどもなく、足の向くままに歩いていると、
賑
(
にぎや
)
かな新橋の
交叉点
(
こうさてん
)
に出た。浜の公園から新橋までは
案外
(
あんがい
)
近かった。
女妖:01 前篇
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
国王はケメトスがまだ十五六歳の若者であるのを見て、
案外
(
あんがい
)
な気がされました。しかしその技をためしてみられると、初めて舌を
捲
(
ま
)
いて驚かれました。
彗星の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
内部
(
ないぶ
)
は
案外
(
あんがい
)
綺麗
(
きれい
)
でありますから、ちょっとこゝで
住居
(
じゆうきよ
)
してもよいと
思
(
おも
)
ふほどであります。
道理
(
どうり
)
で
時
(
とき
)
には
乞食
(
こじき
)
などが、この
石室
(
せきしつ
)
に
住
(
す
)
んだりしてをります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
二人とも
案外
(
あんがい
)
見られる服装をしてやって来た。この
界隈
(
かいわい
)
の人の間には共通の負けん気があった。いざというときは町の小商人にヒケはとらないという
性根
(
しょうね
)
であった。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
卓子掛
(
てーぶるかけ
)
や
椅子
(
いす
)
の
緋色
(
ひいろ
)
づくめな
部屋
(
へや
)
には
数人
(
すうにん
)
のR
国
(
こく
)
の
男女
(
だんじよ
)
がゐて、
私
(
わたし
)
の
仲間
(
なかま
)
は
案外
(
あんがい
)
にも
極
(
きわ
)
めて
小数
(
せうすう
)
であつた。その
多
(
おう
)
くは
夫人帯同
(
ふじんたいどう
)
であつたことも、
私
(
わたし
)
には
意外
(
いがい
)
であつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
通商貿易
(
つうしょうぼうえき
)
の
利益
(
りえき
)
など最初より期するところに非ざりしに、おいおい日本の
様子
(
ようす
)
を見れば
案外
(
あんがい
)
開
(
ひら
)
けたる国にして
生糸
(
きいと
)
その他の
物産
(
ぶっさん
)
に
乏
(
とぼ
)
しからず、
随
(
したがっ
)
て案外にも外国品を
需用
(
じゅよう
)
するの力あるにぞ
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
と、いひますと、
姫
(
ひめ
)
は
案外
(
あんがい
)
の
顏
(
かほ
)
をして
答
(
こた
)
へ
澁
(
しぶ
)
つてゐましたが、
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
案外
(
あんがい
)
勝負に強いのかも知れぬ。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
案外
(
あんがい
)
に多き気もせらる
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
次
(
つ
)
ぎに
案外
(
あんがい
)
多
(
おお
)
いのは
若
(
わか
)
い
男女
(
だんじょ
)
の
祈願
(
きがん
)
……つまり
好
(
す
)
いた
同志
(
どうし
)
が
是非
(
ぜひ
)
添
(
そ
)
わしてほしいと
言
(
い
)
ったような
祈願
(
きがん
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
やりかけているとは思うが、そのできそうもないことが
案外
(
あんがい
)
成功
(
せいこう
)
することは、これまでもないことではなかったのだから。ささ、おれたちにキッスをおし
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「そうだ、これなら
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
。ねえ
猿
(
さる
)
さん、お前は
猿智慧
(
さるぢえ
)
といって、たいそう
利巧
(
りこう
)
だそうだが、
案外
(
あんがい
)
馬鹿
(
ばか
)
だなあ。今私が
大蛇
(
おろち
)
を
退治
(
たいじ
)
てあげるから、見ていなさいよ」
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
平常の
鍛錬
(
たんれん
)
が成ればたまたま大々的の
煩悶
(
はんもん
)
の
襲
(
おそ
)
い来る時にあたっても解決が
案外
(
あんがい
)
容易
(
ようい
)
に出来る。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
怖
(
おそ
)
ろしい
顔
(
かお
)
をしているが、
案外
(
あんがい
)
、
心
(
こころ
)
のやさしい
雷
(
かみなり
)
は、
太
(
ふと
)
いしゃがれた
声
(
こえ
)
をだして
ぴかぴかする夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
案外
(
あんがい
)
にさばけた
挨拶
(
あいさつ
)
をして、
笑顔
(
えがお
)
を
見
(
み
)
せてくれましたので、
私
(
わたくし
)
も
大
(
たい
)
へんに
心
(
こころ
)
が
落
(
おち
)
つき、
天狗
(
てんぐ
)
さんというものは
割合
(
わりあい
)
にやさしい
所
(
ところ
)
もあるものだと
悟
(
さと
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
時計
(
とけい
)
が二つあったときよりも、一つになったときのほうが、
村
(
むら
)
のまとまりがつかなくなったのです。
甲
(
こう
)
のほうも、
案外
(
あんがい
)
乙
(
おつ
)
のほうが
自分
(
じぶん
)
たちに
従
(
したが
)
ってこないのを
知
(
し
)
ると、
困
(
こま
)
ってしまったのです。
時計のない村
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
先生
(
せんせい
)
は、
案外
(
あんがい
)
カナリヤの
痛々
(
いたいた
)
しい
傷
(
きず
)
を
見
(
み
)
ても
平気
(
へいき
)
でした。
薬売りの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“案外”の意味
《形容動詞・名詞》
思いの外。意外。
《形容動詞》
思いの外の。意外な。
(context、dated) 無礼な。
(出典:Wiktionary)
案
常用漢字
小4
部首:⽊
10画
外
常用漢字
小2
部首:⼣
5画
“案”で始まる語句
案
案山子
案内
案内者
案排
案配
案内人
案事
案内役
案主