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ありてい
ふりがな文庫
“
有体
(
ありてい
)” の例文
旧字:
有體
有体
(
ありてい
)
に言えば、少年の岸本に取っては、父というものはただただ恐いもの、
頑固
(
がんこ
)
なもの、窮屈で
堪
(
たま
)
らないものとしか思われなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
有体
(
ありてい
)
に云うと、己はまだ充分に催眠術にかゝっては居なかった。強いて彼の女に反抗したければ、必ずしも反抗出来ない事はなかった。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
有体
(
ありてい
)
にいうと、私は紅葉の著作には世間が騒ぐほどに感服していなかった。その生活や態度や人物にも
慊
(
あきた
)
らなく思う事が多かった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
有体
(
ありてい
)
にいうと、お延と結婚する前の津田は一人の女を愛していた。そうしてその女を愛させるように仕向けたものは吉川夫人であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
検査官は彼れの首筋を捕えて柔かに引起し今更彼是れ云うても無益だ
有体
(
ありてい
)
に白状しろ白状するに越した事は無いと
諭
(
さと
)
しました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
▼ もっと見る
如何様
(
いかよう
)
に陳じても
遁
(
のが
)
れん処であるぞ、兎や角陳ずると厳しい処の責めに
遇
(
あ
)
わんければならんぞ、よく考えて、
迚
(
とて
)
も
免
(
のが
)
れん道と心得て
有体
(
ありてい
)
に申せ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
売僧
(
まいす
)
、その袖の首は、何としたものじゃ、僧侶の身にあるまじき
曲事
(
くせごと
)
、
有体
(
ありてい
)
に申せばよし、
偽
(
いつわ
)
り申すとためにならぬぞ」
轆轤首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
あのとき守宮を釘からはずすか
有体
(
ありてい
)
にいうかしたら、こんなことにはならなかった……守宮の祟りとはいいながら、煎じつめたところあっしの罪。
顎十郎捕物帳:24 蠑螈
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「主人と言えば、親にもまさる大切なご恩人、然るにあの素浪人共の手先となって、毒蛇など仕掛けるとは何事じゃ。かくさず
有体
(
ありてい
)
に申し立てろ」
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
私は正直な煙客翁が、
有体
(
ありてい
)
な返事をしはしないかと、内心
冷
(
ひ
)
や
冷
(
ひ
)
やしていました。しかし王氏を失望させるのは、さすがに翁も気の毒だったのでしょう。
秋山図
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こうして何もかも
有体
(
ありてい
)
に報告いたしましたうえで、国家のためと思って黙っていていただきたいと、口止料というようなものを持ってまいっているのです。
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「お前が古井戸の中へ女を抛り込んだ事はいかに隠そうとしても無駄な事なのだ。早く
有体
(
ありてい
)
に云って
終
(
しま
)
え」
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
そのあいだに使いの者の主観や感情の混入するなく、ありのまま、
有体
(
ありてい
)
の報告が、最上とされている。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こうなれば何もかも
有体
(
ありてい
)
に申し上げますが、わたくしは決して悪事を働いた覚えはございません」
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もうこうなっちゃあ智慧も何も、有ったところで役に立たねえ、
有体
(
ありてい
)
に白状すりゃこんなもんだ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
作平さん、お前は
怨
(
うらみ
)
だぜ、そうでなくッてさえ、今日はお
極
(
きま
)
りのお客様が無けりゃ
可
(
い
)
いが、と朝から
父親
(
おやじ
)
の精進日ぐらいな気がしているから、
有体
(
ありてい
)
の処腹の
中
(
うち
)
じゃお題目だ。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その二人が何をするか見ようと思つて跡をつけて見た事を
有体
(
ありてい
)
に話した後で附け足した。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
有体
(
ありてい
)
に言ふと、坪内君の最初の作『書生気質』は傑作でも何でも無い。(中略)であるから坪内君の『書生気質』を読んでも一向驚かず、平たく言ふと、文学士なんてものは小説を
言文一致
(新字旧仮名)
/
水野葉舟
(著)
ですから
有体
(
ありてい
)
にいえば、少年はわざと負けてかえるつもりで家を出てきているのです。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「イヤ。根拠と云われると困るのですが……
有体
(
ありてい
)
に白状しますと、私の意見というのはタッタ今、あなたのお話を聞いているうちに、私の第六感が感じた判断に過ぎないのですからね」
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それとてもたいてい
紋切形
(
もんきりがた
)
の悽文句で、この寺は裕福だと聞いて来たのに、これんばかりの
端金
(
はしたがね
)
では承知ができねえ、もっと隠してあるだろう、
有体
(
ありてい
)
にいってしまわねえと為めにならねえ
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかしながら
有体
(
ありてい
)
に言えば、私の貧弱なる知識では、この説の前半の当否を、批判することが出来ぬのである。何となれば私はアッシリヤに関しては、
毫末
(
ごうまつ
)
の知識だに有していぬからである。
獅子舞雑考
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
有体
(
ありてい
)
にいえば、妾は幼時の男装を恥じて以来、天の女性に賜わりし特色をもて
些
(
いささ
)
かなりとも世に尽さん考えなりしに、
図
(
はか
)
らずも殺風景の事件に
与
(
くみ
)
したればこそ、かかる誤認をも招きたるならめ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
何らか特別の手落ちがなくてはこうなるはずはないと問い掛けられて、奥の人たちは今さら隠すわけにも行かず、実はこれこれでと右の婆さんの一条を話し、薬は二日休んだと
有体
(
ありてい
)
に申しました。
幕末維新懐古談:28 東雲師逝去のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
……
其方共儀
(
そのほうどもぎ
)
、
一途
(
いちず
)
ニ御為ヲ存ジ
可訴出
(
うったえいずべく
)
候ワバ、
疑敷
(
うたがわしく
)
心附候
趣
(
おもむき
)
、
虚実
(
きょじつ
)
ニ
不拘
(
かかわらず
)
見聞
(
けんぶん
)
ニ
及
(
およ
)
ビ候
通
(
とおり
)
、
有体
(
ありてい
)
ニ
訴出
(
うったえいず
)
ベキ所、上モナク
恐
(
おそれ
)
多キ儀ヲ、厚ク
相聞
(
あいきこ
)
エ候様
取拵申立
(
とりこしらえもうしたて
)
候儀ハ、
都
(
すべ
)
テ公儀ヲ
憚
(
はばか
)
ラザル致方
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
有体
(
ありてい
)
にいうと、坪内君の最初の作『書生気質』は傑作でも何でもない。愚作であると公言しても坪内君は決して腹を立てまい。
明治の文学の開拓者:――坪内逍遥――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
有体
(
ありてい
)
に
見透
(
みすか
)
した叔父の腹の中を、お延に云わせると、彼はけっして彼女に大切な夫としての津田を好いていなかったのである。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
有体
(
ありてい
)
に言えば、エホバの神とはあの三十代で十字架にかかったという基督よりももっと
老年
(
としより
)
で、年の頃およそ五十ぐらいで
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
伴「なにー、
博賭
(
ばくち
)
に勝ったと、馬鹿ア云え、
汝
(
てめえ
)
の様なケチな一文賭博をする奴が
古金
(
こきん
)
で
授受
(
とりやり
)
をするかえ、
有体
(
ありてい
)
に申上げろ」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
有体
(
ありてい
)
に白状すべきかどうか、さんざ迷ったすえ、とりあえず、こんな具合に当り触りのないことを言ってみる。
犂氏の友情
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
有体
(
ありてい
)
に云うと、私は私の交際下手と語学の才の乏しいのに
愛憎
(
あいそ
)
を尽かして、そんな機会は一生
廻
(
めぐ
)
って来ないものとあきらめを附け、たまに外人団のオペラを見るとか
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
有体
(
ありてい
)
に言えば今のお絹は、男が欲しくて欲しくてたまらないのであります。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「白らばっくれるな。さっき南京玉を見たときに、てめえはどうして顔の色を変えた。さあ、
有体
(
ありてい
)
に申し立てろ。手前なんで甚右衛門を殺した。ほかにも同類があるだろう、みんな云ってしまえ」
半七捕物帳:28 雪達磨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
考えるまでもない、
手取
(
てっと
)
り早く
有体
(
ありてい
)
に見れば、正にこれ、往来
止
(
どめ
)
。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
アハハハ。これは又お義理の固いこと……
有体
(
ありてい
)
な事を
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
城太郎は、
有体
(
ありてい
)
に首を振る。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
有体
(
ありてい
)
に云えば、客を迎えるというより偶然客に
出喰
(
でっく
)
わしたというのが、この時の彼女の態度を評するには適当な言葉であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
奉「
然
(
しか
)
らば何故に殺したのじゃ、其の方の為になる得意先の夫婦を殺すとは、何か仔細がなければ相成らん、
有体
(
ありてい
)
に申せ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今後は
有体
(
ありてい
)
に、実意になし、送り状も御見せ下さるほど万事親切に御取り計らい下さらば、一同安心
致
(
いた
)
すべきこと。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
有体
(
ありてい
)
にいうと『其面影』も『平凡』も惰力的労作であった。勿論、何事にも真剣にならずにいられない性質だから、筆を
操
(
と
)
れば前後を忘れるほどに熱中した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「仕方がない。屋敷へ帰って
有体
(
ありてい
)
に申し上げるよりほかはあるまい」
半七捕物帳:11 朝顔屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
押えていては痛くって/\喋ることが出来ません、こうなった以上は
遁
(
に
)
げも隠れも致しませぬ、
有体
(
ありてい
)
に申すから其の手を放して下さい、あゝ痛い
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
有体
(
ありてい
)
に白状すれば私は善人でもあり悪人でも——悪人と云うのは自分ながら少々ひどいようだが、まず善悪とも多少
混
(
まじ
)
った人間なる一種の
代物
(
しろもの
)
で
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、私の思うままを
有体
(
ありてい
)
にいうと、純文芸は鴎外の本領ではない。劇作家または小説家としては
縦令
(
たとい
)
第二流を下らないでも第一流の巨匠でなかった事を
肯
(
あえ
)
て直言する。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
斯
(
か
)
う丑松は推量した。今夜の法話が
左様
(
さう
)
若い人の心を動かすとも受取れない。
有体
(
ありてい
)
に言へば、住職の説教はもう
旧
(
ふる
)
い、旧い遣方で、明治生れの人間の耳には
寧
(
いつ
)
そ異様に響くのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
有体
(
ありてい
)
なる
己
(
おの
)
れを忘れ
尽
(
つく
)
して純客観に眼をつくる時、始めてわれは画中の人物として、自然の景物と美しき調和を
保
(
たも
)
つ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
併
(
しか
)
し
然
(
そ
)
うで有るか無いか知れんものに疑念を掛けては済まんけれども、大切のことゆえ
有体
(
ありてい
)
に云ってくれ、其の
方
(
ほう
)
御舎弟様を大切に思うなれば云ってくれ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
が、
有体
(
ありてい
)
にいうと沼南は度量海の如き大人格でも、清濁
併
(
あわ
)
せ
呑
(
の
)
む大腹中でもなかった。それよりはむしろ小悪微罪に触れるさえ忍び得られないで独りを
潔
(
いさぎよ
)
うする潔癖家であった。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と言われて、原は
淋
(
さび
)
しそうに笑っていた。
有体
(
ありてい
)
に言えば、原は金沢の方を
辞
(
や
)
めて了ったけれども、都会へ出て来て未だこれという
目的
(
めあて
)
が無い。この度の出京はそれとなく職業を捜す為でもある。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こんな時にどうすれば詩的な
立脚地
(
りっきゃくち
)
に帰れるかと云えば、おのれの感じ、そのものを、おのが前に
据
(
す
)
えつけて、その感じから一歩
退
(
しりぞ
)
いて
有体
(
ありてい
)
に落ちついて
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“有”で始まる語句
有
有難
有無
有様
有之
有頂天
有耶無耶
有明
有名
有縁