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掌
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たなごゝろ
ふりがな文庫
“
掌
(
たなごゝろ
)” の例文
彼等各〻と爪をもておのが胸を裂き
掌
(
たなごゝろ
)
をもておのが身を打てり、その叫びいと高ければ我は恐れて詩人によりそひき 四九—五一
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
平岡は
口
(
くち
)
を
結
(
むす
)
んだなり、容易に返事をしなかつた。代助は苦痛の
遣
(
や
)
り
所
(
どころ
)
がなくて、両手の
掌
(
たなごゝろ
)
を、
垢
(
あか
)
の
綯
(
よ
)
れる程
揉
(
も
)
んだ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは即ち好運を牽き出し得べき線は、之を牽く者の
掌
(
たなごゝろ
)
を流血淋漓たらしめ、否運を牽き出すべき線は、
滑膩油澤
(
かつじいうたく
)
なる柔軟のものであるといふ事實である。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
暖かく柔かな光子の
掌
(
たなごゝろ
)
は、とても振り放す事の出来ない魔力を持って居るように軽く私の
腕
(
かいな
)
を捕えて、薄気味の悪い部屋の方へずる/\と引っ張って行き
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『あゝ。
明朝
(
あすのあさ
)
まで
待
(
ま
)
つのですか。』と
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
口
(
くち
)
をむくつかせたが、
忽
(
たちま
)
ちポンと
掌
(
たなごゝろ
)
を
叩
(
たゝ
)
いて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
網代
(
あじろ
)
の笠に
夕日
(
ゆふひ
)
を
負
(
お
)
うて立ち去る瀧口入道が
後姿
(
うしろすがた
)
、
頭陀
(
づだ
)
の袋に
麻衣
(
あさごろも
)
、鐵鉢を
掌
(
たなごゝろ
)
に
捧
(
さゝ
)
げて、八つ目のわらんづ踏みにじる、形は
枯木
(
こぼく
)
の如くなれども、
息
(
いき
)
ある間は血もあり涙もあり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
鏡子は
何時
(
いつ
)
の間にか
床
(
ゆか
)
に足が附いて居て、額にあつた氷は膝の上の
掌
(
たなごゝろ
)
に載つて居た。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
柱には
大己貴命
(
おほあなむちのみこと
)
が
少彦名命
(
すくなひこなのみこと
)
を
掌
(
たなごゝろ
)
へ載せてる像が浮彫になつて居り、それを巻いて温泉を讃美した古代の歌が万葉仮名で彫つてある。
往昔
(
そのむかし
)
大己貴命と少彦名命とが此所で久し振りに逢はれたげな。
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
が、
同
(
おな
)
じ
舌
(
した
)
の
尖
(
さき
)
に
触
(
ふ
)
れた、と
思
(
おも
)
ふと
血
(
ち
)
を
絞
(
しぼ
)
つて
湧
(
わ
)
き
出
(
い
)
づる
火
(
ひ
)
のやうな
涙
(
なみだ
)
とゝもに、ほろり、と
采
(
さい
)
が
手
(
て
)
に
落
(
お
)
ちた。
其
(
そ
)
の
掌
(
たなごゝろ
)
を
忘
(
わす
)
るゝばかり
心
(
こゝろ
)
を
詰
(
つ
)
めて
握占
(
にぎりし
)
めた
時
(
とき
)
、
花
(
はな
)
の
輪
(
わ
)
が
渦
(
うづま
)
くやうに
製作
(
せいさく
)
の
興
(
きよう
)
が
湧
(
わ
)
いた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『天下の奇蹟だね。』と
嘴
(
くちばし
)
を容れて、古洋服の楠野君は横になつた。横になつて、砂についた
片肱
(
かたひぢ
)
の、
掌
(
たなごゝろ
)
の上に頭を載せて、寄せくる浪の穗頭を、ズット斜に見渡すと、其起伏の樣が又一段と面白い。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私
(
わたし
)
は
日本
(
にほん
)
の
今日
(
こんにち
)
の
經濟界
(
けいざいかい
)
は
金解禁
(
きんかいきん
)
が
出來
(
でき
)
たからと
云
(
い
)
つて、
掌
(
たなごゝろ
)
を
返
(
かへ
)
す
如
(
ごと
)
く
景氣
(
けいき
)
が
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
やうとは
考
(
かんが
)
へぬ。
併
(
しかし
)
ながら
今
(
いま
)
言
(
い
)
ふ
説
(
せつ
)
は
私
(
わたし
)
が
茲
(
こゝ
)
に
説明
(
せつめい
)
して
居
(
ゐ
)
る
半面
(
はんめん
)
の
事實
(
じじつ
)
を
語
(
かた
)
るものと
見
(
み
)
て
宜
(
よ
)
からうと
思
(
おも
)
ふのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
掌
(
たなごゝろ
)
を指すやうなのを聞いて、驚いたのは立合ひの衆でした。
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かしこに
此
(
これ
)
のしきりに胸をうつをみよ、また彼のなげきつゝその
掌
(
たなごゝろ
)
をもて頬の床となすを見よ 一〇六—一〇八
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
それを見た上人はさめ/″\と泣いて、必ず我を導き給えと、男に向って
掌
(
たなごゝろ
)
を合わせた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
はゝゝ、
大丈夫
(
だいじやうぶ
)
、
心配
(
しんぱい
)
は
無
(
な
)
いと
云
(
い
)
ふに、——お
浦
(
うら
)
の
所在
(
ありか
)
も、
救
(
すく
)
ふ
路
(
みち
)
も、すべて
掌
(
たなごゝろ
)
の
中
(
うち
)
に
在
(
あ
)
る。
吾輩
(
わがはい
)
が
掴
(
つか
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
要
(
えう
)
は
唯
(
たゞ
)
掴
(
つか
)
んだ
此
(
こ
)
の
手
(
て
)
を
開
(
ひら
)
く
時間
(
じかん
)
を
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
だ。——
今
(
いま
)
開
(
ひら
)
け、と
云
(
い
)
つても
然
(
さ
)
うは
不可
(
いか
)
ん。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大佐
(
たいさ
)
はポンと
掌
(
たなごゝろ
)
を
叩
(
たゝ
)
いた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
左右の
掌
(
たなごゝろ
)
にて
獲
(
ゑ
)
たる尊き勝利のしるしとして彼を天の一におくは、げにふさはしき事なりき 一二一—一二三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
次の
嚢
(
ボルジヤ
)
の民の
呻吟
(
うめ
)
く聲、あらき
氣息
(
いき
)
、また
掌
(
たなごゝろ
)
にて身をうつ音きこえぬ 一〇三—一〇五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
“掌”の意味
《名詞》
(てのひら、たなごころ)手首より先、手の物を掴むときに物と接する面。
(出典:Wiktionary)
掌
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
“掌”を含む語句
掌中
合掌
両掌
掌上
職掌
仙人掌
掌握
手掌
鞅掌
熊掌
車掌
掌面
右掌
職掌柄
掌底
掌大
仏掌藷
掌裡
孤掌
平掌
...