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心底
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しんそこ
ふりがな文庫
“
心底
(
しんそこ
)” の例文
心底
(
しんそこ
)
から感謝の意を
表
(
ひょう
)
した上で、自分の考えも少し聞いてもらいたいのは山々であったが、何分にも鼻の奥が詰って不自由である。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれどわれわれの生活、この
田舎
(
いなか
)
の、ロシアの、俗臭ふんぷんたる生活は、とても我慢がならないし、
心底
(
しんそこ
)
から
軽蔑
(
けいべつ
)
せざるを得ませんね。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
もし八橋が
心底
(
しんそこ
)
から自分を思っていてくれるとしたら、彼は今更こんなことを言い出して、彼女の心を傷つけるに忍びなかった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、八つ裂きにしてもあき足らないほど、憎くも思い、
憤
(
いきどお
)
りもするのであったが、さて——自分の寝首を掻かれ
損
(
そこ
)
なってみても、
心底
(
しんそこ
)
から
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はこの船を
立退
(
たちの
)
くところだ。で、お前に船長について来いと命令する。お前が
心底
(
しんそこ
)
は善人だということは私は知っている。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
▼ もっと見る
心底
(
しんそこ
)
、恐れ入りましたが、もうひとつわからねえことがある。……昨日から今日にかけて江戸じゅうに手を配った大捕物。
顎十郎捕物帳:19 両国の大鯨
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今年の花見の道中で、あのような心ない事を申しましたのも、
心底
(
しんそこ
)
からお二人様の御行末を
愛
(
いと
)
しゅう思いましたればの事。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「うん、俺ああの野郎の
面
(
つら
)
を見るのが
心底
(
しんそこ
)
嫌
(
きれ
)
えなんだ。声を聞くのも虫が好かねえんだ。弟の方はさうでもねえけんど。」
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
わたしには
心底
(
しんそこ
)
をお打ち明け申しました所、どちら様にも義理が立ちませんから、薄情でもきょうかぎりこのお話には手をひかせていただきます。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
私はうちつけに書きます。万事直截其ものでお出のあなたは、私が
心底
(
しんそこ
)
から申すことを
容
(
ゆる
)
して下さるだろうと思います。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
然しながら彼は、巴里人の、仏蘭西人の、
心底
(
しんそこ
)
からの人間らしさには、流石にほろりとさせられる弱味を有つてゐた。
劇作家としてのルナアル
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
お政が
心底
(
しんそこ
)
をしんに
解
(
かい
)
した人は、お政の父ひとりくらいであったろうけれど、それでもだれいうとなく、お政さんはかしこい女だという
評判
(
ひょうばん
)
が立った。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
機転の利かなかったことが恥かしく、それに
心底
(
しんそこ
)
はやさしい彼女は、瘠せた子供を膝の上に抱き取り、唇の先を押しあて、もったいらしくこう言った。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
其の代り
心底
(
しんそこ
)
からこの人と見込んで惚れて仕舞うと、なか/\情合は深い、素人衆の
一寸
(
ちょい
)
ぼれして水でも
指
(
さゝ
)
れると移り
気
(
ぎ
)
がするのと訳がちがうそうで
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
たまたま下等な男どもにからかはれる女を見ても、如何にも羞しさに堪へない風情が、
嘘詐
(
うそいつはり
)
や、慣習的の姿態とは見えず、
心底
(
しんそこ
)
から厭がつてゐるのだと信じて居た。
貝殻追放:016 女人崇拝
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
さあ、あなたは
心底
(
しんそこ
)
から、何でも金にする力を捨てたいと思っているのか、それを聞かして下さい。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
外人でも日本人でも、料理を
心底
(
しんそこ
)
から楽しんではいないようだ。味覚を楽しみたい心は持っているが、真から楽しめる料理は料理屋にも家庭にもないからであるらしい。
味覚馬鹿
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
心底
(
しんそこ
)
から頭を下げたい心持ちになったり、慈悲の光に打たれてしみじみと涙ぐんだりしたとしても、それは恐らく仏教の精神を生かした美術の力にまいったのであって
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
然
(
しか
)
し
其麽
(
そんな
)
噺
(
はなし
)
をして
聞
(
き
)
かせる
人々
(
ひと/″\
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
酷
(
ひど
)
い
貧乏
(
びんばふ
)
なのと、
二人
(
ふたり
)
の
子
(
こ
)
が
有
(
あ
)
るのとで
到底
(
たうてい
)
後妻
(
ごさい
)
は
居
(
ゐ
)
つかれないといふ
見越
(
みこし
)
が
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて、
心底
(
しんそこ
)
から
周旋
(
しうせん
)
を
仕
(
し
)
ようといふのではない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
茶代拔きにして丁度五十錢ほど足りなかつた。私は帽子を脱いだ。そして五十錢銀貨二枚を婆さんの掌に載せた。載せながら婆さんの眼の
心底
(
しんそこ
)
から
險
(
けは
)
しくなつてゐるのに驚いた。
梅雨紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
心底
(
しんそこ
)
のことである。はぐらかすとは様子にも見えないから、若い女中もかけ引きなしに
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「うん、じゃあ帰るよ。で、おつきあいの出来ないことは、まあ勘弁して貰うぜ。
心底
(
しんそこ
)
それあ面白かろうけどさ、生憎そうはいかんのだよ。」こんな風に妹婿は先に帰る
弁解
(
いいわけ
)
を
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「日本人で今日の時代に
心底
(
しんそこ
)
から滿足して居るものがあるでせうか。」と質問した。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
旦那
(
だんな
)
さまだとて
金滿家
(
きんまんか
)
の
息子株
(
むすこかぶ
)
が
藝人
(
げいにん
)
たちに
煽動
(
おだて
)
られて、
無我夢中
(
むがむちゆう
)
に
浮
(
う
)
かれ
立
(
た
)
つとは
事
(
こと
)
が
違
(
ちが
)
ふて
心底
(
しんそこ
)
おもしろく
遊
(
あそ
)
んだのではありますまい、いはゞ
疳癪
(
かんしやく
)
抑
(
おさ
)
へ、
憂
(
う
)
さ
晴
(
は
)
らしといふやうな
譯
(
わけ
)
で
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あたしも、あなたに
心底
(
しんそこ
)
から惚れました。母があたしに乗りうつったのです。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
内野さんの前では
心底
(
しんそこ
)
から打ち解けて気が許せるという位の違いはあるの。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
何度
(
なんたび
)
会っても他人行儀で、
心底
(
しんそこ
)
から
胸襟
(
きょうきん
)
を開いて語るという事がなかった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ジエィンがもつと
愛想
(
あいそ
)
のいゝ子供らしい性質や、もつと魅力のある、はきはきした態度——つまり、もちつと輕くて、
蟠
(
わたか
)
まりが無くて、
素直
(
すなほ
)
にならうと、
心底
(
しんそこ
)
努
(
つと
)
めるのを、ベシーから聞くなり
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
俊雄は
心底
(
しんそこ
)
歎服
(
たんぷく
)
し満腹し小春お夏を両手の花と絵入新聞の
標題
(
みだし
)
を極め込んだれど実もってかの
古大通
(
こだいつう
)
の説くがごとくんば女は端からころりころり日の下開山の栄号をかたじけのうせんこと
死者
(
しびと
)
の首を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「おもしろい話ですね。」と私は
心底
(
しんそこ
)
から言った。
月見草
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
指
(
さ
)
しながら「おとなしそうでいて
心底
(
しんそこ
)
の骨の強い人にはあたし決してほれることはできないの。この人はこんな人のよさそうな顔していて、
心
(
しん
)
はそれは氷のようにきついんですからね。ほほ、どうもおやかましゅう。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
と父親は久しぶりで
心底
(
しんそこ
)
から笑った。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
被
(
かぶ
)
ってる赤毛布ばかりじゃない、
心底
(
しんそこ
)
から、この若い男は自分と同じ人間だった。そこで自分はつくづくつまらないなと感じた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おれは
心底
(
しんそこ
)
から崇拝して、まるで牛みたいにやつのために働いてきたのだ! おれはソーニャと二人で、この地所から、最後の一しずくまで
搾
(
しぼ
)
り上げてしまった。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
私
(
わたくし
)
は
貴方
(
あなた
)
を
心底
(
しんそこ
)
思って居りまして済みません、あなたの
方
(
ほう
)
では御迷惑でも、それは兼が
宜
(
よ
)
く存じて居ります、此の
間
(
あいだ
)
お別れ申した日から
片時
(
かたとき
)
も貴方の事は忘れません
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかしながら、われわれ日本人も、実は、
心底
(
しんそこ
)
からさうなのではない。普通なら、やはりほんたうの気持を、人間同士の尊敬と愛情とを自然に示しあふ方がうれしいのである。
『美しい話』まへがき
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
とにかくその中にも
心底
(
しんそこ
)
から嫌いな人も少なくはなかったろうと
自惚
(
うぬぼ
)
れているのである。
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
心底
(
しんそこ
)
からね、いざとなりゃ。人もうんと笑わせてやるよ」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
彼をおもひ之をおもふ時、自分は
心底
(
しんそこ
)
から激怒した。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「お愛し申してをります——をりますわ、
心底
(
しんそこ
)
。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
お千代は何うも器量が
好
(
よ
)
いので
心底
(
しんそこ
)
から惚れぬきまして真実にやれこれ優しく
取做
(
とりな
)
して
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「僕はことによると、もう実業は
已
(
や
)
めるかも知れない。実際
内幕
(
うちまく
)
を知れば知る程
厭
(
いや
)
になる。其上
此方
(
こつち
)
へ
来
(
き
)
て、少し運動をして見て、つくづく勇気がなくなつた」と
心底
(
しんそこ
)
かららしい告白をした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
心底
(
しんそこ
)
から。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
実に孝心で、私は始めてお目に懸ったが、中々親孝行という事は出来ないもので、
心底
(
しんそこ
)
から感心しました、真実の処を申すが、女ばかりで別に親類もなく相談する処も無くってお困りの節は
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は論理の権威で自己を
佯
(
いつわ
)
っている事にはまるで気が付かなかった。学問の力で鍛え上げた彼の頭から見ると、この明白な論理に
心底
(
しんそこ
)
から大人しく従い得ない細君は、全くの解らずやに違なかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“心底”の意味
《名詞》
心の奥底。本心。
《形容動詞》
心から。
(出典:Wiktionary)
“心底”の解説
心底(しんてい、base of heart)とは心臓の円錐部の底面。脊椎動物の心臓の外形は倒立円錐形であり、その円錐の底面を心底、尖端を心尖と呼ぶ。心底は第一肋骨中央を通る水平面に位置する。
(出典:Wikipedia)
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
底
常用漢字
小4
部首:⼴
8画
“心”で始まる語句
心
心配
心地
心持
心算
心細
心得
心臓
心遣
心許