御縁ごえん)” の例文
すると、女がある日、不思議な御縁ごえんでいっしょに暮しましたが、あなたもお気にしたから、こんなに長くいらっしゃるのでしょう。
女強盗 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
A どうも永々なが/\御馳走樣ごちそうさま葉書はがきはじまつた御縁ごえんだから毎日まいにちまいづつの往復わうふくぐらゐあたまへだね。しかなにしろ葉書はがきといふやつ面白おもしろいものだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
「先生、このたびはまた、ふしぎな御縁ごえんで勝子がお世話になることになりまして、どうぞよろしくお願いもうします」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
御迷惑ごめいわくぞんぜぬが、もやそで擦合すれあうた御縁ごえんとて、ぴつたりむねあたことがありましたにより、お心着こゝろづ申上まをしあげます……お聞入きゝいれ、お取棄とりすて、ともお心次第こゝろしだい
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
問合せ再回ふたゝび御縁ごえんむすばる樣致しますれば暫時く吾輩おのれにお預け下されませと思ひ入りてぞわびけるに長三郎は面を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いまにきっとわかりますわ。警察でもほっておきはしませんもの。あたしだって、いちどお眼にかかった御縁ごえんがありますから、心当りがあったらお知らせします」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
不思議な御縁ごえんでおざんしたと、綾衣は笑って言った。今も昔も初会から苗字をあかす者はない。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
『まアそないにおつしやらんと、こんなとこへでも、これを御縁ごえんにまたお越しなはつとくれやす。』と、女房にようばうは口元にゑくぼこしらへて、青い切符と釣錢の銅貨とを持つて來た。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
何卒なにとぞそのとき御模様おんもようをもうすこしくわしくうかがわせていただくわけにはまいりますまいか? あれほどまでにふかふか夫婦めおと御縁ごえんが、ただかりそめのことむすばれるはずはないとぞんじますが……。
さうして、それが偶然ぐうぜんわたし先生せんせいでもあり、またあなたがたのこの文庫ぶんこにおけるおなじみでもある、柳田國男先生やなぎだくにをせんせいがおきのことわざちとも、原因げんいん竝行へいかうしてゐるのは、不思議ふしぎ御縁ごえんだとおもひます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
なにぞにつけてこひしければでは如何いかばかりこゝろぼそくもかなしくもらうなれどおよばずながらわたしはちからになるこゝろあねおもふてよとたのむは可笑をかしけれど歳上としうへなれば其約束そのやくそく何時いつも/\ふことながらわたしは眞實ほん同胞はらからおもひますとなぐさめられてうれしげに御縁ごえんあればこそおやどもばかりかわたしまでめぐりめぐつてまた御恩ごをんうみともやまともくちには
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
面白おもしろことをおつしやいます……ひよつとかしてあたりますかもれません。貴方あなたういたしますと、ふか御縁ごえんがおあんなさいますかもれませんよ。」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御縁ごえんに致して願ひまするは此お縁側えんがは霎時しばしの中おかしなされて下さらば酒器さゝへひらきてはら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あなたも、至極の甲斐性かいしょうなしと云うわけではないが、そんな大事の場所へ行ける器量ではない。こうしてお目にかかるのも、御縁ごえんだからもし時間がゆるせば、私の家に三七日逗留とうりゅうしたらどうか。
大力物語 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
聞て大いに驚き扨は御客樣が後藤先生にておはせしか御縁ごえんと云ものは眞實まことに不思議なものなり知ぬ事とは申ながら先刻せんこくより大いに失禮仕しつれいつかまつりしだん眞平まつぴら御免ごめん下さるべし只今たゞいま上州大間々に御道場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ときに、ことなりけり。三人さんにんおなじくゆめむ、ゆめ蒋侯しやうこう伝教さんだいふつかはして使者ししやおもむきまをさす。いはく、不束ふつゝかなるをんなども、みだり卿等けいら栄顧えいこかふむる、まこと不思議ふしぎなる御縁ごえんだん祝着しうちやくぞんずるものなり
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)