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従兄
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いとこ
ふりがな文庫
“
従兄
(
いとこ
)” の例文
旧字:
從兄
小田切三也
(
おだぎりさんや
)
の娘
真弓
(
まゆみ
)
と、その
従兄
(
いとこ
)
の
荒井千代之助
(
あらいちよのすけ
)
は、突き詰めた恋心に、身分も場所柄も、人の見る目も考えては居なかったのです。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……
従兄
(
いとこ
)
の秋作の意見では、こんな機会にすこし世間を見て置くほうがいいだろうというので、あてなしに旅行をしていたんですの。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
平中納言教盛、修理大夫経盛の兄弟と、小松新三位中将資盛と、少将有盛、
従兄
(
いとこ
)
の左馬頭行盛の三人も、手を取り合って海に沈んだ。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
そして、お祖母さんの方は
他家
(
よそ
)
に雇われてゆき、子供の方は、父の
従兄
(
いとこ
)
と恋人と一緒になってる家へ、引取られて世話されてるんだ。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
半蔵の
従兄
(
いとこ
)
に当たる栄吉にその後見をさせ、旧本陣時代からの番頭格清助にも手伝わせたら、青山の家がやれないことはあるまい
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
それが自分のまた
従兄
(
いとこ
)
にあたる、土岐蔵人頼春であるとは、夢にも小次郎には思われなかった。あまりに変わり果てているからである。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その頃、若殿様は大そう笙を御好みで、遠縁の
従兄
(
いとこ
)
に御当りなさる
中御門
(
なかみかど
)
の
少納言
(
しょうなごん
)
に、
御弟子入
(
おでしいり
)
をなすっていらっしゃいました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは老ハルスカイン氏の死んだ兄の息子たちで、レミヤの
従兄
(
いとこ
)
に当るイグノラン兄弟……すなわち私たち二人で御座いました。
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お
菊
(
きく
)
さんと云ふ知つた女の人と、その子のお
政
(
まさ
)
さん、私の
従兄
(
いとこ
)
二人、兄、番頭、その
外
(
ほか
)
の人は忘れましたが何でも十何輌と云ふ車でした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「そのつもりでしたのよ。私たちを保護してくれることになっている、園田の
従兄
(
いとこ
)
の黒須さんね。あの人がどうも不安なのよ。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
まっ赤なアネモネの花の
従兄
(
いとこ
)
、きみかげそうやかたくりの花のともだち、このうずのしゅげの花をきらいなものはありません。
おきなぐさ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
初めは浅い所でペチャペチャやってたが、分家の武村の良一という年上の
従兄
(
いとこ
)
が恐れる私をいきなり丈のたたぬ流れのまん中に突きやった。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
同じ、義家将軍を祖父として、源
義朝
(
よしとも
)
は、いうまでもなく、彼女の
従兄
(
いとこ
)
にあたるが、その義朝こそは、
平相国清盛
(
へいしょうこくきよもり
)
の憎悪そのものであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六七歳のころ、始めて
従兄
(
いとこ
)
から英語の手ほどきを教えられた時に、最初に出会ったセンテンスは、たしか「
猿
(
さる
)
が手を持つ」というのであった。
比較言語学における統計的研究法の可能性について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして、毎日
従兄
(
いとこ
)
と一緒に、浜へつれて行つてもらつて、
漁夫
(
れふし
)
たちの網をひくのを見たり、沖の方に、一ぱいにうかぶ帆舟を
眺
(
なが
)
めたりしました。
さがしもの
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
従兄
(
いとこ
)
の
宅
(
うち
)
のつい
向
(
むこう
)
なので、両方のものが
出入
(
ではい
)
りのたびに、顔を合わせさえすれば
挨拶
(
あいさつ
)
をし合うぐらいの
間柄
(
あいだがら
)
であったから。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが、偶然にも、アデライーダ・イワーノヴナの
従兄
(
いとこ
)
で、ピョートル・アレクサンドロヴィッチ・ミウーソフという人がパリから帰って来た。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あなた様も、あんなお
従兄
(
いとこ
)
さんをお持ちで、何かと力になってくださることでしょうから、おしあわせでございますよ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その外に、関西電車の社長浜田丈吉が本人の
従兄
(
いとこ
)
に当ってい、これが
唯一
(
ゆいいつ
)
の誇るに足る親戚でもあれば
庇護者
(
ひごしゃ
)
でもある。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
十一日に貯金の全部百二十円を銀行から引出し、同店員で
従兄
(
いとこ
)
に当る若者
宛
(
あて
)
の
遺書
(
いしょ
)
を
認
(
したた
)
め、己がデスクの
抽斗
(
ひきだし
)
に入れた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
セーニャに聴いたら
従兄
(
いとこ
)
だといったが、イフェミヤが一寸紅くなってセーニャを睨んだので察すると
許嫁
(
いいなずけ
)
の間らしい。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
ある時、祖母の
従兄
(
いとこ
)
だというおじいさんが伊勢から訪ねてきたことがありました。おじいさんはもう九十歳だといいました。祖母は八十ばかりでした。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
Kが母に送る金を管理してくれている一人の
従兄
(
いとこ
)
から、一月おきにきちんきちんと受けている知らせは、これまでのいつよりも
安堵
(
あんど
)
できるものだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
ここに私の
従兄
(
いとこ
)
に当る男が住んでおり、女中頭の子供が
白痴
(
はくち
)
であった。私よりも五ツぐらい年上であったと思う。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
コックの春吉は、実は殺された春江の
従兄
(
いとこ
)
にあたる男だが、その関係を隠してカフェ・ネオンにやとわれていた。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もと
従兄
(
いとこ
)
が世話になっていた家で、主人公は従兄と一緒に矢張り同じ大学を卒業して目下満鉄に勤めている。
恩師
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
大将もいろいろな形式で
従兄
(
いとこ
)
であり、夫人の兄であり、親友であった大納言の法会を盛んにする志を見せ
源氏物語:37 横笛
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
伊原友三郎は妻の
従兄
(
いとこ
)
に当るし、そうでなくとも、妻の手を借りなくてはどうしようもないと思ったのだ。
十八条乙
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その神官の
倅
(
せがれ
)
即
(
すなわ
)
ち宗太郎の
従兄
(
いとこ
)
に水戸学風の学者があって、宗太郎はその従兄を先生にして勉強したから中々エライ、その上に
増田
(
ますだ
)
の家は年来堅固なる家風で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
昨年の春私を訪ねてきて一泊して行った
従兄
(
いとこ
)
のKは、十二月に東京で死んで骨になって郷里に帰った。
父の出郷
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
お
父様
(
とうさん
)
のアイチャンキャラ侯は、たつたひとりぽつちのニナール姫が、
淋
(
さび
)
しいだらうと、
従兄
(
いとこ
)
に当るジウラ王子を蒙古から呼びよせ、そのお相手になさつたのです。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
こは武男が
従兄
(
いとこ
)
に当たる
千々岩安彦
(
ちぢわやすひこ
)
とて、当時参謀本部の下僚におれど、腕ききの聞こえある男なり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
かよ
子
(
こ
)
は、
歩
(
ある
)
きながら、まだ
見
(
み
)
ぬ
都会
(
とかい
)
のことを
考
(
かんが
)
えていました。これから二、三
年
(
ねん
)
勉強
(
べんきょう
)
にいく、そして、
朝晩
(
あさばん
)
いっしょに
暮
(
く
)
らさなければならぬ
従兄
(
いとこ
)
や、
従妹
(
いとこ
)
のことを——。
汽車は走る
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それは妻の
従兄
(
いとこ
)
に当る海軍々人から来た手紙でした。別に大して怪しむべき文句は書いてないんです。誰に見せてもこれで直ちにどうこう云えることは少しもありません。
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
玉に
従兄
(
いとこ
)
があって
粤
(
えつ
)
で
司李
(
しほうかん
)
をしていた。玉はその従兄の所へいって長い間帰らなかったところで、たまたま
土寇
(
どこう
)
が乱を起して、附近の村むらは、大半家を焼かれて野になった。
阿英
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
A嬢は昨夜ひとりでA夫人と
従兄
(
いとこ
)
を停車場へ迎えにいったというじゃアありませんか。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
一方
従兄
(
いとこ
)
のユースタスは子供達の思い思いのはしゃぎ方のまだ
上手
(
うわて
)
を行って、いろいろ変ったふざけ方をして見せたので、子供達も、とてもその真似は出来ないと諦めてしまった位で
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
先
(
ま
)
ず安心して、
先
(
せん
)
の名を呼ぶがいゝと、これから名をも改め、おえいと呼び、多助とは
従兄
(
いとこ
)
同士の事
故
(
ゆえ
)
、行末は、
※
(
めあ
)
わせるの心得で、二月の末から五月の頃まで中よく日を送りました。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
突然私の実家から手紙で、
従兄
(
いとこ
)
が死んだことを知らして来た、
書中
(
しょちゅう
)
にある死んだ日や刻限が、
恰度
(
ちょうど
)
私が
活
(
い
)
けた夏菊の
萎
(
しお
)
れた時に符合するので、
未
(
いま
)
だに自分は不思議の感に
堪
(
た
)
えぬのである。
鬼無菊
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
と親類内の
従兄
(
いとこ
)
とかで、これも関係のあった、——少年の名をお綾が云うと……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ミネと同じ年の小梅さんという女は夫に
妾
(
めかけ
)
が出来たのが不満で離婚した。ミネの仲よしのツルエという女は
許婚
(
いいなずけ
)
だった
従兄
(
いとこ
)
の夫がいやでたまらず、とび出した。嫁の
掟
(
おきて
)
にそむいた三人の女。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
木之助は
従兄
(
いとこ
)
の松次郎と組になって村をでかけた。松次郎は太夫さんなので、背中に
旭日
(
あさひ
)
と
鶴
(
つる
)
の絵が大きく
画
(
か
)
いてある黒い着物をき、
小倉
(
こくら
)
の
袴
(
はかま
)
をはき、
烏帽子
(
えぼし
)
をかむり、手に鼓を持っていた。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
タゴオルが
到
(
いた
)
る所で歓迎されてゐるのは喜ばしい。『ギタンヂヤリ』の詩人は私の叔父でも
従兄
(
いとこ
)
でも無いが、詩人の尊敬せられるのは、軍人や政治家の持てるのと
異
(
ちが
)
つて、見てゐて気持が
好
(
い
)
い。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかも、年若い者の心を観察したことのある人は了解するであろうが、あの
槍騎兵
(
そうきへい
)
、将校、ばか者、
従兄
(
いとこ
)
のテオデュールは彼の精神に何らの陰影をも残さなかった。少しの陰影をも残さなかった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
郎女様の亡くなられたお
従兄
(
いとこ
)
も、嘸お嬉しいであらう。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
太郎「おまへは
虎
(
とら
)
の
従兄
(
いとこ
)
なのかへ」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
わが
従兄
(
いとこ
)
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
周助さんも、手代の文治も、
従兄
(
いとこ
)
の
仲吉
(
なかきち
)
さんも、皆んななりたい口で——、へッへッ、でも持参がなきゃあ、主人は承知しません。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
するとその頃から月々の雑誌に、
従兄
(
いとこ
)
の名前が見えるやうになつた。信子は結婚後忘れたやうに、俊吉との文通を絶つてゐた。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いま紹介したひとたちのほかに、剛子の
従兄
(
いとこ
)
の秋作氏がすっかりこちらへ背中をみせ、窓のそばで新聞を読んでいる。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
“従兄”の意味
《名詞》
従兄(いとこ、ジュウケイ)
(漢字用例)男性の年上のいとこ。
(出典:Wiktionary)
従
常用漢字
小6
部首:⼻
10画
兄
常用漢字
小2
部首:⼉
5画
“従兄”で始まる語句
従兄弟
従兄妹
従兄弟同志
従兄姉
従兄子
従兄筋
従兄弟似
従兄弟女
従兄妹同志