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巾
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はゞ
矢張今まで
歩行いて
来た
其の
巾の
広いなだらかな
方が
正しく
本道、あと二
里足らず
行けば
山になつて、
其からが
峠になる
筈。
串談はぬきにして
結城さん
貴君に
隱くしたとて
仕方がないから
申ますが
町内で
少しは
巾もあつた
蒲團やの
源七といふ
人
和尚如何だナ
抔と
扶持でもして
置くやうに
巾を
利かせて、茶の
呑倒しを、コレハ先生よくこそ
御来臨、
幸ひ
左る
方より
到来の
銘酒、これも先生に口を
切て
頂くは、
青州従事が
好造化などゝ
聞かぢりと
巾二寸ばかりのもめん
帯をうしろにむすべり。
すると
何時の
間にか
今上つた
山は
過ぎて
又一ツ
山が
近づいて
来た、
此辺暫くの
間は
野が
広々として、
前刻通つた
本街道より
最つと
巾の
広い、なだらかな一
筋道。
心一ぱいに
我がまゝを
徹して
身に
合はぬ
巾をも
廣げしが、
表町に
田中屋の
正太郎とて
歳は
我れに三つ
劣れど、
家に
金あり
身に
愛嬌あれば
人も
憎くまぬ
當の
敵あり、
我れは
私立の
學校へ
通ひしを
今折曲げた
肱の
処へつるりと
垂懸つて
居るのは
同形をした、
巾が五
分、
丈が三
寸ばかりの
山海鼠。
顔面黒く
漆して、
目の
隈、
鼻頭、
透通る
紫陽花に
藍を
流し、
額から
頤に
掛けて、
長さ
三尺、
口から
口へ
其の
巾五尺、
仁王の
顔を
上に
二つ
下に
三つ
合はせたばかり、
目に
余る
大さと
成つて