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密
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そっ
ふりがな文庫
“
密
(
そっ
)” の例文
で、
密
(
そっ
)
と離れた
処
(
ところ
)
から突ッ込んで、横寄せに、そろりと寄せて、
這奴
(
しゃつ
)
が夢中で泳ぐ処を、すいと
掻
(
か
)
きあげると、つるりと懸かった。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と止せば
宜
(
い
)
いのに早四郎はお竹の寝床の中で息を
屏
(
こら
)
して居りました。
暫
(
しばら
)
く
経
(
た
)
つと
密
(
そっ
)
と
抜足
(
ぬきあし
)
をして廊下をみしり/\と来る者があります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
縄張外に立てられた土方部屋を、夜中に
密
(
そっ
)
と抜け出して手拭をかぶりつつ、作事小屋の方へ忍んで行くのもその人であります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、とっさに感じとると同時に、ただちに源十郎指揮をくだして、一同
寝巻
(
ねまき
)
の裾をからげ、おのおの大刀をぶちこんで
密
(
そっ
)
と庭におり立った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その時分にはおれの外に誰も甲板へ出ていないが、ひょっとして見付かると
可
(
い
)
けないから、目立たぬように、二、三人ずつ
密
(
そっ
)
とやって来たまえ。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
▼ もっと見る
夢見の悪さがつづくので、江戸へ見舞に帰るとしても、そんな事で私を手放すような虎松では御座いませんから、私は
密
(
そっ
)
と抜け出して来たので御座います。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
エ天に登りて仕返しをと思えど、天の門番リズワンの大力あるを
懼
(
おそ
)
れ、蛇を説いて自分を呑んで天に往き
密
(
そっ
)
と吐き出さしめ、エヴァを迷わしアダムを堕した。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「おい今日は俺が
奢
(
おご
)
るよ。」と庄吉は其日お茶の時に
密
(
そっ
)
と惣吉に云った。「何でも
好
(
す
)
きな物を云えよ。」
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
客の少女は
密
(
そっ
)
と室内を見廻した。そして何か思い当ることでも有るらしく今まで少し心配そうな顔が急に
爽々
(
さえ/″\
)
して満面の
笑味
(
えみ
)
を隠し得なかったか、ちょッとあらたまって
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
奥様が
御気色
(
ごきしょく
)
の悪い日には旦那様は
密
(
そっ
)
と御部屋へ行って、
恐々
(
おずおず
)
御傍へ寄りながら
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
余は兎に角も秀子の様子を見届けねば成らぬと思いお浦の姿の見えなくなるを待って、多分秀子が潜んで居るだろうと思う盆栽室へ、
密
(
そっ
)
と行った、茲でも矢っ張り容易ならぬ事に
出会
(
でっくわ
)
した。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
号外が最う刷れてるんだが、海軍省が沈黙しているから出す事が出来んで
焦
(
じ
)
り焦りしている。尤も今日は多分夕方までには発表するだろうと思うが、近所まで用達しに来たから
内々
(
ないない
)
密
(
そっ
)
と
洩
(
も
)
らしに来た。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「そんな
吝
(
けち
)
じゃアありませんや。お
望
(
のぞみ
)
なら、どれ、附けて上げましょう。」と
婦人
(
おんな
)
は切の端に銀流を
塗
(
まぶ
)
して、滝太郎の手を
密
(
そっ
)
と取った。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
再び役人の来るべき時を予想して待っていると役人は来ないで、障子の外に人の気配がしたかと思うと、
密
(
そっ
)
とそこを開いて
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
其の時は私が
密
(
そっ
)
と友さんを
他
(
ほか
)
に呼んで置いてお前に逢わせ、口直しを拵えて置くからねえ、私も責められて困るからよ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それで彼女は、村人から顔を見られたり物をいわれたりするのが恐ろしいものだから、夜中に
密
(
そっ
)
とわが家へ帰った。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「しッ! お妙! 自身番へ——自身番へ! 裏から、
密
(
そっ
)
と出るんだぞ——音がしねえように、
跣足
(
はだし
)
で行けよ——」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それを倒れていた小虎が
密
(
そっ
)
と取った。抜くや、
突然
(
いきなり
)
、お鉄の横腹へ突立てた。お鉄の悲鳴は唯一声であった。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
道人すなわち
窃
(
ひそ
)
かにその由を夫に告げ、啌と思うなら物は
試
(
ため
)
し、汝の妻にその最も好む食物を煮
調
(
ととの
)
わしめ、
密
(
そっ
)
と塩若干をその中に投じ、彼が
遁
(
のが
)
れ得ぬよう固く家を
鎖
(
とざ
)
し
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
これも何か思い当る処あるらしく、客なる少女の顔をじっと見て、又た
密
(
そっ
)
と傍の寝床を見ると、少年は
両腕
(
うで
)
を
捲
(
まく
)
り出したまま能く眠っている、其手を静に
臥被
(
ふとん
)
の内に入れてやった。
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
奥様の御話に、その晩の夢というのは、こう
林檎畠
(
りんごばたけ
)
のような処で旦那様が静かに御歩きなすっていらっしゃると、
密
(
そっ
)
と影のように御傍へ寄った者があって、何か
耳語
(
みみこすり
)
をして申上げたそうです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
帰りがけに
密
(
そっ
)
と小僧を物影に呼び、誰にも知らさずに此の電報を打って呉れと頼み、後々までも無言で居る様にとて口留めの金を一磅呉れた、其の翌朝、草花を配達して田舎ホテルへ行った所
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
と言ってお雪は深く
頷
(
うなず
)
きましたが、
静
(
しずか
)
に枕を
向
(
むこう
)
へ返して、しばらくはものも言わないでおりましたが、また
密
(
そっ
)
と小宮山の方へ向き直り
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは駒井の邸へ
密
(
そっ
)
と行きたいからであろうと見て取ったお絹は、わざと話を長くして、意見のような、教誡のような、お為ごかしのようなことを言って
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と云う廻りの声を合図に、松蔭大藏は裏手の花壇の方から
密
(
そっ
)
と
抜足
(
ぬきあし
)
をいたし、
此方
(
こちら
)
へまいるに出会いました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
栴檀
(
せんだん
)
の木稲荷の絵馬売の老婆に託して、源之丞が射場通いの途中、
密
(
そっ
)
と手渡して貰ったのであった。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
それから約半時間経って、ガルールが、船燈を手にして
密
(
そっ
)
と梯子を降りて来た。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
栄三郎のほうは
密
(
そっ
)
と坤竜を
奪
(
と
)
ろうとしてその身辺に危害なきを期しているのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
夫人「何うぞ
密
(
そっ
)
と差し出して、誰にも云わぬ様に願います」
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
その舌の
縺
(
もつ
)
れたような、
便
(
たより
)
のない声を、蚊の
唸
(
うな
)
る中に聞きながら、私がうとうとしかけました時でした。
密
(
そっ
)
と一人が
揺
(
ゆす
)
ぶり起して
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と又騒動が大きくなりましたから、
流石
(
さすが
)
の渡邊も弱って何うする事も出来ません。
打棄
(
うっちゃ
)
って
密
(
そっ
)
と逃げるなどというは武家の法にないから、困却を致して居りました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
気になるので
密
(
そっ
)
と立木の間を縫って、近寄って見ると、意外にもそれは例の旅商人であった。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
前には
戯
(
たわむ
)
れに
結
(
ゆ
)
ってみた片はずしの
髷
(
まげ
)
を、この正月から正式に結うことになりました。いつぞやの晩には恥かしそうに
密
(
そっ
)
と引掛けた打掛を、晴れて身に
纏
(
まと
)
うようになりました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
折れたか、と
吃驚
(
びっくり
)
して、拾い直して、
密
(
そっ
)
と机に乗せた時、いささか、
蝦蟆口
(
がまぐち
)
の、これで
復讎
(
ふくしゅう
)
が出来たらしく、
大
(
おおい
)
に男性の意気を発して
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは竜之助がお銀様の熟睡を見すまして、
密
(
そっ
)
と抜け出でたからであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
伴藏は変に思いまして、旦那は人がよいものだから悪い女に掛り、
騙
(
だま
)
されては困ると、
密
(
そっ
)
と抜け出て、萩原の
家
(
うち
)
の戸の側へ行って家の様子を見ると、座敷に
蚊帳
(
かや
)
を吊り、
床
(
とこ
)
の上に
比翼※
(
ひよくござ
)
を敷き
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この事を母のお幸から、
密
(
そっ
)
と娘お綾の耳に入れた。そうして。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
電話でも、(あの張子を、
密
(
そっ
)
とうしろ向きにするか、針で目を
潰
(
つぶ
)
して出ておくれ、今度こそは、きっと頼んだよ。母さんの頼みだよ。)
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小「なに金は入らねえが、旦那え、どうか裏口から
密
(
そっ
)
と出して下せえ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こいつ
嗅
(
か
)
がされては百年目、ひょいと立って
退
(
すさ
)
ったげな、うむと
呼吸
(
いき
)
を詰めていて、しばらくして、
密
(
そっ
)
と嗅ぐと、
芬
(
ぷん
)
と——
貴辺
(
あなた
)
。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そわつきながら
密
(
そっ
)
と雨戸を明け
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、いいいい、地蔵様の前へ、男が二人で
密
(
そっ
)
と
舁
(
かつ
)
ぐと、お道さんが、笠を伏せて、その上に帯を解いて、畳んで枕にさせました。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ほら、
扉
(
ひらき
)
も少し
開
(
あ
)
いていますわ。——先生ね、あなたね、少し離れた処で、
密
(
そっ
)
と様子を見ていて下さい。……後生ですから。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宗吉は、お千さんの、湯にだけは
密
(
そっ
)
と行っても、床屋へは
行
(
ゆ
)
けもせず、呼ぶのも慎むべき境遇を
頷
(
うなず
)
きながら、お妾に剃刀を借りて戻る。……
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……そのまま忍寄って、
密
(
そっ
)
とその幕を
引
(
ひき
)
なぐりに絞ると、隣室の障子には硝子が嵌め
込
(
こみ
)
になっていたので、一面に映るように透いて見えた。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先月の末、
闇
(
やみ
)
の晩でな、例のごとく密行したが、かねて目印の付いてる部じゃで、
密
(
そっ
)
と裏口へ廻ると、木戸が開いていたから、庭へ入った。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やがて、細目に
密
(
そっ
)
とあけると、左は喜兵衛の伝った
方
(
かた
)
、右は
空室
(
あきま
)
で
燈影
(
ひかげ
)
もない。そこから
角
(
かく
)
に折れ曲って、向うへ渡る長廊下。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お止し、
密
(
そっ
)
とあんなものを貼って置いて、それを見たものに、肺病か何か当の病人から
譲渡
(
ゆずりわた
)
して、荷を下そうなんのって、よくあるこった。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夢中になった
渠等
(
かれら
)
の
傍
(
そば
)
で、駅員が一名、
密
(
そっ
)
と寄って、中にもめ組の横腹の
辺
(
あたり
)
で
唐突
(
だしぬけ
)
に、がんからん、がんからん、がんからん。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ツイと横を向きながら、おかしく、
流盻
(
ながしめ
)
が
密
(
そっ
)
と
行
(
ゆ
)
くと、今度は、短冊の方から
顎
(
あご
)
でしゃくる。顎ではない、舌である。細く長いその舌である。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“密”の意味
《名詞・形容動詞》
ひそかな様。隠密。
関係が深い様。親密。
ぎっしりと詰まっている様。一定の枠の中に多くのものが集まる様。
きめこまかい様。綿密。
新型コロナウイルスの流行下において、避けるべきとされる「密接」、「密閉」、「密接」のこと。3密。
(出典:Wiktionary)
密
常用漢字
小6
部首:⼧
11画
“密”を含む語句
秘密
密々
密告
密接
密通
内密
密着
祕密
密夫
親密
隠密
密会
密書
密語
密偵
稠密
密林
精密
密集
密貿易
...