“妙齢:としごろ” の例文
“妙齢:としごろ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花15
吉川英治7
薄田泣菫4
三遊亭円朝2
夢野久作2
“妙齢:としごろ”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸4.8%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.9%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「それについて、ふと思い当ったことがあります。聞くところによると、呂布には妙齢としごろの美しい娘がひとりあるそうです」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妙齢としごろの娘でも見えようものなら、白昼といえども、それは崩れた土塀から影をあらわしたと、人を驚かすであろう。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
アメリカのペンシルヴアニヤ州のクリヤフイルド市にヘンズレエといふ今歳ことしとつて十九になる妙齢としごろの娘がある。
そりの合わない……というのも行き過ぎか、合うにも合わないにも妙齢としごろの女なんぞ影も見せたことのない処へ何しに来たろう。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれどまず第一に人の眼にまるのは夜目にも鮮明あざやかに若やいで見える一人で、言わずと知れた妙齢としごろ処女おとめ
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
「ヘヘヘ。博多中の妙齢としごろの娘の乳房の黒い、赤いを間違いなく存じておりまする者は、この赤猪口兵衛タッタ一人で。ヘヘヘ……」
『兄よりは、妹のほうがもう妙齢としごろ。これは盛りを過ぎてはいかぬ。虫のつかんうちに、子葉殿も、ひとつ心がけておいてくだされ』
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、損をしても構いません。妙齢としごろの娘か、年増の別嬪べっぴんだと、かえってこっちから願いたいよ。」
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
親といふものは、娘の結婚を「妙齢としごろ」よりも、箪笥の値段でめるものだといふ事をよく知つてゐるから。
「あなた、宅の娘ももう妙齢としごろになりました事ですから、誰かいいむこでもありましたらと存じますが……」
すると、それまで出口に衝立つゝたつてゐた妙齢としごろの美しい娘が、一寸会釈をしてこの説教家を呼びとめた。
女が妙齢としごろになれば、いろんな男が訪ねて来るもので、この作家の応接間には、娘を目的めあての若い男が次ぎから次へとやつて来た。
「よう、得心してくれた。そなたも妙齢としごろ。いや後の二妹ふたりを嫁入らせるにも、先ず、そなたから先にまらねばなるまいし」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
背は高いが、小肥こぶとりに肥った肩のやや怒ったのは、妙齢としごろには御難だけれども、この位な年配で、服装みなりが可いと威が備わる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それも小児こども爺婆じじばばならまだしも、取って十九という妙齢としごろの娘の事でございますから。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さうしてこの中の資格は処女に限られ、縁づいたものは籍を除かれ、新しい妙齢としごろのものが代つて入る。
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「可哀想に——。無理もねえや。妙齢としごろの女が桐の箪笥ごと晴着をみな焼いちまって、たったよれよれの浴衣一枚になってしまったんだからなァ」
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いかに、大の男が手玉に取られたのが口惜くやしいといって、親、兄、姉をこそ問わずもあれ、妙齢としごろの娘に向って、お商売? はちと思切った。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とよく人にも云わるるとおり、時政はまだ五十もこえないのに、妙齢としごろのむすめ達が三人もあった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女商人をんなあきんどは答へた。「商売をも一層手弘てびろくやつてきたいと思ひますし、それに妙齢としごろの娘も二人ございますもんですから。」
その何番目かの娘のおらいというは神楽坂路考ろこうといわれた評判の美人であって、妙齢としごろになって御殿奉公から下がると降るほどの縁談が申込まれた。
妙齢としごろなが見得もなし。世帯崩しに、はらはらとお急ぎなされ、それ、御家の格子をすっと入って、その時じゃ——その時覚えました、あれなる出窓じゃ——
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこへ、妙齢としごろの小間使が、楚々そそたる風情ふぜいで、茶を汲んで来た。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妙齢としごろになってから、火ぶくれのあとは、今も鮮明あざやかに残ってると、蝶吉は口惜しそうに、母親に甘えるごとく、肩を振って、浴衣にからんで足を揃えて
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一処ひとところ、大池があって、朱塗の船の、さざなみに、浮いたみぎわに、盛装した妙齢としごろの派手な女が、つがい鴛鴦おしどりの宿るように目に留った。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
妙齢としごろだ。この箸がころんでも笑うものを、と憮然ぶぜんとしつつ、駒下駄が飛んで、はだしの清い、肩も膝もくれないの乱れたおんなの、半ば起きた肩を抱いた。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
画家ゑかきの胃の腑が当てにならない事を知つた依頼者は、近頃では妙な事を考へ出した。それは画の催促に出掛ける折、妙齢としごろの娘を一人連れ立つてくといふ事だ。
私は父や母の性格をよく知っていますから、知り合いになったこの家に、ジーナとスパセニアという、妙齢としごろの美しい娘がいるということなぞは、絶対にらしてはいません。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
静かだとはいっても、暮れ切れぬ駒形通り、相当人の往き来があるが、中でも、妙齢としごろの娘たちは、だしぬけに咲き出したような、このやさすがたを見のがそうはずがない。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
しち、七、しずかにしろ、一体貴様が分らぬわ、貴様の姪だが貴様と違って宿中しゅくじゅうでの誉者ほまれもの妙齢としごろになっても白粉おしろいトつつけ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
生れたての嬰児あかんぼの時は、随分、おかしな、色の黒いのもあるけれど、母さんが手しおに掛けて、妙齢としごろにするまでには、ともかくも十人並以上になるんだ、ね、そうじゃないか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「小児なものかね、妙齢としごろでございますよ。」
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「貂蝉、風邪をひくといけないぞよ。……さ、おだまり、涙をお拭き。おまえも妙齢としごろとなったから、月を見ても花を見ても、泣きたくなるものとみえる。おまえくらいな妙齢は、羨ましいものだなあ」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一処ひとところ大池おおいけがあつて、朱塗しゅぬりの船の、さざなみに、浮いたみぎわに、盛装した妙齢としごろ派手はでな女が、つがい鴛鴦おしどりの宿るやうに目にとまつた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
相手は妙齢としごろ縹緻きりやうよしといふでは無し、また別に色つぽい談話はなしをするのでもなしするから、そんなに肩が擦れ合はないでもよかりさうなものだが、そこは男と女だけにまた格別なものと見える。
親分、半治さんの胸を聞いてお呉んなさいよ、何うぞいとか悪いとか聞いて下さい、唯手前てめえは厭になったらけえれって、何でもいから出て行けって、亀屋のお龜という芸者揚句あげくの、妙齢としごろ
「なんとあの妙齢としごろを」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以前、あのあたりの寺子屋で、武家も、町家も、妙齢としごろの娘たちが、綺麗な縮緬ちりめんの細工ものを、神前仏前へ奉献する習慣ならわしがあって、裁縫の練習なり、それに手習てならいのよく出来る祈願だったと言います。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
嬢さんも最早妙齢としごろゆえ、むこがあったらば取りたいものと、おっかさんは大事がって少しも側を離さないようにして置きましたが、どうも仕方がないもので、ある晩のことお母さんが不図目を覚まして見ると娘が居ない。
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
妙齢としごろの娘が聟を取るのを厭がるには、何か理由わけがあるんだろう、なにそれは店の手代に粂之助というい男があるから事にったらあの好い男と仔細わけでもありはしないか、と云いもしまいが、ひょっとして其様なことを云われた日には
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何から何まで人手にかけずに育て上げて、ようよう妙齢としごろになって来ると、裁縫ぬいはりだけは別として、茶の湯、生花、双六、歌留多、琴、三味線、手踊りのたぐいを自分の手一つで仕込んだ上に、姿が悪うなると言うて、お粥と豆腐ばっかり喰わせおる。
多情な女で、文ばかり通わしているのや、目顔で知らせ合っただけなのなんぞ——その容色きりょうでしかも妙齢としごろ、自分でも美しいのを信じただけ、一度擦違すれちがったものでも直ぐに我を恋うるとめていたので——胸に描いたのは幾人だか分らなかった。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お聞きなさい。男と女が話をしてゐれば、それがただちに逢引あひびきですか。又妙齢としごろの女でさへあれば、必ず主有るにきまつてゐるのですか。浅膚あさはかな邪推とは言ひながら、人をふるも太甚はなはだしい! 失敬千万な、気を着けて口をおきなさい」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
——心中の相談をしている時に、おやじが蜻蛉とんぼ釣る形の可笑おかしさに、道端へ笑い倒れる妙齢としごろの気の若さ……今もだ……うっかり手水ちょうずに行って、手を洗う水がないと言って、戸を開け得ない、きれいな女と感じた時は、娘のような可愛さに、唇の触ったばかりでも。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おお……そなたはどこまで因果者であろう、弟のような者に、縁を結んだばかりに、四年越しのこの艱難かんなん、その実も結ばず花も咲かず、鼠木綿の襟垢えりあかに、女子おなご妙齢としごろをこの流転……、千浪殿、千浪どの、弟に代って重蔵が、こ、この通りお詫びいたしますぞ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——伯父、甥が何だ。……姪の婿がどうしたっていうんだ。他人様の大切な娘を……妙齢としごろ十七八だって。(お月様いくつ)のほかに、年紀としばかりで唄になるのはその頃の娘なんだ。謡をうたうひまに拝んでるがい。私なんざ、二十二三の中年増に、お酌を頂いたばかりで……この通り。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
妙齢としごろになっても畑の仕事のひまさえあれば、蝶々を追っかけたり、草花を摘んだりしてニコニコしている有様なので、世話の焼ける事、一通りでなかったが、それを母親のオナリ婆さんが、眼の中に入れても痛くない位可愛がって、振袖を着せたり、洟汁はなんでやったりしているのであった。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
盛の牡丹ぼたん妙齢としごろながら、島田髷しまだもつれに影がす……肩揚をったばかりらしい、姿も大柄に見えるほど、荒いかすりの、いささか身幅も広いのに、黒繻子くろじゅすの襟の掛った縞御召しまおめしの一枚着、友染ゆうぜん前垂まえだれ同一おんなじで青い帯。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
武蔵あるがゆえに、生きもし、希望もし、ひたすら女の道を、女たらんとしながら、柳生の城を離れてからまた、嫁ぐ妙齢としごろもはや過ぎかける片鴛鴦かたおしどりの独り身を、旅人の眼に不審いぶかられながら、むなしく旅に朽ちんとはして——いったい彼女は、この秋を、どこに武蔵の見た月を見ているのだろうか。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひわくちがちょっと触ってもかすか菫色すみれいろあざになりそうな白玉椿の清らかに優しい片頬を、水紅色ときいろの絹半帕ハンケチでおさえたが、かつ桔梗ききょう紫に雁金かりがねを銀で刺繍ぬいとりした半襟で、妙齢としごろの髪のつやに月の影の冴えを見せ、うつむき加減のあぎとの雪。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)