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妙齢
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としごろ
ふりがな文庫
“
妙齢
(
としごろ
)” の例文
旧字:
妙齡
『兄よりは、妹のほうがもう
妙齢
(
としごろ
)
。これは盛りを過ぎてはいかぬ。虫のつかんうちに、子葉殿も、ひとつ心がけておいてくだされ』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ヘヘヘ。博多中の
妙齢
(
としごろ
)
の娘の乳房の黒い、赤いを間違いなく存じておりまする者は、この赤猪口兵衛タッタ一人で。ヘヘヘ……」
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いかに、大の男が手玉に取られたのが
口惜
(
くやし
)
いといって、親、兄、姉をこそ問わずもあれ、
妙齢
(
としごろ
)
の娘に向って、お商売? はちと思切った。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女が
妙齢
(
としごろ
)
になれば、いろんな男が訪ねて来るもので、この作家の応接間には、娘を
目的
(
めあて
)
の若い男が次ぎから次へとやつて来た。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「可哀想に——。無理もねえや。
妙齢
(
としごろ
)
の女が桐の箪笥ごと晴着をみな焼いちまって、たったよれよれの浴衣一枚になってしまったんだからなァ」
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
その何番目かの娘のおらいというは神楽坂
路考
(
ろこう
)
といわれた評判の美人であって、
妙齢
(
としごろ
)
になって御殿奉公から下がると降るほどの縁談が申込まれた。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
男と女が話をしてゐれば、それが
直
(
ただ
)
ちに
逢引
(
あひびき
)
ですか。又
妙齢
(
としごろ
)
の女でさへあれば、必ず主有るに
極
(
きま
)
つてゐるのですか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
嬢さんも最早
妙齢
(
としごろ
)
ゆえ、
良
(
い
)
い
聟
(
むこ
)
があったらば取りたいものと、お
母
(
っか
)
さんは大事がって少しも側を離さないようにして置きましたが、どうも仕方がないもので
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
けれどまず第一に人の眼に
注
(
と
)
まるのは夜目にも
鮮明
(
あざやか
)
に若やいで見える一人で、言わずと知れた
妙齢
(
としごろ
)
の
処女
(
おとめ
)
。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
さうしてこの中の資格は処女に限られ、縁づいたものは籍を除かれ、新しい
妙齢
(
としごろ
)
のものが代つて入る。
水郷柳河
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
静かだとはいっても、暮れ切れぬ駒形通り、相当人の往き来があるが、中でも、
妙齢
(
としごろ
)
の娘たちは、だしぬけに咲き出したような、この
優
(
やさ
)
すがたを見のがそう
筈
(
はず
)
がない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
私は父や母の性格をよく知っていますから、知り合いになったこの家に、ジーナとスパセニアという、
妙齢
(
としごろ
)
の美しい娘がいるということなぞは、絶対に
洩
(
も
)
らしてはいません。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
七
(
しち
)
、七、
静
(
しずか
)
にしろ、一体貴様が分らぬわ、貴様の姪だが貴様と違って
宿中
(
しゅくじゅう
)
での
誉者
(
ほまれもの
)
、
妙齢
(
としごろ
)
になっても
白粉
(
おしろい
)
一
(
ひ
)
トつ
付
(
つけ
)
ず、盆正月にもあらゝ木の
下駄
(
げた
)
一足新規に買おうでもないあのお辰
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
名は忘れたが、亜米利加で名高い女優に、
妙齢
(
としごろ
)
の娘を一人持つたのがある。——女優だからといつて、娘を産んではならぬといふ法はない。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
妙齢
(
としごろ
)
だ。この箸がころんでも笑うものを、と
憮然
(
ぶぜん
)
としつつ、駒下駄が飛んで、はだしの清い、肩も膝も
紅
(
くれない
)
の乱れた
婦
(
おんな
)
の、半ば起きた肩を抱いた。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それについて、ふと思い当ったことがあります。聞くところによると、呂布には
妙齢
(
としごろ
)
の美しい娘がひとりあるそうです」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ようよう
妙齢
(
としごろ
)
になって来ると、
裁縫
(
ぬいはり
)
だけは別として、茶の湯、生花、双六、歌留多、琴、三味線、手踊りの
類
(
たぐい
)
を自分の手一つで仕込んだ上に、姿が悪うなると言うて
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何うぞ
善
(
い
)
いとか悪いとか聞いて下さい、唯
手前
(
てめえ
)
は厭になったら
帰
(
けえ
)
れって、何でも
宜
(
い
)
いから出て行けって、亀屋のお龜という芸者
揚句
(
あげく
)
の、
妙齢
(
としごろ
)
の、今は
娼妓
(
つとめ
)
をして居るのを二三度買って
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「よう、得心してくれた。そなたも
妙齢
(
としごろ
)
。いや後の
二妹
(
ふたり
)
を嫁入らせるにも、先ず、そなたから先に
定
(
き
)
まらねばなるまいし」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女商人
(
をんなあきんど
)
は答へた。「商売をも一層
手弘
(
てびろ
)
くやつて
往
(
ゆ
)
きたいと思ひますし、それに
妙齢
(
としごろ
)
の娘も二人ございますもんですから。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
背は高いが、
小肥
(
こぶとり
)
に肥った肩のやや怒ったのは、
妙齢
(
としごろ
)
には御難だけれども、この位な年配で、
服装
(
みなり
)
が可いと威が備わる。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
妙齢
(
としごろ
)
になっても畑の仕事の
隙
(
ひま
)
さえあれば、蝶々を追っかけたり、草花を摘んだりしてニコニコしている有様なので、世話の焼ける事、一通りでなかったが、それを母親のオナリ婆さんが
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いつでも娘が
厭
(
いや
)
がる、
他人様
(
ひとさま
)
から、斯ういう
良
(
よ
)
い聟がありますと申込んでも厭がるもんだから、
他人
(
ひと
)
が色々な事を云って困る、
妙齢
(
としごろ
)
の娘が聟を取るのを厭がるには、何か
理由
(
わけ
)
があるんだろう
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一処
(
ひとところ
)
、大池があって、朱塗の船の、
漣
(
さざなみ
)
に、浮いた
汀
(
みぎわ
)
に、盛装した
妙齢
(
としごろ
)
の派手な女が、
番
(
つがい
)
の
鴛鴦
(
おしどり
)
の宿るように目に留った。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実は
此娘
(
これ
)
が嫁入の引出物にといふ積りで、
夙
(
はや
)
くからお願ひ致しましたのですが、
娘
(
これ
)
も御覧の通りの
妙齢
(
としごろ
)
になりました。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「なんだね、お前さんたら、まだそんな色気があるのかい。
婆惜
(
ばしゃく
)
さんというあんな
妙齢
(
としごろ
)
の娘を持ッてるくせにさ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一処
(
ひとところ
)
、
大池
(
おおいけ
)
があつて、
朱塗
(
しゅぬり
)
の船の、
漣
(
さざなみ
)
に、浮いた
汀
(
みぎわ
)
に、盛装した
妙齢
(
としごろ
)
の
派手
(
はで
)
な女が、
番
(
つがい
)
の
鴛鴦
(
おしどり
)
の宿るやうに目に
留
(
とま
)
つた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
アメリカのペンシルヴアニヤ州のクリヤフイルド市にヘンズレエといふ
今歳
(
ことし
)
とつて十九になる
妙齢
(
としごろ
)
の娘がある。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
とよく人にも云わるるとおり、時政はまだ五十もこえないのに、
妙齢
(
としごろ
)
のむすめ達が三人もあった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そりの合わない……というのも行き過ぎか、合うにも合わないにも
妙齢
(
としごろ
)
の女なんぞ影も見せたことのない処へ何しに来たろう。——ああ、そうか。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
画家
(
ゑかき
)
の胃の腑が当てにならない事を知つた依頼者は、近頃では妙な事を考へ出した。それは画の催促に出掛ける折、
妙齢
(
としごろ
)
の娘を一人連れ立つて
往
(
ゆ
)
くといふ事だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
四年越しのこの
艱難
(
かんなん
)
、その実も結ばず花も咲かず、鼠木綿の
襟垢
(
えりあか
)
に、
女子
(
おなご
)
の
妙齢
(
としごろ
)
をこの流転……、千浪殿、千浪どの、弟に代って重蔵が、こ、この通りお詫びいたしますぞ
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妙齢
(
としごろ
)
で、あの
容色
(
きりょう
)
ですからね、もう
前
(
ぜん
)
にから、いろいろ縁談もあったそうですけれど、お
極
(
きま
)
りの長し短しでいた処
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「成る程さうだ、嬢ももう
妙齢
(
としごろ
)
になつたかな。」どうやら今日まで娘は
胡瓜
(
きうり
)
と同じやうに、日に日に大きくなるものだといふ事を忘れてゐたらしい
口風
(
くちぶり
)
だつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
嫁ぐ
妙齢
(
としごろ
)
もはや過ぎかける
片鴛鴦
(
かたおしどり
)
の独り身を、旅人の眼に
不審
(
いぶか
)
られながら、むなしく旅に朽ちんとはして——いったい彼女は、この秋を、どこに武蔵の見た月を見ているのだろうか。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妙齢
(
としごろ
)
の娘でも見えようものなら、白昼といえども、それは崩れた土塀から影を
顕
(
あら
)
わしたと、人を驚かすであろう。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あなた、宅の娘ももう
妙齢
(
としごろ
)
になりました事ですから、誰かいい
聟
(
むこ
)
でもありましたらと存じますが……」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「貂蝉、風邪をひくといけないぞよ。……さ、おだまり、涙をお拭き。おまえも
妙齢
(
としごろ
)
となったから、月を見ても花を見ても、泣きたくなるものとみえる。おまえくらいな妙齢は、羨ましいものだなあ」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
他人様の大切な娘を……
妙齢
(
としごろ
)
十七八だって。(お月様いくつ)のほかに、
年紀
(
とし
)
ばかりで唄になるのはその頃の娘なんだ。謡をうたう
隙
(
ひま
)
に拝んでるが
可
(
い
)
い。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると、それまで出口に
衝立
(
つゝた
)
つてゐた
妙齢
(
としごろ
)
の美しい娘が、一寸会釈をしてこの説教家を呼びとめた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そこへ、
妙齢
(
としごろ
)
の小間使が、
楚々
(
そそ
)
たる
風情
(
ふぜい
)
で、茶を汲んで来た。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……眉は
鮮麗
(
あざやか
)
に、目はぱっちりと
張
(
はり
)
を持って、
口許
(
くちもと
)
の
凜
(
りん
)
とした……やや
強
(
きつ
)
いが、
妙齢
(
としごろ
)
のふっくりとした、濃い
生際
(
はえぎわ
)
に
白粉
(
おしろい
)
の際立たぬ、色白な娘のその顔。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして絵の具は高いが、
箪笥
(
たんす
)
は
廉
(
やす
)
いさうだから、結婚するなら今の
間
(
うち
)
だと教へる。親といふものは、娘の結婚を「
妙齢
(
としごろ
)
」よりも、箪笥の値段で
定
(
き
)
めるものだといふ事をよく知つてゐるから。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「——
妙齢
(
としごろ
)
だからな、もはや
彼女
(
あれ
)
も」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御
妙齢
(
としごろ
)
なが見得もなし。世帯崩しに、はらはらとお急ぎなされ、それ、御家の格子をすっと入って、その時じゃ——その時覚えました、あれなる出窓じゃ——
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
相手は
妙齢
(
としごろ
)
の
縹緻
(
きりやう
)
よしといふでは無し、また別に色つぽい
談話
(
はなし
)
をするのでもなしするから、そんなに肩が擦れ合はないでもよかりさうなものだが、そこは男と女だけにまた格別なものと見える。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「なんとあの
妙齢
(
としごろ
)
を」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼家
(
あすこ
)
も無事なれば
宜
(
よろ
)
しゅうござりますが、
妙齢
(
としごろ
)
の娘、ちと器量が
好
(
よ
)
過ぎますので、心配なものでござります。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いや、損をしても構いません。
妙齢
(
としごろ
)
の娘か、年増の
別嬪
(
べっぴん
)
だと、かえってこっちから願いたいよ。」
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
目顔で知らせ合っただけなのなんぞ——その
容色
(
きりょう
)
でしかも
妙齢
(
としごろ
)
、自分でも美しいのを信じただけ
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
妙
常用漢字
中学
部首:⼥
7画
齢
常用漢字
中学
部首:⿒
17画
“妙”で始まる語句
妙
妙諦
妙子
妙見
妙義
妙齡
妙薬
妙音
妙高
妙案