)” の例文
茲よりては踈大なる錯謬に陷りて、の日月の蝕、旱魃、洪水の災も、人君の政治に關係せりと云ふ妄想を生ずるに至る可し。
尚白箚記 (旧字旧仮名) / 西周(著)
の漢の文皇帝を異代の主と為す、と云っているのは、腑に落ちぬ言だが、其後にただちに、倹約を好みて人民を安んずるを以てなり、とある。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
漁史は、錨綱を繰り放つ役、船頭は戕牁かしつつく役にて、前々夜、のお茶屋釣聖ちょうせいのかかりという、きりっぷの大巻きに鈎尖はりさきの漂う加減に舟を停めぬ。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
の道學先生の説く所を聞かずや、何ぞ其の拘々として缺々たる。彼等は、人の作りたるものを以て、天の造りたるものを律せむとするものに非ずや。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
内新好ないしんかうが『一目ひとめ土堤づゝみ』に穿ゑぐりしつう仕込じこみおん作者さくしや様方さまがた一連いちれんを云ふなれば、其職分しよくぶんさらおもくしてたふときは扇子せんす前額ひたひきたへる幇間だいこならんや。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
曾皙曰く、の三子者の言は何如。子曰く、亦各その志を言えるのみ。曰く、夫子何ぞ由を哂える。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
あきらめがついた上での天命を楽しんでといふやうな楽しむといふ域には至らなかつたかと思ふ。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
穰苴じやうしよ區區くくとして小國せうこくめにるがごとき、なん司馬しば兵法へいはふ(三九)揖讓いふじやうおよぶにいとまあらんや。すで司馬しば兵法へいはふおほし、ゆゑもつろんぜず、穰苴じやうしよ列傳れつでんあらはす。
彼は吾人を以ての宗教家若しくは詩人、哲学者が世界的ウヲルドリイと呼べるところの事業に渉らずんば無益の文章なりと曰ひたるが如く言へり。如何いかなれば彼の眼かくの如く斜視する乎。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
えてこのなき者の若きは、鄙夫ひふ小人と爲す、碌碌ろく/\としてかぞふるに足らざるもののみ。
若し此事が六号活字子ごうかつじしの耳に入って、雪江せっこうの親達は観世撚かんぜよりってるそうだ、一寸ちょっとちんだね、なぞと素破抜すっぱぬかれては余り名誉でないと、名誉心も手伝って、急に始末気しまつぎを出し
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
コレアルハ六朝りくちょうヨリ始ル。然レドモ唐宋大賢ノ文ヲルニ直ニ胸臆きょうおくヲ抒シ通暢つうちょう明白ニシテ切ニ事理ニ当ル。ノ彫虫篆刻てんこくスル者トハ背馳はいちセリ。名ハ集ナリトイヘドモ実ハ子ナリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
長沮ちょうそ桀溺けつできならびて耕す。孔子之をぎり、子路をしてしんを問わしむ。長沮曰く、輿を執る者は誰と為すと。子路曰く、孔丘と為すと。曰く、是れ魯の孔丘かと。曰く、是なりと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
しかしの名取に至っては、そのあえ軽々かろがろしく仮借せざる所であるらしい。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
三奉行大憤激して吟味することにも相成り候わば、小子深望の事に候えば、その節株連しゅれん蔓延まんえんも構わず、腹一杯天下の正気を振うべし。事いまだここに至らざれば、安然として獄に坐しの天命を
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
畝傍山うねびやま東南たつみのすみ橿原かしはらところを観れば、蓋し国の墺区もなかならむ、可治之みやこつくるべし
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
の道學先生の如き、若し眞に世道人心の爲に計らむと欲せば、須らく率先して今日の態度を一變せざるべからず。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
わかきより日に弥陀仏を念じ、行年四十以後、其志弥々いよいよはげしく、口に名号を唱え、心に相好そうごうを観じ、行住坐臥ざが、暫くも忘れず、造次顛沛てんぱいも必ず是に於てす、の堂舎塔廟とうびょう
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
理も亦此の如く、苟も二物有る以上は細大遺す事無くして、一定必然の者たりと云ふ一端は知れども、其全體は知るに由無き也。此言の世人の惑を解くに足らん歟。(明治壬申三月稿)
尚白箚記 (旧字旧仮名) / 西周(著)
紅塵万丈こうじんばんじょうの中この一小閑地を残して荒涼たる山間の趣を留む、錙銖ししゅを争ふ文明開化なる者に疑ひなき能はざるなり。不折ふせつが画く所、未来の神田川、また余輩と感を同じうせし者あるに因るか。
四百年後の東京 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
子路、子羔しこうをしてさいたらしむ。子曰く、の人の子をそこなうと。子路曰く、民人みんじんあり、社稷しゃしょくあり、何ぞ必ずしも書を読みて、然る後に学びたりと為さんやと。子曰く、是の故に佞者ねいしゃにくむと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
極めて俗なれどもくことなく、人をして覚えず巻を終へしむ。の蓮如の「御文章」は彼れが理想の文学なりと聞きつれども彼れの文は単に文のみとして論ずるも蓮如に勝ること数等也と云ふべし。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
然レドモ東西隔絶スルコト千里余ナリ。ノ羽族ノ序ヲヒ影ヲつらネテ飲啄いんたく相離ルヽコトナキガ如クナルコト能ハズ。悲ミ中ヨリ生ジ老涙さいニ交ル。コレガタメニ竟夕きょうせきやすカラズ。坐シテ以テあしたヲ待ツ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
の僞學と云ひ、腐儒と云ひ、方便主義と云ふが如きものは、畢竟是の人生の歸趣に關する本末を顛倒したるところに生ずる病的現象に外ならざるのみ。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)