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取
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とっ
ふりがな文庫
“
取
(
とっ
)” の例文
しかれどもこれ聯想の習慣の異なるよりして来る者にして、複雑なる者を
取
(
とっ
)
て
尽
(
ことごと
)
くこれを十七字中に収めんとする故に成し得ぬなり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
どういう訳か分らぬが
何
(
なん
)
でも怪しいから
取
(
とっ
)
て押えんければならぬが、それには
先
(
まず
)
第一富五郎をどうかして押えなければならぬと心得
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
しか
)
らば
則
(
すなわ
)
ち
之
(
これ
)
に
取
(
とっ
)
て代ろうと云う
上方
(
かみがた
)
の勤王家はドウだと云うに、彼等が
代
(
かわっ
)
たら
却
(
かえっ
)
てお
釣
(
つり
)
の出るような攘夷家だ。コリャ又幕府よりか一層悪い。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と取合う気色も見えぬに、茶一杯
饗応
(
もてな
)
されぬ助役は
悄然
(
すごすご
)
として元
来
(
き
)
し道に
取
(
とっ
)
てかえしぬ、正兵衛は後見送りて、
皺苦茶
(
しわくちゃ
)
の眉根を
顰
(
ひそ
)
め、ああ厄払い厄払い。
厄払い
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
幸村の一子大助、今年十六歳であったが、組討して
取
(
とっ
)
たる首を鞍の四方手に附け、相当の手傷を負っていたが、流るる血を拭いもせずに、そこへ馳せて来た。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
折々は黄金丸が枕辺にて、
有漏覚
(
うろおぼ
)
えの舞の
手振
(
てぶり
)
、または綱渡り
籠抜
(
かごぬ
)
けなんど。
古
(
むか
)
し
取
(
とっ
)
たる
杵柄
(
きねづか
)
の、
覚束
(
おぼつか
)
なくも
奏
(
かな
)
でけるに、黄金丸も興に入りて、病苦もために忘れけり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
もう夕暮の光が
漂
(
ただよ
)
っている大川の水面をじっと眺めていましたが、やがて『どうだろう。その中に一つ
釣
(
つり
)
にでも出かけて見ては。』と、何の
取
(
とっ
)
つきもない事を云い出しました。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
基督教は富のために人の思慮するを許さず、もちろん世に称する基督信徒必しもみな空の鳥野の百合花のごとくにあらず、ある者は蟻のごとく
取
(
とっ
)
ても
取
(
とっ
)
ても溜めつつあるなり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
僕の
魂
(
たましい
)
の生み出した真珠のような未成品の感情を君は
取
(
とっ
)
て
手遊
(
おもちゃ
)
にして空中に
擲
(
なげう
)
ったのだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
さも拭き
取
(
とっ
)
た跡らしく見せかけて、その実出来るだけ広く塗り廻したのです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
三膳出しましたと
云
(
いっ
)
て、
却
(
かえ
)
ってこの男を
怪
(
あやし
)
んだ、
爰
(
ここ
)
に
於
(
おい
)
てこの男は主人の妻子が
付纏
(
つきまと
)
って、こんな不思議を見せるのだと思い、
迚
(
とて
)
も
逭
(
のが
)
れぬと観念した、
自訴
(
じそ
)
せんと
取
(
とっ
)
て
返
(
か
)
えす途上
捕縛
(
ほばく
)
されて
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
お腹の中の汚物は
皆
(
み
)
んな吐いてしまって
綺麗
(
きれい
)
なものです。それに
身体
(
からだ
)
は充分
脂
(
あぶら
)
が乗って美味しくなっていますし、その魚を浦賀では
昔
(
むか
)
し一網千両の馬鹿網といって網で一度に沢山
取
(
とっ
)
たそうです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
家の構造から云うと、階子段を
上
(
あが
)
ってすぐ
取
(
とっ
)
つきが壁で、その右手がまた四畳半の小さい部屋になっているので、この部屋の前を廊下伝いに通り越さなければ、津田の寝ている所へは出られなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
たまえば
取
(
とっ
)
て
戴
(
いただ
)
き
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
兄弟中誰にも
遣
(
や
)
りようがない、唯一つしかないと云うような物は、総領の一太郎が
取
(
とっ
)
て
宜
(
よ
)
かろうと云うくらいな事で、その
外
(
ほか
)
には何も変ることはない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
鹽原
(
しおばら
)
多助が忠孝の道を炭荷と
倶
(
とも
)
に重んじ。節義は
恰
(
あたか
)
も
固炭
(
かたずみ
)
の固く
取
(
とっ
)
て動かぬのみか。
獣炭
(
じゅうたん
)
を作りて酒を
煖
(
あたゝ
)
めし
晋
(
しん
)
の
羊琇
(
ようじゅう
)
が
例
(
ためし
)
に
做
(
なら
)
い。
自己
(
おのれ
)
を節して費用を省き。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一、古雅に長じて他に拙なる者、繊細に長じて他に拙なる者、疎豪に長じて他に拙なる者等の如きは如何の方針を
取
(
とっ
)
てか進むべき。
応
(
こた
)
へて曰く、一定の方針あるべき理なし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
彼の
大藪
(
おおやぶ
)
の陰を通る時、一匹の狐物陰より現はれて、わが車の上に飛び乗り、
肴
(
さかな
)
を
取
(
とっ
)
て投げおろすに。
這
(
しゃ
)
ツ憎き野良狐めト、よくよく見れば年頃日頃、憎しと思ふ聴水なれば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
露柴はさも
邪魔
(
じゃま
)
そうに、時々
外套
(
がいとう
)
の袖をはねながら、快活に我々と話し続けた。如丹は静かに笑い笑い、話の
相槌
(
あいづち
)
を打っていた。その内に我々はいつのまにか、河岸の
取
(
とっ
)
つきへ来てしまった。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
加之
(
しかのみ
)
ならず本来今度の生麦事件で英国が一私人殺害の
為
(
た
)
めに大層な事を日本政府に
云掛
(
いいか
)
けて、
到頭
(
とうとう
)
十二万五千
磅
(
ポンド
)
取
(
とっ
)
たと
云
(
い
)
うのは理か非か、
甚
(
はなは
)
だ疑わしい。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
虎ノ門へ
取
(
とっ
)
て返し、反吐の中を掻廻すと有りましたから悦んで宅へ帰ると、家内の申すには、
溝板
(
どぶいた
)
の上へ黄金が落ちてたと申しましたが、大方御前のお出しになった時
梅若七兵衛
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかして芭蕉の如きもなほ不可能的の景色を
取
(
とっ
)
て俳句と為さんと
務
(
つと
)
むるに似たり。
豈
(
あに
)
無理なる注文ならずや。いはんや松島の如きは
甚
(
はなは
)
だ天然の美において欠くる所多きをや。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
その
後
(
のち
)
叔父は
臼
(
うす
)
に
撲
(
う
)
たれ、
他
(
かれ
)
は木から
落猿
(
おちざる
)
となつて、この山に
漂泊
(
さまよ
)
ひ来つ、金眸大王に事へしなれど、むかし
取
(
とっ
)
たる
杵柄
(
きねづか
)
とやら、
一束
(
ひとつか
)
の矢
一張
(
ひとはり
)
の弓だに持たさば、彼の黄金丸如きは
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
今後
(
こんご
)
期
(
き
)
するところは士族に
固有
(
こゆう
)
する品行の
美
(
び
)
なるものを存して
益
(
ますます
)
これを養い、物を
費
(
ついや
)
すの
古吾
(
こご
)
を変じて物を造るの
今吾
(
こんご
)
となし、
恰
(
あたか
)
も商工の
働
(
はたらき
)
を
取
(
とっ
)
て士族の精神に配合し
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
身請して
女房
(
にょうぼ
)
となし松山の
家
(
いえ
)
を立てさせくれと
今際
(
いまわ
)
の頼み其の場は
遁
(
のが
)
れ去り其の
金
(
きん
)
五百円にてお久を
身受致
(
みうけいたし
)
夫婦と相成候それ故に苗字を
取
(
とっ
)
て松山園と
号
(
なづ
)
け居りしが昨夜親子の困難を
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
秋「いや、
取
(
とっ
)
とけ/\、お
飯
(
まんま
)
を
喫
(
た
)
べさせてやろう」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“取”の解説
取(しゅ)とは、サンスクリット語およびパーリ語のウパーダーナ(pi: upādāna)に由来する言葉であり、「ある活動を活性化させ維持させる源や手段となる、燃料、物質的原因、気質」という意味である。
仏教では、アタッチメント、執着、掌握といった意味を指す重要概念である。これは渇愛(tṛṣṇā、トリシュナー)の結果として生じるものであり、煩悩の一種とされ、最終的には苦に繋がる。
(出典:Wikipedia)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
“取”を含む語句
取付
取着
奪取
取附
取除
取出
引取
請取
取換
取合
取扱
受取
取交
手間取
主取
気取
捗取
取締
取捨
取返
...