トップ
>
出鱈目
>
でたらめ
ふりがな文庫
“
出鱈目
(
でたらめ
)” の例文
「ロマネスク」なども、滑稽な
出鱈目
(
でたらめ
)
に満ち満ちていますが、これは、すこし、すさんでいますから、あまり、おすすめできません。
「晩年」に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ただし、なにか思うところがあってやっているのか、それとも
出鱈目
(
でたらめ
)
なのか、こんな
風来人
(
ふうらいじん
)
のことだから、
性根
(
しょうね
)
のほどはわからない。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
依
(
よっ
)
てかの家を彩牋堂とこじつけ候へども元より
文藻
(
ぶんそう
)
に乏しき
拙者
(
せっしゃ
)
の
出鱈目
(
でたらめ
)
何か
好
(
よ
)
き名も御座候はゞ御示教願はしく
万々
(
ばんばん
)
面叙
(
めんじょ
)
を期し申候
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ決して
出鱈目
(
でたらめ
)
なものではなく、昔の人はこういうことについて、実によく研究していたということが解っていただけば充分です。
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それかと言つて来るほどのお人に無愛想もなりがたく、可愛いの、いとしいの、
見初
(
みそめ
)
ましたのと
出鱈目
(
でたらめ
)
のお世辞をも言はねばならず
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
弁信さん、
出鱈目
(
でたらめ
)
を言ってはいけません、誰だって……誰だって、こんなに急いで来れば
動悸
(
どうき
)
がするじゃありませんか、そんなことを
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして、自分のでない、
出鱈目
(
でたらめ
)
のイニシアルを彫らせた銀のシガレット・ケースを
袂
(
たもと
)
にしのばせて、何気ない風で自宅へ帰ったものだ。
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私も出来るだけその近くに進んでみたが、しかしその観察はどうも
出鱈目
(
でたらめ
)
であるので、私はちょっと嫌気がさしてまた引き返した。
空家の冒険
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
けれども姫が又急いで次の
頁
(
ページ
)
を開いて見ると、今度はいよいよ二人の名前が
出鱈目
(
でたらめ
)
に並べてあるのではなく、この書物には本当に
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
柿丘は
出鱈目
(
でたらめ
)
の実験目的を説明したうえで、右手を
押釦
(
おしボタン
)
の前に、左手を、振動を僅かの範囲に変えることの出来る装置の
把手
(
ハンドル
)
に懸けた。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし私にしてみれば、一体この話がほんとうのことか、根も葉もない
出鱈目
(
でたらめ
)
なのか、それが判然せぬうちは出す気持が起らんな。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
すると寒月が「奥深く毛も見えずはいけますまいか」と
各々
(
おのおの
)
出鱈目
(
でたらめ
)
を並べていると、垣根に近く、往来で「
今戸焼
(
いまどやき
)
の
狸
(
たぬき
)
今戸焼の狸」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
偽
(
いつはり
)
も似つきてぞする」は、偽をいうにも幾らか事実に似ているようにすべきだ、余り
出鱈目
(
でたらめ
)
の偽では困る、というようなことを
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
情人でないこともないが、麻油は
出鱈目
(
でたらめ
)
な女詩人で、痴川のほかに、その友人の伊豆ならびに小笠原とも公然関係を結んでいた。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それとも尊卑分脈所載の順序は
出鱈目
(
でたらめ
)
で、世光以下三人の男子は滋幹より前か、同時ぐらいに生れた
庶子
(
しょし
)
でゞもあるのだろうか。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「フランソア・コツペエが亡くなりました。御主人がまだ御存知でなければ一寸
報
(
しら
)
せて上げて下さい。」と
出鱈目
(
でたらめ
)
な事を言つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「探偵小説家というものは随分ひどい
出鱈目
(
でたらめ
)
を書くものですね」と、氏は私の顔を見るなり、いきなりこういって話しかけた。
誤った鑑定
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
その
證據
(
しようこ
)
には、
婦人雜誌
(
ふじんざつし
)
に
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
る
女學校
(
ぢよがくかう
)
の
校長
(
かうちやう
)
の
説
(
せつ
)
などを
讀
(
よ
)
むと、
色々
(
いろ/\
)
の
本
(
ほん
)
の
名前
(
なまへ
)
を
擧
(
あ
)
げてゐても、ことごとく
尤
(
もつと
)
もらしい
出鱈目
(
でたらめ
)
である。
読書の態度
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
船長
(
キャプテン
)
の前で一等運転士の作った
出鱈目
(
でたらめ
)
の契約書に
署名
(
サイン
)
する時、何ということなしに為吉はシンタロ・サカモトと書いて
終
(
しま
)
った。
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
予報
(
テップ
)
売りの口上だ。私も買ってみたが、帳面のきれはしに馬の番号が
出鱈目
(
でたらめ
)
に——どうもそうとしか思われない——
殴
(
なぐ
)
り
書
(
がき
)
してあるだけだ。
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
出鱈目
(
でたらめ
)
の趣向、出鱈目の句作にことさらに「も」の一字を添へて物めかしたるいやみ加減は少しひかへてもらひたき者にこそ。(六月二日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
まして人間の指で書くような
出鱈目
(
でたらめ
)
の曲線は何千万状あるか知れるものではない。このくらい曲線という奴は洒落た奴だよ。
ねじくり博士
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
狼狽の面持ちで、三つのスイッチを、あっちこっち捻ってみたが、音は
出鱈目
(
でたらめ
)
で、店の中から、吃驚したような声をたてて
泣虫小僧
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
その藪の中から
襤褸
(
ぼろ
)
の小屋を架け出して何やら煙を立てゝいる物の形を何とも思わなかったし、そこに一人の
出鱈目
(
でたらめ
)
な服装をした老人がいて
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そこで、丹造は直営店の乾某がかつて呼吸器を痛めた経験があるを奇貨とし、主恩で縛りあげて、無理矢理に
出鱈目
(
でたらめ
)
の感謝状と写真を徴発した。
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
そして、時々そんな思い切った
出鱈目
(
でたらめ
)
な芝居をしては『敵兵の
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
』とか何とかタイトルをつけて、しこたま興行価値を上げようとたくらんだんだ
兵士と女優
(新字新仮名)
/
渡辺温
、
オン・ワタナベ
(著)
山の手のホテルの寝床の上で米良は彼女に片足かけていまでは彼は資本主義の
出鱈目
(
でたらめ
)
な機構を利用し成金になっていた。
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
彼はよほど
粗忽
(
そそっ
)
かしい男で、ときどきに飛んでもない間違いや
出鱈目
(
でたらめ
)
を報告するので、湯屋熊のほかに、
法螺熊
(
ほらくま
)
という名誉の異名を頭に戴いていた。
半七捕物帳:04 湯屋の二階
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
出鱈目
(
でたらめ
)
の名を呼び立てた。ポチは、砂を蹴って父の傍から離れると、一飛び体をくねらせ、傍の晴子の頬の辺を
嘗
(
な
)
めた。父がまるでむきな調子で
海浜一日
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この頃のように大学の組織や制度が完備しては、ああいう無茶な学生の存在は許されまいし、実験の方でもああ
出鱈目
(
でたらめ
)
な勝手は出来ないことであろう。
実験室の思い出
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
一体噂ぐらいアテにならぬものはないので、大抵な噂の出処が
出鱈目
(
でたらめ
)
である。出鱈目でないはずの当事者や関係者の話からしてアテにならぬのが多い。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
丁度
烏賊
(
いか
)
が、敵を
怖
(
おそ
)
れて、逃げるときに厭な墨汁を吐き出すように、この男も
出鱈目
(
でたらめ
)
な、その場限りの、
遁辞
(
とんじ
)
を並べながら、
怱卒
(
そうそつ
)
として帰って行った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
趙太爺は見れば見るほど癪に障って二三歩前に押し出し「
出鱈目
(
でたらめ
)
もいい加減にしろ。お前のような奴が一家にあるわけがない。お前の姓は趙というのか」
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
明日になってあの男が、あの
出鱈目
(
でたらめ
)
の名簿を手柄顔に警視庁へもって行ったら、素敵な喜劇が演ぜられるでしょう
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
君はあの人たちと
異
(
ちが
)
つて、もつと
出鱈目
(
でたらめ
)
な、もつと脱線的な生活を送るべき人なんだ。人生つてものは、彼らのやうな、破綻のないものぢやないんだよ。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
王戎簡要
(
おうじゅうかんよう
)
天地玄黄
(
てんちげんこう
)
なんぞ
出鱈目
(
でたらめ
)
に
怒鳴
(
どな
)
り立てゝ、誠に上首尾、
銭
(
ぜに
)
だの米だの随分相応に
貰
(
もらっ
)
て来て、餅を買い鴨を買い
雑煮
(
ぞうに
)
を
拵
(
こしら
)
えてタラフク
喰
(
くっ
)
た事がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私方々の紅葉の風説なんど、
出鱈目
(
でたらめ
)
に
饒舌
(
しゃべ
)
るのを、嬉しそうに聞いていなすったっけ、少し傾いて耳を澄まして
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
男の云うことは常識ではとても信じられないが、それかと云って、彼の態度や話の調子から判断して、
出鱈目
(
でたらめ
)
を云っているものとは決して思われなかった。
凍るアラベスク
(新字新仮名)
/
妹尾アキ夫
(著)
出鱈目
(
でたらめ
)
な点にも感心してみせてやりたいのと、どうにも憎々しくて、折角まちがひないところを語つてゐるのに、意地悪くはぐらかして了ひたい男もある。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
●又、
出鱈目
(
でたらめ
)
で調子はずれな歌。——これは相当長いこと歌い叫ぶのですけれども、意味はもとより音も調子も即興的で、到底
捉
(
とら
)
えることは出来ないのです。
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
よくも人をひどい目に逢わしゃあがったな! あいつの
出鱈目
(
でたらめ
)
に乗って、のこのこ出かけたのもおいらの不覚だったが、貧乏寺の穴ぐらに、閉じこめるたあ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
この坊主がお経を
出鱈目
(
でたらめ
)
によむのを御存知なく、椿岳さんになってから、お経も沢山
誦
(
よ
)
んで下さるし、
御蝋燭
(
おろうそく
)
も沢山つけて下さる、と悦んで礼をいいましたね。
寺内の奇人団
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
洒落
(
しゃれ
)
とか、
野鄙
(
やひ
)
な文句とか、
頓珍漢
(
とんちんかん
)
な理窟とか、嘘や
出鱈目
(
でたらめ
)
とかは、私の知れる限りに
於
(
おい
)
て、全然痕跡もなく、何れも皆真面目な教訓、又は忠言のみであった。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
『
出鱈目
(
でたらめ
)
を云い通したんでしょう。お上でも分らず
仕舞
(
じまい
)
、米屋の隠居所でも、泣き寝入りとなっています』
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そばに行ってみると、彼は私の読本を机の上にひろげて、その挿画にクレヨンで
出鱈目
(
でたらめ
)
なぬり画をしているのであった。私はとうとう現場を押さえたのである。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
だから、可成
出鱈目
(
でたらめ
)
の事件もあり、荒唐無稽の人物も出没し、ただ
専
(
もっぱ
)
ら、事件の波瀾重畳のみを本意として興味をつなぐ以外に何ものも見いだし得ないのである。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
我にも解らぬ
出鱈目
(
でたらめ
)
を
句籠勝
(
くごもりがち
)
に言ッてまず
一寸遁
(
いっすんのが
)
れ、
匆々
(
そこそこ
)
に顔を洗ッて
朝飯
(
あさはん
)
の
膳
(
ぜん
)
に向ッたが、胸のみ塞がッて
箸
(
はし
)
の歩みも止まりがち、三膳の飯を二膳で済まして
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
僕は貴様が
先刻
(
さっき
)
云った隠し場所は
出鱈目
(
でたらめ
)
だった事を知ったから、本当の事を云わそうと思って
謀計
(
はかりごと
)
にかけたのだ。お父さんは地下室の牢に入ってなんかいやしない。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
すぐ外へ出て来て孟丙に向かい、主君の言葉として
出鱈目
(
でたらめ
)
な日にちを指定する。指定された日に孟丙は賓客を招き盛んに饗応して、その座で始めて新しい鐘を打った。
牛人
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
まるで
出鱈目
(
でたらめ
)
だ、俺はいい加減なところを聞いてるんじゃない、時間がかかってもいいからしっかり答えてくれ、どうだ今は? 然しその時はもう相手の返事がない。
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
鱈
漢検準1級
部首:⿂
22画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“出鱈目”で始まる語句
出鱈目書