トップ
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其麽
>
そんな
ふりがな文庫
“
其麽
(
そんな
)” の例文
『
奢
(
おご
)
りませんよ。』と言ふ富江の聲は
訛
(
なま
)
つてゐる。『ホヽヽ、いくら髭を生やしたつて
其麽
(
そんな
)
年老
(
としと
)
つた口は利くもんぢやありませんよ。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
此
(
この
)
家
(
うち
)
を
燒
(
や
)
き
潰
(
つぶ
)
せ!』と
兎
(
うさぎ
)
の
聲
(
こゑ
)
。
愛
(
あい
)
ちやんは
精
(
せい
)
一ぱい
大
(
おほ
)
きな
聲
(
こゑ
)
で、『
其麽
(
そんな
)
事
(
こと
)
をすれば
玉
(
たま
)
ちやんを
使嗾
(
けしか
)
けるから
可
(
い
)
いわ!』と
叫
(
さけ
)
びました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「まあ
其麽
(
そんな
)
ことゆはねえで
折角
(
せつかく
)
のことに、
勘次
(
かんじ
)
さんも
惡
(
わる
)
い
料簡
(
れうけん
)
でしたんでもなかんべえから」と
宥
(
なだ
)
めても
到頭
(
たうとう
)
卯平
(
うへい
)
は
聽
(
き
)
かなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
会場は円山の牡丹畑で、
其麽
(
そんな
)
時はいつも百年先生の塾と合併で、塾の先輩達がズラツと並んで席上をやつた。時には矢張り鈴木派の人達ばかりで演説会があつた。
写生帖の思ひ出
(新字旧仮名)
/
上村松園
(著)
離れて居ては貴方のお心迄が分らなくなつて
了
(
しま
)
ふ。若し貴方が
其麽
(
そんな
)
お心持から又この暗い世界へ私と同じ様に身を沈めてお了ひになつたらそしたら貴方が死ぬ許りか私も死ぬのですもの。
獄中の女より男に
(新字旧仮名)
/
原田皐月
(著)
▼ もっと見る
「どこか坊さんみたいね。だんだん
其麽
(
そんな
)
気がするの。」
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
同僚の噂でも出ると、フフンと云つた調子で取合はぬ。渠は今日また
頻
(
しき
)
りに
其麽
(
そんな
)
話をして居たが、不図小宮洋服店の事を思出した。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
稻
(
いね
)
つ
束
(
たば
)
擔
(
かつ
)
ぐんだつて、わし
等
(
ら
)
口
(
くち
)
へ
出
(
だ
)
しちや
云
(
ゆ
)
はねえが、ちやんと
知
(
し
)
つてんでがすから、さう
云
(
い
)
つちや
何
(
なん
)
だが
其麽
(
そんな
)
ことするもなあ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
試
(
こゝろ
)
みに
蝋燭
(
らふそく
)
が
吹
(
ふ
)
き
消
(
け
)
された
後
(
あと
)
の
燄
(
ほのふ
)
の
樣
(
さま
)
を
想像
(
さうざう
)
して
見
(
み
)
ました、
前
(
まへ
)
に
其麽
(
そんな
)
物
(
もの
)
を
見
(
み
)
たことを
記憶
(
きおく
)
して
居
(
ゐ
)
ませんでしたから。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
其麽
(
そんな
)
時は怎も
米町
(
よねまち
)
(遊廓)へ行くらしいので、現に
或時
(
いつか
)
の晩の如きは職工二人許りと連立つて行つた形跡があると云ふ事であつた。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
然
(
しか
)
し
其麽
(
そんな
)
ことは
勘次
(
かんじ
)
を
苦
(
くるし
)
めて
其
(
そ
)
のさもしい
心
(
こゝろ
)
の
或
(
ある
)
物
(
もの
)
を
挽囘
(
ばんくわい
)
させる
力
(
ちから
)
を
有
(
いう
)
して
居
(
ゐ
)
ないのみでなく、
殆
(
ほと
)
んど
何
(
なん
)
の
響
(
ひゞき
)
をも
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
に
傳
(
つた
)
ふるものではない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『
話
(
はな
)
して
聞
(
き
)
かしてお
呉
(
く
)
れな』と
愛
(
あい
)
ちやんは
恐
(
おそ
)
る/\
云
(
い
)
つて、『
何故
(
なぜ
)
其麽
(
そんな
)
に
薔薇
(
ばら
)
の
花
(
はな
)
を
彩色
(
さいしき
)
するの?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
其麽
(
そんな
)
時は怎も
米町
(
よねまち
)
(遊廓)へ行くらしいので、現に
或時
(
いつか
)
の晩の如きは職工二人許りと連立つて行つた形跡があると云ふ事であつた。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其麽
(
そんな
)
風ぢや
不可
(
いけな
)
い、兄弟一緒に寄越すさ。遲く入學さして置いて、卒業もしないうちから、子守をさせるの何のつて下げて了ふ。
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其麽
(
そんな
)
風
(
ふう
)
ぢや
不可
(
いけな
)
い、兄弟一緒に寄越すさ。遅く入学さして置いて、卒業もしないうちから、子守をさせるの何のつて下げて了ふ。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『マ清子さん!……貴女
其麽
(
そんな
)
に……私になら何だつて言つて下すつたつて
可
(
い
)
いわ。貴女許りよ、私姉さんの樣に思つてるのは!』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『マ清子さん!……貴女
其麽
(
そんな
)
に……私になら何だつて言つて下すつたつて
可
(
い
)
いわ。貴女
許
(
ばつか
)
りよ、私姉さんの様に思つてるのは!』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
然
(
さ
)
うか!』と言つた信吾の態度は、
宛然
(
さながら
)
、
其麽
(
そんな
)
事は聞いても聞かなくても可いと言つた樣であつたが、靜子は
征矢
(
そや
)
の如く兄の心を感じた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
其麽
(
そんな
)
事
誰方
(
どなた
)
から習つて? ホホヽヽ、マア何といふ
呆然
(
ぼんやり
)
した顔! お顔を洗つて
被来
(
いらつしや
)
いな。』と言ひ乍ら、遠慮なく座つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『君はまだ
那麽
(
あんな
)
声を聞かうとするだけ若い。僕なんかは
其麽
(
そんな
)
暇はない。聞えても成るべく聞かぬ様にしてる。
他
(
ひと
)
の事よりア
此方
(
こつち
)
の事だもの。』
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
其麽
(
そんな
)
声で言ふと聞えるよ。
何有
(
なあに
)
、道庁の学務課へ出てゐる小役人だがね。昔から壁に耳ありで、
其麽
(
どんな
)
処から計画が破れるか知れないから
喃
(
なあ
)
。』
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其麽
(
そんな
)
事から、この町に唯一軒の小川家の親籍といふ、立花といふ
家
(
うち
)
に半自炊の様にして泊つてゐるのだ。
服装
(
みなり
)
を飾るでもなく
書
(
ほん
)
を読むでもない。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
此村
(
こゝ
)
から東京へ百四十五里、
其麽
(
そんな
)
事は知らぬ。東京は仙臺といふ所より遠いか近いかそれも知らぬ。唯明日は東京にゆくのだと許り考へてゐる。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
林務課の事業手といふ安腰辨の立見君は、細君と女兒と三人で
其麽
(
そんな
)
室にゐ乍ら、時々藤村調の新體詩などを作つてゐた。
札幌
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
林務課の事業手といふ安腰弁の立見君は、細君と
女児
(
こども
)
と三人で
其麽
(
そんな
)
室
(
へや
)
にゐ乍ら、時々藤村調の新体詩などを作つてゐた。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
此村
(
ここ
)
から東京へ百四十五里、
其麽
(
そんな
)
事は知らぬ。東京は仙台といふ所より遠いか近いか、それも知らぬ。唯明日は東京にゆくのだと許り考へてゐる。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其麽
(
そんな
)
時は、
恰度
(
ちやうど
)
、空を行く雲が、明るい
頭腦
(
あたま
)
の中へサッと暗い影を落した樣で、目の前の人の顏も、原稿紙も、何となしに
煤
(
くす
)
んで、曇つて見える。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其麽
(
そんな
)
時は、無精者の母親がよく健の前へ来て、抱いてゐる梅ちやんといふ児に胸を
披
(
はだ
)
けて大きい乳房を含ませながら
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
時として、叔父は三日も四日も、或は七日も八日も続いて、
些
(
ちつ
)
とも姿を見せぬ事があつた。
其麽
(
そんな
)
事が、
収穫
(
とりいれ
)
後から冬へかけて殊に多かつた様である。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
渠は今日また頻りに
其麽
(
そんな
)
話をして居たが、不圖小宮洋服店の事を思出した。が、渠は
怎
(
どう
)
したものか、それを胸の中で壓潰して了つて考へぬ樣にした。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『まあ
然
(
さ
)
うですか。
些
(
ちよつ
)
とお手紙にも
其麽
(
そんな
)
事があつたつて、新太郎が言つてましたがね。お前さん達、まあ遠い所をよくお出になつたことねえ。
眞
(
ほんと
)
に。』
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『まあ然うですか。
些
(
ちよつ
)
とお手紙にも
其麽
(
そんな
)
事があつたつて、新太郎が言つてましたがね。お前さん達、まあ遠い所をよくお出になつたことねえ。
真
(
ほんと
)
に。』
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それは多分蚊帳が無いので、然うして蚊を逐出してから寝たのだらうといふ事であつた。
其麽
(
そんな
)
に苦しい生活をしてゐて、渠には
些
(
ちつ
)
とも心を痛めてゐる
態
(
ふう
)
がない。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
渠自身も常に
其麽
(
そんな
)
話をする事を避けて居たが、それでもチョイチョイ口に出るもので、四年前の渠が知つてなかった筈の土地の事が、何かの機會に話頭に上る。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
其麽
(
そんな
)
事があつた爲ですか、
昨晩
(
ゆうべ
)
頻りに、
貴方
(
あなた
)
がお出にならないツて、金村の奴心配してましたよ。』
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
其麽
(
そんな
)
事があつた為ですか、昨晩頻りに、貴方がお出にならないツて、金村の奴心配してましたよ。』
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『先刻社長が見えて
其麽
(
そんな
)
事を云つて居た。二號
標題
(
みだし
)
で成るべく景氣をつけて書いて呉れ給へ。尤も、今日は單に報道に止めて、此方の意見は二三日待つて見て下さい。』
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
先刻
(
さつき
)
社長が見えて
其麽
(
そんな
)
事を云つて居た。二号
標題
(
みだし
)
で成るべく景気をつけて書いて呉れ給へ。尤も、今日は単に報道に
止
(
とど
)
めて、
此方
(
こつち
)
の意見は二三日待つて見て下さい。』
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
叔父の事にしては、家が
怎
(
ど
)
うならうと、妻子が
甚麽
(
どんな
)
服装
(
なり
)
をしようと、
其麽
(
そんな
)
事は
従頭
(
てんで
)
念頭にない。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
浅草の観音様に鳩がゐると聞いた時、お定は
其麽
(
そんな
)
所にも鳥なぞがゐるか知らと、異様に感じた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『嘘だあでヤ。俺ア、酒でも飮んだ時ア
他
(
ほか
)
の女子さも
行
(
え
)
ぐども、
其麽
(
そんな
)
に浮氣ばしてねえでヤ。』
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ト共に、初め
材料
(
たね
)
を聞出す積りでチヨイ/\飲みに行つたのが、此頃では
其麽
(
そんな
)
考へも無しに、唯モウ行かねば気が落付かぬ様で、毎晩の様に華やかな絃歌の巷に足を運んだ。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『フム、君は
其麽
(
そんな
)
に死といふことを慕ふのかね。……だが、まあ兎も角今夜は飮まうや。』
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『フム、君は
其麽
(
そんな
)
に死といふことを慕ふのかね。……だが、まあ兎に角今夜は飲まうや。』
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『然う然う、
其麽
(
そんな
)
癖がありましたね。一体
一寸々々
(
ちよいちよい
)
奇抜な事をやり出す人なんで、書く物も然うでしたよ。
恁麽
(
こんな
)
下らん事をと思つてると、時々素的な奴を書出すんですから。』
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今日は誰々が顏色が惡かつたと、何れ
其麽
(
そんな
)
事のみが住民の心に
徂徠
(
ゆきき
)
してるのであらう。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今日は誰々が顔色が悪かつたと、
何
(
いづ
)
れ
其麽
(
そんな
)
事のみが
住民
(
ひとびと
)
の心に
徂徠
(
ゆきき
)
してるのであらう。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『何をツて。
其麽
(
そんな
)
に白ばくれなくても
可
(
よ
)
ごあんすべ。出したすか? 出さねえすか?』
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其麽
(
そんな
)
風
(
ふう
)
だから、此邊の者は徴兵に採られても、大抵上等兵にも成らずに歸つて來る。
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『何もその銭金の
費
(
かか
)
る
事
(
こつ
)
で無えのだ。
私
(
わし
)
は
其麽
(
そんな
)
者
(
もの
)
で無え。自分で宿料を払つてゐて、一週間なり十日なり、
無料
(
ただ
)
で近所の人達に聞かして上げるのだツさ、今のその、有難いお話な。』
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
麽
部首:⿇
14画
“其麽”で始まる語句
其麽事
其麽樣
其麽物