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傍若無人
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ぼうじゃくぶじん
ふりがな文庫
“
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)” の例文
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の振舞いに散々土手を騒がせた船は、やがて花月華壇の桟橋に
纜
(
ともづな
)
を結んで、どや/\と一隊が庭の芝生へ押し上がりました。
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ドシドシ人の
住居
(
すまい
)
を買いつぶして妾宅を取拡げるなどということを聞くと、その
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
を憎まないわけにはゆかないのであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
がそれよりも、あの
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
な相手の女はいったい何者だろう? 「貴方のTより」「妾のN様」なんて実に有り得べからざる文句だ。
オパール色の手紙:――ある女の日記――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
波越警部は、犯人の
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
なやり口に、重ね重ねの大侮辱を蒙り、鬼刑事の名にかけて、
最早
(
もは
)
やじっとしていることは出来なかった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に何か柿江と笑い合う声がしたと思うと、野心家西山と空想家柿江とはもつれあってもう往来に出ているらしかった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
……
暢気
(
のんき
)
さも
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
で、いずれ野宿の、ここに寝てしまうつもりでいよう。舫船を旅籠とより、名所を座敷にしたようなことを
吐
(
ぬか
)
す。が。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
修道僧たちは、おそらく、
蒼
(
あお
)
くなって、自分の部屋でちぢこまっていることだろう。ああ、なんという、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の
悪虐振
(
あくぎゃくぶ
)
り!
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人間か猿か、甚だあいまいな一個の小動物が、木の枝に
四肢
(
しし
)
をささえて、天地のあいだに、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
なその姿態と愛嬌を示しているのである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は彼が
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
にこう言ったことを覚えている、それは
二人
(
ふたり
)
とも
数
(
かぞ
)
え
年
(
どし
)
にすれば、二十五になった冬のことだった。……
彼 第二
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
軽躁浮薄
(
けいそうふはく
)
、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
、きいた風、
半可通
(
はんかつう
)
、等あらゆるこの種の形容詞を用ゐてもなほ足らざるほどの厭味を備へて居つて
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
彼は
大
(
おおい
)
に
軽蔑
(
けいべつ
)
せる調子で「何、猫だ? 猫が聞いてあきれらあ。
全
(
ぜん
)
てえどこに住んでるんだ」随分
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いままで、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に
吹
(
ふ
)
いていた
暴風
(
あらし
)
は、こうあざらしに
問
(
と
)
いかけられると、ちょっとその
叫
(
さけ
)
びをとめました。
月とあざらし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
大杉は直情径行でスパイの勤まる
柄
(
がら
)
ではない。もしその
一本気
(
いっぽんぎ
)
な
肝癪
(
かんしゃく
)
や
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
な
傲岸
(
ごうがん
)
が世間や同志を欺くの仮面であるなら、それは芝居が余り巧み過ぎる。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
困
(
こまっ
)
た話ではないかなどゝ、
且
(
か
)
つ飲み且つ語り、部屋の中とは云いながら、人の出入りを
止
(
と
)
めるでもなし、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
、大きな声でドシ/\論じて居たのだから
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
女達はその
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に少しの表立った抗議もせず、身をずらせて、この
無体
(
むたい
)
な湯の
飛沫
(
しぶき
)
から逃れながら、なかば、惚れぼれとして、ミチの白い肉体を見上げる。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
、
狼藉者
(
ろうぜきもの
)
の大きな肢体がこれで
愈々
(
いよいよ
)
煙となって消え失せると思えば、私の感慨もさすがに深い。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「いったいいかがなされるおつもりで。斬り捨てることはできず、さりとて、このまま
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に——」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その両都十里四方を幕府に直轄すべしといい、諸侯及び旗下の飛地を取り
纏
(
まと
)
むべしというが如き、国民的統一の精神は、彼が
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の経綸によりて予測せられたり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
それは天性
英雄
(
えいゆう
)
豪傑
(
ごうけつ
)
ならぬものが、英雄豪傑を気取り、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
を
衒
(
てら
)
い、なに
彼奴
(
きゃつ
)
らがという態度を
持
(
じ
)
することは、あるいはこの方法で成功するものもあるか知らぬが
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
これも実は
糧秣
(
りょうまつ
)
局の役人で、無作法きわまる
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
な笑い声を立てる男で、しかも『どうだろう』チョッキもつけていないのである! また誰やら得体もしれぬ一人の男は
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
兄貴のフェリックスは、椅子の脚を
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
にがたがたいわせながら、こう考えている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
オペラや民謡はそれで構わないが、リードの場合はどういうものであろう。あの
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
な調子で伴奏者を引きまわして行く歌い方は、シューベルトにおける場合は賛成出来ない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
そう云いながら、瑠璃子は
嫣然
(
にっこり
)
と笑った。勝平は、
妖術
(
ようじゅつ
)
にでもかゝったように、ぼんやりと相手の美しい唇を見詰めていた。瑠璃子は相手を人とも思わないように
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ことに幕切れなどは、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
という難をまぬがれないおりもあって、見ていてさえハラハラしたものである。女王に隷属するのは当り前ではないかといった態度が歴然としていた。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
おたがいの遠慮——この美徳はたしかに昔の人に多かったが、殊に前に云ったような事情から、むかしの浴客同士のあいだには遠慮が多く、今日のような
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の客は少なかった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
談ずる事あれば当今小説家と称するもの枚挙に
遑
(
いとま
)
あらざれど真に文章をよくするものに至つてはもし
向島
(
むこうじま
)
の
露伴
(
ろはん
)
子を
措
(
お
)
きなば恐らくは我右に
出
(
いづ
)
るものあらざるべしと
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
しきりに豪語を
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
——無礼千万な言葉ではないか。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
烏啼天駆の如き
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の兇賊を現代に
蔓
(
はびこ
)
らせておくことは、わが国百万の胎児を神経質にし、将来恐怖政治時代を発生せしめる
虞
(
おそ
)
れがある。
奇賊は支払う:烏啼天駆シリーズ・1
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは海水着に海水帽をかぶった
同年輩
(
どうねんぱい
)
の
二人
(
ふたり
)
の少女だった。彼等はほとんど
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に僕等の側を通り抜けながら、まっすぐに渚へ走って行った。
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし、これ程までに大胆に、これ程までに
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に振る舞う女が、実際この地球の上に生きていて、
妾
(
わたし
)
と同じ空気を吸っていようとは知らなかった。
オパール色の手紙:――ある女の日記――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
一見、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
大胆無謀の様で、
流石
(
さすが
)
は二十万円の宝石を狙う程の大賊、実に細心な計画を立てていたのだ。だが
千慮
(
せんりょ
)
の
一失
(
いっしつ
)
、それ程の彼も、神ではない。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いままで、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に吹いていた
暴風
(
ぼうふう
)
は、こう海豹に問いかけられると、ちょっとその叫びをとめました。
月と海豹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
御猟
(
みかり
)
の日、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
な
曹賊
(
そうぞく
)
が、帝のおん前に立ちふさがって、諸人の万歳をわがもの顔にうけた時、玄徳の舎弟
関羽
(
かんう
)
が、斬ッてかかりそうな血相をしておった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と強い語調でいって、からからと
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に笑いながら葉子をせき立てた。海の波の荒涼たるおめきの中に聞くこの笑い声は diabolic なものだった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
故に大胆の事を為すは、小心の人なり、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の事を為すは、至誠にして
自
(
みず
)
から欺かざる人なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
まっすぐ向いて、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に笑いつづけている。この喬之助は、一同がはじめて見る喬之助である。
呆気
(
あっけ
)
に取られて、さすがの近江之介もしばらく黙って見つめていた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この四人の壮士が
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に試みた火つけの相談は、冗談ではなくて本当でありました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
左大臣のやり方は、他人の面目や世間の
掟
(
おきて
)
を蹈み
躙
(
にじ
)
った
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
な行為であるのみか、色道の方でも仲間の仁義を無視した仕方で、あれでは色事師の資格はないと云うべきである。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
土鍋
(
どなべ
)
の底のような
赭
(
あか
)
い顔が広告の姿見に写って
崩
(
くず
)
れたり、かたまったり、伸びたり縮んだり、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に動揺している。高柳君は一種異様な厭な眼つきを転じて、相手の青年を見た。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
たとえば前年僕を訪ねて、なかなか元気よく議論したある青年があった。その挙動を見るとすこぶる
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
で、
室
(
へや
)
に入るや
否
(
いな
)
やいきなり
趺座
(
あぐら
)
をかき、口角に
泡
(
あわ
)
を飛ばして盛んに議論する。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
人生五十の坂も早や間近の身を以て娘同様のものいつも側に引付けしだらもなき
体
(
てい
)
たらく
耻
(
はずか
)
し
気
(
げ
)
もなく御目にかけ候
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の
振舞
(
ふるまい
)
いかに場所がらとは
申
(
もうし
)
ながら酒
醒
(
さ
)
めては
甚
(
はなはだ
)
赤面の
至
(
いたり
)
に御座候。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
果して然りとすれば蕪村は
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の振舞を為したる者といふべし。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
芙蓉の低いけれど、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
な笑い声が、
錐
(
きり
)
の様に、柾木の胸をつき抜いて行った。その笑い声は、いつかの晩の自動車の中でのそれと、全く同じものであった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
昔、ジァン・リシュパンは通りがかりのサラア・ベルナアルへ
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の接吻をした。
お時儀
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そういって西山は取ってつけたように
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に高笑いするよりのがれ道がなかった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
といって椀をかざしている
体
(
てい
)
は、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
を極めたものであります。しかしながら、近藤勇ほどのものが、ついにこの傍若無人な坊主を突き倒す隙を見出すことができませんでした。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
といおうか、
天真爛漫
(
てんしんらんまん
)
といおうか、数正には、
推
(
お
)
し
量
(
はか
)
れないものだった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ゆえにすでに自分に所信あれば反対を受くる覚悟をもってこれを実行するに
力
(
つと
)
めねばならぬ。もちろんかくいったからとて何事につけても
無遠慮
(
ぶえんりょ
)
に勝手放題に
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に行えというにあらぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
時々不調和に大きな声を出します。
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に騒ぎます。そういう事にあまり
頓着
(
とんじゃく
)
のない私さえずいぶん
辟易
(
へきえき
)
しました。
御蔭
(
おかげ
)
でその晩は兄さんも私もちっともむずかしい話をしずに寝てしまいました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
の怪物は、どこをどうしてはいったのか、いつのまにか邸内にしのびこみ、まだ日もくれぬうちに、人々の前に、あのいやらしい姿をあらわしたのです。
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“傍若無人”の解説
傍若無人(ぼうじゃくぶじん)は、人のことなどまるで気にかけず、遊び、騒いで勝手に振る舞うこと。また、そのさま「―な態度に腹が立つ」。
(出典:Wikipedia)
傍
常用漢字
中学
部首:⼈
12画
若
常用漢字
小6
部首:⾋
8画
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“傍若”で始まる語句
傍若