伯父おぢ)” の例文
曾祖母ひいばあさん、祖父おぢいさん、祖母おばあさん、伯父おぢさん、伯母おばさんのかほから、奉公ほうこうするおひなかほまで、家中うちぢうのものゝかほ焚火たきびあかうつりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
十か二十か悉皆みなとははずたゞまいにて伯父おぢよろこ伯母おば笑顏ゑがほ、三すけ雜煮ぞうにのはしもらさるゝとはれしをおもふにも、うでもしきはかね
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
伯父おぢが京都で殺された時は、頭巾を着た人間にどや/\と、旅宿やどやに踏み込まれて、伯父は二階のひさしから飛びりる途端、庭石に爪付つまづいて倒れる所をうへから、容赦なくられた為に
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うちでは祖母おばあさんや伯母をばさんやおひなまで手拭てぬぐひかぶりまして、伯父おぢさんやぢいやと一しよはたらきました。近所きんぢよから手傳てつだひにはたらひともありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いとまともならば彌々いよ/\病人びやうにん伯父おぢ心配しんぱいをかけ、痩世帶やせせたいに一日の厄介やくかいどくなり、其内そのうちにはと手紙てがみばかりをりて、此處こゝこゝろならずもおくりける。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
伯父おぢは振り向きもせず、矢張りかさした儘、旅宿やど戸口とぐちて、格子こうしけてなか這入はいつた。さうして格子をぴしやりとめて、うちから、長井直記なほきは拙者だ。何御用か。と聞いたさうである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
正午ひるちかづけばおみね伯父おぢへの約束やくそくこゝろもとく、御新造ごしんぞ御機嫌ごきげんはからふにいとまければ、わづかのすきにつむりの手拭てぬぐひをまろめて、このほどよりねがひましたること
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
といふ伯父おぢさんのこゑきつけました。あのお前達まへたち伯父おぢさんが、とうさんには一番いちばん年長うへにいさんにあたひとです。とうさんは問屋とんやの三らうさんをかせたばつとして、にはたせられました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
八つくちをふさぎて大人おとな姿すがたにこしらへられしより二十二の今日けふまでに、下宿屋住居げしゆくやずまゐ半分はんぶんつもりても出入でいり三ねんはたしかに世話せわをうけ、伯父おぢ勝義かつよし性質せいしつむづかしいところから
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あらためてふまではけれどわたしにはおやもなし兄弟きようだいもなし、差配さはい伯父おぢさんを仲人なかうどなりさとなりにてゝものなれば、離縁りゑんされてのどころとてはありませぬ、うぞ堪忍かんにんしていてくだされ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
現在げんざい使つかひにとゝさんのこゝろうごかしによこる、なんといふてよこしたとへば、表通おもてどほりのにぎやかなところあそんでたらば何處どこのか伯父おぢさんと一しよて、菓子くわしつてやるから一しよにおいでといつて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)