高山たかやま)” の例文
その上には高山たかやまの上の城のごとく安らかに坐し、しきりにあたりをみまはしゐたるひとりのしまりなき遊女あそびめありき 一四八—一五〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
徳島県の北部でこの遊びをクバリアイ、飛騨ひだ高山たかやまでクバリゴト、配るというのは正式食物の贈与で一段ともと心持こころもちに近い。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
岐阜県の中には山の国飛騨ひだが含まれます。鉄道が敷かれたのも割合に近頃のことで、つい先日まではその都高山たかやまに行くのは並ならぬ旅でありました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
君は医学を専門にして居たが、文芸を好み高山たかやま樗牛ちょぎゅうの崇拝者で、兄弟打連れて駿州すんしゅう竜華寺りゅうげじに樗牛の墓を弔うたりした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
旅裝束たびしようぞくをとほして、さむさがこたへるとおもつてゐたが、なるほどやついたはずだ。あのむかうにえる、るこまのくらといふまへの乘鞍のりくら高山たかやまに、ゆきつもつてゐる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
座中では最も年の若い私立大学生で、大正十二年の震災当時は飛騨ひだ高山たかやまにいたというのである。
指輪一つ (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もしも高山たかやま市へおもむかれる人があったら、一度かならずこの大牡丹おおぼたんを見てられてよいと思う。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
くもそびゆる高山たかやまも。のぼらばなどかへざらむ。そらをひたせる海原うなばらも。わたらばつひわたるべし。わが蜻蛉洲あきつしまあかねさす。ひがしうみはなじまたとへばうみ只中たゞなかに。うかべるふねにさもたり——。
二人ふたりが一緒になってから二か月目に、葉子は突然失踪しっそうして、父の親友で、いわゆる物事のよくわかる高山たかやまという医者の病室に閉じこもらしてもらって、三日みっかばかりは食う物も食わずに
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
斯くばかり恋ひつつあらずは高山たかやま磐根いはねきて死なましものを (同・八六)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
本庁所在地松本以外の支庁も飯田いいだ高山たかやまとにしか取り設けてなかったほどの草創の時で、てんで木曾福島あたりにはまだ支庁も置かれなかった。遠い村々から松本までは二十里、三十里である。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この川はと聞くと飛騨川とたれか答えた。高山たかやまの上の水源地から流れて来てこの古井こいで初めて木曾川にるのだとまた一人がかたわらから教えてくれた。じゃあ、あの広いのが木曾川だなと思えて来た。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
高山たかやまの雪ふかつもりてこほりたる上へなほ雪ふかくかさなり、時の気運きうんによりていまだこほらで沫々あわ/\しきが、山のいたゞきの大木につもりたる雪、風などの為に一塊ひとかたまえだよりおちしが山のそびえしたがひてまろくだ
遠縁の高山たかやま某の一人娘お染、龍之助より一つ年上の十九ですが、郷士の子に生れて、都振りの華やかな空気の中に育ち、取なしが初々しいうちにも、なまめかしく愛くるしいところのある娘でした。
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
即ち迅き飛翔もて、高山たかやまに懸かるそが宮殿に入るとみるや
また忍ぶかな、高山たかやまの奧より落つる長水ちやうすゐ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
高山たかやまのいただきに登り
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「五十俵、大森銑三郎、三十、」高山たかやまは「二百二十石、高山郷作、三十一、」孫太郎は「五十俵、三富孫太郎、二十八、」顕太郎は門人「町医師、柳井顕太郎、」安貞は「二十俵二人扶持、前田安貞、三十二、」成安は「十二石二人扶持、医、三好成安、二十三、」全八郎は
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
この時また一者ひとりいふ。あゝねがはくは汝を引きてこの高山たかやまに來らしむる汝の願ひ成就せんことを、汝善きあはれみをもてわが願ひをたすけよ 八五—八七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
が、その製法を知る者は日本に無いので、彼は居城高山たかやま一里いちりの処へあらたに捕虜収容所を設けて、ここに百人の蒙古兵を養い、彼等に命じて異国の礮を作らせようと企てた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
字書じしよたい暴風ばうふうともあればよくかなへるにや。さて雪頽なだれ雪吹ふゞきならべて雪国の難義なんぎとす。高山たかやまの雪は里よりもふかく、こほるも又里よりははなはだし。我国東南の山々さとにちかきも雪一丈四五尺なるはあさしとす。
高山たかやまのいはほにおふるすがののねもころごろにふりおく白雪しらゆき
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
灰いろのくすしき色も日あたりてこの高山たかやまは見れども飽かず
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ここ過ぎてかの高山たかやま半腹なからまで玉蜀黍たうもろこしは輝りきらめけり
真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
また忍ぶかな、高山たかやまの奥より落つる長水ちようすい
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
トゥピーノと、ウバルド尊者に選ばれし丘よりくだる水との間に、とある高山たかやまより、肥沃の坂のるゝあり 四三—四五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
無論、うなっては塚田巡査一人の手に負える問題ではない。高山たかやまからも警官が大勢出張した、岐阜の警察からも昼夜兼行ちゅうやけんこうで応援に来た。狭い駅中しゅくじゅう沸返わきかえるような混雑である。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
高山たかやま鳥栖とぐらだちし兄鷹せうのごと
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そはその源、ペロロを斷たれし高山たかやまの水ゆたかなる處(かの山のうちこれよりゆたかなる處少なし)より 三一—三三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
高山たかやま鳥栖巣とぐらすだちし兄鷹しようのごと
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)