旧字:驗
「まだ験してみないので、それは何とも申し上げられません。」と船長は言った。「結構な船のようです。それ以上は言えません。」
すると、二本の腕が静にそっと、まるで参木の力を験すがように、後から彼の脇腹へ廻って来た。彼の身体は欄干の上へ浮き上った。
うずうずと、われとわが身を危地にさらして、も一度おのれの何ものであるかを、ぎりぎりの所で験してみたい欲望に燃えたのだ。
金儲けと同時に、玉井金五郎という男を験す、少からぬ好奇心もあった。そうして、あの、公会堂裏の道化芝居になったのである。
広く世間を見た人である。主人は一面剛毅な人で、一面又温和な人であつたから、随分種々の女をも愛した。国々の女を一々験してゐる。