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馭者
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ぎょしゃ
ふりがな文庫
“
馭者
(
ぎょしゃ
)” の例文
「
親方
(
おやかた
)
、おまえさんは、
戦争
(
せんそう
)
にいきなさったか。」と、ききました。ふいにこう
問
(
と
)
いかけられたので、
馭者
(
ぎょしゃ
)
は、おどろいた
顔
(
かお
)
をして
しらかばの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それから
馭者
(
ぎょしゃ
)
は、茂った樹木の間からそびえ立っている煉瓦と木材の破風を、鞭で指しながら「あれがリドリング村です」と云った。
暗号舞踏人の謎
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
馬車はかなりの歩速で躍ッていたが、
馭者
(
ぎょしゃ
)
の鞭の数がまだ少ない気がした。黙っているお菊ちゃんだってやっぱり同じだろうと思った。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
を失った犬どもがこの時烈しく吠え出した。三頭ながら空を仰ぎ降りしきる雪に身を
顫
(
ふる
)
わせさも悲しそうに吠えるのである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
が馬を追うごとに、馬車はぎしぎしと
鳴
(
な
)
り
軋
(
きし
)
めきながら、落ち葉の波の上を、沈んでは転がり浮かんでは転がって行った。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
▼ もっと見る
スコッチ服の
馭者
(
ぎょしゃ
)
がキチンと馭者台へ座ってときどき思い出したように片手の喇叭を吹き鳴らしながら、往来を横切ろうとする老人などに
円太郎馬車
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
帝劇女優の音羽かね子が
馭者
(
ぎょしゃ
)
アルフィオの女房ローラになって、第一幕の有名なサントッツァとトゥリドオの二重唱を中心に抄演したのでした。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
馬車がようよう止まると、馬丁は
馭者
(
ぎょしゃ
)
台から飛び降りて来た。外国婦人も降りて来た。私たちの車夫も駈け寄った。往来の人もあつまって来た。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「同じ馬車に上等中等下等がありました。私は当時必ず下等でした。『おい、若い衆、下等で行こう』と
馭者
(
ぎょしゃ
)
が定めてしまうから仕方がありません」
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
貸家
(
かしや
)
があるたびに、
馭者
(
ぎょしゃ
)
に車を留めさせて、マリイが間取りの様子や庭などを見て来る間、男は車の中に待っていた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
は橇の中で腰まで
乾草
(
ほしくさ
)
に埋め、
頸
(
くび
)
をすくめていた。若い、小柄な男だった。頬と鼻の先が霜で
赭
(
あか
)
くなっていた。
橇
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
ガーエフは
頭巾
(
ずきん
)
のついた暖かい
外套
(
がいとう
)
を着ている。召使たちや
馭者
(
ぎょしゃ
)
たちが集まる。エピホードフは荷物の世話をやく。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
あるいは
馭者
(
ぎょしゃ
)
がときどきむこうから自分に気づいて、ふざけて
鞭
(
むち
)
の革でさわっていったとかいうことです。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
ある日、一台の馬車がその
家
(
うち
)
の前に止りました。
馭者
(
ぎょしゃ
)
が戸を開けると、大屋敷の父親や、看護婦が下りました。すると、玄関から
下男
(
げなん
)
が二人駈け降りて来ました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
料理人も、
馭者
(
ぎょしゃ
)
も、召使も、家来も、一人々々王を置き去りにして、れいの商人のところへ行ってしまいました。まもなく
食物
(
たべもの
)
にもさしつかえるようになりました。
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
かつて
馭者
(
ぎょしゃ
)
たりし日の
垢塵
(
こうじん
)
を洗い去りて、いまやその
面
(
おもて
)
はいと清らに、その眉はひときわ
秀
(
ひい
)
でて、驚くばかりに見違えたれど、
紛
(
まが
)
うべくもあらず、渠は村越欣弥なり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
馬は踠き出す、
馭者
(
ぎょしゃ
)
は絆を引きしめる。谿が鳴り山が響いて風が一過したかと思うと、大雨が襲って来た。止まるべき家もないので、馬車は雨を
衝
(
つ
)
いてひた走りに走る。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
皎々
(
こうこう
)
と月のさえた夜だったが、寒さははげしかった。わたしたちの駅伝馬車は、
凍
(
い
)
てついた大地を矢のように走った。
馭者
(
ぎょしゃ
)
はたえず
鞭
(
むち
)
を打ちならし、馬はしばらく疾駆した。
クリスマス・イーヴ
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
たとえば年寄りの
栗毛
(
くりげ
)
などは、
馭者
(
ぎょしゃ
)
のアントンのむちを横っ腹へ食らいはしまいかとたえずびくびくしながら、乾草の山をかき分けているのですが、これは馬のことですから
夢がたり
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
老人の
馭者
(
ぎょしゃ
)
が、この
喧噪
(
けんそう
)
の中に、こっくりこっくり居眠りをしていた。馬車とは
愕
(
おどろ
)
いたが
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ある時の彼はまた
馭者
(
ぎょしゃ
)
や労働者と一所に
如何
(
いかが
)
わしい
一膳飯屋
(
いちぜんめしや
)
で
形
(
かた
)
ばかりの食事を済ました。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
後に陛下の
馭者
(
ぎょしゃ
)
になった人と私の親戚に当る伊藤八兵衛という二人が始めたもので、雷門に千里軒というのがあって
此処
(
ここ
)
がいわば車庫で、雷門と芝口との間を往復していたのです。
銀座は昔からハイカラな所
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
山高帽子の
馭者
(
ぎょしゃ
)
に黒鴨仕立ての馬丁、毛並を揃えた二頭立ての駿足を駆って、威風四辺を払う勢い、これが丸の内界隈や銀座通りを疾駆する光景、見た目は確かに自動車以上だが
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
そこで思い付いたのがこの花馬車競技でございます。一等賞を取れば五千法。……これに限ると、四輪馬車に
馭者
(
ぎょしゃ
)
をつけて一日二百五十法で借り、「生きた花馬車」を作りました。
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
手々に
手廻
(
てまわ
)
りのものや、ランプを持って、新宿まで電車、それから初めて調布行きの馬車に乗って、甲州街道を一時間余ガタくり、
馭者
(
ぎょしゃ
)
に教えてもらって、
上高井戸
(
かみたかいど
)
の
山谷
(
さんや
)
で下りた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一
輛
(
りょう
)
の馬車を認め目科は
之
(
こ
)
れを
呼留
(
よびとゞ
)
めて
先
(
ま
)
ず余に乗らしめ
馭者
(
ぎょしゃ
)
には「出来るだけ早く
遣
(
や
)
れ、バチグノールのレクルース
街
(
まち
)
三十九番館だ」と告げ其身も続て飛乗りつ
只管
(
ひたすら
)
馬
(
うま
)
を
急
(
せか
)
し
立
(
たて
)
たり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
宋の
龐元英
(
ほうげんえい
)
の『談藪』に、
筠
(
いん
)
州の五峯に至りし人、〈馬上遥かに山中の草木
蠕々
(
ぜんぜん
)
とし動くを見る、疑いて地震と為す、
馭者
(
ぎょしゃ
)
いう、満山皆猴なり、
数
(
かず
)
千万を以て計る、行人独り過ぐれば
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
馬は
一条
(
ひとすじ
)
の枯草を奥歯にひっ掛けたまま、
猫背
(
ねこぜ
)
の老いた
馭者
(
ぎょしゃ
)
の姿を捜している。
蠅
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
しかし貴族と
馭者
(
ぎょしゃ
)
とは違うのであるから、負債はどこまでも支払わなければならないことを言い聞かせれば、おそらく説得できるものと思ったので、結婚以来初めて祖父に
言訳
(
いいわけ
)
をしたり
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
中の条町にて
昼食
(
ちゅうじき
)
。掛茶屋に腰を下ろしている間に、前の通りで五十ばかりになる田舎者と馬車の
馭者
(
ぎょしゃ
)
とが押問答をしている。田舎者の
連
(
つれ
)
らしい三十位の女が子を抱いて
傍
(
そば
)
に立っていた。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
彼が最後に書物を買った時は、チョッキから、上衣から
洋袴
(
ズボン
)
から、外套まで、小型の奴は悉くポケットに詰め込み、大冊は両
腋
(
わき
)
に抱えたので、何処の辻馬車の
馭者
(
ぎょしゃ
)
も彼を乗せる事を拒んだ。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
明治、
鹿鳴館
(
ろくめいかん
)
のにおいがあった。私は、あまりの懐しさに、
馭者
(
ぎょしゃ
)
に尋ねた。
新郎
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
も勿論馬車の上に休んでいたのに違いない。が、俺は格別気にも止めずに古本屋の店へはいろうとした。するとその
途端
(
とたん
)
である。馭者は
鞭
(
むち
)
を鳴らせながら、「スオ、スオ」と声をかけた。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しばらく五六人の
馭者
(
ぎょしゃ
)
らしい人たちの間に割りこんで、手もちぶさたそうに炉の火にあたっていたが、みんなの吹かしている煙草にむせて急に咳が出だしたので、僕は小屋のそとに出ていって
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
けれども藍丸王の行列が見えると、こんなに繁華な往来が皆一時にピタリと静まって、見る間に
途
(
みち
)
を左右に開いて、
馭者
(
ぎょしゃ
)
は
鞭
(
むち
)
を捧げ畜生は前膝を折り、途行く人々は帽子を取って最敬礼をする。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
竈
(
かまど
)
はみな火が燃えており、炉には威勢よく炎が立っていた。主人はまた同時に料理人頭であって、
竈
(
かまど
)
や
鍋
(
なべ
)
を見て回り、
馭者
(
ぎょしゃ
)
たちのためにこしらえる
旨
(
うま
)
い食事の監督をし、ひじょうに忙しかった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
お婆さんは、にこにこ笑いながら、おなじように杖一本で、箱のなかにいた六匹の
二十日鼠
(
はつかねずみ
)
を六匹のたくましい馬に変え、鼠をいきな
馭者
(
ぎょしゃ
)
に変え、六匹の
蜥蜴
(
とかげ
)
を六人のりっぱなお供に変えました。
シンデレラ
(新字新仮名)
/
水谷まさる
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
が二人、
馬丁
(
ばてい
)
が二人、
袖口
(
そでぐち
)
と
襟
(
えり
)
とを赤地にした揃いの白服に、赤い
総
(
ふさ
)
のついた
陣笠
(
じんがさ
)
のようなものを冠っていた姿は、その頃東京では欧米の公使が威風堂々と堀端を乗り歩く馬車と同じようなので
十九の秋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
、料理人、下男下女、国家の用役をなす官吏、例えば行政官・裁判官・軍人など、農業・工業・商業に従事する労働者、弁護士、医師、芸術家、自由職業に従事する者などは、皆この範疇に属し
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
と
馭者
(
ぎょしゃ
)
に云う
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
彼は陽城を出て、四頭立ての
驢車
(
ろしゃ
)
に美人を大勢のせ、酔うた彼は、
馭者
(
ぎょしゃ
)
の真似をしながら、城外の梅林の花ざかりを逍遥していた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つづいて、ピシッ、
馭者
(
ぎょしゃ
)
がむちをあてると
馬
(
うま
)
は
本気
(
ほんき
)
になって
走
(
はし
)
り
出
(
だ
)
しました。
外
(
そと
)
を
見
(
み
)
ていると、だんだん
駅
(
えき
)
から
遠
(
とお
)
ざかりました。
しらかばの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
は長い
鞭
(
むち
)
を振り上げて馬を追った。馬車はごとごと揺れながら走った。敬二郎と紀久子とはそーっと手を握り合った。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
これまでは、ヴォローヂャも家へ帰ると、クリスマス・ツリーの用意をしたり、
馭者
(
ぎょしゃ
)
や牛飼いが雪の山をつくるのを見に、庭へ走って行ったりしたものだった。
少年たち
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ただどうもあそこへ行くのがいやでならんというのは、あの町へ行くときは旦那を馬車に乗っけて行くのでな、
馭者
(
ぎょしゃ
)
というものが旦那の言いつけでわしらを駆り立てるのじゃ。
夢がたり
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
は台の上にのっていましたが、酒にでも酔っているらしく、妙な声ではな唄をうたっていました。車をひっぱる
痩馬
(
やせうま
)
は、この酔払い馭者に迷惑そうに、とぼとぼとついていきます。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その前には黒い、ドアを閉めた二頭立てのそりがあった。今この
黄昏
(
たそがれ
)
のなかでKが離れた場所から見て
馭者
(
ぎょしゃ
)
だろうと想像したのだが、その馭者を除いて、だれ一人見うけられる人影はなかった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
その
繋
(
かか
)
り船に、長崎辺の伯父が一人乗込んでいると云うて、お
小遣
(
こづかい
)
の無心に来て、泊込んでおりました、二見から鳥羽がよいの馬車に、
馭者
(
ぎょしゃ
)
をします、寒中、
襯衣
(
しゃつ
)
一枚に
袴服
(
ずぼん
)
を
穿
(
は
)
いた若い人が
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうしてものをも云わずお母様から濃紅姫を無理に引き取って、その手をぐんぐん引きながら表へ出まして、用意の出来ている白馬三頭立ての花で飾った馬車へ乗せると、直ぐに
馭者
(
ぎょしゃ
)
に向って——
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「ホウ。」といって、そのとき、
馭者
(
ぎょしゃ
)
は、つなをひきました。やせた
赤毛
(
あかげ
)
の
馬
(
うま
)
が、ガラッ、ガラッとわだちをきしらせました。
しらかばの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“馭者(
御者
)”の解説
御者(ぎょしゃ、馭者)とは、馬などの使役動物を動力とする馬車やキャリッジなどを乗り物の専用座席から操作する作業者(運転手)である。英語では、Coachman、coachee、coachy、whip などの呼び名がある。アイルランドでは、 jarvey もしくは jarvie と呼ばれる。荷車(カート)の場合は、カーター、複数の馬やラバなどを扱う御者はと呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
馭
漢検1級
部首:⾺
12画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“馭者”で始まる語句
馭者台
馭者座