“醗酵:はっこう” の例文
“醗酵:はっこう”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治6
夏目漱石3
江戸川乱歩2
中島敦2
中谷宇吉郎2
“醗酵:はっこう”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 評論 エッセイ 随筆28.6%
歴史 > 伝記 > 個人伝記(児童)22.2%
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 風俗史・民俗誌・民族誌6.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
奴隷をもって甘んずるのみならず、争って奴隷たらんとするものに何らの理想が脳裏のうり醗酵はっこうし得る道理があろう。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
プーンと醗酵はっこうしている花梨かりんれたかきは岩のあいだに落ちて、あまいさけになっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
粕谷かすやの夫妻は彼女を慰めて、葛城が此等の動揺はまさに来る可き醗酵はっこうで、少しも懸念す可きでないとさとした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
多分は食料摂取法の理学的影響、例えば暖かいものの食い方とか、醗酵はっこう順序とかいうことに関係があるのであろう。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼はまた時勢の児なり、日本国に醞醸うんじょう醗酵はっこうしたる大気は、遂に彼が如き人物を生じて、彼が如き事業を行わしめたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
その一つとして、「形の物理学」などは大分先生の頭の中で醗酵はっこうして来ていたのではないかと思われるのである。
指導者としての寺田先生 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
こんな風にして罪悪というものが醗酵はっこうするのではないかと思われるばかり、実に陰気で、物悲しい光景なのです。
モノグラム (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
悪疾に侵されたかれの頭脳において、一人の罪は全般が背負うべきものという不当の論理が、ごく当然に醗酵はっこうし生長したかもしれない。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
思いきり酸ぱく、しぶく、しかも度が強くて、のむと腹の中がじりじりと焼け、胃の中でまだ醗酵はっこうをやめないのでさかんにおくびが出る。
山の秋 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
『ホトトギス』の中にも絶えず新しい気運が動きつつある。雑詠の中には常に新しい句が醗酵はっこうしつつある。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
すなわち一目盛分の水を埋合せ、瓶を横ざまに抱えて震動を与え、酒と水、両者の化合醗酵はっこうを企てるなど
禁酒の心 (新字新仮名) / 太宰治(著)
という『続猿蓑ぞくさるみの』の句などもあって、またこの頃までは甘酒の醗酵はっこうして酒になる日を、楽しみにして待っている人も多かった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
鮓は、それの醗酵はっこうするまで、静かに冷却して、暗所にらさねばならないのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
どう整理してよいか、まだ、そのわけが分明はっきりとしないものが醗酵はっこうしかけてくるのだ。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
たとえ、衝動は、外部からとしても、創造は、すべからく内部の醗酵はっこうに待たなければならない。
時代・児童・作品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一体この部屋は二人で寝てさえ狭苦しい上に、ナオミの肌や着物にこびりついている甘い香と汗のにおいとが、醗酵はっこうしたようにこもっている。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
自然と内に醗酵はっこうしてかもされた礼式でないから取ってつけたようではなはだ見苦しい。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは最初拵えたものへ少しずつ拵え足して行って段々古くなるほどよく醗酵はっこうして来ると申しますからちょうど鰻屋うなぎやのタレのようなものです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
これらの研究で腐敗とか醗酵はっこうとかのはたらきがすべて微生物によって起されることが確かになったので、これは学問の上で大きな功績の一つであります。
ルイ・パストゥール (新字新仮名) / 石原純(著)
葡萄液一瓶ひとびん、「醗酵はっこうしない真の葡萄汁ぶどうしるです」と男が註を入れた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ここまで来ると基経は二人を引きはなして見ることはできず、そして二人の妙な宿命的な感じは二人の若者に父親としての愛情をしだいに醗酵はっこうさせて行った。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
此の間、森の中で思い付いた例の物語、どうやら頭の中で大分醗酵はっこうして来たようだ。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
と、いう程度の考えは、もう少年孔明の胸に、人知れず醗酵はっこうしていたにちがいない。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なおパストゥールは、このような醗酵はっこうがいつもある温度の範囲のなかでのみ起ることを示したので、実用の上に意外に大きな効果を挙げるようになったのでした。
ルイ・パストゥール (新字新仮名) / 石原純(著)
ひどく酒の醗酵はっこうするにおいがすると思うと、そこは山役人の食料や調度の物を入れておく納屋らしく、裏の土間に、せるばかりな酒樽さかだるが積んである。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——元来、女にえていた奔放ほんぽうな野獣武士の本能と相俟あいまって、そこには想像外な性社会の醗酵はっこうが都の夜の底をびらんさせていたのではあるまいか。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが、うつらうつらと妄想の翼を拡げて居ります内に、いつの間にやら、その日頃私の頭に醗酵はっこうして居りました、ある恐ろしい考えと、結びついて了ったのでございます。
人間椅子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
司馬遷しばせん個人としては、父の遺嘱いしょくによる感激が学殖・観察眼・筆力の充実を伴ってようやく渾然こんぜんたるものを生み出すべく醗酵はっこうしかけてきていた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「それは醗酵はっこうし易い麦飯を食って、運動が不足だからですよ。」
独房 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
それはそうと、昨日、私はすっかりしくじってしまった。というのは、先方のからだを見ると、いぼがみんなつぶれて、醗酵はっこうしたようにぬらぬらしていた。そこで、私は——
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
研究の方も同様であって、三年間かの病床および療養の間に先生の頭の中で醗酵はっこうした色々の創意が、のままの姿でいくらでもあとから後からとわれわれの前に並べられた。
——醗酵はっこうさせる事の社会的危険を承知していた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
——監房内の温度はおそらく百度を越え、それと同時に房内の一隅いちぐう排泄物はいせつぶつ醗酵はっこうしきって、えたような汗のにおいにまじり合ってムッとした悪臭を放つ時など
(新字新仮名) / 島木健作(著)
そして、下は腐敗と醗酵はっこうのどろどろの沼土。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
からだのなかが醗酵はっこうしたようになる。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
則ちこの尊王思想は、かね醗酵はっこうしたる液体が一度ひとたび外気に接して沸騰するが如く、嘉永、安政以来外交の刺激によりて、始めて天下の人心を奔競ほんきょう顛倒てんとうせしむる活力ある警句となりしなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
やがては、いま安土に醗酵はっこうしつつある生気溌剌はつらつたる新文化が、東国をも陸奥みちのくの果てをも、また北陸や中国九州までも、満潮みちしお干潟ひがたひたしてゆくように、余すところなくみなぎってゆくであろう。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時分の久松と沢正の恋愛が、舞台のうえに灼熱的しゃくねつてきな演技となって醗酵はっこうするのであったが、銀子も大阪から帰りたての、明治座の沢正を見ており、腐っていたその劇場で見た志賀しが淡海くらいのものかと思っていたので
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
遠慮のない相手に向って放つその声には自分が世話をしている青年の手前勝手をなじる激しい鋭さが、発声口から聴話器を握っている自分の手に伝わるまでに響いたが、彼女の心の中は不安な脅えがやや情緒的に醗酵はっこうして寂しさの微醺ほろよいのようなものになって、精神を活溌にしていた。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
とろけるほどな年増としま肌目きめを、怖ろしいほど見せつけて、これでもかこれでもかと蠱惑こわくな匂いをむしむしと醗酵はっこうさせながら、精根の深い瞳の中へ年下の男のなめらかな悶えを、心ゆくまで吸い込んでゆく——新九郎の総身の血は磁石じしゃくに触れたように荒れ狂った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)