“細茅”の読み方と例文
読み方割合
サベジニヨス100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこは一面、細茅サベジニヨス、といっても腕ほどもあるのが疎生そせいしていて、ところどころに大蕨フェート・ジガンデがぬっと拳をあげている。そして、下は腐敗と醗酵はっこうのどろどろの沼土。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
陰気な、沼蛙ぬまがえるの声がするだけの寂漠たる天地。天幕テントのそばの焚火たきびをはさんで、カムポスと折竹が火酒カンニャをあおっている。生の細茅サベジニヨスにやっと火が廻ったころ、折竹がいいだした。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ただ渺茫びょうぼうはてしもない、一枚の泥地。藻や水草を覆うている一寸ほどの水。陰惨な死の色をしたこの沼地のうえには、まばらな細茅サベジニヨスのなかから大蕨フェート・ジガンデが、ぬっくと奇妙なこぶしをあげくらい空を撫でている。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)