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遮二無二
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しゃにむに
ふりがな文庫
“
遮二無二
(
しゃにむに
)” の例文
諸将僚もこれに
頷
(
うなず
)
いた。全軍の将卒に各二升の
糒
(
ほしいい
)
と一個の
冰片
(
ひょうへん
)
とが
頒
(
わか
)
たれ、
遮二無二
(
しゃにむに
)
、
遮虜鄣
(
しゃりょしょう
)
に向かって走るべき旨がふくめられた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
お葉は覚悟を
極
(
き
)
めた。
𤢖
(
わろ
)
見たような奴等の
玩弄
(
おもちゃ
)
になる位ならば、
寧
(
いっ
)
そ死んだ方が
優
(
まし
)
である。
彼女
(
かれ
)
は足の向く方へと
遮二無二
(
しゃにむに
)
と進んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
遮二無二
(
しゃにむに
)
ここまで走っては来たが、お粂が敵に取りこめられて、乱闘の場に残っていることを、フッとこの時思い出したのであった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
押し通すまでのことだ。間違うたにもせよ、そこ此処に、二百余りの兵はある。
遮二無二
(
しゃにむに
)
、かねての手筈をたがえず事を運んでくれい
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遮二無二
(
しゃにむに
)
、木蓮の枝にしがみついて、木の
撓
(
たわ
)
むのも、枝の折れるのも頓着なく、凧を引っぱずしにかかるものだから、神尾主膳が
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
許生員は、はっとなったが、とうとう我慢がならず、みるみる眉をひきつらすと、
鞭
(
むち
)
をふりあげ
遮二無二
(
しゃにむに
)
小僧をおっかけた。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
そういう少女のお涌が持って歩き出したあの
黄昏時
(
たそがれどき
)
の蝙蝠が、何故ともなく
遮二無二
(
しゃにむに
)
皆三には欲しくて堪らなくなったのだ。
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
すなわち吉田は首を動かしてその夜着の隙間を
塞
(
ふさ
)
いだ。すると猫は大胆にも枕の上へあがって来てまた別の隙間へ
遮二無二
(
しゃにむに
)
首を突っ込もうとした。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
掛りの男にこう
断
(
ことわ
)
ると、例の
氷包
(
こおりづゝみ
)
を額へあてながら、私は
遮二無二
(
しゃにむに
)
人ごみの流れに逆って、
周章狼狽
(
しゅうしょうろうばい
)
して、悪魔に追わるゝ如く構外へ逃げ延びた。
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
近松少佐は思うままにすべての部下を
威嚇
(
いかく
)
した。兵卒は無い力まで搾って
遮二無二
(
しゃにむに
)
にロシア人をめがけて突撃した。
橇
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
「俺まで倒れたら大変だ!」フッとそんな気が起ってくると、鷲尾は眠ってる上の男の子を揺すぶり起して、
遮二無二
(
しゃにむに
)
赤ン坊を背に結びつけてやった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
叫びながら、人をかきわけて飛びこんできたお兼婆さん、いきなり泰軒先生の手をとって、
遮二無二
(
しゃにむに
)
引きたてた。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私は腹の中で
凱歌
(
がいか
)
をあげた。ここでこの刑事を
憤
(
おこ
)
らして、
遮二無二
(
しゃにむに
)
私を捕縛さしてしまえばいよいよ満点である。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あの物凄じい黒死館の底流——些細な犯罪現象の個々一つ一つにさえ、影を絶たないあの大魔力に、事件の動向は
遮二無二
(
しゃにむに
)
傾注されてゆくのではないか。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それに長い時間をたった一人で
遮二無二
(
しゃにむに
)
押しとおすその単調さに、ぼつぼつと、ああああと
欠伸
(
あくび
)
し出して来た。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
遮二無二
(
しゃにむに
)
に
噛
(
かじ
)
り付いてくる少年の
前額
(
おでこ
)
に
掌
(
て
)
をかけて、力任せに
押除
(
おしの
)
けようと
踠
(
もが
)
いているうちに、浅田の夢は破れて、
蚊帳
(
かや
)
を外した八畳の間にぽっかりと目を
覚
(
さま
)
した。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
肉体はややともすると後ろに引き倒されそうになりながら、心は
遮二無二
(
しゃにむに
)
前の方に押し進もうとした。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼らは忠義の前提よりして
遮二無二
(
しゃにむに
)
、論理的必然の結論たる尊王
賤覇
(
せんぱ
)
に到着せずんば、休せざるなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
味方は満を持して放たず、敵は
遮二無二
(
しゃにむに
)
突き進んで腰が伸び切っている状態を国民はよく知っていた。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
道を外れて藪ヶ丘を
遮二無二
(
しゃにむに
)
乗り越え、檜の植林地を横断して吉井村と椙原村をつなぐ街道へ出た、——それを更に南へ十丁あまり、馬を煽り煽り行くと、向うから
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それから僕は三十分ばかり、
熊笹
(
くまざさ
)
を突きぬけ、岩を飛び越え、
遮二無二
(
しゃにむに
)
河童を追いつづけました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしそのためにかえって非常な恐怖に襲われて、後をも見ずに
遮二無二
(
しゃにむに
)
、駆け出してしまった。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
黒人
遮二無二
(
しゃにむに
)
豕無数を殺した後、神の怒り最早安まっただろとて豕を赦免の令が出た。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
相手の気持も何も考えず、子供可愛さのエゴイズムから
遮二無二
(
しゃにむに
)
押しつけてしまったのだ。俺はすぐ後で、それがあの女の本意でないことを知ったのだが、本人は何もいわなかった。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
にんじんは、苦情もいわず、
遮二無二
(
しゃにむに
)
がんばって
後
(
あと
)
をついて行く。靴で
怪我
(
けが
)
をする。そんなことは
噯気
(
おくび
)
にも出さない。手の指が
捻
(
ね
)
じ切れそうだ。足の
爪先
(
つまさき
)
が
膨
(
ふく
)
れて、
小槌
(
こづち
)
の形になる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
猛烈の雨中突進、
遮二無二
(
しゃにむに
)
登りつめれば中禅寺の八丁平なり。ここから
華巖
(
けごん
)
の滝壺を見に行った。この滝壺道というのは、五郎平
爺
(
じい
)
が十三年の
日子
(
にっし
)
を費やして独力造り上げた道である。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
鬱蒼
(
うっそう
)
たる木立の中に迷い込み、眺望どころでなくなって、あわてて
遮二無二
(
しゃにむに
)
木立を通り抜け、見ると、私は山の裏側に出てしまったらしく、眼下の風景は、へんてつも無い田畑である。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
委員G「
遮二無二
(
しゃにむに
)
、マライ半島へ
突入
(
とつにゅう
)
するんだ。そしてゴムを
掻
(
か
)
き
集
(
あつ
)
める」
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
遮二無二
(
しゃにむに
)
、切ッ払って逃げる外はない——ここで、縄目にかかれば、どうせ、二度と、
娑婆
(
しゃば
)
の、明るい日の目を見られぬからだだ——恋も、色も、それどころか、明日のいのちが、それっきりだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ほとんどすべての文士の多分に
漏
(
も
)
れず、彼もかなり冷たい人間だったが、それでいて自分がジナイーダを崇拝しているものと、
遮二無二
(
しゃにむに
)
相手に思い込ませようとしていたのみか、どうやら自分でも
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
遮二無二
(
しゃにむに
)
津田を突き破ろうとしたお延は立ちどまった。夫がそれほど自分をごまかしていたのでないと考える
拍子
(
ひょうし
)
に気が抜けたので、
一息
(
ひといき
)
に進むつもりの彼女は進めなくなった。津田はそこを
覘
(
ねら
)
った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
遮二無二
(
しゃにむに
)
男子と同じからんと騒ぐものであっては
致方
(
いたしかた
)
ない。
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
遮二無二
(
しゃにむに
)
飛込むガラッ八。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども、ハッキリした返事を与えないことが、同意の表示であるように、お雪をして
遮二無二
(
しゃにむに
)
、思い進ませた結果になりました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一途
(
いちず
)
に、真っ暗に、捨身に、願うらくは
潔
(
いさぎよ
)
く——とばかり、この暁から今、
陽
(
ひ
)
の中天の頃まで、
遮二無二
(
しゃにむに
)
来はしたが、ふとここで
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さういふ少女のお涌が持つて歩き出したあの
黄昏時
(
たそがれどき
)
の蝙蝠が、
何故
(
なぜ
)
ともなく
遮二無二
(
しゃにむに
)
皆三には欲しくて
堪
(
たま
)
らなくなつたのだ。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
何でも本道から西へ入ると聞き伝えているので、心の
急
(
せ
)
く彼は
遮二無二
(
しゃにむに
)
西へと進んだ。昨日
彼
(
か
)
のお葉が踏んだ
路
(
みち
)
である。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
手っとり早くしずめるために、
遮二無二
(
しゃにむに
)
この群集の中へ馬を乗り入れて、蹴散らそうとかかっている。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
するとある農家の前に
栗毛
(
くりげ
)
の馬が一匹
繋
(
つな
)
いである。それを見た半之丞は
後
(
あと
)
で
断
(
ことわ
)
れば
好
(
い
)
いとでも思ったのでしょう。いきなりその馬に
跨
(
またが
)
って
遮二無二
(
しゃにむに
)
街道を走り出しました。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
三日
経
(
た
)
つと平地に出た。平地戦になると倍加される騎馬隊の威力にものを言わせ
匈奴
(
きょうど
)
らは
遮二無二
(
しゃにむに
)
漢軍を圧倒しようとかかったが、結局またも二千の
屍体
(
したい
)
を
遺
(
のこ
)
して退いた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
数人の者が引き
仆
(
たお
)
された。が、団体は崩れなかった。
遮二無二
(
しゃにむに
)
戸口の方へ走って行った。三頭の熊が飛び掛かった。二頭の豹と力を合わせ、信者達を背中から引き仆した。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今、私の愛児は、幼年紳士は、急斜面の弧状の、白い石の太鼓橋を
欄干
(
らんかん
)
につかまり
遮二無二
(
しゃにむに
)
はい登ろうとしている。一行の
誰彼
(
たれかれ
)
が
哄笑
(
こうしょう
)
して、やんややんやと
背後
(
うしろ
)
から押しあげている。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
偶〻
(
たまたま
)
こいさんが洋裁学院に来たはることを思い出したので、これは万難を排しても救助に行って上げなければならん、と心づき、
遮二無二
(
しゃにむに
)
濁流の中を駈け付けた、と云うのであった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼の喚き叫ぶ咽喉をハタと閉ざしてしまおうとして、宿命的な敵弾がもうヒューンと唸り声を立てながらこちらへ飛んで来つつあることも、てんで考えようとはしないで、
遮二無二
(
しゃにむに
)
突進しながら
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
岩が落ちて来るような勢いでそのひとの顔が近づき、
遮二無二
(
しゃにむに
)
私はキスされた。
性慾
(
せいよく
)
のにおいのするキスだった。私はそれを受けながら、涙を流した。屈辱の、くやし涙に似ているにがい涙であった。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
こうして、委細のことは役所へ
罷
(
まか
)
り出でて申せとばかりで、
遮二無二
(
しゃにむに
)
この
新婿様
(
にいむこさま
)
を駕籠に乗せて引張って行ってしまいました。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「さても、信長めの兵は
迅
(
はや
)
い。どう知ったのか、手薄の留守城へ、一千余りの兵がふいに殺到して、
遮二無二
(
しゃにむに
)
攻めたてられましたので無念ながら!」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、私は、そうなると、
却
(
かえ
)
って猛勇を奮い起し、
遮二無二
(
しゃにむに
)
翼を早めて、太陽を目がけて、飛びつこうとしました。
トシオの見たもの
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
源兵衛も今まではさすがに躊躇していたのであるが、きょうはなんと思ったか、
遮二無二
(
しゃにむに
)
その冒険を実行しようと主張して、とうとう自分のからだに藤蔓を巻いた。
くろん坊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雌の河童はこれぞという雄の河童を見つけるが早いか、雄の河童をとらえるのにいかなる手段も顧みません、一番正直な雌の河童は
遮二無二
(
しゃにむに
)
雄の河童を追いかけるのです。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
遮
常用漢字
中学
部首:⾡
14画
二
常用漢字
小1
部首:⼆
2画
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
二
常用漢字
小1
部首:⼆
2画