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許
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ゆるし
ふりがな文庫
“
許
(
ゆるし
)” の例文
私は
雪籠
(
ゆきごも
)
りの
許
(
ゆるし
)
を受けようとして、たどたどと近づきましたが、扉のしまった中の様子を、
硝子窓越
(
がらすまどごし
)
に、ふと見て
茫然
(
ぼうぜん
)
と立ちました。
雪霊続記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
谷中へ越した時は、もはや娘は十四、五歳で、師匠は、まだ肩上げも取れぬけれども、絵の
技倆
(
うで
)
は技倆だからといって
許
(
ゆるし
)
をくれました。
幕末維新懐古談:72 総領の娘を亡くした頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「気の早いことぢや。わしは逃げもかくれもせぬ。明日も明後日もここにゐるから、両親の
許
(
ゆるし
)
を得てから来なさい。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
燿子はお母様からお
許
(
ゆるし
)
を受けると、丁度空いていた父親の自動車に乗って鎌倉停車場へ、綾子の後を追いました。
水中の宮殿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
若
(
も
)
しそうなればもう叔母の
許
(
ゆるし
)
を受けたも同前……チョッ
寧
(
いっ
)
そ
打附
(
うちつ
)
けに……」ト思ッた事は
屡々
(
しばしば
)
有ッたが
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
二月の末になって、病室前の梅がちらほら咲き出す頃、余は医師の
許
(
ゆるし
)
を得て、再び広い世界の人となった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平太郎には当時十七歳の、
求馬
(
もとめ
)
と云う
嫡子
(
ちゃくし
)
があった。求馬は早速
公
(
おおやけ
)
の
許
(
ゆるし
)
を得て、
江越喜三郎
(
えごしきさぶろう
)
と云う若党と共に、当時の武士の習慣通り、
敵打
(
かたきうち
)
の旅に
上
(
のぼ
)
る事になった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
正月は
奴婢
(
しもべ
)
どもゝ
少
(
すこ
)
しは
許
(
ゆるし
)
て遊をなさしむるゆゑ、
羽子
(
はご
)
を
擢
(
つか
)
んとて、まづ其処を見たてゝ雪をふみかためて
角力場
(
すまうば
)
のごとくになし、羽子は
溲疏
(
うつぎ
)
を一寸
ン
ほど筒切になし
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
われその年の秋母の
許
(
ゆるし
)
を得て始めて八重を迎へ
家
(
いえ
)
を修めしめしが、それとても
僅
(
わずか
)
半歳
(
はんさい
)
の夢なりけり。その人去りて庭の
籬
(
まがき
)
には摘むものもなくて矢筈草
徒
(
いたずら
)
に
生
(
お
)
ひはびこりぬ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
重々恐入った次第で何分にもお
許
(
ゆるし
)
を願います、
主家
(
しゅか
)
改易の後、心得違いを致して賊の
頭
(
かしら
)
となり、二百人からの同類を集めて
豪家
(
ごうか
)
大寺
(
おおでら
)
へ押入り、
数多
(
あまた
)
の金を奪い、
或
(
あるい
)
は
追剥
(
おいはぎ
)
を致し
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから藤沢古実君が土を用意して来て居り、息のあるうち恩師の顔を
塑
(
かた
)
にとりたいといふので、夫人不二子さんの
許
(
ゆるし
)
を得て、写真も撮り、面塑も出来た。そして廿六日は暮れた。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
少年たち三人だけで遊びに行ってもいいというお
許
(
ゆるし
)
が出ていましたので、夕方から、子供ばかりで散歩に出たのですが、三人の足はいつとはなく、海岸の
桟橋
(
さんばし
)
の方へ向いていました。
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
佳
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
になつて、
自分
(
じぶん
)
は
暫時
(
しばら
)
くぢつとして
居
(
ゐ
)
たが、
突然
(
とつぜん
)
、さうだ
自分
(
じぶん
)
もチヨークで
畫
(
か
)
いて
見
(
み
)
やう、さうだといふ一
念
(
ねん
)
に
打
(
う
)
たれたので、
其儘
(
そのまゝ
)
飛
(
と
)
び
起
(
お
)
き
急
(
いそ
)
いで
宅
(
うち
)
に
歸
(
か
)
へり、
父
(
ちゝ
)
の
許
(
ゆるし
)
を
得
(
え
)
て
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼の
許
(
ゆるし
)
を得んまでは席に着くをだに
憚
(
はばか
)
る如く、満枝は
漂
(
ただよは
)
しげになほ立てるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
恩師の秘密にしている部屋を、その
許
(
ゆるし
)
もなくて、ぬすんだ鍵であけてはいるなんて、けっしていいことではなかった。しかし、ぜひともそれをしなければ、気のすまない新田先生であった。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
由緒
(
ゆいしょ
)
のあることであろうから、追ってお
許
(
ゆるし
)
を願うことも出来ようといった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ドメニカこれを見つけて、そは目を
傷
(
そこな
)
ふわざぞとて日の見えぬやうに戸をさしつ。われ無事に苦みて、外に出でゝ遊ばんことを
請
(
こ
)
ひ、
許
(
ゆるし
)
をえたる嬉しさに、門のかたへ走りゆき、戸を推し開きつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
菊江の両親の
許
(
ゆるし
)
を得て初めて菊江の家を訪問した
壮
(
わか
)
い会社員は、己の下宿の近くの雑貨店の二階を借りていた男が、女の怪異を見て発狂したと云う話をしたので、菊江は
褐腐
(
こんにゃく
)
の
奇計
(
きけい
)
を話して笑った。
女の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「若先生のお
許
(
ゆるし
)
が出たのだから、さあ、さあ、踊ったり、踊ったり」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
御膳部の用意をいたすことをお
許
(
ゆるし
)
下さいまし。10880
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
私
(
わたし
)
は
雪籠
(
ゆきごも
)
りの
許
(
ゆるし
)
を
受
(
う
)
けようとして、たど/\と
近
(
ちか
)
づきましたが、
扉
(
とびら
)
のしまつた
中
(
なか
)
の
樣子
(
やうす
)
を、
硝子窓越
(
がらすまどごし
)
に、ふと
見
(
み
)
て
茫然
(
ばうぜん
)
と
立
(
た
)
ちました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
山田泰雲君は元
篆刻
(
てんこく
)
師の弟子であったが、芦野楠山先生の世話で師の
許
(
ゆるし
)
を得て私の門下となった。大分出来て来て、これからという処で病歿しました。
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
笹野新三郎の
許
(
ゆるし
)
を受けると、平次は竹の市の後へ廻りました。繩を解いてやる積りだつたのです。
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
正月は
奴婢
(
しもべ
)
どもゝ
少
(
すこ
)
しは
許
(
ゆるし
)
て遊をなさしむるゆゑ、
羽子
(
はご
)
を
擢
(
つか
)
んとて、まづ其処を見たてゝ雪をふみかためて
角力場
(
すまうば
)
のごとくになし、羽子は
溲疏
(
うつぎ
)
を一寸
ン
ほど筒切になし
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
佳
(
い
)
い心持になって、自分は
暫時
(
しばら
)
くじっとしていたが、突然、そうだ自分もチョークで画いて見よう、そうだという一念に打たれたので、そのまま飛び起き急いで
宅
(
うち
)
に帰えり、父の
許
(
ゆるし
)
を得て
画の悲み
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
幕いよいよ明かんとする時畠山古瓶以前は髯むぢやの男なりしを綺麗に剃りて
羽織袴
(
はおりはかま
)
の様子よく幕外に出でうやうやしく伊井一座この度鴎外先生の新作狂言
上場
(
じょうじょう
)
の
許
(
ゆるし
)
を得たる光栄を述べき。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ドレスデンにゆきて、画堂の
額
(
がく
)
うつすべき
許
(
ゆるし
)
を得て、ヱヌス、レダ、マドンナ、ヘレナ、いづれの図に向ひても、不思議や、すみれ売のかほばせ霧の
如
(
ごと
)
く、われと画額との間に立ちて
障礙
(
しょうげ
)
をなしつ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
お
許
(
ゆるし
)
下さい。そしてお傍へお
引上
(
ひきあげ
)
なさる9360
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
ふさいで考えますと、お
許
(
ゆるし
)
がないのに錠前を開けるのは、どうも心が済みません。神様、仏様に、
誓文
(
せいもん
)
して、悪い心でなくっても、よくない事だと存じます。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は丹後守の
許
(
ゆるし
)
を受けて、屋敷中の者に一應逢つて見ました。奧方、三人の子供達、用人の内儀とその娘、下女二人、若黨、門番、下男まで、ざつと十二三人の大世帶です。
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの方にお
教
(
おしえ
)
申すことをお
許
(
ゆるし
)
下さいまし。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「あれは、父上のお
許
(
ゆるし
)
が無ければ、誰も入ることが出来ないことになって居るのだよ」
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
(
其方
(
そなた
)
の言分承知したれど、親の
許
(
ゆるし
)
のなくてはならず、母上だに
引承
(
ひきうけ
)
たまわば
何時
(
なんどき
)
にても妻とならん、去ってまず母上に
請来
(
こいきた
)
れ)と、かように
貴娘
(
あなた
)
が仰せられし、と
私
(
わたくし
)
より申さむか
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
淺五郎はお町に逢つたのは
眞當
(
ほんたう
)
で御座いますが、それからズーツと、寺島新田の叔母の家に居りました。長命寺境内と申したのは遠方へ行くのはお
許
(
ゆるし
)
がむづかしいと思つたからで御座いませう。
銭形平次捕物控:040 兵庫の眼玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
許
常用漢字
小5
部首:⾔
11画
“許”を含む語句
幾許
少許
許多
其許
御許
許嫁
許可
心許
許婚
聴許
許容
許諾
許六
許婚者
奥許
免許
国許
耳許
勝手許
差許
...