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蝋
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らふ
ふりがな文庫
“
蝋
(
らふ
)” の例文
あるいは新らしい木の芽からいらなくなった
蝋
(
らふ
)
を集めて六角形の巣を築いたりもういそがしくにぎやかな春の入口になってゐました。
洞熊学校を卒業した三人
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
もの
優
(
やさ
)
しく
肩
(
かた
)
が
動
(
うご
)
くと、
其
(
そ
)
の
蝋
(
らふ
)
の
火
(
ひ
)
が、
件
(
くだん
)
の
繪襖
(
ゑぶすま
)
の
穴
(
あな
)
を
覘
(
のぞ
)
く……
其
(
そ
)
の
火
(
ひ
)
が、
洋燈
(
ランプ
)
の
心
(
しん
)
の
中
(
なか
)
へ、
𤏋
(
ぱつ
)
と
入
(
はひ
)
つて、
一
(
ひと
)
つに
成
(
な
)
つたやうだつた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夥
(
おびたゞ
)
しい出血に顏の色は
蝋
(
らふ
)
の如く白くなつて居りますが、眼鼻立ちの端正さは名人の
彫
(
きざ
)
んだ人形のやうで、
洞
(
うつ
)
ろに開いた眼には、恐怖の影さへもなく
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その中には、いくつかの
蝋
(
らふ
)
細工の小さな白鳥が、水に影をうつしておよいでゐます。それはまつたくきれいでした。
一本足の兵隊
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
先生は、茶碗を下へ置いて、その代りに青い
蝋
(
らふ
)
を引いた団扇をとりあげながら、
憮然
(
ぶぜん
)
として、かう云つた。
手巾
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
自ら
槌
(
つち
)
を振つて延板を作り、以て銅板の素地を作り候由、
蝋
(
らふ
)
を使用する代りに、
漆
(
うるし
)
を一面に塗り、それに鼠の歯を以て彫刻を施し候由、而して出来上り候原版を腐蝕せしむる薬品としては
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
宿と云つても、
幾竈
(
いくかまど
)
もあるおほ
家
(
いへ
)
の入口の戸を、邪魔になる大鍵で開けて、三階か四階へ、
蝋
(
らふ
)
マッチを
擦
(
す
)
り
擦
(
す
)
り登つて行つて、やうやう
chambre
(
シヤンブル
)
garnie
(
ガルニイ
)
の前に来るのである。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
原因は電線の発火に
候
(
さふら
)
ひき。それより
後
(
のち
)
二夜
(
ふたよ
)
は満船
蝋
(
らふ
)
の火の光に夜を
照
(
てら
)
し続けられ
候
(
さふらふ
)
。くらがりの海を
外
(
そと
)
に漏り
難
(
がた
)
き弱き火を
点
(
つ
)
けて船の進み
行
(
ゆ
)
くさま、昔の
遠洋
(
とほやう
)
航海のさまも思はれ申し
候
(
さふら
)
ひき。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
をさな
氣
(
ぎ
)
の
戯
(
たはむれ
)
ならず、
蝋
(
らふ
)
の火は輕き
焔
(
ほのほ
)
に
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
色
(
いろ
)
青
(
あを
)
き
蝋
(
らふ
)
の火のほの
暗
(
くら
)
みおびゆるごとく
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
火ともす
蝋
(
らふ
)
の
香
(
か
)
くゆり、あわただしく
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
古い
蝋
(
らふ
)
の火のくすぼるるかなしさ
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
滴
(
したゝ
)
る
蝋
(
らふ
)
のしづく涙と共に散りて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
蝋
(
らふ
)
の
纖手
(
せんしゆ
)
のたましひは
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
蝋
(
らふ
)
より
軟
(
やらか
)
い
頥
(
をとがひ
)
してゝ
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
その太陽は、少し西の方に寄ってかかり、幾片かの
蝋
(
らふ
)
のやうな霧が、逃げおくれて仕方なしに光りました。
種山ヶ原
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
が、何か苦労でもあるのか、この女の子の下ぶくれの頬は、まるで
蝋
(
らふ
)
のやうな色をしてゐました。
アグニの神
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一と晩の夜露に
晒
(
さら
)
されて、
蝋
(
らふ
)
人形のやうに蒼白く引締つて見えるのは、言ひやうもない痛々しさで、さすがに無駄口の多い八五郎も、
謹
(
つゝ
)
しみ
愼
(
つゝ
)
しんで何や彼と世話をしてをります。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
嘗
(
かつ
)
て
河陽
(
かやう
)
の
金谷
(
きんこく
)
に
別莊
(
べつさう
)
を
營
(
いとな
)
むや、
花果
(
くわくわ
)
、
草樹
(
さうじゆ
)
、
異類
(
いるゐ
)
の
禽獸
(
きんじう
)
一
(
ひとつ
)
としてあらざるものなし。
時
(
とき
)
に
武帝
(
ぶてい
)
の
舅
(
しうと
)
に
王鎧
(
わうがい
)
と
云
(
い
)
へるものあり。
驕奢
(
けうしや
)
を
石崇
(
せきそう
)
と
相競
(
あひきそ
)
ふ。
鎧
(
がい
)
飴
(
あめ
)
を
以
(
もつ
)
て
釜
(
かま
)
を
塗
(
ぬ
)
れば、
崇
(
そう
)
は
蝋
(
らふ
)
を
以
(
もつ
)
て
薪
(
たきゞ
)
とす。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蝋
(
らふ
)
のあかりの
夜
(
よ
)
を待たず尽きなむ時よ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ひとりか
蝋
(
らふ
)
の
香
(
か
)
の焔かかぐる。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
このときはもう冬のはじまりであの眼の
碧
(
あを
)
い
蜂
(
はち
)
の群はもうみんなめいめいの
蝋
(
らふ
)
でこさへた六角形の巣にはひって次の春の夢を見ながらしづかに
睡
(
ねむ
)
って居りました。
洞熊学校を卒業した三人
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
小生と同じ宿に十二三歳の少女
有之
(
これあり
)
、
腎臓病
(
じんざうびやう
)
とか申すことにて、
蝋
(
らふ
)
のやうな
顔色
(
かほいろ
)
を致し居り候。付き
添
(
そ
)
ひ居り候は母親にや、但し余り似ても居らぬ五十
恰好
(
がつかう
)
の婦人に御座候。
伊東から
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
豐かな感じはあるにしても、濡れた
蝋
(
らふ
)
のやうな青白い顏、唇を噛んだ白い齒が少し見えて、苦痛といふよりは、全體の表情が妻まじい恐怖に
歪
(
ゆが
)
んで見えるのは何んとしたことでせう。
銭形平次捕物控:208 青銭と鍵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのなかに
蝋
(
らふ
)
のあかりのすすりなき。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
蝋
(
らふ
)
の
火
(
ひ
)
は
白
(
しろ
)
く
燃
(
も
)
えた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
うす
痘痕
(
いも
)
の浮んでゐる、どこか
蝋
(
らふ
)
のやうな小さい顔、遥な空間を見据ゑてゐる、光の
褪
(
あ
)
せた瞳の色、さうして
頤
(
おとがひ
)
にのびてゐる、銀のやうな白い
鬚
(
ひげ
)
——それが皆人情の冷さに
凍
(
い
)
てついて
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
左顎
(
ひだりあご
)
の下へパクリと開いたのは、凄まじい斬傷、
蝋
(
らふ
)
のやうな顏に、昨日の艶色はありませんが、黒髮もそのまゝ、
經帷子
(
きやうかたびら
)
も不氣味でなく、さすがに美女の死顏の美しさは人を打ちます。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
蝋
(
らふ
)
の火もともるらし、
艣
(
ろ
)
を
抜
(
ぬ
)
けよ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
蝋
(
らふ
)
が引いてあつた、あとで念入りに拭いたことだらうが、まだ跡に蝋が殘つて居る、その蝋を引いた段の土に、もう一つ段一パイになる薄板を置き、その裏板にも蝋を引いて置いたのだ
銭形平次捕物控:264 八五郎の恋人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ふと窻に
蝋
(
らふ
)
の
火
(
ひ
)
あかり
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
髮はひどく亂れて血を失つた娘の顏は
蝋
(
らふ
)
のやうに青白くなつて居るのに、駒込小町と言はれた優れたきりやうは『死』もまた奪ふ由はなく人形づくつた非凡の端麗さは、半眼に開いた眼に
銭形平次捕物控:199 蹄の跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
塞ぐより外に
術
(
て
)
は無い、あれは
蝋
(
らふ
)
で、耳の穴なりに拵へて詰めてあつたんだ
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
肉付の豊かな通つた鼻筋も、反り加減の唇の
弧線
(
こせん
)
も、夢見るやうな
霞
(
かす
)
んだ眉も、美しいには相違ありませんが、
蝋
(
らふ
)
のやうな青白い顏は、恐怖と苦痛に
歪
(
ゆが
)
んで、二た眼とは見られない痛々しい表情です。
銭形平次捕物控:151 お銀お玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
入口に
蝋
(
らふ
)
が垂れて居るので、驚いて扉を開けると、この通り
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“蝋”の解説
蝋(蠟、ろう)、あるいはワックス (wax) は、融点の高い油脂状の物質(ワックスエステル)。多くの場合、室温では軟らかく滑らかな固体で、水の沸点 (100℃) より低い融点を持ち、気体はよく燃焼する。
(出典:Wikipedia)
蝋
漢検準1級
部首:⾍
14画
“蝋”を含む語句
蝋燭
蝋塗
白蝋
蝋色
蝋細工
蝋涙
蝋石
黄蝋
蝋塗鞘
水蝋樹
蝋色鞘
封蝋
裸蝋燭
蝋鞘
蝋引
百目蝋燭
蝋燭立
青蝋
蜜蝋
蝋人形
...