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蚯蚓
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みゝず
ふりがな文庫
“
蚯蚓
(
みゝず
)” の例文
こう云う間も蝋の流れは遠慮なくだら/\と
蚯蚓
(
みゝず
)
の這うように額から睫毛へ伝わって来るので、再び仙吉は眼をつぶって固くなった。
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
冷静
(
れいせい
)
なる
社会的
(
しやくわいてき
)
の
眼
(
め
)
を
以
(
もつ
)
て
見
(
み
)
れば、
等
(
ひと
)
しく之れ
土居
(
どきよ
)
して
土食
(
どしよく
)
する一ツ
穴
(
あな
)
の
蚯蚓
(
みゝず
)
蝤蠐
(
おけら
)
の
徒
(
ともがら
)
なれば
何
(
いづ
)
れを
高
(
たか
)
しとし
何
(
いづ
)
れを
低
(
ひく
)
しとなさん。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
白痴
(
ばか
)
のくせに妹分のお駒に懸想して、
蚯蚓
(
みゝず
)
ののたくつたやうな手紙を書いて、人の惡いお駒に
飜弄
(
ほんろう
)
されて居たことが判つた位のものでした。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
垣の上に
髑髏
(
どくろ
)
ありて、一
鼷鼠
(
けいそ
)
、一
蚯蚓
(
みゝず
)
、一
木蝱
(
きあぶ
)
これに集り、石面には「エツト、エゴオ、イン、アルカヂア」と云ふ四つの
拉甸
(
ラテン
)
語を書したり。われ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
万物
自
(
おのづ
)
から声あり。万物自から声あれば自から又た楽調あり。
蚯蚓
(
みゝず
)
は動物の中に於て醜にして且つ拙なるものなり。
万物の声と詩人
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
また、それだけに
釣
(
つり
)
がうまい。
素人
(
しろうと
)
にはむづかしいといふ、
鰻釣
(
うなぎつり
)
の
絲捌
(
いとさば
)
きは
中
(
なか
)
でも
得意
(
とくい
)
で、
一晩
(
ひとばん
)
出掛
(
でか
)
けると
濕地
(
しつち
)
で
蚯蚓
(
みゝず
)
を
穿
(
ほ
)
るほど
一
(
ひと
)
かゞりにあげて
來
(
く
)
る。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
蚯蚓
(
みゝず
)
が風邪の妙薬だといひ出してから、
彼方此方
(
あちらこちら
)
の垣根や
塀外
(
へいそと
)
を
穿
(
ほじ
)
くり荒すのを
職業
(
しやうばい
)
にする人達が出来て来た。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
勝「へー、伴れて来いと仰しゃいますなら伴れてまいりますがね、若し途中で
私
(
わっち
)
をばかして
蚯蚓
(
みゝず
)
のおそばや、
肥溜
(
こいだめ
)
の行水なんぞつかわされはしますまいか」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
事實然うかも知れない。學士は、生物……と謂ツても、上は人間から下は
蚯蚓
(
みゝず
)
の類まで、
都
(
すべ
)
ての動物に多大の興味を持ツて研究してゐる。彼は單に科學的に實驗するばかりで無い。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
萬能
(
まんのう
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るのは
皆
(
みな
)
女
(
をんな
)
で十三四の
子
(
こ
)
も
交
(
まじ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのであつた。
人々
(
ひと/″\
)
の
掘
(
ほ
)
り
起
(
おこ
)
した
趾
(
あと
)
は
畑
(
はたけ
)
の
土
(
つち
)
を
蚯蚓
(
みゝず
)
が
擡
(
もた
)
げたやうな
形
(
かたち
)
に、
濕
(
しめ
)
つた
砂
(
すな
)
のうね/\と
連
(
つらな
)
つて
居
(
ゐ
)
るのが
彼
(
かれ
)
の
目
(
め
)
に
映
(
うつ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
蚯蚓
(
みゝず
)
やけらが自由に棲んでゐる土地へ、勝手に繩張りをして、これは俺のものぢや、と言つてゐるのも可笑しいが、海の底から拔いて來たものを、こんな玉にして、これは俺のぢや
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
劉は、何とも知れない
塊
(
かたまり
)
が、少しづゝ胸から喉へ這ひ上つて来るのを感じ出した。それが或は
蚯蚓
(
みゝず
)
のやうに、
蠕動
(
ぜんどう
)
してゐるかと思ふと、或は
守宮
(
やもり
)
のやうに、少しづゝ居ざつてゐるやうでもある。
酒虫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこへ、するすると
意地
(
いぢ
)
の
惡
(
わる
)
い
蚯蚓
(
みゝず
)
が
匍
(
は
)
ひだしてきました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
お山の熊吉といふ、ノツソリした下つ引が、
蚯蚓
(
みゝず
)
をのたくらせた、八五郎の假名文字の手紙を持つて來たのです。
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
熟々
(
つら/\
)
考
(
かんが
)
ふるに
天
(
てん
)
に
鳶
(
とんび
)
ありて
油揚
(
あぶらげ
)
をさらひ
地
(
ち
)
に
土鼠
(
もぐらもち
)
ありて
蚯蚓
(
みゝず
)
を
喰
(
くら
)
ふ
目出度
(
めでた
)
き
中
(
なか
)
に
人間
(
にんげん
)
は
一日
(
いちにち
)
あくせくと
働
(
はたら
)
きて
喰
(
く
)
ひかぬるが
今日
(
けふ
)
此頃
(
このごろ
)
の
世智辛
(
せちがら
)
き
生涯
(
しやうがい
)
なり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
新田
(
しんでん
)
の
太郎兵衞
(
たろべゑ
)
がうまい
言
(
こと
)
を
言
(
い
)
つた。
小助
(
こすけ
)
が
鬱
(
ふさ
)
ぐなら
蚯蚓
(
みゝず
)
を
煎
(
せん
)
じて
飮
(
の
)
ませろと。
何
(
なに
)
が、
藥
(
くすり
)
だと
勸
(
すゝ
)
めるものも、やれ
赤蛙
(
あかがへる
)
が
可
(
い
)
い
事
(
こと
)
の、
蚯蚓
(
みゝず
)
が
利
(
き
)
く
事
(
こと
)
の、
生姜
(
しやうが
)
入
(
い
)
れずの
煎法
(
せんぱふ
)
で。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
農夫
(
ひやくしやう
)
といふものは、
蚯蚓
(
みゝず
)
のやうに土地にこびりついてゐるだけに、得て在所自慢をしたがるもので、この
農夫
(
ひやくしやう
)
もかねて
顔昵懇
(
かほなじみ
)
の英吉利の
農夫
(
ひやくしやう
)
を見ると、すぐに生れ故郷の自慢話をもち出したものだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
馬「それに
蚯蚓
(
みゝず
)
などをいじるのが何うも厭で」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お徳の手から受取ると、成程、書きも書いたり、
蚯蚓
(
みゝず
)
と古釘とが滅茶々々に雜居したやうな、素晴しい難文で
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
然
(
さ
)
もあるべし、
但
(
たゞ
)
狸
(
たぬき
)
の
聲
(
こゑ
)
は、
老夫
(
をぢ
)
が
耳
(
みゝ
)
に
蚯蚓
(
みゝず
)
に
似
(
に
)
たりや。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「知りませんよ、でも、野郎は、鎌の使ひ方がからつ下手ですね、三尺柄の草刈鎌を持つてゐて、
蚯蚓
(
みゝず
)
ばれほどの引つ掻きは、なさけ無いぢやありませんか」
銭形平次捕物控:285 隠れん坊
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
蚯蚓
(
みゝず
)
の
這
(
は
)
ふやうな
声
(
こゑ
)
が
階
(
きざはし
)
の
処
(
ところ
)
で
聞
(
きこ
)
える。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
頭の上でヒラ/\させ乍ら持つて來たのは、何んと、
蚯蚓
(
みゝず
)
をのたくらせたやうな、舌つたるい戀文が一通と、娘の持物らしい、小さい可愛らしい物が二つ三つ。
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「其處まで判れば、俺が來るまでもないぢやないか。何が不足で明神下まで
蚯蚓
(
みゝず
)
をのたくらせたんだ」
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「でも、あの人は、どんなに腹を立てても人なんか殺せるわけはありません。崖の下から、
蚯蚓
(
みゝず
)
が這ひ出してさへ、高輪中に響くほどの騷ぎをおつ始める人ですから」
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「共同井戸の流しの下に投り込んであつた筈だ——
蚯蚓
(
みゝず
)
の巣の中に五百何十兩は、變な圖だつたよ」
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「だがな、八、下水の中に、
蚯蚓
(
みゝず
)
がうんと死んでゐるぜ、——こいつは見て置く値打はあるだらう」
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「何を言やがる。切られたのは、お前の帶ぢやねえか。見るが良い、
蚯蚓
(
みゝず
)
ばれもありやしまい」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は一生此處の厄介になつて、少しばかりの不自由さへ我慢すれば、
蚯蚓
(
みゝず
)
のやうに自分の田地を掘つて居られると思ひましたが、旦那樣が亡くなつては、それも怪しくなりました。
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「何を騷ぐんだ、ドブ板の蔭から、でつかい
蚯蚓
(
みゝず
)
でも這ひ出したといふのか」
銭形平次捕物控:265 美しき鎌いたち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「百兩の茶碗、五十兩の茶入。こいつは何んとか言ふ坊さんがのたくらせた
蚯蚓
(
みゝず
)
で、こいつは
天竺
(
てんぢく
)
から渡つた水差しだと、獨りで
悦
(
えつ
)
に入つて居るうちはよかつたが、——人の怨みは怖いね、親分」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まア、親分さん、お口の惡い、
蟻
(
あり
)
が
蚯蚓
(
みゝず
)
を運ぶんぢやあるまいし」
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
顏は絶望と忿怒に
藍隈
(
あゐくま
)
を
刷
(
は
)
いたやう、毒蛇のやうにキラキラと光る眼、膏汗の浮いたこめかみには
蚯蚓
(
みゝず
)
のやうな血管が
腫
(
は
)
れて、風のやうな呼吸、キリキリと噛む齒、此上もなく念入りに縛られ乍らも
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「驚いたのは
蚯蚓
(
みゝず
)
」
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“蚯蚓”の意味
《名詞》
蚯 蚓(キュウイン みみず)
みみず。
(出典:Wiktionary)
“蚯蚓(ミミズ)”の解説
ミミズ(蚯蚓、𦚧䏰、螼蚓、歌女)は、環形動物門貧毛綱(学名: Oligochaeta)に属する動物の総称。目がなく、手足もない紐状の動物である。名称は「目見えず」からメメズになり、転じてミミズになったとも言われ、西日本にはメメズと呼ぶ地域がある。多くは陸上の土壌中に棲む。
(出典:Wikipedia)
蚯
漢検1級
部首:⾍
11画
蚓
漢検1級
部首:⾍
10画
“蚯蚓”で始まる語句
蚯蚓腫
蚯蚓脹
蚯蚓膨
蚯蚓体
蚯蚓張
蚯蚓捕
蚯蚓野郎