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はら
ふりがな文庫
“
肚
(
はら
)” の例文
敷島
(
しきしま
)
やバットやキャラメルなどの箱が積み重ねてあって、それをコルクの
弾丸
(
たま
)
で打ち落としているのです。私は
肚
(
はら
)
の中で考えました。
悪魔の聖壇
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
昌平はつい知らず機嫌のいい返辞をして、いそいそと立ってから、そんな自分のだらしなさに
肚
(
はら
)
が立って「ちぇっ」と舌打ちをした。
七日七夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「アッハハハ、思った通りだ。アッハハハ、お手の筋だ。
肚
(
はら
)
の皮のよじれる話、飛んだ浮世は猿芝居だ。アッハハハ、こりゃ
耐
(
たま
)
らぬ」
村井長庵記名の傘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「なんとか、
諦
(
あきら
)
めさせましょう」と、ぜひなく答えたものの、いつか板挟みになっている万吉、
肚
(
はら
)
の底では、密かに弱りぬいている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家康に従ってはいるが、もし家康が信長へ加勢として
上方
(
かみがた
)
にでも遠征したら、その
明巣
(
あきす
)
に遠州を
掠取
(
かすめと
)
らんと云う
肚
(
はら
)
もないではない。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
認めあれはと問えば今が若手の売出し秋子とあるをさりげなく
肚
(
はら
)
にたたみすぐその翌晩月の
出際
(
でぎわ
)
に
隅
(
すみ
)
の
武蔵野
(
むさしの
)
から名も因縁づくの秋子を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
それが女の声であるので、半七は
肚
(
はら
)
のなかでほほえんだ。かれは
葭簀
(
よしず
)
のかげに忍んで、隣りの茶店の奥の密談を一々ぬすみ聴いていた。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私は、こんな聞き分けを忘れた畜生に、以前の親愛を持って、追憶の歌を鞭にしていたことなどを思い出すと無性に
肚
(
はら
)
が立って
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
痩せるほど思っているカテリーナ・イワーノヴナも手にはいれば、六万ルーブルというあの女の持参金もたぐり寄せられようという
肚
(
はら
)
だ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
人からよくいろんなことを訊かれるが、大体、それらの人は、既にほかから聞いたことを、もう一度たしかめようといふ
肚
(
はら
)
でかゝつてゐる。
泉
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
泉先生の藝は弴さんの所謂
肚
(
はら
)
の藝である。斷つて置くが、茲に肚の藝とは、確固たる自己の世界を把持して動かない人の藝を謂ふのである。
貝殻追放:017 泉鏡花先生と里見弴さん
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「そうしたら」玄竜はじいっと彼女の笑顔を見つめていたが瞬間、そうだ今晩は久し振りにこの女を連れて帰るんだとひとり
肚
(
はら
)
で定め込み
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
帰るも帰らないも私の
肚
(
はら
)
一つだというんだから、わざわざお母さんまで来たのに、追い返すのもどうかと思って、一緒に帰ってしまったの。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
Explanation
(
エキスプラネーション
)
(
示談
(
はなしあい
)
)、と
肚
(
はら
)
を極めてみると、大きに胸が透いた。己れの打解けた心で
推測
(
おしはか
)
るゆえ、さほどに難事とも思えない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その君があっと驚いてる隙に乗じてこの
事実奇談
(
これだけはほんと
)
を運んで行こうという
肚
(
はら
)
なんだが、ここに困ったことが出来たというのは
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「なんでも、あなたがたがお忍びで、目立たぬようにという
肚
(
はら
)
だ。ね、それ、まん中の水ぎわが立ってたろう。いま一人が影武者というのだ」
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「うむ! きゃつら十七人が
肚
(
はら
)
を合わせ、一人の拙者を
嬲
(
なぶ
)
りになぶり、拙者もついに
勘忍
(
かんにん
)
ぶくろの
緒
(
お
)
を切って、事こんにちに到ったのだッ!」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
肚
(
はら
)
の子に
惹
(
ひ
)
かれて、このままここに居坐りでもしたら、それこそ庄左衛門と選ぶところはない。俺も小山田といっしょにだけはなりたくない!
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
富岡は、
肚
(
はら
)
の中で、自分をにやりと笑つてゐた。ゆき子が、女を梯子にすると云つたが、或ひはさうかも知れないと思へた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
肚
(
はら
)
に思案の吉蔵が、
表面
(
うはべ
)
ばかりの喜び顔『それ程までに吉蔵を、思召して下さるからは、滅多に置かぬ、狂言ながら、かうも致してみましうか』
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
自分は駄目だが、周囲の奴は、しっかりさせよう、そんな
肚
(
はら
)
でやってるんじゃない。たとえばネ、ここに悪事を
企
(
たくら
)
んでいる奴がいるとしまさア。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
お前の
肚
(
はら
)
がきまらないかぎり、道江本人には絶対秘密にするように、双方で固く申合わせてある、と書いてあったからだ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彼の持ちかけた若干の質問から、このお客の
肚
(
はら
)
には単なる好奇心ではなく、何か下心があるのだということが
頷
(
うなず
)
かれた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
さうだ、私はこの人を斬るのを止さう、と武士は
肚
(
はら
)
の中でいつた。そして気取られないやう、そつと庭から出ていつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
おそらく税関吏と組んで一芝居打つであろうから、その税関吏の様子を見守っていた上で、一網打尽に逮捕してしまおうと
肚
(
はら
)
を決めたのであった。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
肚でさとれ ただ頭で学ぶだけで、
肚
(
はら
)
で
覚
(
さと
)
らないからです。学者であって、覚者でないからです。とかく学者は学んだ智慧に囚われやすいのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
つりこまれて一緒に笑い出した友だちが、しまいにはおなかを痛くして、わけもなしに
肚
(
はら
)
を立てて、こう
恨
(
うら
)
みがましく福子を責めることさえあった。
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
見どころがあると思ったこの子も、四十二三歳で底が知れてしまったと思い、又、くどくど口説かれるのも
肚
(
はら
)
が立つ。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
私の
肚
(
はら
)
の中では、この男に逢って雛形を見せたら、恐らくこれは物になりません、というだろうと思っておりました。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
公然と出入りしようという
図太
(
ずぶと
)
い
肚
(
はら
)
で来たのか、それとも本当に一言謝るつもりで来たのか、それは伊助の妾だった。
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
さはいえ阿Qは承知せず、一途に彼を「偽
毛唐
(
けとう
)
」「外国人の犬」と思い込み、彼を見るたんびに
肚
(
はら
)
の中で
罵
(
ののし
)
り
悪
(
にく
)
んだ。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
それでも
予定
(
よてい
)
の
場所
(
ばしょ
)
に
着
(
つ
)
く
頃
(
ころ
)
までには、
少
(
すこ
)
しは
私
(
わたくし
)
の
肚
(
はら
)
が
据
(
すは
)
ってまいりました。『
縦令
(
たとえ
)
何事
(
なにごと
)
ありとも
涙
(
なみだ
)
は
出
(
だ
)
すまい。』——
私
(
わたくし
)
は
固
(
かた
)
くそう
決心
(
けっしん
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
小田原評定をつづけていた世界連合の臨時緊急会議も
漸
(
ようや
)
く
肚
(
はら
)
が決まったらしく、テレビジョン偵察の快挙を支持し
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
と、
肚
(
はら
)
の中で叫ぶと——今まで、自分の部屋を出た時から、音を立てぬように、出来ぬ辛抱を、気長にしてきたのが、もう、耐えられなくなってきた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
それはもうお前の言ふのは
尤
(
もつとも
)
だけれど、お前と
阿父
(
おとつ
)
さんとは
全
(
まる
)
で
気合
(
きあひ
)
が違ふのだから、万事
考量
(
かんがへ
)
が別々で、お前の言ふ事は阿父さんの
肚
(
はら
)
には入らず、ね
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ロパーヒン 最後の
肚
(
はら
)
をきめて頂きたいですな、——時は待っちゃくれません。問題はなんにもありゃしない。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ああとてもあの山は越えられぬと
肚
(
はら
)
の中で悲しみかえっていたが、一度その
意
(
こころ
)
を起したので
日数
(
ひかず
)
の立つ
中
(
うち
)
にはだんだんと人の
談話
(
はなし
)
や何かが耳に止まるため
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
米公使デ・ロングの
肚
(
はら
)
としては、薩長をバックする英公使パークスの鼻をあかすつもりだったには違いない。
黒田清隆の方針
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
肚
(
はら
)
の底では、本当に何かの悪事を企らみ、その準備にとりかかっているのだと考えることも不可能ではない。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
すると半之丞は
大真面目
(
おおまじめ
)
に「あれは今おらが口から出て行っただ」と言ったそうです。自殺と言うことはこの時にもう半之丞の
肚
(
はら
)
にあったのかも知れません。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
馬鹿にして笑っているより、正直に
肚
(
はら
)
を割って相談するほうが、話がはかどる。家屋引渡しの日の、お前たちのうわずったような眼の色をみて、どんなことを
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
これは悪くすると、滞在中ずっと降り通すかも知れない、然しその時には又その時のことと
肚
(
はら
)
をきめると、雨の音は落ち着かぬ旅の心を
和
(
なご
)
やかに静めてくれる。
雨の宿
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
口の先では強いことをいっているものの、町役人達も、さすがに
肚
(
はら
)
の中の不安は隠せなかったのであろう。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
かれは柳に
肚
(
はら
)
の中を見みすかされたのがはずかしかったのである。だがこのくらいの侮辱はかれに取っては耳なれている。かれはぬすむように柳の顔を見やって
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
それであるから、
肚
(
はら
)
では賭け事をやりたいと思っても、彼はけっして一枚の骨牌をも手にしなかった。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
こうして、一夜ばかりでなく、マタ・アリを殿下に付けておいて、ドイツに好感を持たせるように仕向け、その間に、側面から運動しようというドイツの
肚
(
はら
)
だった。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
鄭重
(
ていちょう
)
にしてくれるのに気がついたので、寿命のあらん限りは自分の仲間のうちにいようと
肚
(
はら
)
をきめた。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
一見、供出するものに同情ある様子ながらも、
悪狡
(
わるずる
)
く逃げるものは逃がして置き、その後で絞め上げて見せようという
肚
(
はら
)
も見え、なかなか油断のならぬ方法である。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
麦僊氏は割高についただけは、気持で取りかへしたいものだと、精々手足を踏みのばして、
乾章魚
(
ほしだこ
)
のやうな恰好をして寝台に寝そべつた。そして
肚
(
はら
)
のなかで思つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
実際この言葉によって代表される最も適切な意味が彼の
肚
(
はら
)
にあった事はたしかであった。明敏なお延の眼にそれが映った時、彼女の
昂奮
(
こうふん
)
はようやく
喰
(
く
)
いとめられた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
肚
漢検1級
部首:⾁
7画
“肚”を含む語句
肚裡
一肚皮
肚中
肚黒
肚立
肚芸
肚胸
空肚
肚裏
肚底
肚癒
肚皮
肚胆
肚骨
肚饑
腿肚
鬱勃肚
肚構
肚巻
羊肚茸
...